鶺鴒欲情 月海
佐橋皆人×月海


前回:鶺鴒浴場(番外編)(非エロ)

『…ちょっやめ、やばいって月海…!』
「何を言うておるミナト。大家殿の許しを得た今、何を躊躇う必要がある?」
「いや、色々間違って……」

かぽーん

増えすぎたセキレイにより、風呂場での騒動が絶えないと判断した浅間荘の大家・美哉は、皆人にセキレイ全員と一人ずつ風呂に入るように伝えた。 命じられたわけではないが、皆人は後が恐いのでそれを受け入れることにした。
そして風呂場には、タオル一枚を腰に巻いた皆人、タオルを胸から太もも辺りまで巻いた月海の二人だけがいた。

「せっかく”じゃんけん”に勝ったのじゃ。汝も覚悟を決めるがよい」
『覚悟って……』
「…わ、吾とて恥ずかしくないわけではない。結も草野も、結も誰もおらぬ風呂など今までなかった…」
『そ…そうだね。そういえばいつも賑やかだったから、こんなのは初めてだね。(…結ちゃん二回言われた…)』

まるで新婚夫婦さながらを思わせるように、二人は傍目にはイチャついてるようにしか見えなかった。 出雲荘の風呂場は広く、二人で使うには大きすぎるぐらいであった。

『じゃ、じゃあ、体洗って入って、さっさと出ようっ』
「……。」
『月海?』
「…ミナトは吾と風呂にいるのがそんなに嫌か? 吾はせっかくじゃから、ゆっくり入りたいと思っておった…」
『あっ! いやちがっその、長くいると鼻血が出るからね…月海のせいでなくて…っ』
「…いいじゃろう、ミナトが風呂場から出たくないと申すぐらい、吾が尽くしてやれば問題なかろう!風呂場での務めも本妻の役目じゃ! ミナト、そこに直れ!!」
『ああああ…』

緊張して口が上手く回らなかった皆人は、月海の”本妻として”という気持ちに火をつけてしまった。 月海の性格を分かっていた皆人は、しまったと思ったが時遅し。

ゴシゴシゴシゴシ

『あの…月海…?』
「湯船に浸かる前に、体を流すのは当然じゃ」
『この前も洗ってもらったから…はは…』
「…夫の体を流すのは妻の役目。なんぞ不満でもあるかの?」
『うーん…』

「……。 ミナト、次は吾の番じゃ」

何かを察した月海は、そう言うと背中を向けた。

『は!?』
「夫に背中を…。間違っておると思うが、流してくれぬか?」
『ちょ…なんで月海?』
「…吾は我慢しておこうと思ったが、このままでは汝はいつまでも―」
『?』

何かを含んだ言い方をしながら月海は言葉を止める。

「ミナト、せっかく一緒に入れたのじゃ。これぐらいよかろ…?」
『う…う…−ん』

月海が背中を見せてからずっと、皆人は真っ直ぐに視界が定まっていなかった。
目の前に女性の裸があるということに戸惑いが隠せず、悶々とするやら恥ずかしいやら、ずっと目が泳いでいる。

「ミナト、吾を見ておくがよい」
『見るっていっても……』

覚悟を決め、月海の背中を直視した皆人からは、鼻血が無意識に零れていた。
透き通るように肌は白く、普段決して見ることがない場所は不思議と新鮮で、そして男として我慢できないものが内から沸々と出てきた。

『つ、月海……』

奥深くから沸き起こるものを必死に抑えようとするが、目前にある白い月海の肌からは、表現し難い欲望がかきたてられた。

「どうしたミナト? 早く流して欲しいのじゃが…」

ぎゅっ

「!?」

皆人は背後から月海を抱き締めた。 無意識のように、頭では抑えていても身体が反応してしまう、本能が動いていた。

「ミナトっ! 汝っ汝はいきなり何を…っ!?」
『はぁ…はぁ…つ、月海っ』

後ろから襲うような形で月海を抱き締めた皆人は、タオルで覆われている胸をまさぐり始めた。

「やッやめぬかミナト…っ はぁ…んっ」

普段の月海からは想像できない女らしさに更に欲望が掻き立てられる。皆人は本能のままに、両手で月海の胸を乱暴に揉み続けた。

「はぁはぁ…どうしたのじゃ…っミナト? 急に…ッ人が変わったように…んんっ」

月海の胸の形を確かめるように、皆人はやさしく撫でるように刺激していく。乱暴にされたりやさしくされたりと、月海はその快感を伴う刺激にビクビクと身体を震わせた。

「こんな…っぅ…あぁ…はぁっはぁ… ミナト…、騒いでは大家殿に…ッ気付かれてしまうから…あっ…あッんん」

皆人になされるがまま、月海は体をビクビクと震わせるしかなかった。皆人は声を出させないように、月海の口に指を咥えさせる。

「んむ…ッ ふ…ーっ んんっんっ」

月海の口からは涎が漏れ、皆人の指に絡みつく。 更に加速したように、皆人は月海の体を舐めるように撫で回している。

「…っ!ミナトぉ…っ」

気付けば皆人の指がタオルの下に潜り込むように侵入してきた。

「はぁ…っはぁッ そ、そこは…駄目じゃ!ミナト…ッん」

その時、月海の背中に光の羽が瞬いた。 葦牙とセキレイが粘膜接触をした時に見られるもので、皆人と月海の唇が重なったためにそれが見えた。

「…ん…ミナト…吾は…っ」

ガタタタン!!!

「はい、そこまで! そこまでですよ!!」

一瞬で入ってきたのは般若だった。 光の羽が瞬いたために気付かれたのか、やはり入ってきてしまった。

「―っ!!!?」

突然の侵入者に、恥ずかしいやら驚きやら、月海は顔を真っ赤に染めたまま風呂場から飛び出していった。

『はっ! 俺は一体……』

取り残された皆人は、月海から離れてようやく正気を取り戻した。

「はい、佐橋さんは、しばらくの間ずっーーっとご飯抜きですよ」
『あれ…大家さん? ってかなんでそんな事に!?』
「本当なら追い出すところですが、彼女たちに免じて軽くしました」
『何があったんすか……』

皆人は、さっぱり覚えてなかった。


「はぁ……ミナト…」

途中で中断された形になったものの、月海には確実に変化が見られていた―






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