佐紀ちゃん
シチュエーション


「なぁ、もうちょっと髪の色、明るくしたらどうだ?」

きっかけは彼のこんな言葉だった。

「こうちゃんがそういうなら、してみようかな・・・」
「絶対似合うって!俺が保証するよ!」
「ほんとに?じゃあ、今度の休みの日、美容院、行ってくるね!」

彼の言葉に乗せられて、私は週末の土曜日、美容院の予約をとった。

私は今年の春、めでたく大学生になった。名前は佐紀。
真面目だけが取り柄で、中学、高校と、勉強ばかりしてきた。
そのおかげで、なんとか某有名大学に入学することができた。

ずっと恋とは無縁だった私だが、入学して半年、初めて彼氏ができた。
初めて話しかけてくれたのは彼の方だった。

「隣、いいかな」
「前からずっと、気になってたんだ」
「その・・・よかったら俺とつき合ってよ」

私にとって初めての経験。こんな地味な私を好きになってくれる人が現れるなんて
思いもしなかった。私は戸惑いながらも、彼の誠実さに惹かれ、つき合うことにした。
彼の名前はコウタ。こうちゃんって呼んでる。
今では私の方が彼のことを愛しているかもしれない。ときどきそう思うんだ。

髪を染める日。。
私は生まれてから一度も髪を染めたことがなかったので、正直不安だった。
絶対似あうって彼は言ってくれたけど、黒髪以外の自分の姿が想像できない。

「最初は皆不安なものですよ、今日はどんなお色に?」

えっとチョコレート?キャラメル?どれもお菓子の名前みたいでわからない・・・。

「えっと・・お、おまかせします!!」
「はい、わかりました。そんなに堅くならないでいいのよ」

美容師のお姉さんはとても優しくて、安心した。

・・・・美容院に来て三時間あまり。昨日勉強しすぎて夜ふかししたせいか、つい眠ってしまった。

「スミマセン!私寝ちゃって」
「あまりによく眠ってたから、起こすに起こせなくて。こんな感じに仕上がりましたけど、どうかしら」

目の前に現れた姿見に映った自分の姿を見て、私は言葉を失った。。。
真っ黒だった黒髪が、一気に金髪一歩手前くらいの茶髪になっていた。

「あの、コレ・・え?」
「あなた、きっとこのくらい明るい色の方が似合うと思って。とてもお似合いですよ」

まるで自分じゃないみたい。。鏡の中の自分が、真面目で控えめな人間とは思えない、開放的で、活発で。。。

「なかなか色が抜けないから、二回も脱色して色を入れたのよ。あとついでに眉の色も明るくしときましたから」

そういえば、眉も髪と同じくらい明るい色になってる!
私は絶句した。でも同時に、心の底からわき上がるような不思議な感覚も覚えた。
鏡の中の新しい私が、どんどん自分の心を浸食するような感じ。
野暮ったくない。かわいい。普通の女の子みたい。
鏡の中の私が、次第に髪型に似合う表情になっていく・・・。

「ご満足いただけましたか?」
「はい!大満足です!」

私はお金を払い、まるで踊るようにして家路についた。

「おっすげーいいじゃん!!別人だね!!」

こうちゃんもすごく喜んでくれた。どうやらこうちゃんは派手めな女の子の方が好きらしい。
いつもの消極的な私じゃなくて、今日からは少し積極的になれそう・・・かな?

髪を染めて二ヶ月がたった。
私は少し積極的になり、大学でも私を見る目がすこしだけ変わった気がする。
私は髪を染めてみてよかったと思った。
何事もやってみなきゃわからない。良い経験になったなぁって。
でも最近根元が少し黒くなり始めたので、また美容院に行こうと思っていた、その矢先の出来事である。

こうちゃんが浮気したのだ。女の子と一緒にいる所を友達が目撃して、
問いつめたら簡単に白状した。

「クラブで出会ったギャルがさぁ、俺のことすげぇ誘惑してくるもんだからつい」
「しょうがねーべ?だってすげぇ俺好みのギャルだったもんだからさぁ」
「大体お前も茶髪にしたぐらいで浮かれやがって。俺はギャルが好きなんだギャルが」

知ってた。こうちゃんがギャル好きだってことは。でも私じゃ全然タイプ違うし、真逆じゃん。。。

「わりぃけどもう、別れよう。俺もなんつーか、このままじゃお前に悪いし・・・」

そんなのイヤだよ。。私、こうちゃんのことまだ好きだよ。嫌いにならないでよ・・・。
このままじゃ終わりたくない。私は浮気相手のギャルに会いに行くことにした。

「キャハハハ!なにそんな怖い顔して!超うけんだけど!」
「コウタとはなんでもないよ、ただ一回寝ただけ。そこに愛は無いからさー」
「ごめんねー、てかあんた一途なんだねー、感動しちゃった」

あまりの開き直りっぷりに私もどうしていいかわからず、むしろ話してみると意外といい人っぽくて、
わたしの怒りもどこかに飛んでいってしまった。

「てかね、アイツは無類のギャル好きだね。過去に何度もギャルとつき合ってると見たね」
「じゃあなんで私みたいな地味な女とつき合ったのかな」
「そりゃたまにはあんたみたいな違うタイプとつき合いたくなるのが男ってやつなんじゃね?
てか、あんたそのまんまじゃ確実に捨てられるよ」
「ど、どうしたらいいの?私それだけはイヤだよ」
「あんたさえその気ならさぁ、私があんたをあの男に気に入られるような女に変えてやってもいいよ」
「え、そんなこと、あなたにできるの?」
「私はあんたみたく頭は良くないけど、人生経験だけは豊富なんだよね。じゃあ始めようか」

彼女はおもむろにどでかいメイクボックスを取り出した。

「いまから、あんたをギャルにします。彼がおったつような立派なギャルにね」

しばらく距離を置いていたこうちゃんと会ったのは二週間後のことだった。
ファミレスで会う約束だったけど、私はあえて一時間遅刻していった。

「おまたせ、こうちゃん」
「おいおせえよお前、てかどこほっつき歩いて・・・」

こうちゃん、固まる。私を見たとたん、固まる。

「え、あの、ゴメンナサイ、誰ですか・・・?」
「私だよ、こーちゃん!佐紀だよ!」
「え、佐紀?あの?え?」

こうちゃんは私だって気づかない模様。それもそのはず。この二週間で、私は別人になった。
ギャルという名の、新人類。

私はその後、こうちゃんの浮気相手、イクミと一緒に二週間過ごした。
イクミはとても面倒見がよく、気さくで、私をこうちゃんにとっての理想の彼女にすべく、
そのすべを教えてくれた。
メイク方法。ファッション。あと言葉遣いも。
毎日日サロに通って、私の肌はすっかり小麦色になってしまった。
眉はジョリジョリ剃られ、もう眉頭がちょっと残っているくらいでほとんど
書き足している状態。すっぴんは絶対に見せられなくなっちゃったけど、
その分シャープで鋭角な細眉に変わった。
髪はさらにイクミに脱色してもらい、完全な金髪になった。
茶髪にしたときより断然遊んでる風になってしまい、最初はとまどったけど
段々似合ってる気がしてきた。
目元は、普段いつもメガネをかけていたけど、つけまつげすると邪魔になるので
コンタクトにした。コンタクトはデカ目のカラコン。ツケマは三枚重ねが基本。
耳にピアスを開けるのが一番抵抗あったけど、こうちゃんに好きになってほしい一心で、
泣きながら開けてもらった。ゴールドのピアス。正直趣味悪いと思うけど、
今の私にはとても似合ってしまってる。
あとはヒョウ柄のバッグに、大きなサングラスで、私はどこからどう見てもギャルに生まれ変わった。

「お前、なにがあったんだよ」
「こーちゃんに嫌われたくなくて」
「お前、そりゃ、いいけどよ、俺のこと許してくれんのかよ」
「もうそんなのどうだっていいじゃん?一回誰かと、や、ヤッた?からって。
私のこと好きでいてくれたら、それで十分だからさぁ」

私は胸元から黒のブラをはみださせ、思いっきり寄せて上げて香水をたっぷりつけた胸元を
こうちゃんの目の前にちらつかせた。
本当は死ぬほど恥ずかしかったけど、コレもこうちゃんを振り向かせるため。

「わかったよ、お前がそう言うなら」

こうちゃんは私のおっぱいをガン見。そして面前だというのに私のおっぱいを激しく揉みしだき始めた。
私も面前だというのに思わず大きな声が漏れ、我慢できなくなってその場でディープキスをした。
久しぶりのこうちゃんとのキスは、まるでとろけそうで、頭がしびれるようだった。
とんでもなくいやらしいカッコをした自分が面前でいやらしいキスをしてる。このシチュエーションに私は
底知れぬ快感を感じていた。今すぐ股間に手を伸ばしたい。
モラルとか、プライドとか、大事だと思ってたことが一気に崩れて行くような気がした。
それでもいいと思った。今の私は私じゃない。こうちゃんに好きでいてもらえたら、それでいいんだ。

私がギャルになってからのこうちゃんは激しかった。
夜は今までにないくらい燃え上がり、一日中家でセックスを繰り返す日もあった。
あと、こうちゃんと深夜、クラブに繰り出すようになった。
今までは田舎くさい私を紹介するのが恥ずかしかったらしいけど、今は自慢げに仲間に彼女として紹介してもらえる。
全身にタトゥーを入れた怖そうな人も、話してみると案外面白くて、私はお酒を飲みながら
よくわからない会話に、ケタケタ笑っていた。
夜中遊ぶようになって授業中眠るのが習慣になり、次第に大学には行かなくなった。
もう少しで取れた単位も落としたし、もうどうでもいい。こうちゃんさえいれば、それでいい。
メイクは研究するほどどんどん派手になっていく。アイラインは大きく目の輪郭をはみ出してる。
でもコレはワタシじゃない。コスプレみたいなものなの。イマはワタシじゃないから、いいんだ。

「一本どうだい?」
「タバコ、吸ったことないの」
「またまたぁ、禁煙中かい?身体によくないよ」

タバコだけは吸わない。中学のころ、タバコが人体に及ぼす影響を何十枚もレポートで
出したことがあった。いくら見た目が変わっても、健康でいたいもの。

「マスター、俺の彼女にタバコ勧めるのはやめてくれよ」
「なんだ、コウタの女だったかい、こりゃ悪かったよ」
「いこうぜ」

こうちゃんに手を引っ張られてクラブを出た後、その日はラブホに泊まった。

「なぁ。俺たち、別れねぇ?」
「なんで?アタシ、またこーちゃんに嫌われるようなことした?」
「いやー、お前は最高なんだけど、なんかモノたりねーっつーか。楽しくないんだよね」
「アタシのなにが気に入らないの?教えてくれたら努力するから」
「お前といると、なんか見下されてるような気になるんだよね。育ちの良さが出ちゃってるっていうかさぁ、
お前は気づいてないかもしれないけど、俺たちに中にいても浮いちゃってるよ」
「・・・そうかもね、なんとなくだけど、気づいてた」
「俺たちとは、住む世界が違うんだよ、お前は」

そういうとこうちゃんはタバコに火をつけた。
このままじゃこうちゃんは離れていっちゃう。
ありのままの私を唯一好きになってくれた人。どんなことを言われても、私にとっては、大事な人。

「私にも一本ちょうだい」
「あ?お前タバコ吸ったことないんだろ」
「いいから」

私はこうちゃんのタバコを無理矢理奪い取って、慣れない手つきで火をつけた。
思いっきり吸い込むと、一気にケムリが灰の奥に流れ込んで来る。

「うっ!!ゲホ!!ゲホ!!うぅえええ!!」
「おい、無理すんなよ、これ度数たけぇから」
「いいの、吸えるようになりたいの」

私は思いっきり吸い込み、ふーっとふかしてみせた。
タバコの灰がポトリと落ちる。

「なぁ、おめぇ、重いって言われねえ?」
「こうちゃん以外とつき合ったことないからわからない」

そういうとこうちゃんはハハハと笑いながらキスしてくれた。
私はすっかり色素の抜けた髪をかきあげ、タバコ片手にキスし返した。

その後もこうちゃんの冷めた態度は変わらなかった。
私のギャルルックにもすっかり慣れてしまったようだった。
最初は私もイマの自分は仮の姿だーとか思ってたけど、すっかり身に付いてしまったみたい。
上下ヒョウ柄のスウェットを着て、朝起きてすぐタバコを吹かす。
今ではすっかりヘビースモーカーになり、一日で二箱なくなるようになった。
学校には行かず、夜はクラブでお酒を飲み続ける毎日。
学生時代、コンビニのバイトでコツコツ貯めた貯金も、化粧品や洋服代で
ほとんど消えてしまった。最近になってこうちゃんに借金があることも発覚し、
いよいよ金銭的に追い込まれてしまっていた。
私はまたバイトしようと面接を受け始めたが、この金髪ではどこにも雇ってもらえず、
声も酒やけしてほとんどかすれて出なかった。なによりけだるくて感じよく振る舞えなかった。
「お嬢ちゃん、常識わきまえなよ」とまで言われることがあった。
今までずっと優等生として扱われてきたので、こういう場では自信があった。
それなのに、どこに行っても軽蔑した目で見られのが、ショックだった。
今のアタシは私じゃない。だからといって今さら真面目っ娘にはもう戻れない。あんなダサイカッコ二度としたくない。
私は、私をギャルに変えた、イクミを頼ってみた。

「なんか疲れてない?大丈夫?」

イクミはリクルートスーツを着て就活中だった。メイクも以前の派手なメイクじゃなくナチュラルメイクで、
黒髪になり、かなり普通のルックスになっていた。

「今ね、二件内定貰えたんだけど、まだまだイイ会社があるかもしれないから、もうちょい受けようと思ってるんだ」
「マジで?なんか前と別人じゃね?あっウエイトレスさん、水!水なくなっちゃった!」
「フフッ、佐紀ちゃんはすっかりたくましくなっちゃって。あっ私もおかわり下さい」

まるで別世界を生きるイクミを恨めしく思った。私ならイクミなんかよりもっといい会社に受かる実力があるのに!

「バイト?うーん、佐紀ちゃんがどうしてもっていうなら、紹介してあげてもいいよ」
「やるやるやる!お金必要だもん」
「でも、あんまりオススメできないけどなー」
「なんでもやるよ!紹介して!」

SMクラブだった。私は迷った挙げ句、お給料の良さに魅かれ、やることを決めた。
私はM嬢をやるよう言われたが、SMにはまったく興味はなかったので、ただただ痛い、キモイだけだった。
ハードな要求に耐えたら、その分給料は増えた。
しかし給料が多く出たら出ただけ、こうちゃんの借金の額はふくらんだ。
返済しても返済しても、借金は増えて行く。
どうやらこうちゃんは返済のためにヤミ金に手を出したらしかった。
私はお金欲しさに、次第に無茶な要求にも応えるようになった。
そしてある日、店長に呼ばれ、ある場所に連れて行かれた。

家に帰ると、こうちゃんがいた。
どうやら、今日も金策に走っていたらしい。

「どうだった?お金貸してくれるとこ、みつかった?」
「もうねーよ、俺の人生終わりだ、殺されるんだ。おう、今日給料日だろ、出せよ」

私はいつもよりふくらんだ茶封筒をこうちゃんに手渡した。

「なんかいつもより多くねーか、どうしたんだよコレ」
「こうちゃん、私ね、こうちゃんのためだったらなんでもできるよ」

酒やけでかすれた声がふるえるのを必死に我慢した。

「なんだよ急に、キメぇんだよ」
「実はね、私ね、今日こんなんなっちゃった・・・」

震える手でボタンを外し、シャツをパサリと脱いだ。

私は店長に足元を見られ、ある場所で入れ墨を入れられ、秘部にピアスを開けられたのだった。
肉体改造するとお客さんが異常に喜ぶらしく、私みたいにお金に困ってる子は自分から進んでやるんだって。
私は泣きながら、太ももと、肩と、パ○パンにされた股間の真ん中にそれぞれ違う花の入れ墨を入れられた。
そのあと、両乳首とラ○アにリング型のピアスも開けられた。
施術が終わった後、鏡に映された私を見た。
突出した乳首の先端にはシルバーのリング型のピアスが垂れ下がり、マ○コに咲く真っ赤なバラの中心からは
ラ○アに開けたピアスがキラキラと光を放っていた。
もうまともには生きていけないと思った。恥ずかしいを通り過ぎて、情けなかった。

「おい、うそだろ・・・」
「どうかな・・・似合ってる・・かな・・?」

私は肩をふるわせて泣いた。ずっと我慢してたけど、もう心はボロボロだった。
こうちゃんは抱き寄せてくれたけど、こうちゃんのアソコはもうギンギンで、私の下腹部に当たっていた。
あぁ、こうちゃん、こういうの好きそうだもんな、と思いつつ、私も完全に濡れていた。
数秒後、わたしはこうちゃんに抱かれた。事実、恥部にピアスを開けられた背徳感で
私もいつにも増して興奮していた。朝には乳首のピアスをいじり倒し、
こうちゃんは満足げに「似合ってるよ」と言った。
私はどうしてこんなことになっちゃったのか考えてみたが、頭の中が全然まとまらなくて
そのまま深く眠ってしまった。

翌朝、目が覚めると「ごめんな、今までありがとう」という書き置きとともに
こうちゃんがいなくなった。
私は永遠に返せない借金とともに取り残されたらしい。
タバコを吸いながらぼんやりしていると、数時間後に借金取りがきて、私は自分の運命を悟った。


〜コウタside〜

借金生活から逃亡して三年が経った。
今では真面目に働き、婚約中の彼女もいる。
ようやく人並みの幸せを手に入れようとしていた。
俺は独身最後の記念にハメをはずそうと、隣町の風俗に行った。
裏びれた通りの汚い店だったが、金がなかったのでそこに決めた。
しかしそこで俺は再び出会ってしまったんだ。

「いらっしゃいませ。ミヤビともうします」

通された嬢を見て俺は驚愕した。佐紀だ。
見た目はまるで別人だが、この股間の入れ墨は間違いない。

「お客さん、どうされたんですか」

カスカスの声で顔を覗き込まれた。俺は思わず顔をそらす。
逃亡中に整形したから気づかれるはずがないのだが、それでも俺は怖かった。
佐紀は異常にやせ細っていて、アバラが気持ち悪いほど浮き出ていた。
しぼんだ胸からはチェーン型のピアスがジャラジャラ垂れ下がっていた。
とても二十代前半には見えないほど顔はやつれており、
それを無理矢理派手なメイクで隠しているようだった。
驚いたのは、以前の佐紀は鼻筋が通っていたのだが、鼻がぺしゃんこにつぶれていた。

「その鼻・・」
「ああ、これね、あたしコカインやりすぎて、鼻の軟骨溶けちゃってんのよ」

そう言って笑いながら鼻を自分でぐにぐにやってみせた。

「キモイでしょー、ごめんねーこんなのが相手で」

ニヤーと笑うと、まっ黄色の歯から唾液の糸が引いていた。
普通なら即チェンジなのだが、俺は罪悪感からか興味本位からか、言い出せなかった。
その後俺はバレないかとヒヤヒヤしながら風呂で身体を洗ってもらい、佐紀を抱いた。
どす黒く変色したマ○コはガバガバで全然機能しなかったが、
それでも佐紀の身体は、どこか懐かしく、心地よかった。
ア○ルのやりすぎで括約筋がぶっ壊れたらしく、
行為中、あんあん言いながら佐紀は何度もぶりぶりクソを漏らした。
ごめんね、ごめんねと言いながら、ア○ルからブピブピ音を鳴らす。
俺の借金のせいでこんなに風になったかと思うと、とても見てられなかった。

「ふぅ、こんなに気持ちよかったの久しぶりだよ。よかったらまた指名してね」

そういって慣れた手つきで俺に名刺を渡す。
バイバイと手を振る佐紀に背を向け、俺はそそくさと店をあとにした。
店を出た後、ふと名刺の裏を見ると、

「幸せになってね 佐紀」

と書かれていた。
俺はその場でうずくまり、ごめんな、ごめんなと何度も謝り続けた。






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