義姉さん5
シチュエーション


いたずら好きな少女のようににかっと笑うと、オレのペニスに手を添えて、ゆっくり腰を沈めていく
ずぬずぬというぬめった感覚と共に、オレとともちゃんは一つに繋がった

「ふう…。へへっ、あっちゃんのちんちんハメちゃったぁ…」
「んっ……」
「どーお?ごーほーロリのおまんこ…」
「くっ…す、すげぇ…」

挿入不可能かと思われた小さな膣は、驚くほどの伸縮性を見せ、オレを完全に呑み込んでいる
ぴちぴちに広がった結合部からはオイルのように愛液が漏れ出して、ミスマッチ的ないやらしさを醸し出していた
内部は狭いという感じではなく、肉が詰まっていると言う方が近い
ペニスを、粘ってぬるついた肉の塊の中に突っ込んで、四方八方から物凄い圧力をかけられているような感覚
入れているだけでもうたまらない快感だ。胎内に収められている硬直は、この時点ですでに絶頂への欲求を示し始めていた

「あっちゃんのほーけーおちんぽ、まんこの中でひくひくしてるぅ…。こーふんしてどくんどくんしてるのわかるぅ…。ねえ、あっちゃんきもちいーい?おちびちゃんまんことエッチしてうれしい?」
「う、うん…」

何とか返事をしてみたものの、正直言ってオレは今、一瞬たりとも気の抜けない状況だ。うっかり集中を途切らせてしまうと、睾丸の中身を全部吐き出してしまう
一方のともちゃんは余裕の態度でオレの腰の上に跨がっている。可愛い顔を意地悪く緩ませ、ニヤニヤしながらオレを見下ろす。小悪魔さながらの小さな女性は、オレの肉体を手中に収めていた

「あっちゃん、もう動いちゃおっか?」
「……っ!?」
「…動いたらヤバい?」
「ヤ、ヤバい…」

情けない事に、オレの声は裏返っていた

「くくく、なきそうなかおになってんの。かーわいい…。でもそろそろじかんもないしぃ、ちょっとだけ動いちゃおうね?」

ともちゃんは少し顔をしかめると、「んっ」という小さな声とともに、腹筋に力を込めた

「うっ!?ぐ!!」

オレの分身をくわえ込んでいた蜜肉が、急激に圧力を強め、ぎゅうぎゅうと締め付けてくる。それと同時に、まるで波打つような動きでペニス全体を上下に刺激し始めた

「どーお?おもしろいでしょ?動いてないのに動いてるみたいでしょ?」

おもしろいでしょ?と言っているが、こちらは面白いと感じてるヒマはない。驚きはしたが…
なにしろあまりに気持ち良すぎる。まるで牛の乳を搾り出すかのように、ともちゃんの膣肉が、オレのペニスをぎゅわんぎゅわんと絞り上げてくる。強烈な快感をともなわせながら、淫らな波状運動はより激しさを増していく

「ね、わたしのおちんちんしぼり、きもちいーい?いーでしょー」

よほどやり慣れているのか、彼女は複雑な膣の動きを制御しながらも、ニコニコ笑顔で息切れ一つ起こさない

「あっちゃん、もうイキそう?おちんちんしぼりがまんできなくて、あかちゃんえきぴゅっぴゅしたい?
かんじてるあっちゃんのかお、すっごくかわいいよお…。ほーけーのびんかんおちんぽ、そーろー気味にどっぴゅんしたくってたまんないんだよねー。にひひっ…」

愛らしい顔にサディスティックな笑みをべたっと張り付けて、オレを見下ろすともちゃん。しっかしこれが客に対する態度だろうか
ひょっとすると、彼女なりのいつものプレイスタイルかも知れない。だとしたらとんでもないお嬢だ

「ふ、ぅん…。そろそろわたしもきもちよくなりたくなっちゃった…。もう、ほんかくてきに動いちゃうから」
「…はっ!?」
「ほ〜らほら。このままこしを動かしたらぁ、おちんちんどうなっちゃうんだろーねー?」
「ま、待って…」

オレの返事を待たずに、腰をずずずっとゆっくり持ち上げると、「あんっ」と言う黄色い声と同時に、一気に腰が叩きつけられた

「〜〜〜っ!!」

凄まじい程に衝撃的な快感。オレは、声にならない声を吐き出した

「はあ〜!あっちゃんのちんちん、わたしのミニちつにちょーハマってるよぉ〜!すっごいぴったりきてるぅ〜!!」

ぱんっぱんっと皮膚同士がぶつかり合う音を響かせながら、ともちゃんは楽しげに喘ぐ
精液を搾らんとうごめく蜜壷で『おちんちんしぼり』を続けながら、下半身を高速で動かして、ペニスに堪え難い悦楽をコンビネーションで与えている
我慢などできるわけがない。射精の時はもう眼前に迫っている

「はわぁぁ…あっちゃんのおちんこちゃん、がちがちになってるぅ。こだねじる出したいって、まっしろいねばねばせいし、ぴゅーぴゅーしたいよ〜って、ぱんぱんにふくらんでるよぉ…。
あっちゃん、きもちよかったらイッていいよ?がまんできなかったらいつでもイッていいよ?
イカくさくってなまぐさくって、じゅせーのーりょくバッチリのこづくりおしっこ、びんびんちんちんちゃんからいっぱいしゃせーしていいよぉ!!
はぁぁ…わたしのおまんこ、ちんぽちゃんがビックンビックンするのまちきれなくて、ぬるぬるえき出すぎちゃってるよぉ。あたまん中こーふんしすぎちゃって、セックスとまんないよぉ!きゃはははは!」

……正直、ともちゃんが何を言っているのか、もう理解できない
ゆるみきった桜色の表情で、ぬちゅんぬちゅんと粘った音が結合部から聞こえている
演技なのか本気なのか、こちらは知る由も無いが、とりあえずなんらかの興奮状態にあるのは確かだろう。だが…

「あんっ!あんっ!あっちゃんもうイキたいでしょ!?イッていいよ!おちんぽこイッちゃうの、おまんこ肉にかんじさせてぇ!」
「あ…あぁっ…!」

オレの性感はそれ異常に興奮している
もうダメだ。もう出る
でも…、その前に何かしておきたい…。少しも抵抗できないマグロは御免だ…

オレは力を振り絞って上半身をやや起こすと、ふるふると震える腕を伸ばして、上下運動を続ける柔らかな尻肉を、むにりと掴んだ

「あっ…ん?あっちゃん、わたしのおしりすき?おしりあいぶしながらイキたいの?」

そのまま、右手を尻の中心に向けてじわじわと動かす。子供のように慎ましやかな臀部の割れ目の中に、指を潜り込ませるのは容易だった。そこでオレの中指が、異質な感触の、しわのあるへこみに触れた

(みっけ…)

「ひゃっ!?」

菊のすぼまりに軽く触れただけで、膣の複雑な動きも、乱暴な腰のピストン運動も、体中の全ての動きが止まった

「だ、だめ…おしりだめ…」

オレのペニスをさんざんおもちゃにしていた彼女は、眉間に皺を寄せて息を詰まらせている。指先で菊座を小さく撫で回すと、全身と声を震わせ始めた
「いや…、いや…あなるはえぬじーだからさわっちゃいやなのぅ…」

ともちゃんは今にも泣き出しそうな顔になった。桜色だった頬は真っ赤に染まっていて、平坦な肉体からは汗が吹き出していた
オレは中指の腹を肛門のすぼまりの中点に合わせると、つぷりと指先五ミリほどを中に挿入した

「にゃぁぁぁーー!!らめぇぇぇぇーー!!!」

絶叫と共に、目をぐりんと見開いて、上半身を大きくのけ反らせる。その瞬間、蜜肉がペニスを強烈に圧迫して、オレの射精欲はついに限界を迎えた

「ぐうぅぅぅっ!!くぁっ…!」

全身を駆け抜ける射精感と開放感。二度目の絶頂にも関わらず、決壊したダムのように、大量の濁流をゴムの中に吐き続ける尿道口。ともちゃんの膣の中で、ペニスは歓喜に沸いてどくんどくんと跳ねていた

「はっ、はああ…。イッてる…。おちんちん…」

ともちゃんは、天井を仰いで、力無く口をパクパクさせながら、ペニスの躍動を膣内で感じている
しばらくの間、二人とも繋がったままで息を切らせていたが、やがてともちゃんはゆっくりとオレの顔を見下ろして、にっこりと笑った

「そろそろ時間で〜す…」


「も〜、なんであんなことすんのぉ?」

やるコトやって服を着ていると、膨れっ面のともちゃんが話し掛けてきた

「…ん?」
「あなるはえぬじーなのにぃ…」
「そんなの、先に言ってくれなきゃわかんないよ。前もって言ったっけ?ともちゃん」
「………わすれてた」
「じゃあ、仕方ないじゃん」
「…で、でもぉ、女の子がやめてっていったら、すぐやめなくちゃだめだよぉ。そーゆーお客さんは、お店のえらい人にしかってもらうんだから」
「む…」

確かに、お嬢の仕事は客を愉しませる事だし、たいていの事は寛大に許してくれる
だが、お嬢の言い付けた事には、絶対に従わなければならない。これを破った場合、どんな『説教』を食らっても文句は言えない

「どーする?せんようのおへやでお話してく?」
「……ごめん」
「こえがちいさーい」
「…ごめん!オレが悪かった!……これでいい?」

半ばやけくそ気味に謝罪の言葉をのべて、ぺこりと頭を下げた

「へっへー。じゃあゆるしてあげるー」

彼女は優越感満点の笑顔で、オレの頭をなわしゃわしゃとなで回した

(このガキィ…)

かなり割り切れない気分だが、『説教』の事を考えれば、されるがままを選択せざるを得ない

「ふふ、でもありがと。おつかれさま」
「んむっ…?」

ともちゃんはオレの首に腕をまわすと、ぐっと唇を奪った
小さなピンクの唇と、小さな濡れた舌がオレの口内をくちゅくちゅ愛撫する。やがて甘やかな吐息とともに短いキスが終わると、二人の唾液が名残惜しそうに糸を引いた

「さいごのサービスだよ」

くりくりとした大きな瞳で、愛らしい微笑みを浮かべる

「…はは、ありがと」
「ね、わたしのお客さまになってよかったでしょ。ちびっこボディ、好きになったでしょ?」
「ん〜、ちょっとだけ」
「ちびっこボディ好きになってもぉ、ほんもののちびっこにエッチなことしちゃだめだよ?もししたくなったらぁ、わたしのところにきててね?にひひっ」

ともちゃんはまた、真夏の空のように明るくにかっと笑った


「はわぁ……ふぅ……」

畳敷きの居間に寝っ転がって、天井を見上げながら、間の抜けたあくびをした
ともちゃんと一戦交えてから何日か経って、今日は日曜日。麻美ちゃんは義姉さんとお義母さんと一緒に、食事に出掛けて行った。父親不在の母子家庭なので、家族の絆を深める為、月に一回はみんなで集まって外で食事をする……というのが昔からの習慣らしい
麻美ちゃんは出掛ける前に、ガキみたいな事をずーっと続けてるからウンザリ、みたいな事をぶつくさ言っていたが…まあ、口で言うほど嫌ではないようだ

とにかく、日曜の午前中から、オレは一人になった
麻美ちゃんのご飯を作らなくていいし、機嫌を取らなくてもいい、愚痴を聞かされる事もない
一人になれば、ダラダラゆっくり、羽が伸ばせると思っていた。一ヶ月ほど前の生活に戻って、日がな一日、ぐだぐだまったり過ごせると思っていた
しかし、いざ本当に一人になってみると、これが結構つらい
麻美ちゃんのご飯を作らなくていいし、機嫌を取らなくてもいい、愚痴を聞かされる事もない
何もする事が無い、誰とも話をしない事が、こんなに不快に感じるとは思わなかった。以前のオレからは考えられない感覚。正直、家の中にいるのが苦痛だ
つけっぱなしのテレビからは、毒にも薬にもならない音と映像が垂れ流されている。…日曜のテレビって、なんでこんなに面白くないんだろう。左手をリモコンに伸ばして、プツンと電源を切り、壁にかけられた時計に目を移す

(もうすぐ十一時か…)

まだ中程までしか吸っていないタバコを、ちゃぶ台の上のヤニ缶でぐしゃぐしゃと揉み消し、財布の中身を確認する

(オレもメシ食いに行こうかな…)

どうせ金はまだたんまりあるんだ。少しは豪勢な食事でもしに行こう
簡単に身仕度をすませると、車の鍵を引っ掴んで玄関を出た

…でも、豪勢なメシって何だろう?…え〜っと、え〜〜〜っと……………ステーキしか思いつかない……

「あれー、ぐーぜんだねー?」

県内有数のステーキチェーン店の駐車場で、背後から誰かに呼び止められた。子供の声…というよりはキンキンのアニメ声だ

「あっちゃんでしょー?」

アニメ声で、オレをあっちゃんと呼ぶ。となると答えは一つしかない

「…ともちゃん?」
「へっへー。あったりぃー」

そこには、この間オレを性的にいじめた真ん丸お目々の女の子が、バッグを肩に下げて微笑んでいた

「あっちゃんもごはんたべにきたのー?」
「あ、うん」
「にひひ、わたしもだよぉ。あっちゃんはひとり?」
「そうだけど」
「へえ〜っ、さーみしーい。日曜にひとりでごはんたべるなんてー。くくく」
「…アンタだって一人じゃねえか」
「うん、そうなの。だからね、さみしい同士でいっしょにごはんたべよ?」

ともちゃんが、オレの腕に絡み付いてきた。その様子は腕を組むと言うより、しがみつく、あるいはぶら下がると形容した方がいい

「お、おい…」
「ね、いいでしょ?」
「う〜ん、…ま、別にいいか」

確かに、一人寂しくメシを食うよりは遥かに良い

「へへっ、きーまりっ。じゃあごはんたべおわったらぁ、わたしとデートしようね」
「…デート?」
「うん。わたし四時から出勤でぇ、それまでにいろいろ行くところあんの。わたし、あっちゃんといっしょに行きたいなぁ」
「オレを足に使うつもり?つか今日もお店なんだ」
「そ。きょうはふたりでいろんなとこまわってぇ、あっちゃんといっぱい仲良くなってぇ、さいごはおへやん中でふたりっきりになるの。んふふ、いっぱいラブラブエッチしよーねー」

ともちゃんの発言にオレは驚愕して、思わずあたりを見回した
中身は成人とは言え、見た目小学生の女の子に腕にしがみつかれて、『ラブラブエッチしよーねー』なんて言われてる場面を目撃されれば、通報は免れない。ハタから見れば、児童との淫行だ

「なにあせってんの?ここにはわたしたちしかいないみたいだよ?」
「あ、ああ…。どうやらそうみたいだ…」

運良く、辺りに人影は見当たらない。ほっと胸を撫で下ろすと、ともちゃんがつきたての餅よりも柔らかなほっぺをすりすりとなすりつけてきた

「にひひっ、はずかしがってんの。か〜わいい」
「………」

この脳天気な態度…。自分の身の安全をを真剣に心配した事がバカらしくなってくる
…ま、とどのつまりは営業デートって事か。ぶっちゃけ今日はソノ気は無いんだがなぁ…

「…ラブラブエッチはともかくさ、とりあえずメシ食いに行かない?」
「そーだねー。いっぱい食べてたいりょくつけてぇ、きょうは五回くらいイッちゃおうねー」
「……その事は後で考えよう。今はメシに集中しようぜ。ね?」
「うんっ。わたしもうおなかぺっこぺこだよー」

ともちゃんは自分のお腹をぽんぽんと叩くと、にひひと笑って白い歯をのぞかせた

(それにしてもよく食うなぁ…。信じられんよ全く…)

ステーキ店ではジャンボステーキ800グラムセットライス大盛り、そば屋で特大ざるそばとカツ丼、ハンバーガーショップでスペシャルビッグバーガーセットを2セット、おまけに移動中の車内でオーザックとばくだんおにぎりとスポーツドリンク500ml…
これら全てを食べカス一つ残さずぺろりと平らげ、今またアイスクリームショップで、エベレストパフェなる物に舌鼓を打っている

(こんな小さな体のどこに入ってるんだろ…。胃液が濃硫酸の百倍以上とか?)

食事の量は確実に三キロを超えているはずだが、彼女の腹まわりは相変わらず偏平なままだ

「あっちゃんもなんかたのめばいいのにー」

自分の頭より大きなパフェにスプーンを突っ込みながら、ご満悦といった感じでニコニコ笑っている

「いや…、オレはもういいよ…」

彼女が物を食ってる様子を見ているだけで、こっちが吐いてしまいそうだ

「そーお?おいしいのにー」
「て言うかさ、色々行く所があるって言っといて、メシ食ってるだけじゃん。単なる食べ歩きじゃないか」
「にひひっ。このお仕事ってたいりょくしょうぶだからねー。出勤前はいつもこんくらいたべてんの。あっちゃんもいっぱいたべとかないとぉ、わたしのあいてできないよぉ…?ぐふふふ…」
「だからさぁ、今日はしたくないってば」
「え〜っ、いいじゃんよ〜。またGスポットつんつんしたげるからさぁ」
「し、しーっ!しーっ!」

オレは慌てて口に人差し指を当て、黙れのジェスチャーをする

「ど、どーしたの?」
「いや、そういう事はさ、こういう所で言っちゃダメだって」

意図せず小声になって、ともちゃんに諭す。大体、こんな見た目の女の子と一緒にいる時点で、周りからどんな目で見られているかわからないのだ。用心に越した事はない

「ふ〜ん…しんぱい?」
「えっ?」
「だいじょーぶだよ。なにか言われたら、わたしのみぶんしょーめーしょ見せればいいんだから」
「い、いや、そんな事じゃなくてさ…」
「それともてれてんの?」
「何言ってんの、違うってば…」
「ふふふ、じゃあべつにいいじゃん?じー・す・ぽっ・と!!って言っても」
「しーっ!しーっ!だから、なんで人がやめろって言ってる事をやるんだ、アンタは!」

ともちゃんは、右手でスプーンを持ってぴこぴこさせながらニヤニヤしていたが、やがてぷっと吹き出して、口に手を当てて笑い出した

「ぷっ、くくくくく…あははははははっ………はぁ。あ〜、たのしいっ」
「………」

ひとしきり笑った後、両手で頬杖をついて、にっこりと満面の笑みを浮かべた

「あっちゃん、かわいいね…」

小学生みたいな子にかわいいと言われてしまった…。しかも年下に…
オレはちっと舌打ちをすると、痒くもない頭をガリガリと掻いた

「そーいえばあっちゃんってさー、カノジョいるの?」
「…えっ?」

突然話題を変えられた。独身の人間にはありきたりだが、オレには最も憂鬱で、かつ昔から決まりきった答えしか出せない話題

「いな…」
「いないでしょ?」

渋々返事をしようとすると、先に結論を出されてしまった

「な、何で勝手に決め付けんだよ」
「なんかねぇ……ふふっ、いないって顔してる」
「何それ?意味わかんねーし」
「いないでしょ?」
「…いねーよ。悪かったな…」

半ば吐き捨てるように言うと、彼女はくくっと笑って、かちゃかちゃとパフェにぱくついた。巨大だったそれは、いつの間にか四分の一ほどの大きさになっていた

「…それで、そっちはどうなの?」
「ん〜、わたしぃ?」
「うん。いるの?オトコ」
「うーうん、いないよ?わたしね、もうあっちゃんのことしか見えないの」

口の周りについたチョコレートソースをぺろりと舐めると、上目使いでオレと目を合わせながらニヤついている
色っぽいでしょ?と言わんばかりのどうだ顔が、逆に腹立つ

「…じゃあさ、前の彼氏は?」
「ん〜?まえの…?」
「どんな人と付き合ってたのかなー、って」
「………」

ともちゃんは、口にスプーンをくわえたまま、テーブルを見つめて押し黙ってしまった。それがあまりに長い沈黙だった為、オレは少し心配になった。地雷を踏んだかも知れない…

「………………いない、そんなの………」
「……ん?」

いない、とはつまり……そういう事だろうか
ともちゃんはまた何も言わなくなったが、やがて鈍く口を開いた

「わたしね、むかしっからこんな体だったから、男の子にあいてにされた事なかったし、カレシなんて、いた事なかったの」
「………」
「で、高三のときね、このとしになってまだばーじんだったから、めちゃくちゃあせっちゃってね、それで、わりと仲良かった男の子にむりにたのんで、エッチしてもらったの」
「…はは、結構大胆だね」
「うん。………でもね、わたしぜんぜんわかんなかったんだけど、その男の子ね、わたしのともだちとつきあってたの」
「ああ…そうなの…」
「あたりまえだけど、その子めちゃくちゃキレてね、わたし、なんにも言いかえせなかった。…さそったの、わたしだしね」

ともちゃんは少しの間目をつむると、またテーブルを見つめて話し出した

「……それで、ね。それからわたし、ヤリマンだーとか、ガキのくせに男に手ぇだしたーとか、いろいろ言われてね。そのうち、みんなからシカトされちゃった。へへっ、男の子にも女の子にも、あいてにされなくなっちゃったの」
「………」
「…バッカみたい。ばーじんすてたいからって、あせってカレシでもない人とエッチして、それで自分があんな事になってんだもん」

ともちゃんはすっと目線を上げると、再びパフェにスプーンを伸ばし始めた

「ねっ、だからわたし、カレシいないの。あっちゃんも一人みたいだしぃ、これはもうキマリだよねっ。にひひ」

ともちゃんはオレの目の前にVサインを突き出して、思いっきり楽しそうに笑った。その笑顔があまりに明るかったので、オレは逆にいたたまれない気持ちになった

「あ〜、あのさ、なんつーか、その、え〜っと、あのさ」
「…ん?」
「あの〜、何だ、オレもさ、学生の時、全然モテなかったよ。つーか、女ができた事も無いよ。今まで」
「ふ〜ん…」
「あ〜でも、それなりに楽しい人生だったっつーか…。あ、童貞捨てたのもつい最近だし…、だから、ほら、ねぇ?」

言ってる事がしどろもどろな上に内容が無茶苦茶だ。それに多分、的外れな事を言ってる。正直、何を話せばいいかわからないが、何でもいいから、話をした方がいいような気がする。まあ…、オレが何を言っても、彼女のなぐさめにはならないだろうけど

「え〜、だから、モテなきゃモテないでわりと気楽に暮らせるっつーか、そういう生き方もアリだと思うし…。あ〜、だから、その…。はは、何言ってんだろうな、オレ」
「…………」

ともちゃんは顔を上げて、しばらくの間天井に視線を移していた。少しの時間、口をつぐんで黙っていたが、やがて肩を上下に震わせ始めた

「ふっ、ふふふふふ…」
「…ん?」
「……しんじた?」
「えっ?」

彼女は、ニヤけた笑みをオレの眼前に突き出した

「も〜、わたしこう見えてもプロなんだよ?あんなのつくりばなしにきまってんじゃん。あっちゃんてば、じゅんじょーだからすぐしんじちゃってさぁ。かわいそうになっちゃったよ。へへ」
「………」

そう言って、ともちゃんは残りのパフェを一気にかっこんだ。物凄い速さで器は空になっていき、とうとう完食してしまった

「ふう、おいしかった。ごちそうさまー」
「ホントによく食うなぁ。お腹こわさないの?」
「うんっ。へーきへーき。…じゃ、そろそろじかんだし、いこっか?」

ガタンッと店中に響くような派手な音を立てて、跳ね飛ぶように椅子から立ち上がると、たたたっとオレの側まで駆け寄り、腕を鷲掴みにした

「ほらほら、はやくいこうよー」
「お、おい…」
「ひひっ、もうはなさないもんねー。にひひひひっ」

林檎のようなほっぺと、ゴム毬のように弾む笑い声。ともちゃんは、オレの腕を可愛らしい手でぐいぐい引っ張った
だが、その力が予想以上に強かった為、オレは思いっきり椅子から転げ落ちて、したたかに膝を打ってしまった

「ねー、ほんとにいかないのー?サービスしとくよ?お客さぁん」

ゴールデン街の入口で彼女を降ろした。全開になっている助手席の窓から、わざとらしい台詞で、しつこく勧誘を続けている

「うん、やっぱり今日はやめとくよ。給料入ったら必ず行くからさ。ね?」
「も〜、ぜったいだよ?やくそくだよ?」
「うん、じゃあね」

手を伸ばして、ふにふにと柔らかい手と握手をして、ギアをドライブに入れ、アクセルをゆっくり踏み込む

「あっ、待って!!」
「うわっと」

突然呼び止められて、思わず急ブレーキを踏む。ともちゃんは窓から上半身を突っ込んで、にこっと笑った

「な、何?」
「わたし、梶田朋子!」
「ん?」
「わたしの名前、梶田朋子!きょうはずーっとたのしかったからぁ、お礼!」
「………は、はは。朋子でともちゃんって、単純じゃね?」
「ひひっ、お嬢が本名おしえるってぇ、なかなかないよ?」
「…そうかもね」
「そうそう。お客さんのほうだってぇ、いきなり本名おしえることって、なかなかないよ?」
「……?」
「いくらあいてがお嬢だからってさぁ、しょたいめんの人に、いきなりふるねーむをいわないほうがいいんじゃない?ってこと。ね、高城アキトさん?」
「あ、ああ……」

そういえば言ってたっけ…。自分の迂闊さに、顔は紅潮して、口はひん曲がる

「……以後、気をつけます」
「ふふふっ。…きょうはありがとね」
「彼氏作れよ?」
「……なってくれる?」
「なんかサービスしてくれたら」
「するする!りょーきんまけてあげちゃう」
「はははははっ、いいね、それ。…じゃ、もう行くね」
「やくそく、わすれないでね?」
「うん、バイバイ」
「ばいばーい!ほんとにありがとー!」

西日に向かって車を走らせると、バックミラーには大きく手を振り続けるともちゃんが映っていた
その姿があまりにも子供みたいだったので、オレはちょっとだけ笑ってしまった






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