中2、304号室
シチュエーション


都会でも田舎でもない海沿いの街
街で一番大きな総合病院の一室
窓からは海と線路が見える
温暖化の影響か季節は秋のはずなのに外はまだ蒸し暑い
でも廊下は少し寒いな…
少し前まであんなに人がいたのに今は何人かがサーフィンをしているだけの風景

生まれつき心臓が悪い
運動会も体育も参加したことないし
学校で話す人は保健室の鈴木先生と同じクラスの佐藤さん位
帰ってもお父さんとお母さんはお兄ちゃんの方が好きみたい
当然のこと…

お母さん…
どうして私を産んだの…?

土曜日夕方
ドアがノックされる

「酒井…だよな…?」

車椅子に座る私

「………」
「入っていいか…?」
「………」「……」
「ええ……」
「おっお邪魔します…」

沈黙

「あっ…これ…」

花束が差し出される

「あっありがとう…」
「…座ったら……?」
「ああ…」

沈黙

「何……?」

目を合わせず下を向く私

「いやっ…お見舞いのつもりだけど…」
「やっぱり迷惑だったよな…」

無言

「じゃあな…」

椅子から立ち上がろうとする

「…雨宮くん…」
「なっ何だ…?」
「もう少し…いたら…?」

下を向いたまま

「あっああ…」

イスに座り直す

「学校…」
「えっ…?」
「学校はどう…?最近…」
「あっ…そうだな…」
「えっと…遠足があってなバスに乗ってディズニーシーに行ってきたんだ…ほらっ」

携帯で撮影されたディズニーシーの風景を見せられる

「おみやげ……」

「…あっすまん!!いや忘れてた訳ではないんだその…」

「……w」

久しぶりにかすかに笑みを浮かべる

「私小6の時に一回行ったことあるから…」
「そっそうなのか…」

沈黙

「さっ酒井…」
「……?」
「いつ退院できそうなんだ…?」

無言

「なんだよお前そんなに悪いのかよって…」
「ゴメン…言いたくないよな…」

沈黙

「雨宮くんは聞かないんだね…これのこと…」

座っている車椅子を少し後方に移動させる

「ああ…酒井お前…」
「歩けなくなっちまったのか…?」

「ううん…歩けるよ…でも最近動くとすぐ息切れしちゃうからこれに乗ってたほうが楽なんだ……」
「…そうか…」

沈黙

「雨宮くん…」
「優しいんだね…だから女子から人気あるんだね…」

「お前はなっ何を言っているんだ…?」
「俺が人気あるわけないだろ…」
「本当だよ…山田さんも向井さんもカッコいいって言ってたし…」

「あいつらはただ俺をからかっているだけだって…」

沈黙

「あのさ…酒井…」
「…?」
「上手く言えないけど、お前話してみると以外と面白いし、何か学校もお前がいないとしっくりこないってゆうか…その…」
「またここに来てもいいか…?」

沈黙

「私…多分転校すると思う…」


「はっ…?」

「転校って…マジか!?お前どっどこに転校するんだ!?」
「父親の転勤か何かなのか…!?」

「ここの院内学級に…」

「院内学級…って…?」
「お父さんとお母さんが話してるの聞いちゃってさ…」
「私の心臓悪くなってるみたい…」
「いつもの検査入院がもう2ヶ月以上続いてるし、
お薬の量段々増えてるし、
階段も1人で登れなくなってるし、
車椅子になっちゃったし…」
「もう普通の学校じゃ無理みたい…」

重すぎる空気 沈黙

「…酒井…お前…」
「ゴメンね…今日は来てくれてありがとう…」
「酒井…」
「暗くなってきたしもう今日は…」

悲しみとずっと抑えていた感情によって胸が締め付けられる

「聞けよ!!酒井!!」
「……」

ガシャン
車椅子から体が落ちる

「……」

「おい!!大丈夫か!?」
「ちょっと看護師…」
「大丈夫…」

「ハァハァハァ…」「うっ…」

ベッドの足をつかみ立ち上がろうとする

「……」

背後から立ち上がるのを手伝う手が両肩に触れる

ベッドに座る私…

イスに座る男子…

「ありがとう…」


「私も雨宮くんに教室でちょっかい出したり、廊下で一緒に走ったりしたかった…」
「酒井…お前…」
「さっき俺のこと人気があるとか言ってたけど、酒井お前だってかなり人気あるんだぞ」
「ぶっちゃけかわいいっていうか…綺麗だよなお前…肌すごい白いし…目デカいし…」
「……」
「マジだぞ!?俺だってそう思ってるし…」
「……」

「やっぱり今日会いに来て良かったよ」
「本当はここ来るまでかなり勇気出したんだぜ…」
「アドレスは知ってるけどあんまり話したことなかったし…でも何か急に心配になってさ…」
「昨日席替えしたんだけど、俺の席の右斜め前が酒井の席だっただろ」
「机とイスしかないけど何かお前がいそうな感じがずっとしてて…だから」

両目に涙が溜まり始める

「もっと仲良くなっておけばよかった…」
「えっ!?どうしたんだよ!?」
「スマン…」

「いいの…私…私…」
「雨宮くん…」

「なっ何だ…?」

「私…雨宮くんともっと一緒にいたいっていうか…話したいっていうか…その…」

「えっ…」
「……」
「何だよ…はっきり言えよ…」

「…好きだ…酒井」

「嘘…」
「いやマジだ…」
「………」

沈黙

「ダメ…」
「………!!」
「やっぱりそうだよな…」
「いやそうじゃなくて…」
「いいんだ酒井…」
「違うの…だって私雨宮くんに何にもしてあげられないし…」
「それにこんな体だし、話しても面白くないし…」
「でも一緒にいてくれるなら……私…私…」

「私……」

「うれしい……」

「酒井……」

沈黙

「雨宮くん…私も好きだよ…」
「ずっと…一年の時からずっと…」
「でも…」
「でも私…」

両目に涙が溜まり左目から涙が流れ始める

「酒井…」
「泣くなよ…」
「せっかくきれいな顔してるのにもったいないぜ…」

「……」

「ありがとう…俺マジでうれしいよ…」
「酒井お前…何かするとかそうこと考えるなよ…」
「会えるだけで…お前の姿見れるだけで俺は満足なんだ…」
「……」
「雨宮くん…」
「もう…止めて……」

「もう…その気にさせないで…」

急に私の手を取る男子

「何でだよ…何でだよ!!酒井…」
「俺マジだぞ!!何でお前は…」


「……ありがとう……」

「私…ずっと寂しくて…寂しくて…」

体が丸まり両目から涙が溢れ出す

急に私の体が暖かい何かに包まれる

「あっ雨宮くん…」

私に体温が移動する
女子の香り
男子の香り

後頭部を撫でる手のひら
体が硬直してしまう

「俺マジだからな…」
「っていうかお前…冷たすぎだろ…」

「雨宮くんが暖かいんだよ…」

「なぁ…もう少しこうしててもいいか…?」

「…いいよ…」

私も腕を腰に回す
胸と胸が密着する

沈黙

口唇が重なり、すぐに離れる

「ゴメン…」

目を開ける私

「何で…謝るの…?」

「いや何となく…」
ベッドに倒れ込む

私のパジャマのボタンが上から外される

「やっぱダメだ…」
「酒井…こんなつもりでここに来たわけじゃないんだ…なのに…」

「…いいよ…続けて…雨宮くんなら私大丈夫だと思うから…」

「酒井…」

何もしない私…
裸にされる私…
裸になる私…

「すげーきれいだ…」
「さっ触るぞ…」

胸に指が触れる

「あんっ…」

「だっ大丈夫か…?…胸って…結構柔らかいんだな…」

ファスナーから男性器が露出される

「……」

「何か…スゴいね…」

「そりゃ…こうなるって……」

「あっ…!!」

下半身に指が入る

「ゴっゴメン…」
「…いいよ……」

男性器の先端がゆっくりと私の中に入る

「うっ!!」

顔をしかめる私…

「大丈夫か…酒井…?」

下半身に激痛が走る「ああっ!!」
腰が動く
声を出す私

「雨宮くん…雨宮くん…痛い…」
「ゴメン…酒井…」
「ハァハァハァ…」

胸から全身に血液が一気に流れる
胸を押さえる私…

「さっ酒井…!!」

「ハァハァハァ……」
「大丈夫……」

体が離れる

「クシュン!!」

くしゃみをする私…
少量の出血を確認する

「酒井…」


「………」


「寒い…」

「あっパジャマ…」









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