アラベルとフレッド 湖にて
シチュエーション


足元に目を配りながら、ギルバート王の領地の森を歩いていると、
背後から声がかかった。

「フレッド」

フレッドは籠を抱えたまま振り返った。ななめにかけた革ひもを
片手で押さえながら、キャロラインが小走りに近づいてくる。

「あたしと一緒に来て」

キャロラインはフレッドの手を握ると、森の奥に向かって歩き出した。
フレッドはなされるがまま従った。見ると、キャロラインの籠には
マッシュルームがぎっしり詰まっている。自分の籠と比べるまでもなく、
その差は歴然だった。

「確か、このあたりよ」

木立が途切れたあたりで、キャロラインが立ち止まった。何を探しているのか、
きょろきょろと周囲を見まわしている。

「そんなに俺が恋しかったのかよ」

フレッドは籠を置くと、キャロラインをうしろから抱きすくめた。
キャロラインが身体を硬直させる。

「違うわ、そうじゃないのよ」

キャロラインは身をよじって、フレッドの腕から逃れようとした。
フレッドはそんなキャロラインのうなじに舌を這わせた。

「お前なんか死んでしまえばいいのよ」

突然、フレッドの後頭部に強い衝撃が走った。フレッドは頭を抱えてうずくまった。
手をやるとぬるっとする。
頭上から「アラベル姫様」というキャロラインの声が降ってきた。キャロラインが
うやうやしくお辞儀をする。フレッドは涙を浮かべたまま、振り向いた。

アラベルが腕を組んでこちらを見下ろしていた。

「ご苦労でした、キャロライン。下がってよろしい」

アラベルの声音は、吹雪も凍てつくほどの冷たさだった。キャロラインが
そそくさと木立の向こうに消えていく。

「なんで、姫様がここに……?」

フレッドは掌を目の前にかざしてみた。やはり、血がついている。

「まあ、死ななかったのね、残念だわ」

アラベルが冷淡に呟いた。ふと横を見れば、子どもの頭ほどもある石くれが
転がっていた。

「もしかして、こんなでかいので俺を殴ったんですか?」
「殴ってないわ。投げたのよ」

アラベルが声を荒らげて反論した。

「どっちだって同じですよ」

フレッドも負けじと大声で言い返す。

「お前が悪いのじゃない。何よ、もう知らないわ」

アラベルはいじけたようにぷいと顔を背けてしまった。白い横顔にそえられた
金色のまつ毛が、何度もしばたたかれ、しまいには完全に閉じる。
そこから、涙が伝い落ちた。

「許してください、アラベル姫様。てっきり、キャロラインが俺を誘ってるのかと
思ったんです」

フレッドは膝をつくと、アラベルの靴にキスをした。アラベルがすぐに、
フレッドの顔を蹴り上げる。フレッドはそれをもろに受け、下生えの上を転がった。

「わたしに近寄らないで、汚らわしい。この馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿!」

アラベルはぼろぼろと涙を流していた。フレッドはここへきて初めて、
自分の犯した過ちの大きさを思い知った。

「わたし、マッシュルームなんか大嫌い」

突然、アラベルが叫んだ。フレッドは話が見えず困惑した。

「本当は名前を口にするのも嫌なのよ。でも、お前とふたりで会うには、
城の召し使いたちにマッシュルーム狩りをさせるほかないじゃない。
それなのに、それなのに……」

アラベルはぺたんと座り込むと、顔を覆って泣き出した。フレッドは放心した。
十日前の朝、アラベルの寝室で別れて以来、フレッドはアラベルを思い続けてきた。
だが、恋に落ちてしまったのは自分だけなのだと、潔く諦めてもいた。
そうではなかった。アラベルも同じように俺を思ってくれていたのだ。
フレッドは神に感謝した。アラベルが自分を思ってくれることに深く感謝した。

「わかったわ、そんなにあの娘がいいのね」

アラベルが涙を拭いながら囁いた。存分に泣いたせいで、まぶたが腫れぼったい。

「アラベル姫様、許してくれとは言いません。どうか、俺の命を奪ってください」

フレッドは頭を下げて懇願した。

「アラベル姫様に愛してもらえないのなら、死んだほうがましです。どうか、そのお手で
このちっぽけな命を奪ってください」

事実、フレッドは震えていた。命が惜しいからではなかった。自分のしでかしたことを
思い返せば返すほど、自分が許せず、またアラベルが去ってしまうのも当然だと思えたのだ。

「あそこに湖があるわ。死にたければ、あそこに身を投げるのね」

アラベラが抑揚のない声で言う。フレッドは首を巡らせた。なだらかな斜面の下に湖が見えた。
湖面が陽光を反射し、銀の盆のように硬く輝いていた。
フレッドはふらりと立ち上がると、斜面をくだりはじめた。気持ちは沈んでいるのに、身体は軽い。
絶望とはなんと空疎なものなのか。
フレッドは湖岸にたどり着くと、そのまま湖にばしゃばしゃと入っていった。
六月の水の冷たさは、冬のそれと大差なかった。たちまち、フレッドの身体に悪寒が走る。

フレッドはシャツの中に入れる石を探した。
ひとつふたつ見繕っていると、背後で水しぶきが聞こえた。

「フレッド、待って、いかないで」

アラベルがフレッドの背にしがみついた。フレッドは身体をひねると、正面からアラベルを抱きしめた。

「お前に死なれたら、わたしはどうすればいいの?生きてなんかいけないわ」

フレッドは涙をこぼすアラベルの髪に、キスの雨を降らせた。アラベルはフレッドの胸に鼻を押しつけている。

「お願い、どこにもいかないで。お前がどこかにいくときは、わたしも一緒よ」

フレッドは、その小さくあえぐ唇にむしゃぶりついた。アラベルが舌を入れてくる。
フレッドはその舌を音を立てて吸いながら、ドレスごしに胸をもんだ。
たわわな胸がひしゃげ、掌からあふれる。アラベルの鼻からあえぎ声がもれた。

フレッドはドレスのボタンを探して、アラベルの身体をまさぐった。アラベルはすでに、
フレッドのシャツを脱がせはじめている。
フレッドはボタンを見つけると、自分でも嫌になるほどのろのろと外していった。
ここでドレスを破いてしまえば、アラベルは城に帰れなくなってしまう。
見かねたアラベルが、自分でドレスを脱ぎはじめた。すぐに丸い乳房が現れ、
腰と金色の茂みが、おごそかに姿を見せた。

フレッドは下ばきとズボンをまとめて脱ぐと、アラベルの乳房を吸った。アラベルが
フレッドの髪をぎゅうと握りしめる。フレッドのペニスはすっかり怒張し、腹につかんばかりだった。
フレッドはペニスをアラベルの股に挟み、前後に動かした。すると、アラベルの身体が
急に沈み込んだ。

「ああん、ああっ、すごく、ああっ、熱いわ」

アラベルはうわ言のように繰り返しながら、首をのけぞらせた。フレッドはアラベルが溺れないよう
抱えると、すでに潤っている秘所にペニスをねじこんだ。

「ああっ、ああん、そこ、そこよ、ああん」

アラベルはフレッドの首に両手をまわすと、波の動きに合わせて腰を振りはじめた。

水の冷たさなど、もはや感じられない。波がふたりのまわりに押し寄せ、ぶつかり、
激しく砕け散った。フレッドは水中で腰を動かしながら、このまま死んでも構わないと思った。
むしろ、アラベルの中で死ぬことこそ本望だった。
フレッドの心中を察知したのか、アラベルのひだがペニスにきゅうと吸いついた。
フレッドは情けない声をあげそうになるのを寸前で堪えた。頭の芯が麻痺して、
波に飲まれてしまいそうだった。
フレッドは腰を抱えたまま、手を移動させた。指先でアラベルの尻の穴をつつく。

「あんっ、いや、そこはだめよ、いけないわ」
「そこってどこですか、アラベル姫様?」

フレッドが意地悪く聞くと、アラベルが低い声で呻いた。

「そこは……、ああん、そこよ……、ああっ、ああっ」
「そんなはしたない声を出したら、一マイル先のみんなに聞こえちまいますよ」

案の定、アラベルは唇を噛みしめて我慢しようとした。フレッドはそんなアラベルの
耳を口に含んだ。アラベルが「ひっ」と小さな悲鳴をあげる。フレッドはその隙に、
尻の穴に指を入れた。アラベルの身体が強ばる。

「いやあ、ああっ、ああっ、だめよ、ああっ、ああん」
「何がだめなんですか、アラベル姫様?」

フレッドはしつこく食い下がった。ぶしつけな質問を浴びせるたびに、
アラベル自身がきゅうと締まるのだ。果ててしまわないよう耐えるのが辛かった。

「だめな……、ああん、ああっ、ものは……、ああっ、ああっ、だめよ……」

アラベルが荒い息のもと、途切れ途切れに言った。フレッドは腰の動きを止めると、
アラベルからペニスを引き抜いた。アラベルが涙ぐんだ目で、フレッドを呆然と見つめる。

「ちゃんと自分の口で言ってください」

熱くたぎったペニスが、冷たい水中に戻されて縮かまる。アラベルは熱に浮かされたような目で
フレッドを仰いでいた。

「どの場所がだめなんですか?」

フレッドは再度たずねた。

「あそこよ」

アラベルが小声で答える。

「ここですか?」

フレッドはアラベルの尻の穴のまわりに指を這わせた。アラベルがぶるぶると身震いする。

「ちゃんと言ってくれなきゃ、もっとひどいことしちまいますよ」
「いやよ、ひどいことはいや」

アラベルが幼い子どものようにかぶりを振る。フレッドはアラベルに足を開かせると、
水中に潜った。アラベルの尻の肉をかきわけ、舌を穴に入れる。水中にいても、
アラベルのあえぎ声はよく聞こえた。
フレッドは出し入れを繰り返した。一度、水面で息を継ぎ、また潜る。今度は尻の穴を責めながら、
アラベルの小さな芽を人さし指で転がした。
突然、あえぎ声が途絶えたと思ったら、アラベルが倒れ伏した。フレッドは急いでアラベルを抱え上げた。
湖岸の柔らかな下生えの上にそっと横たわらせる。
フレッドが服を集めて木の枝にかけていると、アラベルが目を覚ました。その目はしばらくぼんやりと
していたが、フレッドを認めると、たちまち光を取り戻した。フレッドはアラベルのそばに膝をついた。

「寒くないですか、アラベル姫様?」

アラベルが微笑んだまま、かぶりを振る。フレッドはそっとキスをした。顔を離すと、
アラベルがフレッドの手に自分の手を重ねた。

「わたし、このままお前とどこか遠くへいきたいわ」
「いけませんよ、そんなこと」
「いいえ、絶対そうしてみせるわ。このまま誰か知らない人と結婚するなんて、

わたしには耐えられないもの」
フレッドはアラベルの髪を優しくなでた。本当は、アラベルとふたりだけで暮らしたいと、
心の底から願っていた。だが、城の暮らししか知らないアラベルに、貧しい生活など
それこそ耐えられるものではないだろう。いつか、貧しさに追い詰められたアラベルが、
自分を呪う日が来るかもしれない。そう考えると、フレッドのみぞおちは
氷のやいばで刺されたように冷え込んだ。

「ねえ、ふたりだけで暮らすならどんなおうちがいい?」

アラベルが無邪気にたずねる。フレッドは胸が張り裂けそうだった。このまま、
アラベルをさらって遠い地へ逃げられるなら、己の命など未練はなかった。

「アラベル姫様、俺、まだイッてないんですよ」

フレッドは「一緒に逃げよう」と叫びたくなる衝動を抑えて立ち上がった。
アラベルが半身を起こす。フレッドはアラベルのあごをつかむと、その愛らしい口に
ペニスをあてがった。

「待って、待ってちょうだい。まだ心の準備ができてないわ」

アラベルが顔を背けて拒絶の意を示す。フレッドはアラベルを強引にこちらに向かせると、
ふたたびペニスを突っ込んだ。アラベルが苦しそうに呻く。

「歯を立てないでくださいよ、アラベル姫様。唇だけでしごいてください」

アラベルが言われた通り、唇だけでしごきはじめた。上目遣いでこれでいいのかと問う。
フレッドはさらにペニスを奥に入れた。アラベルの眉間にしわが寄る。

「舌も使うんです。舌でなめてください」

アラベルがペニスをくわえたまま、その裏側をなめた。だが、すぐに口を離し、
ごほごほと咳をする。

「わかりました、アラベル姫様は何もしなくていいです」
「ごめんなさい、わたし、何がいけなかったのかしら」

アラベルがうるんだ瞳でフレッドを見上げた。

「とにかく、唇だけを使うようにしてください」

フレッドはうなずいたアラベルの口にペニスを入れると、腰を前後に動かした。
アラベルがフレッドの太ももにすがる。フレッドはアラベルの喉にペニスを押し込むように、
出し入れを繰り返した。そうするうちに、とうとう絶頂に達した。フレッドは動きを止めて
アラベルの頭を抱え込んだ。フレッドの精が、二度三度と放たれる。
フレッドがアラベルの頭を解放すると、アラベルが身体を折り曲げて激しい咳をした。

フレッドは我に返ると、掌で水をくみ、それをアラベルに飲ませた。だが、せき込むアラベルの口に
水がうまく入らない。
フレッドは湖面に顔をつけると、水を吸い込んだ。そのままアラベルの元にいき、口移しで水を飲ませる。
アラベルの咳がやんだ。目は赤く、涙がにじんでいる。フレッドはアラベルを抱きしめた。

「すいません、アラベル姫様。苦しい思いをさせちまって。すいません」

すると、アラベルがフレッドの背に両手をまわした。

「わたし、いま幸せなの、だから、謝らないで」

フレッドはアラベルを抱きしめたまま、横たわった。どこかでコマドリがのどかに鳴いていた。






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