アラベルとフレッド
シチュエーション


アラベルが待っていると、ドアがノックされた。

「入って」

蝶つがいがきしみ、下男が姿を見せた。おどおどと室内に足を踏み入れる。
大きなたらいを抱え、左手には桶をさげていた。

「ここよ、ここに置いてちょうだい」

アラベルは長椅子に腰かけたまま、足元を指さした。
下男は黙ってたらいを置くと、そこに桶の湯を流し込んだ。

「あの、俺なんかでなくて、どなたか侍女を呼んだほうが……」

下男が膝をついたまま、不安そうにアラベルを見上げた。

「わたしがお前を呼んだのよ。いいからわたしの足を洗いなさい」

アラベルは靴を脱ぎ捨てると、たらいの湯に足をひたした。

「あの、ですが、アラベル姫様。俺はただの下男です……」

下男がためらいがちに言った。アラベルは片足を跳ね上げ、下男に湯を浴びせかけた。

「わたしの言う通りにしなさい」
「でも……」

下男が戸惑うように、シャツの袖で顔を拭う。アラベルはまた足を使って湯をかけた。

「暴れた馬からわたしを助けたのはお前じゃない」
「でも、俺はたまたまあそこに居合わせただけですから」
「わたしの足にさわれるっていうのに、何が不満なのよ」

アラベルは三たび、湯をかけた。下男の上半身がぐっしょりと濡れる。
力仕事で鍛え上げられた筋肉が、くっきりと浮かび上がっていた。

「さあ、洗いなさい」
「……わかりました」

下男はタオルを湿らせると、アラベルの白い足を渋々洗いはじめた。

「ねえ、名はなんというの?」

「フレッドです」

フレッドが顔も上げずに答える。

「フレッド、お前はいつもどんなことをしているの?」
「薪割りや水汲みや、そういった雑用ばかりです」
「まあ、楽しそうね」

アラベルは上の空で呟いた。ごつごつしたフレッドの指が肌の上を行き来するたび、
身体の芯がぞくぞくするのだ。

「ええ、楽しいですよ。お姫様の足を洗う仕事なんかに比べればね」

フレッドの口の端に馬鹿にしたような笑いが浮かんだ。
アラベルはそれを見逃さなかった。足を思いきり蹴り上げる。
爪先がフレッドのあごに当たり、フレッドは仰向けに倒れてしまった。

「口を慎みなさい」

フレッドは無言で起き上がると、あごをさすった。その眼差しには
反抗的な意思がありありと表れている。

「わたしに向かってなんて目をするの。今すぐ謝りなさい」

アラベルが命ずると、フレッドが不満そうに顔を背けた。

「ほら、どうしたのよ。謝りなさい」

アラベルは強い口調で促した。

「……申し訳ございませんでした」

フレッドが下を向いたまま謝った。その声は小さく、薪のはぜる音に
かき消されてしまいそうだった。

「だめよ、その程度では許せないわ」

フレッドは俯いたままだ。そのうち、広い肩がかすかに震えはじめた。
声を押し殺して泣いているのだ。

「まあ、お前泣いているのね」

アラベルは思わず叫んでしまった。男性の泣いている姿など、生まれてこのかた
見たことがなかった。フレッドが憎々しげな目でアラベルを睨む。

「何よ、お前は男ではないの。さあ、こちらへきなさい」

アラベルはたらいのそばを指さした。フレッドは袖でほおを拭うと、にじり寄った。

「わたしの足をきれいにするのよ。そうしたら許してあげるわ」
「かしこまりました」

フレッドがぞんざいに頭を下げた。タオルをとって洗い出そうとする。

「違うわ、そうじゃないの。タオルを使ってはだめよ」

フレッドが問うような目でアラベルを見上げる。

「口を使ってわたしの足をきれいにしなさい」

アラベルは内心、得意になっていた。我ながら上出来の思いつきだった。

「そんな、アラベル姫様。俺、そんなことしたくありません」

フレッドがびっくりしたように言う。

「口答えするんじゃないの、わたしの言う通りにしなさい」

アラベルは足を持ち上げると、フレッドの前に差し出した。
フレッドは足首に手をそえると、おずおずと口を開いて親指を含んだ。
とたんに、アラベルの太ももの内側を甘いしびれが走る。
秘所がじんじんと脈打ち、うずく。アラベルは声を上げてしまいそうになるのを、
唇を噛みしめて堪えた。
フレッドは親指をなめおわると、隣の人さし指を含んだ。軽く吸い、指の股に舌を這わせる。
フレッドはそうやって一本一本なめていった。十本目が終わるころには、アラベルの息は荒くなり、
ほおは燃えるように上気していた。秘所から熱いものが滴っているのがわかる。こんなことは
生まれて初めてだった。
すると、小指から口を離したフレッドが、薄笑いを浮かべてアラベルを見た。

「アラベル姫様、どうしたんです?風邪でも引かれたんですか?」

アラベルは目をしばたたいた。視界がぼんやりして、頭がくらくらする。

「いえ、なんでもないわ」
「でも、顔がひどく赤いですよ。やっぱり風邪じゃないですか?」
「気にしないでちょうだい、本当に何でもないのよ」
「いいえ、絶対に病気ですよ。さあ、俺が寝台まで運んであげましょう」

フレッドの声音は、姫を気遣う従者のそれではなかった。どこか小馬鹿にした
響きを含んでいる。だが、たくましいフレッドの腕に抱きかかえられたとたん、
そんなことはどうでもよくなってしまった。
フレッドは天蓋つきの寝台にアラベルを寝かせると、なぜか濡れたシャツを脱ぎはじめた。

「お前、何をしているの?」

アラベルは半身を起こした。フレッドは何も答えないままズボンを脱ぐと、
下ばきも脱ぎ捨ててしまった。アラベルの目の前に硬くなったペニスが現れる。

「まあ、そのような姿になるなど、お前は何を考えているのです」

アラベルは身体をひねって顔を伏せた。フレッドがその腕をとり、強引に仰向けにさせる。

「いや、何をするの?」

フレッドが無言で太ももに手を這わせた。アラベルは反射的にももを固く閉じ合わせた。
だが、遅かった。フレッドが秘所にあふれた蜜をすくう。

「こんなに濡れてますよ、アラベル姫様」

フレッドはそう言うと、ぬらぬらと光る指先をなめた。あまりの恥ずかしさに、
アラベルは喉をかき切って死にたくなった。

「ひどい、ひどいわ。やめて、お願い、もうやめて」

アラベルは涙をこぼしながら懇願した。だが、フレッドは言うことを聞かない。
アラベルの両手をひとつにまとめると、片手でアラベルのドレスを引きちぎった。

「いや、こんなこと、お父様がお許しになるはずがないわ。お前は首をはねられるのよ」

フレッドは肌着をめくりあげると、アラベルの乳首を舌で転がした。

たちまち、アラベルの秘所がどくんと脈打つ。下半身が溶けてしまいそうだった。

「ああん、ああ、やめて、やめて」

アラベルはうわ言のように呟いた。フレッドが乳首をなめながら、
アラベルの秘所に手を伸ばし、ずぶりと指を入れる。

「ああっ、だめよ、だめ、そんなところ、いけないわ」

フレッドは秘所に指を入れたまま、脈打つ中心を親指でいじりはじめた。
アラベルの小さな硬い芽が、こりこりとまわされる。アラベルは身体をのけぞらせ、悲鳴を上げた。

「いやあっ、ああん、ああん、ああっ、ああっ」

フレッドは乳首に軽く歯を立てたかと思うと、それを吸い、優しくなめた。
人さし指は秘所の奥をびちゃびちゃと行き来し、親指は小さな芽を責め続けている。

「あん、あん、だめよ、だめ、ああん」

アラベルは身をよじって抵抗した。だが、フレッドの強靭な身体に組み敷かれいてるため、
胸を突き上げて苦しさを訴えるのが精一杯だった。

「アラベル姫様、その声、すごくいやらしいですよ」

フレッドが乳房をしゃぶりながら囁いた。アラベルははっと我に返ると、
唇を強く噛んだ。だが、今度は鼻からいやらしい声がもれてしまう。

「アラベル姫様が淫乱女だったなんて、俺、知りませんでしたよ」

フレッドが二本目の指を秘所に差し入れた。アラベルはあえぎ声を我慢することも忘れて、
泣き叫んだ。

「いやあ、ああん、ああん、いや、ああっ、ああっ」

二本の指がアラベルの敏感な場所を刺激する。アラベルの目尻からはいまや、
大粒の涙が次々にこぼれ落ちていた。それが熱いほおを伝い、寝台のシーツに吸い込まれていく。
シーツはびっしょりと濡れて、小さな水たまりのようだった。下腹部のあたりでは、
粘りのある蜜が別の水たまりを作っていた。
そのとき、ふいに指が抜かれた。乳房から口が離れる。両手も解放された。

アラベルは薄目を開けた。暖炉のほのかな灯かりに照らされたフレッドの顔が、
こちらを見下ろしていた。表情まではわからない。アラベルはこの隙に深呼吸した。
すると、フレッドがアラベルの髪を鷲づかみにした。アラベルは首を左右に振って抵抗した。

「アラベル姫様。何をして欲しいか、自分でちゃんと言ってください」

フレッドが耳元に口を寄せて囁く。アラベルは自由になった両手でフレッドの顔を押しやった。

「な、何を言い出すのです、お前は。口を慎みなさいと言ったではありませんか」

フレッドが大げさにため息をつく。

「それじゃあ、俺はもう帰りますよ。どこかのお姫様と違って、あしたも早いんでね」

フレッドはそう言うと、寝台から下りた。どろどろの指をなめ、服をかき集める。

「待ちなさい、待って」

アラベルは這いつくばるように手をついた。腰が立たないのだ。
フレッドが薄笑いを浮かべてこちらに目を向ける。アラベルは怒りに総身が震えるのを感じた。
だが、フレッドのアレが欲しいのも事実だった。

「わ、わたし……」
「何です?」

フレッドが耳に手を当ててたずねる。まるで子どもを相手にしているようだ。
アラベルは必死になって、言葉を搾り出そうとした。だが、言えない。

「わたし、わたし……」
「どうしたんです、俺の何が欲しいんです?」

フレッドは服を放ると、アラベルの片手をとった。それを自分のペニスに導く。
アラベルの目から涙があふれ出た。身体の奥がうずいてしょうがない。
手に握りしめたものを、ケダモノのようにしゃぶりたかった。

「わたし、お前の……」
「だから、俺の何です?口があるんだからちゃんと言えるでしょう?」

フレッドがアラベルのあごを乱暴につかんだ。ぐいと上向かせる。

アラベルはペニスを握ったまま、フレッドと見つめ合った。

「いやらしいアラベル姫様。あなたは頭が悪いんですか?え?」

フレッドが冷ややかに言う。経験したことのない屈辱に、アラベルは滂沱の涙を流した。
同時に、秘所からも滝のような蜜が滴り落ちていた。

「わ、わたし、お、お前の、ペニスが、欲しいの」

アラベルはようやくそれだけを口にした。

「聞こえませんでしたよ、もう一度言ってください」

フレッドがあごをつかむ手に力を入れる。アラベルはしゃくりあげながら繰り返した。

「お前の、お前のペニスが欲しいの」

いきなり、フレッドがキスをした。アラベルの唇を吸い、舌をねじこむ。
アラベルは荒い息を吐きながら、それに応じた。フレッドの舌がアラベルの舌に絡みつき、
きつく抱きすくめる。
フレッドが顔を離すと、よだれがつーと糸を引いた。フレッドはそれをなめとり、
もう一度キスをした。アラベルの唇を何度も何度も吸う。アラベルは、今度は自分から舌を入れた。
フレッドが舌を絡ませたまま、アラベルを押し倒す。アラベルは両手をフレッドの背にまわし、
ぎゅっと抱き寄せた。フレッドはスカートの裾をはねあげると、炎のようなペニスを突き入れた。
アラベルはよがり声をあげて、身体をのけぞらせた。ふたりの口をよだれの長い糸が結ぶ。
フレッドが一心に腰を動かす。そのたびに、じゅぷじゅぷと卑猥な音が響いた。

「ああっ、ああん、ああん、だめ、だめ、ああっ」

アラベルの胸にフレッドの激しい息がかかる。アラベルは意識がぎりぎりまで昇りつめるのを感じた。
と思った次の瞬間、アラベルは達した。秘所の奥が収縮し、フレッドが呻き声をあげる。
熱いものが数度、アラベルの中に放たれた。
フレッドはアラベルに覆いかぶさるようにして倒れこんだ。その肌は汗でじっとりと湿っている。
アラベルも涙やらよだれやらで、全身がぬめぬめとしていた。フレッドのペニスはまだ、挿入されたままだ。
アラベルはそっと顔を近づけると、フレッドにキスをした。フレッドがアラベルの頭をくしゃくしゃに抱きしめる。
ふたりは長い間、キスしつづけた。暖炉の火が消えても、朝になっても、互いを抱きしめて離さなかった。






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