怪我人と看護師2
シチュエーション


こんばんは。ニーナです。
今は夜です。夜中です。
こんな夜中でもフランシスさんは眠りません。パソコンが要るんだと騒ぐので仕方なくベッ
ドルームまで重たいモニターと本体を運び込み、指示通りに配線をしてから一週間、フランシ
スさんは上機嫌で一日中パソコンに向かって過ごしています。
昼だろうと夜だろうと、眠い時に寝て起きていたい時に起きているのが彼のスタイルらしい
のですが、とても不健康な行為なのであまり好ましい事ではありません。
ですがお仕事だと言われてしまえば私に口を出す権利はなくなります。悔しいですがこれば
かりは仕方ありません。
お手洗いは尿瓶です。
お食事は作って運んであげます。
未だに名前は呼んでもらえませんが、最近では呼びつけられる頻度が上がっているように思
います。
最初の頃は全部自分でやろうとして直りかけた骨を折ったりと酷い有様でしたが、もうそん
な事も起こりません。
仕事は増えましたが看護師として誇らしい限りです。
この一週間で一度だけ、一人お客さんがありました。
すらりとしていて背の高い、赤茶けた髪も愛らしい大人な印象の男性です。
お話を伺ってみるとこの男性が私をフランシスさんの所に派遣した張本人らしく、お仕事ご
苦労様ですとおいしそうなパンを頂きました。
そうです。私をここに派遣したウィルトスさんは、この町で人気のパン屋さんなのです。
何やらフランシスさんに御用があるとの事なので寝室までご案内すると、フランシスさんは
物凄く不機嫌そうでした。
ですがウィルトスさんが茶封筒をちらつかせると急に上機嫌になり、自分から椅子を勧める
始末です。
封筒の中身が気になったのであえてその部屋に留まっていると、フランシスさんに追い出さ
れました。不満です。
しかしジョージア医療介護サービスは決してお客様のプライバシーを侵害しません。
その日私は大人しく退室し、今日に至るまでその袋の中身を知る事はありませんでした。

そうです。
つまり今日。正確には数分前。私はその袋の中身を目撃してしまったのです。
それは、真夜中にも関わらずフランシスさんの部屋から物音と光がこぼれていたので、早く
寝ろと注意をしに行った時の事でした。
ドアノブを握ろうとした私の耳に苦しげな呻き声が飛び込み、私は慌てて部屋に飛び込みま
した。

「どうしましたフランシスさん!どこか痛むんですか!」

と、実に颯爽とした物です。
しかしそこで私が目撃したのは、見事に勃起した立派な生殖器を自ら掴み、そう、自慰をな
さっている最中のフランシスさんの姿だったのです。
思わず股間のナニを凝視して固まった私を、しかしフランシスさんは無視して事をおし進め
ました。
そして大きな体をびくりと震わせ、亀頭部にあてがっていたティッシュをくるくると丸めて
側の込み箱に放り込みました。
そして股間のナニをきっちりしまい、そこでようやく私を見て言ったのです。

「なんだ、見てたのか」

私は驚愕しました。
戦慄しました。
そして私は気付いたのです。
ベッド一杯に広げられている色鮮やかな写真の存在に。

「これか?俺の女神だ。おまえも見たいか?」

そう、無邪気な笑顔を浮かべたフランシスさんの言葉に、私は自分がひどく傷つくのを意識
しました。
しかもあろう事か私は、その差し出された写真をまじまじと見てしまったのです。
どう見ても少年でした。しかしフランシスさんが女神と言うからには女性なのでしょう。
幸せそうに笑っていたり、不機嫌そうに怒ったりしている姿はとても可愛らしくはつらつと
していて、もしも少年だったら私が放っておかないところです。

「俺の腕の傷、酷く痕が残るって言っただろ。この刻印を刻んでくれた女だ。俺を踏みつけに
して、俺を殴り、俺を銃で撃って俺の骨を折った女だ」
「そ――その傷全部、その人にやられたんですか!?」

驚愕して叫んだ私に対して、フランシスさんが自慢げに笑います。

「凄いだろう。こんなこと出来る女は他にいない。俺は女には勃たないがこの女にだけは勃起
する。たまらない。あぁ、愛しい、愛しい俺の女神」

形のいい唇から色艶のいい舌を出し、フランシスさんがうっとりと写真を舐め上げます。
たまらず、私は部屋から飛び出しました。
そして今、私はフランシスさんに与えられた自分の部屋で、一人しくしくと枕をぬらしてい
るのです。
ショックです。衝撃です。男性の生殖器を凝視してしまった事も、見られても平然としてい
るフランシスさんの図太さも、写真を舐める変態振りも。
そして何より、フランシスさんが写真の人に恋をしている事実に衝撃を受けた自分自身がシ
ョックで仕方ありません。
これじゃあまるで、私がフランシスさんに恋をしているみたいです。横恋慕です。
いやいやそんな事があるわけありません。
私は依頼人に特別な感情を抱く事は決してない、潔癖で完璧なジョージア医療介護サービス
の敏腕看護師なのですから。

ぐすぐすと泣きながら一晩を過ごし、私は泣きはらした目のままぐったりと仕事に取り掛か
りました。
栄養バランスがよく、なおかつ消化にいい朝食を用意して、フランシスさんの部屋に運びます。
ノックをして部屋に入ると、フランシスさんはまだ起きていました。
昨晩から一睡もしていないのでしょうか。真剣な表情でキーボードを叩いています。
その、テーブルの空きスペースにトレーを置き、私は無言で踵を返しました。
しかしその腕を、前触れも無くフランシスさんがつかみます。

「なんですか?」

と平静を装って振り返ると、フランシスさんはいかにも困ったと言うような、そんな表情で
私を見ました。

「泣いたのか」
「泣いてませんよ」
「目が赤いぞ」
「花粉じゃないですか?」
「どうして泣いた」
「泣いてませんってば」
「言え。誰に泣かされた」

あんたですよあんた。あえて原因を上げるとすれば、あんたが美形なのに変態でしかも少年
の様な美知らぬ美少女を愛してるのが原因ですよ。
言ってやりたいのを必死に堪え、私は再度なんでもありませんと繰り返した。

「関係なくないぞ。看護師だろう」
「看護師にだってプライバシーはあるでしょう」
「知らん。俺のものだ」
「私はジョージア医療介護サービスの社員で、依頼主はウィルトスさんです。ここはただの勤
務地であってフランシスさんはただの患者です」

困り顔から、不機嫌顔に。
ぶんぶんと腕を振るも、フランシスさんが放してくれる様子はありません。

「放してください」
「なんで泣いてる」
「だから泣いてないって――!」

ぽたりと、暖かなしずくが落ちました。
なんて事でしょう。本当に泣いています。しかも涙は後から後から溢れてきて――。

「な、泣いて……ないてなんか……」

だめです。声まで震えてきました。泣きそうです。っていうかもう泣いています。

「う……うぅ、う……ふぇえぇえ!」

なんて惨めなんでしょう。こんなのってあんまりです。
産まれて初めての一目惚れの相手が“こんなの”で、しかもあまりといったらあんまりな振
られ方です。
まだ愛の告白もしていなかったのに。
一目惚れの事実にも気付いていなかったのに。
振られた瞬間に気が付く愛なんて悲恋物の恋愛小説だけで十分です。

「もう!全部フランシスさんのせいです!なにもかもフランシスさんのせいです!この
変態性欲者!マゾヒスト!潜在的同性愛者!」
「それとおまえが泣くのとなんの関係がある」
「否定しないんですか!」
「すれば泣きやむのか?」
「私が泣こうが喚こうがあなたには関係ないじゃないですか!あなたなんか写真の人の事で
も考えながら自慰にふけってればいいんです!」

わぁああぁん、と子供のような泣き声を上げる私を前に、いよいよフランシスさんは困り果
てたように、それでも私の手は離さずに沈黙しました。
一分か二分くらいでしょうか、ただ私の鳴き声だけが無駄かつ滑稽に響きます。
そしてふとひらめいたように、フランシスさんが顔を上げました。

「分かった。さては生理だな」
「なんでそうなるんですか!セクハラです!」
「女は生理になると情緒不安定になるんだろう」
「生理が原因じゃなくてホルモンバランスの変化が原因なんです!生理なら全部の女性が情
緒不安定になるなんて思わないでください!」
「そうなのか」
「そうなんです!」
「まいったな。本当にわからん。降参だ。教えろ」

なんなんでしょうこの男。
どういう育ち方をしたらこういう性格に育つんでしょう。
そんなに聞きたいなら教えてやります。驚愕して狼狽えて困り果てればいいんです。

「好きです」

ずずず、と鼻水をすすりながら、まったくムードの欠片もない愛の告白を決行し、私は自由
になる方の腕でごしごしと涙を拭いました。

「なにがだ」
「フランシスさんが好きなんですよ!それなのにあなたが他の人を好きだって知っちゃった
から泣いてるんですよ!傷ついてるんですよ!乙女の失恋劇ですよ!」

何を考えているのかよく分からない表情で、フランシスさんが私を見ます。
ガン見です。凝視です。なんですかまったく。そんなに私の泣き顔がみっともないですか。

「おまえ……俺を愛してるのか?」
「あ、あ、愛って……!ま、まだそんな……そこまでは」
「なんだ違うのか」
「愛してます!」

理解しました。
この人は言葉をそのままの意味で受け取ります。
乙女の恥じらいとか全く考慮していません。
仕方なく半ば逆ギレ気味に断言すると、フランシスさんはようやく私の手を放し、スライド
式のベッドテーブルをぐいと足元に押しやりました。

再び私の手を掴み、引っ張って乱暴にベッドの上に引っ張り上げます。
ベッドに横たわっているフランシスさんに横抱きにされるような形になり、迂闊にもされる
がままになっていた私は瞬く間に赤面しました。

「な、な、な……なにを――!」
「動くな」
「ちょ、ちょちょ――ちょっとま!待ってください!待って!」

私の制止を無視して、もぞもぞと私の胸元を探ります。
ぷつん、と看護服のボタンが一つ外され、次の瞬間、部屋中に痛そうな音が響きました。
音を立てたのはもちろん私の手の平です。
顔面をひっぱたかれたフランシスさんは一瞬呆気に取られたように唖然とし、直後ににたり
と――本当ににやりなんてレベルじゃなく――笑いました。

「勃った」
「は……はへ?」
「驚いた。もっと早くに試せばよかった。おまえも小さくて、ふわふわしてて、たまらなく抱
き心地がよかったから、ひょっとしたらとは思ってたんだ」

ずいと、フランシスさんの危ない笑顔が迫ります。
次の瞬間には唇を塞がれていて――ファーストキッスは犯して貪るような、優しさの欠片も
ないものでした。
生暖かい舌がぬめぬめと私の口の中を這い回り、私の舌を絡めとってちゅうちゅうと吸い上
げます。
きもちいい物ではありません。ですが妙にくらくらします。

「ふ――フランシスさん!やめてください!ちょっと、私初めてなんです!だから告白
したら即時セックスで気持ちよくってラブラブなんてことにはならないわけで!聞いてます
かフランシスさん!フランシスさん!?」

私の言葉を完全に無視して、剥ぎ取るように看護服の上を脱がされ、私はささやかながらも
形がいいと自負している乳房を両腕で隠しました。
その手を恐るべき腕力で引き剥がされ、フランシスさんの舌が私の乳房をべろりと舐めます。

「うひゃあぁ!ちょ、ちょっと、ちょ――本気ですか!本気なんですか!?落ち着いて
ください!おちつぃ……いぁあぁ!」

喋ると意思に反して変な声が出てしまいます
しかし黙っていると行為を黙認している事になってしまいます。

「ふ、ふわ、ふわぁあぁ……!そ、そんなに、舐め……なめなぃ……ひゃぁあぁ!」

ちゅうっと音を立ててフランシスさんが私の乳首に吸いつきます。
舌でべろべろ舐められて、ころころと転がされて、押しつぶされてまた吸われて。
き――気持ちよすぎてどうでも良くなってきました。
いつの間にか両腕が自由になっています。
それはつまり、フランシスさんも両手が自由と言う事で――。

「女を抱くのを初めてなんだ」

ど――童貞ですか?それは嘘でしょう。
ぐったりとなった私の体をひょいと持ち上げ、フランシスさんは向かい合うようにして私の
体を抱き寄せました。
あれよあれよと言う間にズボンが脱がされていきます。
こんなに手馴れた、しかも手の早い童貞なんて許しません。認めません。

「って――だ、だ、だだ、だめです!フランシスさん!本当にそっちは――!」

フランシスさんの大きな手が、すべすべと私のお尻を撫で回しました。
指が回りこむようにして私の股間をまさぐり、恥ずかしながら溢れ出していた分泌液をにち
ゃにちゃと音を立てます。

「なるほど、こうなるのか」
「ほ、本気で童貞なん、ひぅ――!うわ、うわぁ、あ、なかに、入って……だめぇえ!」
「女はここが感じるんだろう?」
「きゃん!」
「犬のまねか。上手いな」

何が悲しくてこんな状況で犬の鳴きまねしなきゃならないんですか。
あなたが無遠慮にぐにぐにと――そ、そんなとこ、を、お、押しつぶさないでぇぇ!
って……あれ?
ちょ、ちょっと。
なんでお尻の穴なんていじくって――うわ、ゆび!ゆびが!

「き、汚い!フランシスさ――ちょ、ゆゆ、ゆび!ぬひてぇ……」

なんでしょうこの感覚。
体に力が入りません。

「あう、あぁ、ん……ひん。ふぁ、あぁ……ふら、んしす……さぁん」

意思に反して体が小刻みに震えます。
なんだか、お腹の辺りになにか、硬いものが――。
そんな事を思っていると、フランシスさんが私を快楽で責めさいなんでいた手を止め、ズボ
ンをごそごそとやり始めました。
そして、布地の下から引きずり出された――凶器。
無理です。
いえ物理的にどうという話ではなく、精神的に不可能です。
こんなものが私の中に入るわけありません。
しかし顔面蒼白で硬直した私を気にかける様子も無く、フランシスさんは負傷しているはず
の両腕で軽々と私を持ち上げました。
元々痛覚が存在していないとしか思えない人なので今更驚きませんが、この期に及んで傷の
悪化を心配している自分の看護師精神に感服します。

「処女か?看護師」
「しょ、しょ……処女ですよ!あ、あたりまえじゃないですか!」
「そうか。処女は痛がるんだってな」

しまった。
その事実をすっかり失念していました。
痛いのは嫌です。ですがなんか、もう絶対に後戻りできない所まで無理やりつれてこられて
しまった感じです。
どうしましょう。どうすればいいんでしょう。

「我慢しろ」

なんでこの人、常に命令口調なんでしょう。
いえ、いい加減なれもしましたが、なんといいましょうか、こういう時くらい優しくなって
も良さそうなものなんですが、乙女の甘い幻想でしょうか。
しかも我慢しろって――。

「あとでケーキ買ってやる。好きだろ?甘いもの」

ケーキごときで処女を売り渡す女と思われていることが衝撃ですが、しかしケーキは確かに
魅力的です。
決してケーキが原因ではありませんが私が気合を入れて目を閉じると、フランシスさんはギ
ンギンに勃起している赤黒い凶器でぐちぐちと入り口のあたりを擦り上げました。

「は、はぁ……ん、んん……あう、あ……」
「入れるぞ」

はい――と答える間もなく、フランシスさんは乱暴とも言える動きで私の中にずぶずぶと押
し入ってきました。
い――いた、いたたたた……た、た?
……あまり痛くありません。
いえ、確かに痛いですが、引き裂かれるような――だとか、脳髄を突き抜ける――だとか。

「……あれ?」
「どうした」
「いえ……そんなに痛くない、かなぁ……なんて」

「そうか。我慢強いな。看護師」

我慢強いと言うか、これが音に聞く個体差というやつなのでしょう。
これはラッキーです。幸運です。これならば、フランシスさんの体に負担をかけずに済みそ
うです。自分で動いてしまいましょう。

「看護師?」
「ふ、フランシスさんは怪我人ですので、激しい運動は控えたほう、が……いいので、僭越な
がら私の方で、出来る限りの事を、いたします」

フランシスさんのお腹あたりに手を置いて、おそるおそる腰を浮かせ、またゆっくりと腰を
落としてみます。
よし。大丈夫。やっぱり痛くはありません。
やっぱり男の人は、こういうのは激しく動いた方が気持ちいいんでしょうか。
肋骨に負担をかけないように慎重に、動きます。
こつを掴んでくると滑らかに動けるようになり、ちらと様子を伺うと、フランシスさんは気
持ち良さそうに息を乱して快楽に浸っているようでした。
なんでしょうこの優越感。
これはいい。なんだか楽しくなってきました。こんな私は変態でしょうか。
いえいえそんなはずありません。患者さんに気持ちよく、心地よく、快適に過ごしていただ
く事を何よりも喜びとする看護師精神の表れなのです。

「は、は……あ、はぁ……んん……っは、んぁ」

経験は無いながらも、ちょっと踏み込んだところまで書いてある大人の恋愛小説を愛読して
いた私です。
三度に一度はきゅっと締めるなんて難しい事は出来ませんが、それでもがんばって締め付け
てみたりします。
ふと、思い出したようにフランシスさんが私の体に触れました。
腰をすべすべとなでさすったり、太腿をむにむにしたりしています。
あ、ちょっと気持ちいいかもしれません。

「あ、だ、だめ……そんな、さわったら……じょ、じょうずに動けな……」
「努力しろ」

きゅ、とフランシスさんが私の乳首をつまみます。
くりくりと転がされて、なんだか下半身がきゅうってなって――。

「い、いく……!うわ、うわぁあ……!」

じゅぷじゅぷと音を立てる結合部にフランシスさんの指が伸びて、指先で充血して敏感にな
ってる突起をくすぐります。
そんな風にされるものだから、つま先が丸まって、握り締めた拳も解けなくって、な、涙が
出てきました。
って、いつの間にかフランシスさん、腰動かしてませんか。
そんなに下から、え、えぐられた、らあぁ――!

「うあぁ!あ、ふあぁ!ふら、ん、しすさ……だ、だめ、あぁ、け、けが、が……!」

不意にフランシスさんが上半身を起き上がらせ、がっちりと私の腰を掴みました。
ギリギリまで引き抜かれ、叩きつけるように突き入れられます。
そうすると奥の方に何か当たって、なんだか痛くて、だけどじんじんと、きゅうきゅうとし
てしまって――。

「出すぞ――!」
「ま、ま――だだ、だめです!なか、なかは……!」

って、思い切り生で入ってるのに、今更外で出そうが中で出そうが同じでしょうか。
なんたる不覚。
なんだか妙に冷静な思考とは裏腹に、私は乱れに乱れて髪を振り乱して喘ぎました。
ぐ、と奥まで押し込まれ、フランシスさんが動きを止めます。

どくん、と中で大きく脈打って、熱ささえ覚える暖かいものがじんわりと広がっていくのが
わかりました。
ぞくぞくと体が震え、いつの間にか私の理性を焼ききっていた絶頂の余韻に浸ります。
結合部からどろりと白い液体が溢れ、私はその様子を見ながら、シーツを取り替える手順を
考えていました。

ことを終えて後片付けに動き回る私を、フランシスさんは興味深そうに観察していました。
曰く、愛を交わした直後にそんなに事務的に動き回る奴は始めて見た――だそうで、あの行
為に愛があったとは到底思えなかった私はその言葉にほんの少し驚きました。
しかし、女を抱くのは初めてじゃ無かったんでしょうか。
女じゃなくて男なら抱いた事があるとかいう落ちだったらどうしましょう。
なんだか恐ろしくなったので聞いていました。

「そんなに沢山、男性とは経験があるんですか?」
「ああ。特に少年はいい」

今ほど聞かなければよかったと後悔した事はありません。
私は一連の会話をなかった事にしてフランシスさんを着替えさせ、シーツを取り替えて洗濯
機に放り込みました。
一仕事を終えて一息つくと、ようやく気恥ずかしさや後悔が襲ってきます。
やりました。
やってしまいました。
関係を持ってしまいました。しかもなんだか、正常とは言いがたい関係を気付いてしまった
ような気がします。
セックスフレンド?
肉奴隷?
女神とまで賞した写真の女性を、別の女に告白されて一回肉体関係をくらいで諦めるような
潔い人間には思えません。
泥沼です。
どろどろです。
しかしセックスがあんなに気持ちいいものだとはおもいませんでした。
あれははまります。だだはまりです。
しまったアフターピルを飲んでおかなければ、妊娠したらわりと洒落になりません。
フランシスさんが責任を持って結婚するとか言い出す人では無い事は確かです。

「……まぁ、こんな第一歩もありか」

肉奴隷から始まる愛もあるかもしれません。
私はよし、と小さく気合を入れ、ひそやかにフランシス陥落作戦の決行を心に決めたのでした。






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