ランカスタの魔女
シチュエーション

※陵辱要素有
ランカスタ王国の王都、復興都市エル・アルハザートの郊外に一棟の鄙びた塔
が建っている。
付近の住民から『メイオールさんの塔』と呼ばれて不気味がられているその小
さな三階建ての塔は、三年前に老衰で逝った大魔術師トスカ・メイオールのか
つての住処として有名で、主を失った今ではその弟子が跡を継いで住んでいる
という。
弟子は名をカティアといい、見目麗しい姿をした年頃の娘だった。
もっとも、女魔術師の外見ほどあてにならないものはない。
三百年近くを生きたとされる先代のメイオール同様、その弟子である彼女もま
た、すでに百年は生きているというのがもっぱらの噂だ。
怜悧な美貌も、年頃の外見も、すべて魔術によるまやかしであるという。
高名な大魔術士が残したただ一人の高弟。そんな彼女には容姿や実年齢に関す
る噂以外にも、様々な風聞が絶えることがなかった。
たとえば、身分ある貴族がもう何人も、彼女の妖しい魅力に囚われて夜な夜な
彼女の寝所をおとなっているだとか。
先代メイオールのただ一人の弟子である彼女の力を求めて、近隣の軍事大国ト
ラキアが秘密裏にスカウトに動いているだとか。
正鵠を射ているものから、まったくの的外れなものまで。彼女に関する噂は実
に多岐に及んでいるのだ。
そんな数々な風聞のなかで、最も有名で、最も恐ろしげなものは、彼女が自ら
の美貌を保つために行っているという、怪しげな秘術に関わるものだった。
いわく、彼女はその美貌を保つために、毎夜のごとく近隣から子どもたちを浚っ
てきては、自らの住む塔に連れ込んでいる。そして夜な夜な、禁じられた魔道
の秘術を用いて、まだ幼い子どもたちに淫らがましい呪術を行い、精気を搾り
取っている――というのだ。
まだ昼も早い時間だというのに屋上に無数のカラスを留まらせ、しんと静まり
返った彼女の塔は、その悪評に相応しくいかにも不気味にみえた。
そのぶ厚い石の壁に耳をあてれば、彼女に囚われた子どもたちのすすり泣く声
が今にも聞こえてきそうである。
近くを通りかかった住民の多くは、この悪名高い不気味な塔をみあげては、そ
こに住まうという魔女の噂を思い出し、身を震わせて足を速めるのが常だった

――さて。その、噂の魔女が住まうというメイオールの塔の内部。
厚い石壁に囲われ、防音の効いたじめじめとした薄暗い部屋では、今まさに、
百年の時を生きるという妖艶な魔女が、泣き叫ぶ子どもたちを相手に何やらい
かがわしい行為をしている――のかというと、そうでもなかった。
いかにも怪しげな外観とはうらはらに、趣味の良い調度品で整えられた室内は、
ちょうど今、そのイメージとは遠くかけ離れた喧騒の真っ只中にあった。

「ねえねえ、カティア先生ッ! 次はこの本よんでよっ」
「あ――ッ、ずるい! セシルったらずっと先生を独り占めして。次はわたし
の番よ、わたし、先生と一緒にお歌を歌うの!」
「ボクは先生の竪琴が聞きたいな! ねえ先生、いつもみたいにきれいな曲を
弾いて聞かせてよ!」

口々に好き勝手なことを言って騒いでいるのは、十歳前後のやんちゃそうな子
供たちだ。
騒々しい彼らに囲まれて、塔の魔女――カティアは、絵本を閉じてゲンナリと
した表情を浮かべた。
年のころは二十歳前後だろうか。栗色のストレートヘアに理知的な弧を描く細
い眉。切れ長の美しい瞳。ややキツめの感じだが、噂どおり、なかなかの器量
の持ち主だった。

――残念なことに、今は疲れきった様子で、その魅力をやや減じてしまってい
るが……。
彼女は鼻先にかけた眼鏡のフレームを指で抑えて、

「……いいかね、キミたち」

身に纏った黒のローブの前で腕を組んで、重々しく言った。

「私はキミたちの親御さんから、キミたちに学問をみてあげるように頼まれてい
るのだ」
「知ってるよぅ」
「でも、お歌を歌うのも立派なお勉強だよね」
「そうそう、机の上の勉強だけやってるとバカになるって、先生いつも言ってる
じゃない」
「そう、ジツガクだよ、ジツガク」

口々に反論してくる子どもたちに、カティアはさらにため息を重ねた。

(……ったく、口ばっかり達者になって。いったいどこで覚えてくるのやら)

もしも独り言を聞かれたら「先生に教わったんだよ」と反撃されるに違いない
ので、ぼやきは心の中だけで留めておく。
カティアは気を取り直して子どもたちに向き直った。

「とーにーかーく! 今日は算術をやる。やると言ったらやるのだ。だから絵本
はここまで。歌も竪琴もまた今度だ!」

きっぱりと宣言して、書物を開いて無理やり授業を始める。

「……えー、では、この前の続きから。立方体の体積を求めるために必要な考え
方と、具体的な計算式についてだが――……」
「イ・ヤ――!!」
「ミーシャはお歌がいいの――ッ」
「竪琴――ッ!」

たちまち、子供たちの間から盛大なブーイングが起こる。

「えーい、煩い!」
「ヤなもんは、ヤ・だ――ッ!!」
「おーうーたー!!」

叱りつけても子どもたちは少しも動じない。
彼らは自分たちの先生が見た目は少し怖そうでも、子ども対しては十二分に甘
いことを熟知しているのだ。
だが、今日のカティアは一味違った。
実をいうと、先日、彼らの親御さんから、小言を言われたばかりなのだ
彼女は断固たる決意を持って言った。

「今日は数の学問をやる。やると言ったらやるのだ!」
「むー」「うぬー」「うむむー」

カティアの頑迷な抵抗を受けて、子どもたちが口々にうなり声をあげる。
口で説得するのが無理そうだとわかると、次に彼らは実力行使に出始めた。
まず、一番やんちゃそうな、こげ茶頭の男の子が、背後からカティアにタック
ルを仕掛けてくる。

「ぐえっ!」

子どもとはいえ、十歳ともなれば相当な質量だ。参考書を片手に偉そうにソファ
にふんぞり返っていたカティアは、不意を打たれて情けない声をあげた。

「こ、こら、なにをするか」
「あーッ、いいな。ずるい。ボクもやる!」
「ミーシャも――ッ」

なにが彼らの心の琴線に触れたのか、子どもたちは嬉々として次々とカティア
の背中に飛びのってくる。
あっという間にカティアは三人の子供たちの下敷きにされてしまった。

「ぐは、お、重い――」

重労働は石のゴーレムに任せきりで、日ごろから運動らしい運動もしていない
カティアである。腕力勝負では子どもたちにすら勝てないのだ。
その様子に子供たちが勝利を確信して叫んだ。

「どーだ、まいったか! どいて欲しかったら絵本の続きを読むのだ」
「観念してミーシャとお歌を歌いなさい」
「おとなしくトウコウして竪琴を弾いてくれたら、ジョウジョウシャクリョウの
余地はあるぞう」

意味がわかっているのかいないのか、子供たちは口々に騒ぎながら、カティア
の上で「まいったか」とばかりに飛び跳ねてくる。
カティアの体は柔らかくて気持ちがいいらしく、それ自体が遊びとして楽しい
のだろう。大満足の様子だった。

だが、下敷きになったカティアの方はたまったものではない。子供たちの温か
な体温は嫌いではなかったが、それでも三人も寄れば暑苦しいし、そしてなに
より重い。 

「わかった、まいった。……まいったから、退いて……っ」

たまらず降参すると、ようやく子どもたちの肉まんじゅうから解放された。
乱れ放題になってしまった長い栗色の髪をかき上げて、ずり落ちてしまった眼
鏡の位置を直す。
それからカティアはぐったりとソファの上に這い戻った。

(くっ……生活のためとはいえ、子守も楽じゃないわ)

わずかな給金につられて安易に引き受けてしまった自分の底の浅さが恨めしい。
――と、そこでカティアはふっと力を抜いて思い直す。
でも――、気疲れはするけれど。
力ある魔術師として軍に招聘され、戦争の道具にされることに比べれば。
身分だけが取りえの男に囲われて、妾として日々を暮らすことに比べれば。
子供たちの相手の方がはるかに自分の性に合っている。
齢百歳を超える老婆だとかどうとか、噂では好き放題に言われている彼女だが、
実際にはまだ見た目通り、二十歳になったばかりの娘だ。
優れた魔術師として、または美貌の持ち主として、様々な機関から引く手数多
の彼女だったが、そんな彼女が生活のために選んだのは意外にも近所の子ども
たちの家庭教師というごくごく平凡な職業だった。
もちろん、収入は雀の涙ほどでしかない。
若く才気ある彼女がこうした隠遁生活を送ることを惜しむ声も多かったが、カ
ティアはそういった声に一向に耳を貸そうとはしなかった。
彼女は別に富や名声には興味はないのだ。
彼女はただ、自分の知識欲を満たすことができればそれで満足だった。
家庭教師の安い給金でも、彼女一人が暮らしていく分には何の不足もない。
そして幸いにも、ここには先代のメイオールが集めた、彼女が一生かけても読
みきれないほどの蔵書が残されているのだ。
さんざんぼやいてはみせたものの、実のところカティアは今の生活にまったく
不満を持っていない。

(……この子たちも、悪い子たちではないしね)

内心で呟いてから、カティアは彼女を囲むようにぐるりとソファの前で正座し、
目を輝かせている子どもたちをちらりと見やった。
遊んでもらえるのが楽しみでしょうがないのだ。そんな子供たちの様子につい
カティアも口許も緩んでしまう。

「しょうがないな……。今日だけ特別だぞ」

意識して渋々といった表情を作ってみせると、カティアは小声で呪文を囁いて、
パチンと指を鳴らした。
すると、まるで魔法のように――実際魔法なのだが――彼女の手のなかに小さ
な木製の竪琴が現れる。

『物質転送』

簡単そうにしてみせたが、実際には限られた高位の魔術師のみがなし得る脅威
の秘蹟である。

「おおーっ!」

目の前で見せられた手妻に、子どもたちから無邪気な歓声があがる。
なんだかんだと言いながら、子どもたちを喜ばせるのが嫌いではないカティア
だ。
「見せて見せて!」と騒ぐ子供たちの要望に応えて、虚空から取り出した竪琴
をじゃじゃーん!と効果音つきで見せびらかせる。
見た目で冷たい印象を与えることの多い彼女だったが、こんな時には驚くほど
優しい表情をみせた。

そうして一通り相手をして、子供たちが静かになるのを待ってから、カティア
は手にした竪琴を爪弾き、よく響く低い声で弾き語りをはじめた。

「これから語られるのは、生まれたばかりの伝説。一人の少女の物語……」

韻を踏んだ独特の節回し。流れるような語りだしで、カティアは子どもたちを
あっという間に物語の世界に惹き込んでしまう。
リクエストはお話と歌と竪琴。
子供たちの要望を一々叶えていては時間がかかってしょうがないので、竪琴を
使った弾き語りですべて済ませてしまおうというのが彼女の魂胆だった。
歌って弾いて、物語にもなっている。
ついでにこの国の歴史を歌ってしまえば、歴史の授業の完成でもあった。
転んでもただでは起きないカティアなのだ。

数刻後――

「はい、おしまい」

と彼女が竪琴を置くころには、子どもたちはポロポロと涙を流してぐずってし
まっていた。悲運のヒロインに深く同情してしまっているのだ。

「お姉ちゃんかわいそう……」
「ねえ、お姉ちゃんは、いまもトラキアの王様に捕まっているの?」
「違うよね、きっともう大丈夫だよね?」

子どもたちが口々に尋ねてくる。
そこでふとカティアは返答に困ってしまった。
この話は史実であり、現在進行形の物語なのだ。ハッピーエンドは用意されて
いない。

「さあ、どうかしらね……」

正直に告げると、子どもたちが一斉に「えーっ」と不満を唱えた。
彼らの顔があまりに悲しそうで、心がチクリと痛む。

(いずれは知らなければならないことだけど。この子たちにはまだ少し早かっ
たかしらね……)

この国のおかれた現状。四年前の負け戦。そこで生まれた悲しい物語。
それは、王都に住む大人なら誰もが知っている物語だ。
不落を誇った城壁が崩れ、街が炎上し、王国に滅亡の危機が迫っていたあの時。
たった一人の聖女がこの国を救ったのだ。
彼女ただ一人の働きで、滅亡寸前のランカスタは隣国と講和にまで持ち込むこ
とに成功した。

――だが、同時に。支払った代償もまた大きかった。
聖女の存在を脅威と見なしたトラキアは講和の条件として当然のように彼女の
身柄を要求し、ランカスタも断りきれずその条件を呑んだ。
あれから四年。聖女の身柄は今もトラキア皇帝ボドウィンの許にある。
皇帝の妾として後宮に納められているのだ。
この国の大人たちは救国の聖女を自らの保身のために売り払った。――そんな
汚い政治の世界を子どもに告げるのは躊躇われた。

語る物語を間違えてしまったのだ。ここから先はとても子供たちに聞かせられ
る話ではない。

「……そうね。ノイエ様を救うために、ノイエ様のお父上、バフマン様が出奔さ
れたという噂がある。きっと今頃は、バフマン様の活躍でノイエ様は救われて、
二人でどこかで幸せに暮らしていらっしゃるわよ」

実際にそんな噂があるのは嘘ではなかった。だが、この噂が指し示す事実は別
のところにあるだろう。
聖女の父親は報復を恐れた国の権力者たちによって騎士団長の任を解かれ、追
放されたのだ。
それでも、彼女が創作のハッピーエンドを付け足してやると、子どもたちはと
もかくも安心したようだった。

その後、満足した彼らに少しだけ算術を教えることにも成功したカティアは、
帰宅する子どもたちを外まで見送ってようやくその日の仕事を終えた。
子供たちの姿が角に消えると、大きく一息入れる。

(やっぱり弾き語りが効果的ね。……次は、立方体の体積を求める数学者の物語
でも考えてみようかしら?)

そんなとりとめもないことを考えつつ、身を翻して屋敷に戻ろうとする。

――その時。
カティアの足がぴたりと止まり、眼鏡の奥の目がすう、と細められた。
塔の内部に仕掛けてある感知装置が、何者かの侵入を知らせてきたのだ。
そのタイミングにカティアは嫌な予感を覚えつつも、すぐさま魔法の詠唱を開
始し、塔の内部に転移を果たした。

カティアが戻ったとき、居室には三人の男たちが侵入していた。
男たちの足許に転がる石の残骸をみて、カティアは大きく眉をひそめる。
それが、彼女が長年愛用していたストーンゴーレムの成れの果てだったからだ。
忠実な彼女のゴーレムは侵入者を排除しようとして果たせず、逆に返り討ちに
あってしまったらしい
カティアは髪が逆立つのを感じながら低い声で言った。

「……わたしの部屋に何かご用? 野蛮人」

急に背後から声をかけられて、男たちがギクリと身体を強張らせる。
男たちはすぐに気を取り直したように用心深く向き直ってきた。
リーダー格の真ん中の男が粘着質の気持の悪い声で彼女に話しかけてくる。

「……さすがはメイオールの一番弟子、といったところですかな。いかに住みな
れた我が家とはいえ、こうも容易く我らの近くに転移を果たすとは。
このゴーレムもなかなかのものでしたよ」

男の言葉にカティアの柳眉が逆立つ。

「それはただの台所用ゴーレムだ! 三人がかりで潰して喜ぶな、この無能!」
「……は、あいかわらず、口汚くていらっしゃる」

余裕をみせたつもりのようだったが、男は少なからずプライドを傷つけられた
らしく、こめかみにピキリと太く血管が浮かび上がっていた。
それでも、言葉だけは下手に続けてくる。

「ですが貴女の実力、我が主はたいそう評価しておられるのですよ」
「……そりゃあ、貴方たちみたいなのしか手駒がいないんじゃ、新しい魔術師が
欲しくもなるでしょうよ」

カティアの挑発に男は一瞬押し黙り、低い声で言ってきた。

「……言わせておけば。口の聞き方には気をつけたほうがいいぞ、小娘」
「貴方の方こそ。前来た時は髪の毛までこんがり焼いてあげたというのに、まだ
お灸が足りなかったらしいわね」

言葉と同時にカティアの背後に無数の火球が生みだされる。
男たちの実力では到底防ぎきれない圧倒的な魔力を背景にカティアは宣言した。

「今度こそ、二度とわたしの前に顔を出せないよう、徹底的に痛めつけてあげる」
「……ふ、ふん、誰が貴様のような化け物と二度も正面からぶつかるものか!
――これを見よ!」

そういって男が懐から取り出したのは手のひらサイズの水晶の球だった。
その磨きぬかれた鏡面に映された見覚えのある子供たちの姿に、カティアの笑み
が凍った。

「――セシル、トト、……ミーシャ……!」

それはついさっきまで彼女が家庭教師をしていた子供たちだった。
水晶に映った子供たちはそれぞれ、ふたり組みの男によって手と口を封じられて、
今にも泣き出しそうな顔をしている。
今回は屋敷に侵入した三人の他にも仲間がいたのだ。

「……どこまでも下衆な男ね。飼い主の質まで知れるわ」
「おおっと、憎まれ口はそこまでにしておいた方がいいぞ。次に反抗的な口を聞い
たらあの三人の子供のうちの誰かの指を落とす」
「………」

子供たちを盾に取られてはどうすることもできない。

(せめて目の前で人質にとってくれたなら……)

今回は相手も事前にかなり計画を練ってきたらしい。子供たちの姿を水晶に見せ
るに止められては、いかにカティアといえど救出は難しかった。

「……それで。何が望みなの?」
「くっく。いつぞやの聖女どのといいおまえといい。この国の女は気味が悪いほど
の馬鹿ばかりだな。ただの子供の安全と引き換えに自分の身を差し出そうという
のか」
「……とりあえず、今のところはね」
「よろしい。では、この薬を飲んでもらいましょう」
「――これは……?」

差し出された緑色の粘性の高い液体をみて、カティアが表情を曇らせた。
薬の中身はわからない。
だが、薬で無力化されてしまっては反撃の余地がなくなってしまう。
そんなカティアの内心を見越したのか、男は嬉しそうに続けた。

「なあに、怖がることはありません。中身はただの媚薬ですよ。ただ気持ちよくな
れるだけの薬です。しかも、効果のほどはかの聖女どのでたっぷりと実験済みだ。
そりゃあ、すごかったですよ? あの穢れを知らないまったくの生娘が、清楚に
整った愛らしい相貌をぐちゃぐちゃに崩して。公衆の面前で股座から愛液をよだ
れのように垂らして、絶頂に告ぐ絶頂。――あれは実に良い見物でした」
「げ、下衆……!」
「ふふ、今の言葉。本来なら子供の指がなくなるところです。が、今回だけは聞き
逃してあげましょう。――しかし、二度目はない」

男はカティアの目の前に薬瓶を差し出して言った。

「飲め。それから貴様の身体にたっぷりと再教育を施してやる。女など、男の一物
を咥え込み、よがり狂うだけのただの肉壷に過ぎないということをな……!」

カティアがためらっていると、男は続けた。

「5秒だ。それ以内に飲まなければガキを一人殺す。さあ、5……4……3……」
「わかったわよ!」

悩んでいる暇はなかった。カティアは男の手からひったくるように薬瓶を奪うと
蓋をあけて一気に中身を飲み干す。
それからわずかな間をあけて、急激な眩暈と体温の上昇に見舞われた。

「う……あ……?」

まっすぐ立っていられなくなって、カティアはその場にカクリと膝をついてしまう。
床に倒れたカティアの頬を靴底で踏みにじって、男が歓喜の笑みを浮かべる。

「さあ、楽しい楽しい奴隷調教のはじまりだ。いままでの屈辱、何十倍にも増して
返してくれるぞ……」

男の言葉に、そして頬に受ける靴底の感触に、カティアの身体は歓喜を覚え始めて
いた。そのことに心の底からの恐怖を覚える。
気がつくと他の二人の男たちも、すぐ近くまで来て彼女を取り囲んでいた。

「さあ、気が触れるまで徹底的に犯しぬいてくれよう」
「まだまだ、薬が足りぬであろう。たっぷりと飲み干すがいい……」

力の入らない口を無理やりこじあけられ、先ほどの数倍の量の媚薬をさらに飲まさ
れていった。

「う……ぐ……むぅ……う!」

この……量は……。
飲んでしまったら、もうもとの身体に戻れない……。

男たちの目をみて、カティアは男たちの真意を悟った。
彼らはもはや魔術師としてのカティアを懐柔し支配する気はないのだ。
以前はそのつもりだったのだろう。だが、今回はもはや懐柔を諦め、潜在的な脅威
である彼女をただ排除することだけに目的を切り替えてきている――。

――壊されてしまう。

口に溜まった媚薬を無理やり嚥下させられながらカティアの心に絶望が広がる。
だが、もはやどうすることもできない。
続く数分のうちに、カティアの瞳から理性の光が完全に抜け落ちていった。
残ったのは獣欲を滾らせた男たちと、哀れなで無力な供物。
そのローブのしたに隠された柔らかな媚肉に男たちはハイエナのように群がっていっ
た。
床に組み伏せられたカティアの顔から眼鏡が外れて落ちる。
長いローブを足もとから胸のうえまでまくりあげて、シンプルな飾りの下着をずり
降ろし、両足を大きく左右に開くと、男は準備をするまでもなく濡れそぼったカティ
アの入り口にいきりたったモノをあてがい、一気に貫いていった。

「くはァアッ」

途端にカティアの唇から感極まったような高い声がほとばしる。

「ははは! 様をみろ! このオレを虚仮にした報いだ!」

女の柔肉に包まれながら男が歓喜の叫びをあげる。
残るふたりの男たちもそれぞれ股間に腫れあがった一物を取り出し、それぞれカティ
アの唇と乳房に興奮しきった表情ですりつけていった。
リーダー格の男はカティアの腰に爪を立てるようにして力いっぱい掴みながら獰猛と
もいえる猛烈な勢いでガツガツと盛大に腰を振りたくる。
犯して犯して、犯しぬいてくれる……!
じきに、子供を人質にとっていた男たちもこの場に集まってくるだろう。
この年若い女魔術師ひとりを贄とした男たちの宴は、まだはじまったばかりなのだ。






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