生徒会室のソロプレイ
シチュエーション


!!アブノーマル警報!!


「なあ、マジでさ、一回だけ、一発だけでいいからさぁ……頼むよ。マジで。この通り」

常識的に考えてありえない哀願をしているのは、生徒会長。あたしの元彼だ。
ずいぶん前に別れて、いまじゃこのクズ野郎には可愛らしくて元気一杯な彼女がいる。
だのにこのアホは、あたしとどうしてもセックスしたくて仕方ないらしい。

「あのね。あんた、自分が何言ってんのか分かってるの?」
「おう! 本能の命ずるがままのこと」
「馬鹿。水泳部の彼女はどうしたのよ。あの子だって、ヤリたい盛りじゃない」
「あいつさぁ、大会が近づくとヤらせてくれないんだよ。記録が落ちるって」

なるほど、そういうのはあるのかもしれない。
彼女は水泳部のエースで、恋愛も、恋愛とワンセットな肉欲も満喫してるみたいだけど、
それより水泳のほうが大事ってのは、とても彼女らしい。

「いやさ、もうほんと、一杯一杯でさ。頼むから、な、一回だけ。一回だけでいいから」
「オナニーでもすれば?」
「……おし、じゃあわかった。俺、オナニーするから、それを見ててよ。ならいいっしょ?」
「一人でやってろド変態」
「分かってくれよぅ、寂しいんだってばさぁ」

あたしは呆れ返りつつも、ちょっとだけ同情心が湧いてくる。
冷静に考えてみれば、大会を終えて生徒会室に戻ってきた水泳部と遊ぶのに、
彼女を猛烈に嫉妬させるネタを仕入れておくのは、悪くなさそうだ。
それに司書ちゃんはこの手のホームドラマチック(和製英語の極みだ)なドロドロが大好物だし。

「ああ、もう、ほんと仕方ないわね。分かった。分かったから」
「え、マジ! ヒャッハー!」
「あんたが勝手にオナニーして、あたしがそれを見てるだけってなら、それでもいいわよ。
ノー・タッチ、ノー・セックス。おわかり?
ここでヌいておいてもらわないと、あんた帰り道で性犯罪おこしそうだし」
「さすが学園きっての才媛! じゃあさ、とりあえず河岸かえようぜ」
「どこがいいっての。あたしの部屋はNG。あんたの部屋も御免よ。生徒会室もリスキーよね」
「あそこだよ。あそこ。音楽準備室」

あたしはちょっとムカっときたが、なんだか妙におかしな気分にもなって、その馬鹿げた提案に頷いた。
こいつ、あたしと初めてセックスした場所でオナニーしたいらしい。

音楽準備室の鍵をマスターキーで開けて、内鍵をかける。あいかわらず、雑然とした部屋だ。
あたしは古臭い足踏みオルガンに腰掛けて、変態野郎がマスをかきはじめるところを見物することにした。
が、きゃつはズボンのチャックを開ける前に、愛用のスポーツバッグのチャックを開けた。
中から取り出したのは――こいつ……。

「お、これ知ってる?」
「実物見るのは初めてよ。まとめサイトのアフィではしょっちゅう見るけど」

アホが誇らしげに持っているのは、白い円筒形の物体。男性の自慰に特化した特殊器具、いわゆるオナホだ。

「これなー、スゲーんだわ。新しい風紀委員長いるじゃん?」
「ああ、あのいかにもな彼女?」
「あいつがさあ、没収しようとしたはいいんだけど、もう顔真っ赤になっちゃっててさ。
それでたまたま通りかかった俺が没収手続を代行したって次第」
「さすがにいくらあんたでも自前で買ったりはしなかったか」
「いや、これ俺が買った」
「ごめん、あんたのこと甘く見てた」
「いやいやいや、没収したやつを家で分解してみたら、ほんと感心しちゃってさ。すごいね技術ってのは」
そういやこいつ、何でもとにかく一度は分解しないと気が済まない工学系オタだった。
「でまぁ、これが初装着。なあなあ、つけてくれちゃったりする?」
「アホ」
「ちぇー」

変態野郎はズボンを下ろし、勢い良くブリーフも脱ぎ捨てた。パンパンにおったったブツが、にょっきりと顔を出す。

「えー……このシールを剥がして……それから……ローションを、と……」

ぶつくさいいながら、白い筒と、しばしの格闘。

「マニュアルくらい、先に読んでおきなさいよ」
「マニュアルなんてものは、わからなくなってから読めばいいんだよ」

これだから工学系は。

「……おし、できた。これでいい、と、思う。さてさて、元カレがオナホ童貞喪失の瞬間に立会う今のお気持ちは?」
「死ねばいいのに」
「美味しいツンデレいただきました。よし、じゃ――お、おっと。おー、おおおー、おー、おおー!」

笑うとも驚くともつかない顔をしながら、器具にイチモツをぶちこんでいく。実にマヌケな光景だ。

「ずいぶん良さそうじゃない」

無言で器具をカポカポ動かし始めた彼に、冷たい声を投げかけてみる。

「すげえっす。これマジですげえっす。科学の勝利っす」
「良かったわね。ついでにダッチワイフも買ったら? 最近のは良くできてるそうじゃない」
「真剣に購入の検討を……て、何を言わせんだよ。俺には可愛いJCのカノジョがいるもんね。リア充だもんね」
「リア充はオナホ使わないでしょ」
「ほれここに例外が」

ヨタを飛ばしながら、変態野郎はジュポジュポシュコシュコと器具を蠕動させ続けた。あたしは軽くイラっとする。

「……なんかさ――そんなに、いいわけ? それ?」
「正直、俺の経験範囲だと、純粋に『ギモチィイ』ってだけならベスト・オブ・ザ・ベスト」

あたしは反射的に奴の脛を蹴飛ばしてしまう。

「うぉ、その刺激がマジでたまりません、お姫様」
「変態。ド変態」
「誉れでございますお嬢様」

思わず平手を打ちかけたけれど、そこでなんとか自分を取り戻した。なに変態野郎の手伝いしてんだあたし。

あたしは改めてオルガンの上に腰をかけなおし、足を組む。こいつと初めてヤったときみたいに。
あのとき、こいつは黙ってあたしの膝に、それから太股に手を伸ばしてきて、
そうしてあたしはゆっくりと押し倒され、胸を弄ばれ――
でまあ、最終的にはナマで着衣立ちバックだったんですがね。
あたしはオルガンに両手をついたまま必死で声を殺し、こいつはそんなあたしを好き放題に犯し続けてた。
まあ、若気の至りっていうか、それはそれで青い思い出なんだけど、
しかしそれにしたって、それが今はこれか。じゅっぽこじゅっぽこ。死ねばいいのに。じゅっぽこ。

だんだんムカッぱらが立ってきたので、あたしは奴を挑発することにした。
組んでいた足を解き、片足をオルガンの上に乗せる。あいつからだと、ギリギリ中身が見えないはず。
あたしはスカートの横から、自分の股間へと手を伸ばす。
さっきから、ちょっと湿り気を帯び始めていたのは、自分でも良くわかってる。
オナホで自分を慰めている糞野郎を見ながら、薄い布の上から指で裂け目を辿り、軽く振動を加え、
その恥ずかしい部分を何度も撫で回した。

じゅぶりじゅぶり。

あぁ、なんかもう、気が散る。すごいイライラする。
あたしはちょっと腰をあげて、スカートを跳ね上げると、ショーツを引き下ろした。
あいつの目は、さっきからじっとあたしを見ている。
まったく、あたしより、そんな器具のほうがイイだなんて。
あたしは自分の“女”を、じかに指で愛撫し始める。うっとりするような快楽が、あたしの下半身を支配していく。
指先はすぐに粘液で濡れ、その湿った指先がクリトリスに触れるとひときわ強い刺激が盛り上がってくる。
呼吸は熱く、早くなって、それに追われるようにあたしは自分の指を肉の襞へと導いていく。

じゅっぽこ。

……いい加減、これなんとかならないわけ?
あたしは眉をひそめて、オナホと遊んでいる屑野郎を睨みつけた。
その視線を、あいつは緩やかな微笑で受け止める。ずっと前に好きだった、微笑。
でも下半身裸のままオナホに息子を突っ込んだ男に見つめられても、ときめくはずがない。

そのとき、あいつは突然あたしの手をとった。あっ、と思う間もなく、オルガンの上に押し倒される。

「ルール違反よ」
「ああ。あのときと、一緒だ」

あいつはあたしの手を握ったまま、あたしの唇を奪う。
抵抗しようと思ったけれど、あいつの舌が入ってくると、身体が自然にそれを受け止めた。
しばらく、そうやってキスしていた。考えれば考えるほどマヌケ極まりない風景。
あたしは恥ずかしくなって、キスを振り払う。でも、口から出たのは別の言葉だった。

「ナマはダメだからね。ナマでナカとか、絶対ダメ」
「また、あのときと、一緒だ」

あいつの手に導かれるがまま、あたしはオルガンに両手をついて、腰を上げる。

……でも、甘い時間はそこまでだった。

裂けるような苦痛が、秘所に襲いかかる。なにこれ。何なの。大きすぎ。痛い。痛いってば!
あたしは呻きながら、オルガンに上体を落とす。ちょっと、ねえ、まさか、ねえ、この、クズ野郎、まさか……
ぐいっと身体が押し付けられ、あたしの目の前で火花が散った。
秘所は限界まで広げられ、メリメリと音をたてんばかりだ。
いや、その、受け入れられないサイズじゃあない、とは思った。
てか、あれだ、今の彼のサイズって、これとそこまで違わない。
でも、これは――これは、全然、違う。ド変態。クソ野郎!

「あ、あんた、オナホ、つけたまま……やろう――と、か! 死ねッ! 死ね、ああっ、痛いッ! 痛いってば!」
「でも、ヒクヒクしてるぜ?」

あいつはあたしのスカートをめくりあげると、あたしのアナルに軽く指を突き立てた。
苦痛と屈辱と、それから、ねっとりとした悦楽が、どことも言い難い部分から噴出する。

「今のお前の彼氏、ガイジンのデカチンなんだろ? それを、ケツの穴でも咥えこんでんじゃねぇの?」

粘っこい汗が額から滴り落ちる。呼吸するのが辛い。痛い。苦しい。

「――ほれ、全部入った。おお、すげぇな、これ面白れぇ」

奴はあたしの中にオナホをすっぽりとねじ込むと、ピストン運動を始めた。
痛い。ただただ痛い。快感なんて、あるはずがない。

「おお、やばい、これ、マジですげえ! 名器ってやつだ! ハハッ、まじでスゲえ!」

じゅっぽこじゅっぽこという間抜けな音と、ぐじゅりぐじゅりという湿った音が入り交じる。

「痛いッ……お願いッ、もう、もうやめ……ッ! 動かない、で……っ! 痛い……! 無理、無理よ……ぅ!」
「すげー。うわ、イクわ。まじでイク。おー、おおおっ、おお、イクわこれ!」

あたしの哀願を無視して、あいつは激しく腰を振った。下半身に激痛が走る。

「やめ、やめてよ……ッ……ねえ、お願い、ナマでも、ナカでもいいから……ッ! もう、やめ……ああ、ダメ……ッ
お願い、ねえ、ちゃんと……ちゃんと、してよぅ……ちゃんと、イカせてよ……ぅ」

ふと、あいつの動きが弱まった。あたしはよく知ってる。このあと、こいつは――
今までにない激しい突き上げが始まって、あたしは一瞬意識を失った。

あたしが気を失っていたのは、ほんのちょっとの間だけだった。
気がついたときには、あたしの下腹部にはどうしようもない鈍痛があるだけで、
それまであたしを苛んでいたオナホは引き抜かれていた。

「すげえなあ、見ろよ、お前のエロい液でぐっしょりだ」

オルガンにうつぶせて呻いているあたしの目の前に、オナホが置かれる。あたしはひたすら荒い息。
と、あたしの上から、あいつが覆いかぶさってきた。重い。でも、あったかい。

「ごめんな。でもさ、ほら、ナマ駄目って言うし、ナカも駄目って言うし、今日、俺コンドーム持ってないし。
それにやっぱ浮気は駄目じゃん? これだったら、俺はオナホでヌいただけ、お前はオナホを挿れてみただけ。
これって、浮気じゃあ、ないよな?」

あたしはあまりのアホらしさに笑ってしまう。

「――そんな言い訳、許さないんだから。あの子が大会終わったら、絶対告げ口してやる。
あんたに強姦されたって言えば、あの子、絶対にあたしのこと信じるから」
「マジかよ。勘弁してくれよ。俺、あいつのこと好きなんだよ。マジで。本気で」

あたしは背中の温かさを味わいながら、この糞変態野郎に宣言する。

「それが嫌だったら、ちゃんとあたしをイカせなさいよ。あんたのゲンナマで」

そうやって、あたしたちはもう一度、たっぷり時間をかけてキスをした。






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