生徒会室の風邪・前編
シチュエーション


!!百合警報!!

月曜の朝だった。目が覚めると、全身の関節に痛みが走る。うう、ちょっと
やりすぎたのかな。それとも二日酔い?あたしはのろくさとベッドから身体
を起こそうとして、眩暈がするような悪寒に震える。これは――風邪だ。それ
以外考えられない。それも、かなりたちの悪い風邪だ。
けれど今ここで学校を休むわけにはいかない。五月祭まであと2週間しかな
い。ほとんど素っ裸のままベッドから転がり落ちて、壁にもたれかかりながら
台所に向かう。冷凍庫を開け、シュタインヘイガーを取り出し、震える手でキ
ャップを外そうとする。外れない。
諦めて陶器のボトルを冷凍庫に戻し、カウンターに出しっぱなしになってい
たアイリッシュに手を伸ばす。こっちは簡単に蓋があいた。グラスを出してい
る余裕が精神的にも肉体的にもないので、ビンに直接口をあてて一口飲む。喉
に焼けるような痛みが走って、一気に身体が温まる。よしよし。自己満足しな
がらボトルをカウンターの上に戻す。
でも、そこまでだった。着替えを取りにベッドルームに戻ろうとしたあたし
は、なんでもないところでよろけると、ばったりと床に倒れる。起きなきゃ。
必死でそう考えながら、私はもう一度眠りの世界に戻っていった。

気がつくと、あたしはベッドルームで寝ていた。パジャマを着せられている。
慌てて時計を見ると、すでに10時過ぎ。あたしは飛び起きようとして、猛烈
な頭痛と節々の痛みに打ちのめされた。
あたしが目を覚ましてもぞもぞやっているのに気がついたのか、ハウスキー
パーさんがベッドルームに顔を出す。あたしが学校に行っている間に、掃除や
洗濯、ときには晩御飯まで作りおきしてくれる陽気なおばちゃんだ。

「あらあら、目が覚めちゃったの?ダメよ、まだ寝てなきゃ。お医者様には
往診していただきましたけど、普通のインフルエンザですって。ブタフルじゃ
なくて良かったわ、今なんだか世界中で流行ってるんでしょう?」

おばちゃん、ブタフルって何なの。わかるけど。てことは鳥インフルエンザ
はトリフルで、タミフルはタスマニアンミドリガメインフルエンザとか?

「学校にも電話しておきましたから。お大事にだそうよ。担任の先生、お若い
のにしっかりしてらっしゃるのねえ。そうそう、おかゆを作っておいたから、
ちゃんと食べてね?冷えても美味しいように味付けしておいたから。本当は
今日一日、ついていてあげたいんだけどねえ。うちの娘も風邪っぴきなのよ」

おばちゃんのマシンガントークを聞き流しつつ、病欠が既成事実になった以
上はやらねばならないことがあるので、あたしはおばちゃんにちょっとしたお
願いをする。

「おばちゃん、あたしの携帯電話、取ってくれます……?できれば眼鏡も」
「あらあら。最近の若い子は、風邪でも何でもまずはケータイなのねえ。いい
わ、とってきてあげる。いつもの場所?それともいつもみたいにどこかに放
り出しちゃった?ああ、充電器も持ってきてあげるわよ。肌身離さないくら
い大事にしてるわりには、いい加減ねえ」

しばらくして、おばちゃんがあたしの携帯と眼鏡を持ってきてくれた。

「リビングのソファの下に転げ落ちてたわ。それから、コンドームをテーブル
の上に出しっぱなしにしておくのは感心しないわよ。ヤリたい盛りなのにちゃ
んと避妊してるのは立派だけど。ああ、ごめんなさい、もう出ないと。娘を午
前中の診療に連れて行く約束になってるのよ。じゃあね、明日は一日お世話で
きるけど、どうする?お医者様は、3日は静養だって」
「じゃあ、お言葉に甘えて、明日はお昼くらいから、夜までお願いしていいで
すか?おばちゃんのご飯が、あたしの風邪には一番効くみたい」
「嬉しいこといってくれるじゃないの。いいわよ、じゃ、また明日。お大事に
ね。ケータイもいいけど、ちゃんと食べてちゃんと寝ないと治らないわよ」
「お嬢さんも、お大事に」

おばちゃんはあっというまに身支度して荷物をまとめると、部屋を出て行っ
た。彼女は実にお喋りだが、仕事ぶりには文句のつけようがない。あたしは枕
元に置かれていたコカコーラを一口飲んでから、司書ちゃんの携帯にメールを
打ち始めた。彼女は、家庭の事情から、学校に携帯を持ち込む許可を得ている
数少ない生徒だ。や、実際にはみんな持ってるけど。ともあれ、今日中になん
としても片付けねばならない仕事を引き継がなくては。
ひととおり文面を作って、必要な各所にメールしたところで、あたしは枕に
顔を埋めた。一刻も早く回復しなくちゃ。


あたしは音楽準備室で犯されていた。口には丸めたショーツが詰め込まれ、
全身がバラバラになりそうな痛と息苦しさに耐える。男の動きはどんどん早く
なり、あたしは気が遠くなる。やがて限界に達した男は、なぜかハンドベルを
手に取ると、キンコンカンコン打ち鳴らしながら腰を振った。

キンコン、カンコン。キンコン、カンコン。

――夢の世界から戻ってきたあたしは、呼び鈴が鳴っているのに気づく。な
んともシュール。朦朧とする頭を振りつつ、ベッドルームのセキュリティパネ
ルに這い寄る。勧誘の類は守衛さんが全部シャットしてくれるし、宅急便は個
別のボックスで保管されるから、ドアベルが鳴らされるということはそれなり
に重要性のある用件ということだ。
モニタには、後輩が二人、雁首そろえて映っていた。あたしはため息をつい
て、要件を聞く。特に司書ちゃんのほうは、こんなところで遊んでいる暇なん
てないはずだ。水泳部のほうは、まあ、ジュースの買出しついでってこともあ
るだろうが。

「先輩ッ、会計部コンピューターのパスドアが分からなくって、それで電話で
聞こうっていう話になったんですけど、電話で網戸のパスドアなんて教えるは
ずがないだろうって会長が言うから、お使いに来ましたッ!」

ずずっと司書ちゃんが画面に割ってはいる。

「……あの……adminでログインするパスワードがわからなくて……。メール
で送っていただいたり、電話の口頭というのも……あまり良くないと教わりま
したので……」
「ああッ、それだ!それです!アドミンで、パスワード!あははッ、コ
ンピューターで網戸って、何に使うんだろうって不思議だったんですよッ!
ドアノブはなんか関係ありそうだなって思ったんですがッ!」

頭がくらくらするのは、きっと熱だけのせいじゃないと思う。

「わかった。いま玄関あけるから。部屋番号は忘れてないわね?」
「……はい。そも、分からないとこのお電話をかけることも……」
「ああ、そうね。あたしも、随分調子悪いね」言いつつ、ロックを解除する。
「じゃあ、部屋で待ってる。ごめんね、ベッドルームまで来てもらっていい?
玄関まで出るの、ちょっと辛いから。鍵は開けとく」
「先輩ッ、でも玄関の鍵を開けるんだったら、玄関まで歩くんじゃ」
「……いいから、行こ。では、伺います……お休みになっててください」

すごいなあ。司書ちゃんに絶望させるなんて、たいした才能だよ。あたしは
手元のセキュリティパネルから、部屋の玄関のロックを解除すると、ベッドに
倒れこむ。

数分もしないうちに、騒がしい声(単数形)が近づいてきた。

「先輩ッ、無事到着したでありますッ!」

司書ちゃんは黙ってぺこりと頭を下げた。あたしはベッドサイドのメモ帳に
パスワードを書き、司書ちゃんに手渡す。水泳部が司書ちゃんの手元を覗き込
もうとしたが、彼女はそそくさとメモをポケットにしまった。良く分かってる。

「ええッ、意地悪しないでよぅ!いいじゃない、私にも見せてよッ!」
「……あなた、見たら大声で読み上げるから……」
「そうしないと覚えられないじゃないッ!」
「……それ、しちゃいけないこと」
「えええッ!うわあ、そうなんだ。あたし、学校にある私用のパソコン、パ
スワードを入れるとき、いつも声に出して確認してるけど、それってもしかし
てッ」
「あなた、何が何でも水泳を究めなさい。それしかあなたの道はないわ」
「言われなくてもですですッ!」
「分かっているならよろしい。じゃ、あとはよろしく。って、まだ午後1時じ
ゃない。授業はどうしたの?」

「……あの、先輩からメールを頂いたんですが、それが……」
「いくらあたしがメールしたからって、それで授業フケていいってことにはな
らないでしょ?」
「……いえ、その……ちょっと心配になって……受信箱だけ、保健室の先生に
見せたら、今すぐお見舞いに行って来い、と……」
「何が何だってのよ?」
「……ああ、やっぱり、ご自覚されてなかったんですね……こんな、です」

司書ちゃんが彼女の携帯をあたしに見せてくれる。メールボックスには、数
分刻みで50通ほど、あたしからのメールが入っている。あれ。こんなに送っ
たっけ。あー、いや、そういえば、1本送ったあと、書き忘れたことがあった
と思って追記を送って、ベッドに横になったら、気になったことがでてきたか
らメールを送って……

「ううっ、これはなんというスパマー。ごめん。心配かけちゃったね」
「……あの、それから、ゴミ箱には移しておいたんですが、こんなメールも」

あたしは一瞬きょとんとしたが、反射的に思い当たるフシに辿りついて、微
妙に青ざめつつ彼女の携帯を確認する。うわわわわ。わわわ。あわわわわわ。

「……意外と……情熱的、なんですね、先輩。もっと……プライベートも、ク
ールな感じかなって」

あたしは大急ぎで自分の携帯を確認する。膨大な数の送信済みメールの中に、
本来あるべきではないメールを発見し、いまさら心臓がバクバクする。

「どれどれッ。うわあ、こ、ここ、これはッ。これはッ」

水泳部に手元を覗き込まれても、今度は司書ちゃんは抵抗しない。やめてえ
ええ。よしてえええええ。

「先輩、あの……風邪で具合が悪いのは分かるんですが……でも、これって、
普通に返信メールで出せばいいだけ……なんじゃないかな、と……」
「とととにかく、そそそれ消しちゃって。しししし指摘してくれて、ありがと」
「びっくりしたんですよ……先輩、もしかして、私のことを……でも、先輩の
おかげで、彼とのセックスも上手くいくようになったし……先輩なら、いいか
な、って思うし……」
「ない。ないから。それはないから。よくないから」
「『お仕事を優先してください。私の風邪がうつったら大変なことになります
よ』って、なんだかナチュラルにラブラブですよッ。しかも仕事って、相手は
大人のヒトじゃないですかッ!うわあ、やっぱり先輩すごいッ」
「……『私の体調が悪いときのほうが、あなたが情熱的になるのはよく知って
いますし、私もやぶさかではありません』……立派な、ヘンタイさんですね…
…お二人とも……」

あたしは激しくうろたえながら、送信先を間違ったメールを正しい相手に送
りなおすことを優先していた。自分でもなんでそんなことをしているのか、さ
っぱり分からない。彼女たちが帰ってからでもいいじゃないの。

「……恋人にメールを送りなおすほうが大事なんですね、先輩」
「こ、こ、これは、その、いや、だから、心配させちゃいけないし、あのね、
彼はその、いろいろあるから、彼からのメール、彼の職場のアドレスから送っ
てきてたから、それで、そのままレスしちゃうと、彼が職場で大変なことにな
るでしょ?だから、ほら、彼の携帯に送ろうとして」
「……先輩。ちゃんとアドレス確認しました?先輩との連絡専用の携帯にメ
ールしないと……奥さんにばれちゃって修羅場ですよ……?」

あたしはぎくっとして思わず自分の携帯を確認し、そのときになってようや
く自分が司書ちゃんの誘導尋問に引っかかったことに気がつく。ああっ、もう、
全然頭が働かない。

「……ロマンチックですね、先輩……割り切った遊びと、真剣な交際の中間く
らいで、お互いに差したり引いたり……私も、いつかは……」
「いや、いや、いや、その、あれよ、そんないいものじゃないって!あこが
れちゃダメだって!」
「……先輩、やっぱり先輩がいないと、ダメなんです。いま生徒会室は、阿鼻
叫喚です……とてもじゃないですけど、お仕事できる状況じゃありません」
「会長があんなに使えないなんて思わなかったですよッ!」

おいおい。いやまあ予想はしてたし、事実なんだけど、そこまで言うか。

「……だから、1日でも早く、先輩には元気になってもらわないと……なのに
先輩ときたら、不倫相手とあっつあつの恋文を交換だなんて」

恋文ってあんたいつの時代の人間だ。

司書ちゃんがするりと制服のネクタイを外す。

「……左手、押さえて」。

ぼそりと司書ちゃんが言うと、水泳部があたしの左
手を押さえ込んだ。咄嗟に私は反応できず、うろたえているうちに右手も司書
ちゃんに押さえ込まれてしまう。力はないが、体重をのせられてしまうと今の
あたしでは抵抗のしようがない。
司書ちゃんはネクタイの一方をあたしの右手首に結びつけ、もう片方をベッ
ドの木枠に硬く結んだ。あたしの左手を押さえている水泳部のネクタイも抜き
取ると、同じようにあたしの左手を拘束する。

「……風邪を治す一番早い方法は、たくさん汗をかくことだって……私のおば
あちゃんが言ってました。だからいっぱい汗をかいてもらいます……汗以外の
ものも、いっぱい」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ、なによその民間療法。これ、ほどきなさい
よ。ちょっと、ねえ、ちょっと!」

あたしは身体をよじり、足をばたつかせて抵抗してみるが、あっというまに
息があがって、激しく咳き込む。荒い息をついているあたしを、司書ちゃんは
満足げに見下ろしていた。

「……じゃあ、まずは上から」

水泳部が顔を赤くして見守るなか、司書ちゃんがあたしのパジャマの上に手
をかける。わざとじゃないか(というか確実にわざとだ)というくらいゆっく
りと、ひとつずつボタンを外す。やがて、あたしの上半身があらわになった。
下着はつけていない。

「うわッ、やっぱり改めて見ると、先輩のおっぱい大きいですねえッ!いい
なあ。うらやましいなあ。あたしも高等部になったら先輩みたいな身体をッ」
「……おおきなおっぱいをたくさん揉むと、自分の胸も大きくなるって……お
ばあちゃんが言ってた」
「ええッ!そうなんだ!じゃ、じゃ、じゃあ、あやからせて頂きます、先
輩ッ!」

あたしはいろんなことに呆然としながら、水泳部が始めは躊躇いがちに――
やがて大胆に、あたしの胸を揉みしだいていくのを見ていた。司書ちゃんも愛
撫に参加する。右を司書ちゃん、左を水泳部に揉まれ、乳首を責められ、また
口で吸われているうち、彼女たちで遊んだ記憶が蘇ってきて、だんだん呼吸が
苦しくなってきた。

「……先輩、感じてるんですね。すごいエッチ」
「おおッ、ほんとだッ!そういえば先輩、ここが弱いんですよね?」

水泳部があたしの耳をぱくりと咥えた。全身に震えが走って、あたしは思わ
ず低くうめき声を出してしまう。

「……ほんとだ。先輩の声、すごく可愛い……」

司書ちゃんは胸を責める手を止めることなく、あたしの首筋に舌を這わせる。
舌はじっくりと首を舐めあげた後、鎖骨に、そして二の腕の裏へと動いていく。
耳と胸が訴える快楽の予兆が、小さな舌のもたらすくすぐったさで増幅される
のを感じる。

「お願い、ねえ、お願い、やめて、もうやめて……あなたたちにも、風邪、う
つっちゃうわ。お願い、ダメだって、あ、ああっ」

彼女らは無言であたしの胸を揉み、隠された性感帯を刺激し続けた。頭がぼ
ーっとして、視界がぼやけてきた。熱のせいで全身の関節が痛いが、それとは
別のところが少しずつ熱を持ってくる。
司書ちゃんがあたしの身体から離れる。彼女の舌のくすぐったさに骨抜きに
されつつあったあたしはほっとひといきついたが、すぐにその安堵は吹き飛ん
だ。彼女はパジャマの下に手をかけると、一気に引き剥がす。レースの飾りが
ついた、黒いショーツがあらわになった。

「……ああ、先輩ったら、先輩ったら……こんなひどい風邪なのに、やられる
気マンマンじゃないですか……彼氏を、勝負パンツでお出迎えですか……」
「ち、ちが、これは、昨日から」

そこまで言って、自分が更なる墓穴を掘ったのに気づいたが、もう遅い。

「……ということは、先輩の風邪は……昨日の情熱的な一夜のせいですか。あ
あ、もう……先輩の身体は、先輩だけのものじゃないんですから……もちろん、
先輩の恋人のものでもないですけどね……」

「……さて、先輩の嘘つき度チェックを……」

司書ちゃんはそう呟くと、あたしのショーツの中に手を突っ込んだ。反射的
に身をよじって逃れようとするが、両手を縛られているぶん分が悪い。
じりじりとした攻防戦の末、司書ちゃんの指があたしの女性の裂け目に触れ
た。細い指が、ぬるりとあたしの身体の内側に侵入してくる。あたしは眉をひ
そめて、快楽の予兆に耐えた。が、司書ちゃんはしばらくそうしていたかと思
うと、するりと指を引き抜く。

「……先輩は嘘つきだ……やめてほしくないって、身体が言ってますよ……」

司書ちゃんの指は、薄暗いベッドルームの中でもそれと分かるくらいに、あ
たしの体液で湿っている。

「だめ、だから、お願い、本当に、やめて……お願い……」

司書ちゃんは小悪魔のような笑みを浮かべると、ショーツそのものをじっく
りと引き剥がし始めた。さすがのあたしも本格的に抵抗する。水泳部があたし
の乳房から手を離し、腕組みをしながら言った。

「まったく先輩、素直じゃないんだからッ!そういうのをツンデレって言う
んですよね!」

いや、違う。ツンデレの定義問題に関わるが、多分違う。

「しょうがないなぁ、先輩は。じゃあ会長直伝の弱点を責めちゃいますッ!」

水泳部はとんでもないことをハキハキと宣言すると、あたしの足を取った。
力の強さは段違いだ。あたしは何をされるのか悟って一層激しく抵抗しようと
したが、バタフライで学年記録を持っている彼女の力にはまるで及ばない。
彼女はあたしのつま先をぱくりと咥え、足の親指と人差し指の合間に舌を絡
めてきた。思わず全身から力が抜ける。

「ひ、ひやぁ」

間抜けな呻きが漏れてしまった。

「や、だめだっ、てば、口でなんて、汚い、よ、あ、ああ、だめ、あふっ」

足に気をとられているうちに、司書ちゃんの指があたしの肉芽を探り当てる。
いつのまにか、ショーツはしゃぶられている足の足首に引っかかっているだけ
になっていた。

「……先輩、パイパンだったんですね……先輩のご趣味ですか?それとも不
倫相手の……?」

あたしは顔を真っ赤にしながら、無意味に首を振る。司書ちゃんの愛撫は、
羽毛でなでるような繊細さで、乱暴な刺激に慣れきったあたしには物足りない
と同時に、未知の快楽を刺激する。それに、足の指とその間周辺はあたしの密
かな弱点だが、舐められるのは初めてだ。
司書ちゃんの顔が、あたしの秘所へともぐりこむ。身構えるより早く、ざら
っとした感触が肉芽を刺激した。思わず腰が浮き、全身からどっと汗がふきだ
し――それと一緒に、裂け目から体液が滲み出す。

気がつくと、あたしは大きな声を上げていた。二人はあたしの声に背をおさ
れるように、いっそう大胆に舌を使う。目の前がちかちかして、足が笑い始め
た。呼吸の浅さと熱さを感じる。過呼吸気味なのか、脇腹が痛くなる。
舌が秘所に潜り込んだ。あたしはひときわ大きな声をあげる。猫が水を飲む
ようにぺちゃぺちゃと、舌が敏感な襞をかすめていく。全身から滴る汗が止ま
らない。意識は朦朧としているけれど、鈍痛のような快感が、脊髄から全身に
向かって脈打っている。もう、どこにも力が入らなかった。
あたしがぐったりとなったのを見計らったように、司書ちゃんが頭を起こす。
掘り起こされた快楽の熾火は、私の内側でくすぶり続けていた。水泳部も足を
離し、あたしはベッドの上で大の字になる。全身がジンジンする。

「……先輩、ご要望どおり、やめてあげましたよ……」

あたしは声をだそうとしたが、意味をなさない呻きにしかならなかった。司
書ちゃんは微笑むと、あたしの下腹部を指差す。

「……それで、これはいったいどういうことなんでしょう……?」

焦点のあわない視界の中で、あたしの腰は無意識のうちにうねっていた。自
分でもどうかしていると思うが、どうしようもない。シナプスから髪の毛まで、
全身のあらゆる場所が腫れぼったい。
あたしは搾り出すように言葉を吐き出した。

「お願い……イカせて……最後まで、して……やめないで……」

二人の顔が、この上なく可愛らしい笑顔になる。

ちょうどそのとき、玄関のベルが鳴った。   (前編・完)






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