一人の人間が、その日死んだ
シチュエーション


「あぁ……はぅん……」

ゆっくりと、ゆっくりと、ひたすらに時間をかけて抽送されるそれを、
彼女はもどかしさと共に見つめていた。

「ぅうん……あ、はぁ……」

ゆっくりと、ゆっくりと――

「うぅぅぅ……んはぁ……」

彼女は性感を刺激される心地よさよりも、
もはや苛立たしさの方をより強く感じている。

「いや、いやぁ、もっと――」
「もっと……なんだい?」

そしてそれは、それを彼女の中に突き刺す男の、狙いの通りの情動であった。

「そ、それは……」
「もっと、どうしてほしいんだ?」

一週間。その僅かな、それでいて果てしない時間の間に、
乙女であった彼女は女となり、性の喜びを知り、
数え切れぬ程の絶頂を味合わされた。
それでも、彼女は自分を捨てなかった。
自ら求めた事は無い――その最後の矜持を砦と為し、
男たちの喜びという苦しみを与える拷問に耐えてきたのだ。

「もっと……もっと……いや……いやぁ……」
「素直になればいい……」

……しかし、それももう限界なのかもしれなかった。
男のささやきが耳朶を打ち、瞳は霞がかかったように男の顔を判別しない。
くっきりと見えるのは、男の“モノ”だけ……

ただ喜びを与えるだけでは彼女は堕ちない。そう判断した男たちは、
ひたすらに彼女を責め抜いた後、唐突にその責め手を断ったのだ。
最初その事をいぶかしみながらも喜んだ彼女だったが、一日もしない内に
自らの体の反応に絶望することとなった。
欲しい。欲しかった。男たちのソレが。喜びと苦しみとが同時にもたらす責めが。
男のそれが一日ぶりに中に打ち込まれた時、彼女は笑みすら浮かべた。

そして嫌悪した。自らの体の反応に。
ことここに至ってまで、己を堅持するその瞳の光を見た男たちは、
最後の仕上げに取り掛かった。

ゆっくりと、ゆっくりと――
性感の刺激と、上り詰める事を許さない弛緩。
その繰り返しに、彼女の中の砦は――

「もっと……もっとかき回してぇぇえええええ!!!!」

――遂に、崩れた。

そこからは早かった。
彼女の瞳の光が消えたのを見て取ると、男たちは彼女に群がった。
彼女の中にそれを突き刺していた男は、一気に抽送の速度を上げ、
それまで控えていた男が、彼女の後ろに自らの“モノ”を突き立てる。

「ああっ、あふぁ、ああん!……あああああっ!!??」

彼女の体が弓なりに引き絞られ、噴出した潮が男を濡らす。

「あひぃ、あ、あふ、ひゃ、ひぃいいいい!!!!!!」

反った体は戻る事無く、彼女のソコからは断続的に潮が飛ぶ。

「う、ぃろ……うしろもぃい……いぃいいいいい!!!!」

真っ白だった。
もう、何も考えられない……いや、考えられないのかどうか
判断することすらできない。忘我の境地で、彼女はただ喘ぎ、啼いた。

一人の人間が、その日死んだ。
そして、一匹の雌が、この世に生を受けたのだ。






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