不良とお嬢様 制服
シチュエーション


大して面白くもない仕事を終え煙草を吸いながら家へ帰ると、
顔色を窺うようにババァが居間から覗き込む。
扉が閉まる音にババァがビクリとするが、いつもの事なので気にしない。
玄関に置いてある灰皿で煙草をもみ消し、ごつい安全靴を脱ぎ捨てる。
むわりと蒸れた足のにおいが鼻をつくが、すぐに煙草の残り香にかき消されてわからなくなった。
そのまま風呂場に向かい、今日の疲れを全部洗い流すようにシャワーを浴びる。
今日はもしかしたらこの後……なんて想像しながらいつもより丁寧に体を洗い、
新しいトランクスを履いて戦闘準備を整える。
シャワー後はトランクス一丁で台所まで行き、350ml缶のビールを一気に飲み干す。
火照った体に染み渡るホップの効いた味わいは、今日一日の疲れをどこかに吹き飛ばすほどの美味さだった。
昔はトランクス1枚で家の中をうろついていたらババァがなんらかしか文句を垂れてきたものだが、
最近は何も言うことはなく遠巻きに見ているだけだ。

「さてと、そろそろ着替えるかな」

2本目のビールを開けたところで時計を確認すると、約束の時間まで2時間を切っていた。
さすがにそろそろ準備しなくてはと部屋に戻ると、
ベッドの上に投げておいた携帯電話が光ってメールの着信を知らせていた。

「なんだよっ……めんどくせぇなぁ」

どうせ高校時代のツレからの「飲みに行こう」メールかと思って開いてみると


件名:ごめんなさい
差出人:つかさ

今日の撮影が長引きそうで帰れそうにありません。
後日改めてお会いしましょう。


「あー! くそぅ!」

メールは『つかさ』が今日会えなくなったということを知らせるものだった。
もしかしたら人気モデルと一晩2人っきりで過ごせるかも?
という淡い期待が潰えたことに、どうにもイライラが止まらない。

「てめぇから誘ってきたくせに! っざけんなっての!」

怒りに任せ、わざわざ押入れを漁って見つけ出した中学時代の写真や授業ノート、
さらには通知表や賞状までが詰まった段ボール箱を蹴りつける。
すると、キックの衝撃でダンボール箱が大きく動き、
上に置いてあった平べったい箱が宙を舞ってその中身をぶちまけた。
防虫剤とは違う柔らかな香りとともに、濃紺色の布地がふわりと床に広がる。
中学時代に来ていたブレザーと、揃いのスカート。それにブラウス。
襟元につける赤いリボン。
5年前まで毎日のように着ていた懐かしい制服が目の前に散らばっている。
何もかも持っていこうとしている『つかさ』に渡す、中学時代の思い出の品の1つだ。

「めんどうくせぇ」

しわになる前に片づけようと制服のスカートを持ち上げる。
これを美少女でクラスの人気者だった『サイトウツカサ』が着ていたのか。
そう思うと、いつもとはまったく違う種類の興奮で脳がしびれてくる。

「ま、これはまだオレのモノだしな……」

別に誰も見ていないにもかかわらず、言い訳をしながらスカートに脚を通す。
その瞬間、何とも言えない甘く痺れるような電撃が全身を貫いた。
スカートを履いている。
ただそれだけのこと。
生物学的には『女』であるオレが女性の衣服であるスカートを履いて興奮するなんて、
本来だったらありえないこと。
しかし、高校の3年間を不良男子学生として過ごし、また野郎ばかりの職場に務める今のオレにとっては、
スカートは『異性』が身に着けるものであり、それを纏っている人間に性的興奮を覚えるものなのだ。
そのはずなのに……そうなのに……。

「は、ははは……まだ入るものなんだな」

150cmぐらいだった中学時代に比べると身長にして約20cmも大きくなったにもかかわらず、
スカートは腰のファスナーとホックも閉じることができた。
こうなってくると、もう止まらない。
ちゃんと制服が着たくなって、一旦スカートを脱ぎ捨ててブラウスに袖を通す。
普段着ているシャツとは逆の合わせに苦労しながら、なんとかボタンを閉じきる。
さすがに首回りが全然違うため一番上のボタンまでは止まらなかったし、
動くと破れてしまうのではないかと思うほどピチピチだが、
『ブラウスが着れた』という事実がさらに行動を加速させる。
改めてスカートを履き、襟元にリボンを留め、ブレザーを羽織ると、
首から下だけはまるで中学時代にタイムスリップしたかのような、
そんな錯覚さえ抱かせる格好へと変貌を遂げた。

「うわ、オレ『サイトウツカサ』の制服着ちゃってるよ……」

あえて『サイトウツカサ』とその名を口にすることで、
今や人気モデルとなった斉藤司が中学時代に着ていた制服を身に纏っているような気分になる。
髪型を整えるときに使う小さな鏡に映る姿は、どこからどう見ても野郎が女装しているようにしか見えないのに
いつもオカズに使っているエロ本や巨乳系AVを見ている時と違う、それでいて同じ種類の欲求が全身を支配していく。
自然と指が股間に伸びる。
指先に触れた俺の『ペニス』は、今までにないほど硬くなっていた。

どのぐらい時間が経っていたのだろうか。
何回ヌいたかわからないほど、激しくオナニーをしてしまった。
ヌいたあと冷静になり、なんで女物の制服を着てあんなことをしてしまったのだろうかと
激しく後悔するばかり。
少ししわになった気がする制服一式を慎重に畳んで箱に入れ、ベッドから見えない場所へと仕舞い込んだ。
どうせ一時の気の迷い。
もう2度と女物の服なんて着ることはない。
そのままベッドに潜り込んで忘れることにした。
しかし、これがまさかあんな自体を引き起こすなどとは、神ならぬわが身には思いもよらなかった。






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