ゆあ・ゆうじぁりー
シチュエーション


自分はロリコンだ。
彼は常々そう公言して憚らない。
それをオタクのキャラ作りとして捉えるか、
変態呼ばわりして遠ざかるかはその言葉を受け取る人さまざまである。
そしてそんな彼が今ご執心なのが、8歳になる姪の結愛(ゆあ)だ。
結愛の母である彼の姉は、オタク趣味でロリコンだのとのたまう彼に対し良い感情をもつ訳もなく、
さりとて強く拒絶しない程度で自分の娘を遠ざけている節がある。
だが結愛の事を猫可愛がりする叔父の彼を当の結愛は好いており、
おじいちゃんとおばあちゃんの所に行くという名目で度々訪れている。
そして今日も結愛は学校帰りに遊びに来ていた。

「悠二おじちゃん遊びに来たよ〜」

部屋のドアを開けて結愛が姿を見せる。

「おお、結愛ちゃんいらっしゃい」

満面の笑みで結愛を迎える青年の名は悠二。
ロリコンと公言して憚らない彼、その人だ。

「よく来たね。結愛ちゃんに良いものをあげよう」

言って取り出したのは、女の子向けアニメキャラのビニール製ナップサックだ。
中はお菓子がつまっている。

「わぁスイートプリキュアだ。やったぁーありがとう悠二おじちゃん」

受け取り喜びはしゃぐ結愛。
結愛はこのアニメが大好きだ、
悠二も心得ており近所には無いものをこうしてわざわざネット注文で取寄せたりしているのだ。
結愛のためのリサーチは抜かりがない。

「結愛ちゃん、プリキュアオールスターズDX3の映画観るかい?」
「え?見たい見たい」

今度はアニメで釣る。
実はこの映画は劇場公開中の作品で、まだDVDになどになってはいない。
では何故映像があるのかと言えば、要は違法なものなのだ。
犯罪であるのだが、結愛に好かれたい悠二はそれに構わずダウンロードをしたのである。

「じゃあ、結愛ちゃんこっちにおいでよ」

悠二はノートパソコンを床に置くとソフトを起動させる。
そして胡坐の上に結愛を座らせると悦に浸るのだった。
結愛も真剣にアニメに見入っている。

「(うぉ〜俺は今猛烈に幸せを感じている)」

声には出さないが悠二は萌えまくっている状態だ。
さり気無く結愛の頭に手を置いたりしている。
撫でると結愛の気が散るのでそれはしない。

「(妖精?いや天使だ。天使が俺の膝の上に居る)」

悠二の弛緩したニヤケ顔は真剣にアニメに見入っている結愛には見えないのは幸いだ。
そしてアニメも中盤に差し掛かった頃だ。
突然ノートパソコンが変調をきたしたのだ、画面がフリーズしビープ音が鳴っている。

「あー止まっちゃったぁ」

残念そうな声を上げる結愛。
悠二は焦り結愛を膝の上から下ろす。

「なんだ固まったか?ごめんな結愛ちゃん、直ぐに直すから」

強制終了をさせようと電源を長押しするのだが反応がない、
ビープ音はいつまでも続き苛立ちを掻き立てる。
ノートパソコンなのでコンセントを抜くと言う荒業も使えない。

「このっ」

苛立ちに任せキーボードを闇雲に押すが効果の程は無い。
がっかりしている様な結愛の表情に悠二はますます苛立ちを募らせる。
そしていよいよもってバッテリーを取り外そうとしたその時、
鳴り響くビープ音が奇妙な旋律を奏で出した。

「なんだ?」

異変はそれだけではない、
モニターより靄の様なものが広がりだし部屋全体を包みだしたのだ。

「げっ!煙でたか?」
「大変だぁ火事だよ」

2人は慌てて声をあげたのだが、
靄はさらに広がり危険を感じた悠二が結愛を抱きかかえ逃げようとする。
だがその靄は急に収束したかと思うと小さな球体となりボンッと音を立て消えた。

そして、靄が消え去りそこにあったもの、
それはファンシーなマスコット的な何かだった。

『やあ、ボクの名前はペルペル。魔法使いだきゅん』

そしてそれは言葉を話した。

「うわぁ〜かわいい〜」

結愛は無邪気に喜んでいる。

『お願いを叶える為にやってきたのだきゅん』

犬なのかウサギなのか?その容姿はぬいぐるみとしか言いようがない。

『さあ、願いを言うのだきゅん』

しかもこのきゅんきゅん言うたれ耳ウサギは願いを叶えると言う。
オタクの順応性と言うのか、性と言うのか悠二はすぐにその言葉に反応する。

「ならば叶えて貰おう!世界をこの手に!今こそロリの帝国を!! ジーク・ロリ!」

アホだ、アホが居る。

『お前の願いは受け付けてないきゅん。お願いできるのは女の子限定だきゅん。
そこの女の子、お願いを言うのだきゅん』

言われ結愛は瞳を輝かせる。

「あたし?うーんとね、結愛はプリキュアになりたい」
『ゴメンだきゅん。残念ながらそれは叶えられないきゅん』
「なんだ?いかにも魔法少女のマスコットな姿してるくせに出来ないのか?」
『仕方がないきゅん。ペルペルの魔法は存在のエネルギーを扱うものだきゅん。
だからこの世界に存在しない力は与えられないきゅん』
「使い勝手悪いな。じゃあ、もしアイドルになりたいとかお姫様になりたいとかだったら出来るのか?」
『それなら出来るきゅん。この世界に実在する存在なら大丈夫だきゅん』
「だってさ、結愛ちゃん。」
「えー、プリキュアは本当にいるんだよ」

結愛はプリキュアが本当にいると信じている。
悠二も結愛のそんな夢を壊すのは忍びないのでそこは否定しないでおいた。

「結愛ちゃん、大金持ちになりたいとかお願いしたら?」
『お前の卑しく浅ましい矮小な願いを押しつけるなきゅん』
「こいつ結構毒舌系なのな。まあ、今の流行りと言えば流行りなんだが」
『そんなの知らんきゅん。勝手に定義付けるなきゅん』

悠二はずいっと顔をペルペルに近づけると値踏みするようにじろじろと観察する。

「可愛いくファンシーな姿で毒舌はかなりのポイントだ。
おまえ女子受けをかなり意識したキャラ作りしているな」
『お前と一緒にするなきゅん』
「しかしだ、何故に語尾がきゅんなのだ?
ペルペルという名前からしてそこはペルと付けるべきだろう?」

悠二的にそこは重要なポイントらしい。

『大きなお世話だきゅん。語尾はアイデンティティとして大切な所なんだきゅん。
お前なんかにとやかく言われる筋合いは無いんだきゅん』

いきなり現れ願いを叶えるなどのたまう不思議生物に対し、
物怖じせず応対する悠二はやはり普通ではない。
そんなやり取りをしている中、
結愛は何かを考えていたかと思うとペルペルの側に近付きそっと顔を寄せた。

「ねえねえ、ペルペルお願いの事なんだけどいい?」

言って小声でごにょごにょと耳打ちする。

『解ったきゅん。そのお願いなら大丈夫だきゅん。ちょうど良いのがそこに居るきゅん』

言う悠二を見るペルペルの目が怖い。

「な、なんだその目は?まさか生贄にする気か?」
『いたいけな女の子の願いを叶えるため協力するのだきゅん』

ペルペルが何やら呪文を唱え短い手をかざすと悠二と結愛の周りに紋様文字の様な陣が浮かび始める。

「ぬを、立体複合魔方陣だと!? ハイレベルな術式をするとは!」

オタクはと言われる人種はしばし普通の人には解らない大声を上げるものだ。
悠二の言うそれが正しいのか解からないが、
周りの紋様は悠二と結愛を包む様にどんどん増え膨張して行く。

『マンナズ ペルペル!』

ペルペルの呪文が唱え終ると同時にそれは集束し、
ポンっと言うやけにコミカルな音と共に白い煙の様な靄とカラフルな星模様を撒き散らしたのだった。

部屋には裸の女児と裸の男が倒れている。
もしここに誰かが入ってきたのなら確実に事件を疑わないだろう。
犯罪の類で。
そこで動くのはたれ耳ウサギのぬいぐるみ、ペルペルだけだ。
ペルペルは倒れている女児に近付くとその短い手でゆり起こす。

『結愛ちゃん、起きるきゅん』
「う〜ん」

女児が気が付く。

『お願いは叶えたきゅん』
「ほんと? やったぁ〜。あれ?服着てない??それに何も変わって無いよ〜?」
『ちゃんと叶っているきゅん。
結愛ちゃんの大人になりたいと言うお願いと男の子にもなって見たいと言うお願いをボクの魔法で叶えただきゅん』
「ぜんぜん叶って無いよ〜」
『ボクの魔法では姿形は変化させられないのきゅん。
でも存在の置き換えにより結愛ちゃんに大人の能力と男の能力を与える事が出来るのだきゅん。
しかも周囲の認識もそれに合ったものに変換できるのだきゅん』
「う〜、よくわかんない〜」
『ぶっちゃけ言うと、見た目変わらなくても結愛ちゃんは大人の男性と同じ事が出来て周りからもそう見られるって事だきゅん』
「そうなの?」
『さらに言うと、結愛ちゃんはそこの転がってる奴になったんだきゅん』

素っ裸で床に倒れている男、悠二を据えた目で一瞥するペルペル。

「あたし悠二おじちゃんになったの?」
『そうだきゅん。代わりにそこにいる奴は結愛ちゃんになったんだきゅん。
試しにベッドの上まで運んでみるきゅん』
「え〜、重たくて無理だよ〜」
『大丈夫だきゅん。結愛ちゃんはそこに転がる男になってるきゅん。
逆にそこにいる奴は結愛ちゃんになってるからとっても軽くなってるきゅん』

言われて結愛は恐る恐る悠二を持ち上げて見ると本当に軽々と持ち上がった。

「うわぁ〜ほんとだ凄い〜」

悠二を抱えベッドに運び結愛はペルペルの言う事をようやく信じて理解した様だ。

『解ってもらえたできゅん?じゃあ、結愛ちゃん服を着るといいきゅん。
もちろん着るのはあいつが来ていた服だきゅん』
「うん、分かった〜」

素直に言われた通りにする。
大きいはずの悠二の服は結愛が着こむと何故か丁度良いサイズになり、ぴったりだ。

「これでわたしは悠二おじちゃんだね〜」
『そうだきゅん。それで大人の男になって結愛ちゃんは何がしたいきゅん?』
「うんとね。いろいろあるよ〜」

結愛とペルペルが話をしていると、ベッドに運ばれた悠二に動きが見えた。

「う、いったい何の魔法だったんだ?」

目を覚ました様だ。

「って裸じゃねーか、スケベ魔法かおい。野郎を脱がせてどうするんだよ」

身を起こすと悠二は自分が服を着ていない事に気づきぼやく。

『あ、馬鹿が目を覚ましたきゅん』
「誰が馬鹿だ、誰が」
『お前がだきゅん。そんな事よりとっととその服を着るきゅん。見苦しいきゅん』

言ってペルペルが示したのは結愛の服だ。

「アホか?なんで俺が結愛ちゃんのを着なくちゃならん」
「悠二おじちゃんは結愛になったから、結愛の服を着るんだよ」

横から結愛が口をはさむ。

「結愛ちゃんまで何を。って結愛ちゃん?それは俺の服?でもサイズがぴったり??って言うかこっちは見ないでね」

結愛の存在を思い出し照れる悠二。

「大丈夫だよ。悠二おじちゃんパパと一緒だって知ってるもん。
パパねお風呂に一緒に入ってくれるんだよ」
「なにっ!?お風呂だって?(くそう、結愛ちゃんと一緒に入りたいぜっ!)」

そんな事、結愛の両親が許す訳が無い。
もし実行したとして、その後は姉から親に告げ口されて説教を延々とさせた上に、
結愛に二度と近づけない状況にされ、さらに人間関係は崩壊悪化の一途を辿るだろう。

『お前何を考えてるきゅん?変態通り越して犯罪者だきゅん。この変態犯罪者きゅん』
「人を犯罪者扱いするな」
『まあ聞くんだきゅん、結愛ちゃんのお願いを叶える為に、お前と結愛ちゃんの存在を入れ替えただきゅん』
「なるほど。そう言う魔法か」

普通ならそこは在り得ないとか騒ぐ所だが、たったこれだけの説明であっさり納得する悠二。
面倒が無くて良いが人間性としてはどうなのだろう。

『解ったらさっさと服を着るきゅん。きっと見苦しいのは変わらないけど今よりはましだきゅん』
「そうか…。 だが断る!」

悠二はこぶしを作り「くわっっ」と言う表情で言い放つ。
素っ裸で。

「よしんば俺が結愛ちゃんになっているとしても結愛ちゃんの服を着なければならないと言う道理は無い! 
俺は自分の服を着るぜ」

悠二はベッド下の収納からトランクスを出すと素早く穿く。

「ありゃ?」

穿くのだが、それはぶかぶかのサイズになり直ぐにずり落ちてしまう。

『お前は結愛ちゃんになっているから、
着る服のサイズもそれに合わせて自動変換されるきゅん。だからあきらめるきゅん』
「なんと!?」
「もう、悠二おじちゃん、いい加減服着なきゃダメだよ。結愛が着せてあげる」

言って結愛はパンツをとると悠二に近付き穿かせようとする。

「あ、ちょ、結愛ちゃん待って」

悠二は抵抗しようとするのだが、簡単にひっくり返された。

「お着替えしっかりしましょうねぇ」

小さいはずの結愛の女児ショーツをするすると足に通し、しっかり上まで引き上げる。
その変態行為に少しぞくぞくしてしまう悠二。
ショーツのサイズはぴったりになる。
日頃悠二は、プリキュア好きの結愛の下着はきっとプリキュアのアニメプリントの物だろうなと勝手に想像している変態であったが、
その予想に反してショーツは赤いタータンチェックの可愛いものであった。
それは結愛の母親が二年生にもなってプリキュアショーツは恥ずかしいだろうと言う育成方針によるものだ。
いまどきの一人っ子の例にもれず、結愛の服にはかなりお金が掛かっている。
しかも女の子全開な可愛い服を親は好んでおり着せる事が多い、
結愛自体はわりと活発な性格をしており趣味が微妙に違って来ていたりするのだが、それはこの際置いておく。
とにかく今ある結愛の服が可愛い系の服なのだと言う事を述べておく。

「次はうえ、はーい手をあげてバンザーイ」

言われ抵抗もせず両手をあげる悠二。
結愛は頭からリボン通しの水玉プリントのキャミソールをかぶせる。
もともと結愛に弱い上に力でも抵抗できない悠二は、すっかり言いなりで着せ替え人形状態だ。

「じゃあ今度はまた下のだよ。はい、足あげて」

今度は下穿きのフリルとレースが可愛いペチパンツを穿かされる
女児下着姿の自分を見下ろし悠二は、自分はロリコンだがこれは違うなとひしひしと感じている

「なんかアレだな、これ何てエロゲ?ってやつか?」

ヤケクソ気味につぶやく。
結愛はお構いなしに着せ替えごっこを楽しんでいる様子で、
パフスリーブのカットソーに2段フリルのスカート、フリルフードのリボン付きパーカーを着せられ、
最後にはハートのクルーソックスに同じような柄のレッグウォーマーをルーズに履かされた。

「かんせ〜い、悠二おじちゃんの結愛の出来上がり〜」

結愛は着せ替えが楽しくて仕方がない様子でご機嫌だ。

『お前のその恰好は絶対変態だきゅん』
「うるさい黙れぬいぐるみ」
「めっ、女の子はそんな言葉づかいしちゃダメでしょ」

着せ替えの延長で結愛は悠二を女の子扱いして遊んでいる様だ。
ただ悠二はその「めっ」の仕種が悠二の萌えにツボった様で恍惚としている。

「ほら、ペルペルにゴメンなさいしないと」

促され、仕方なしに悠二は頭を下げる。

「ごめんなさい」
「情けない奴だきゅん」
「な!?この」

謝罪の言葉に対し馬鹿にされ、憤る悠二だったがいきなり結愛に後ろから抱きかかえられてそのままお姫様抱っこをされてしまう。

「はーい、怒らない怒らない。ペルペルも悪いよ〜」

抱っこされた悠二は思わず結愛の首に腕を回し自分からしがみ付いてしまう。
だいの男をお姫様抱っこする女児、普通在り得ない光景だ。
だがこの光景が存在の入れ替わりと言う事を語っているようではあった。
そして、そんな事をしている中の事。
悠二の部屋のドアがノックされる。
そして女性の声が聞こえた。

「悠二、結愛来てるでしょ?入るわよ」
「げっ、姉さん!?」


ドアを開け、部屋に入ってきた人物それは悠二の姉、結愛の母親だったのだ。






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