小悪魔
シチュエーション


ぷしゅーっ。

後ろで電車の扉が閉まる。

かなり人が多くて、ぎゅうぎゅう詰めのラッシュの時間帯。


ただ、ラッキーだったのは、目の前にいる女子高生。


セーラー服に短めのスカート。

大きな眼鏡と、健康的なショートカットと大きな瞳。

文学少女、というよりは、目の悪いスポーツ少女という雰囲気だった。


はち切れそうなおっぱいに健康そうなふともも……

背は低く目で、俺の鼻のところにちょうど頭が来て、青リンゴのような甘い

シャンプーの匂いがする。


痴漢に間違われないように両手を挙げて吊り輪をつかみ、

電車内がぎゅうぎゅうの中で女子高生と密着しそうでしない。

がたんがたんと揺れるたびに、

セーラー服の女の子にくっつきそうでくっつかない。

そんな体勢。


だが気をつけなきゃ。

痴漢と間違われないように、出来るだけ離れないと――


「……っ!」

女の子のおっぱいが、俺の体に当たる。

いや、当ててきた……?

そんな、まさか……



だが、俺は気付いた。

少女の顔に浮ぶ、イタズラっぽい笑顔を。



さわり……

少女の細く柔らかい指先が、そっと俺のズボンの上に触れた。

俺が声を上げそうになり、少女の顔を見ると――

唇に人差し指を当てて、「しー」と言わんばかりのジェスチャーをしていた。



ズボンの上からペニスの輪郭をなぞり、

手で優しく覆ってゆっくりゆっくりと上下に擦られる……


女子高生の顔を見ると、

「くすっ」と言わんばかりの妖艶で可愛らしい微笑を浮かべている。


セーラー服の女子高生がおっぱいやふとももが密着させて、

俺のズボンを擦っていく……!


それだけでも興奮してしまうのに。


『……』

女子高生は口をぱくぱくさせて、俺に何かを伝えようとしていた……



(が・ま・ん・し・な・い・で……だ・し・て)



「……っ!」

最後に女子高生が唇をすぼめて、キスするようなジェスチャーをすると、

しこしこと手コキのスピードが速くなって……!


きーっとブレーキが鳴って。

女子高生が、俺の耳元に近づくと。



「――出・し・て・い・い・よ。お・に・い・さ・ん」



「……っ!」



俺はもう限界だった……

「○○駅ー。○○駅ー」

電車が止まり始めた。

俺のズボンの中はもう、精液でびちゃびちゃ……

恥ずかしくて、壁で股間を隠し、

誰にも見えないような体勢を取らなければならなかった。

女子高生が、外に出て行った。

俺が目で追っていくと、最後にニッコリと笑いかけられてドキリとしてしまう。


そして――

少女は手に何かを持っていた。


それは、財布。

俺の持っているのと同じ、茶色い皮のって……!


俺はポケットを弄り確認した。

サイフがない!


電車の扉が締まる。

少女は、俺に可愛らしくウインクする。

そして、唇だけで言った。


(ま・た・あ・い・ま・しょ。お・ば・か・さ・ん)


電車が出発し、少女は遠ざかっていく。

その表情はまさに、小悪魔の笑顔だった。






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