テクノブルー3
シチュエーション


青井の視線が釘付けになるのを確かめてから絵美華は
じわじわとファスナーを下げてゆく。恥じらいのせいで
なかなか指が進まないといった風を装いながらも、
その実は計算され尽くした淫らな動きだ。

清潔感のあるピンクのジャージは内側の圧力に耐えかねて
左右に押し広げられつつも、絵美華の胸の先端にある突起に
引っかかりそれを隠している。
レオタードは黒に近い藍色で、色合いだけは禁欲的だった。
大きくてねっとり揺れる胸にもなめらかな腹部にも、そして豊
かな腰回りにも密着して、慎むべき所は決して見せない衣装。
しかし、それはただの言い訳で、実際には肌に密着してその内
側の美味な肉体の形状を余さず映し出しているのだ。

現に今だって、乳首だけは引っかかったジャージの影に隠れ
ていても、汗に濡れた薄い布地は乳輪の膨らみまで再現してし
まっている。
二の腕に挟まれて、まるで絞り合うように寄せられた双つの
乳の間から、あの麻薬のような甘い匂いが、もはや目に見える
ほどの濃さでゆらゆらと立ち上り、青のことをくらくらと惑わす。

……ごくり。

青井ののど仏が動くのを見て、偽絵美華――セダキナは内心
で笑いを漏らす。

(うふふふ。見たいのかしら?――見て良いのよ。
その代わり、この甘い匂いを胸いっぱいに吸い込むの。
ほぉら、えっちなおっぱいでしょう?
大きくて、柔らかそうで、むにむにと身体を寄せ合って
形を変えて、あなたを包んであげれば、すぐにでも天国に
連れて行ってくれそうでしょう?
それがあなたの大好きな、レオタードに包まれているの。
ほぉら、だんだん目が血走って来ちゃってる。
ふふふ、アレのことしか考えられなくなってきた?
おばかさん。ふふふふ)

セダキナは一瞬狼狽はしたのだ。

毒の淫香をかがせ、誘惑の言葉で絡めとり、ブルーの口から
好意の告白を引き出す寸前まで行った。ブルーのようなプライ
ドの高い少年(セダキナにとって彼の年齢は、正に少年でしか
ない)は、一度好意の言葉さえ言ってしまえば、抑制を失って
自分から深みにはまるはず。セダキナはそう確信していた。
しかし、その直前になってセダキナの蠱惑化身の唯一といっ
ても良い弱点、この髪飾りを見破るとは。そして見破った後の
雷のような動きと捕縛術。驚愕すべきなのは、あれだけ幾重に
も絡め取った魅惑の罠を、妖花の髪飾り1つの疑念で全てを振
り切った、その意志の強さと正義の心。それはまさに、流石
テクノレンジャーとしか云いようが無いものだった。

しかし、だからといってその身体に染み込ませた、粘りつく
ような甘い淫香が抜けているはずも無い。そのうえ……。
ムチムチと肉鳴りをしそうなほど豊満な二つの美乳、それが
油でぬらしたような淫美な輝きをはなつ薄手の布地に真空パッ
クのように包まれて、絵美華が身体をよじるたびに揺れている
のだ。

(ほぉら、好きなんでしょう?絵美華のレオタード姿が。
毎日毎日妄想してたんでしょう?
絵美華が身体にぴっちりした、胸の大きさもお尻の形も
全部判っちゃうようないやらしい衣装をつけてる姿を。
ふふふ。そうよねぇ、こんな身体を裸同然の格好で
跳ね回って動かれたら、えっちな妄想もふくらむわよねぇ。
あんっ。目が追いかけているわよぉ?
ブルー。離せないのかなぁ?こ・こ・か・ら)

青井の視線を十分に意識したように、申し訳程度にジャー
ジで胸を隠すそぶりを見せる絵美華。しかしそのサイズの胸は、
一度ファスナーを解放したらなかなかジャージで隠しおおせる
ようなものではない。自らのボリュームと、恥ずかしげな、そ
して青井の拘束に痛むフリをする絵美華の身もだえで次第にジ
ャージははだけて、胸の谷間を見せつける。

「痛い……。ねぇ、ブルー。どうして?その手をゆるめて?」

絵美華は涙を溜めた瞳でブルーを見上げながら懇願する。し
かし、青井はなおも意志強固だった。欲望に濁った瞳をぎゅっ
とつぶると、頭を二三度振る。

「だめだ。桃山。……何かおかしい。今まで何をしていたんだ。
その髪飾りはどこで手に入れたんだ。今日の桃山は……なんだ
か優しすぎるっ」

誘惑に負けないように必死に言葉を続ける青井。鼓動は跳ね
回るように激しく血流は逆流している。じっとしてても腰の奥
がむずがゆくなり居ても立っても居られないほど欲情しかけて
いるのに、必死にそれを振り払おうとしている。

その克己心に内心舌を巻くセダキナ。
さすがはテクノレンジャー、ということか。そうなると、
ブラックも早々に落としたと考えるのは甘かったかもしれない。
あれは正体の気配すらも感じ取らせなかったせいでああもたや
すく運んだのか。ブラックもまたテクノレンジャー。こちらの
悪の匂いを察すれば、猛烈な反抗を企てるかもしれない。

しかし。
偽絵美華は、目をつぶった青井の前で、ぬめりととろけた舌
で、フルーツゼリーのように甘くて光沢のある自らの唇を妖艶
に舐める。

(でもね……。ふふふ。それならそれで、やり方はあるのよ?
あなたがそんなにも意志が固いのなら、
この蠱惑密使セダキナが魅惑の技の粋を尽くして揺らして
あげる。
ふふふふ。ココロが揺れるとたまらないわよぉ。
ただ欲情に灼かれて動物になるのなんて簡単。
でも、あなたにはそんな誘惑はしてあげないわ。
あなたにはこれからたっぷりとココロが揺れるの。
欲情してるんでしょう?
レオタードおっぱいにむしゃぶりつきたいんでしょう?
それなのに「絵美華」が心配なの?
デスイービル軍団が憎いのかしら。ふふふ。
恋心と正義が大事なら、たっぷり味合わせてあげる。
揺れて、どちらにもたどり着かなくて、どうしようもないほど
溺れるの。うふふっ。久しぶりの獲物――意志が強いのだもの、
たっぷり我慢しなさい?)

「ブルーは、こんなわたし嫌い……だよね……」

絵美華は青井に押し倒されて組み伏せられた姿勢のまま見上
げて、涙ぐんだ声で尋ねる。

「え……?」

罪を告白するようなしおらしい声に、瞳を開いて問い返す青井。
そこにいたのは傷ついたような絶望したような表情の桃山
だった。

「どういう……」
「わたしは、いつも戦闘でみんなに迷惑をかけてばっかり。
テクノショットの命中精度も低いのに、専用武器のテクノボ
ウなんか使って迷惑だよね。私の誤射があるから、ブルーだ
って十分に戦えてない、知っている」

急に振られた真剣で重い告白に、青井の拘束がゆるむ。し
かし絵美華はそれにもかまわず、自分を責めるような表情で
言葉を続ける。

「同じテクノレンジャーでも実力差は明らかだよね。私一人
だけ、明らかに弱くて、中でもブルーは私とフォーメーショ
ンを組むことが多いばっかりに、いつも敵を逃がしてしまっ
て。――私、いつもそれがイヤで、申し訳なくて……」

「気、気にするなよ、そんなこと……」

青井はいつものぶっきらぼうな調子で声をかける。突然の
しおらしい告白と謝罪に、青井の心の中では昔から秘めてき
た絵美華への同情心と恋心が一気に燃え上がる。自己嫌悪で
絶望しきってつぶれそうになっている愛しい女性を何とか慰
めたい。身を切るような思いが次々とわき上がる。しかし、
孤高を気取ってきたプライドと生来の口の下手さが災いして、
上手に言葉にならない。

しかし言葉にならなければならないほど、胸の気持ちは容
積を増していく。絵美華が痛みに耐えるような謝罪をすれば
するほど、青井の心の中にある自己嫌悪は大きくなって行く。
恋をしている女性が身を切るように詫びているのに、その肉
体への欲情がしてしまっていた自分。青井のプライドにおい
てそれは許されないほどの罪業だった。

(ふふふ。どう?好きな娘が傷ついて自己嫌悪しているの。
さぁ、本当は優しいブルーはどんな気持ちかしらねぇ。
ふふふふふ。どうするのかしら。うふふふふ)

「良いんだよ。ブルーが私の事嫌いなのは、当たり前だもの」

絵美華は絶望した瞳のまま、唇のはしだけ押し上げるよう
な小さな笑いを無理矢理作ると、顔を背ける。

「別に、そんなの……」

嫌いじゃない、好きだ。そう云えればいいのだが、屈折した
青井はその言葉を言うことが出来ない。その隙を偽絵美華は見
逃さず、そうだよね、と泣きそうな声で追い打ちをかける。
そうして自分が謝って身を引けば引くほど、ブルーの心が
千々に乱れて恋心が燃え上がってくるのをしっかりと計算して
いるのだ。

(ふふふ。どう?いたたまれない?自分が情けない?
慰めること一つ満足に出来ない自分が恥ずかしい?
じゃぁ、今度は逆側に揺らしてあ・げ・る)

哀しくて絶望したような表情をした絵美華は、卵の殻を剥
くようにジャージを脱ぎ捨てる。白くてまろやかな肩、細く
見える二の腕、鎖骨のライン。その下につながる、豊かすぎ
るボリュームのバスト、きゅっと引き締まったウェスト。本
物の絵美華よりも豊満でいやらしい、メスの身体を青井に組
み伏せられた体勢でもだえさせる蠱惑のニセモノ。

甘い匂いが急に思い出されて陶然となりかける青井。唇を
ぎゅっと噛みしめて、絵美華を慰める言葉を探そうとする。
いや、それ以前に髪飾りをの件を追求しなくてはいけないは
ずだったのに。と自分の中の意志を再確認しようとしても、
立て続けの混乱に精神の焦点が定まらない。

「ぐすっ……」

絵美華は切なげに眉を寄せると、自分の右膝を引き上げて、
胸に抱くような体勢になる。すっきりしたウェストの下、盛り
上がって大きなマシュマロをいれたような柔らかくみっちり
と張り詰めたラインの下腹部。そして張りつめたヒップライン
から伸びた、汗に濡れ光る少し太めの太もも。膝小僧は両手
で胸の谷間に抱えられて、なめらかな臑から可憐な足首へと
続いている。

それは青井の視界のほとんど全てを占有するほどの限りな
く淫らな肉の景色。女の身体の柔らかみを、一番たっぷりと
見せつけられるように計算された恥知らずなポーズだった。

青井の心臓が跳ね上がり、収まりかけていた欲情がめらめ
らと尾てい骨を焦がす。黒く濡れ光るレオタード。ジャージ
を脱いだせいで、その全てが青井の身体の下にある。意識し
てしまえばあまりにも危険な果実だった。
先ほどまではジャージによって隠されていた胸の先端には、
露骨なまでに浮き上がった乳首が見える。小気味よい形のそ
れが、レオタードの補正力の強い布地の下に密封されてひしゃ
げたような形状になっているのまで、そのままあらわに映し
出しているのだ。

(どう?白いでしょう?柔らかそうでしょう?
貴方がつかめば、指が潜り込んじゃうほど柔らかぁい
絵美華の太ももよぉ?うふふふっ。
ほぉら、そんなに物欲しげな瞳で見て。どうしたの?
髪飾りを追求するんじゃなかったの?
あぁんっ。正義のテクノレンジャーさん。
そんなにイヤらしい目で見て、どんなに甘いか想像
しちゃってるかしら?
それならたっぷりご覧なさい。うふふふっ)

その淫らな光景は青井の脳の中を半ば暴力的に席巻して他
の思考をシャットアウトしてしまう。自分の心臓の鼓動がや
たらに耳につき、口の中が乾ききっているのに汗が止まらない。

髪飾りに対する追求の気持ちを一瞬のうちに中断させられ
た青井。甘い匂いのせいで極端に集中力が落ちて、上手く考
えがまとまらない。そのうえ、目の前では、恥ずかしがるよ
うに身を揉む絵美華の動きのせいで、たまらないほど魅力的
な身体がくねくねと動いている。
青井の股間は痛いほどに膨張してジャージの中でどろどろ
と先走りさえ漏らし始めている。

触れたい。
抱きたい。

柔らかそうな身体を腕の中に抱きしめて、その弾力を確認
して、熱く暴れ回る狂いそうなこわばりを突き込んで、自分
一人のものにしたい。原始的な独占欲が心の中でどんどんふ
くれあがる。

(ふふふ。腰がひくひくしているわよ。あんっ。
そんな美味しそうな先走りの匂いをさせて、可愛いのね。
でも、だぁめ。
こんどは正義に揺らしてあげる……)

「デスイービルの奴らが……」

今にも手を動かしてしまいそうな青井の耳に、絵美華の低い
声が届く。淫欲に支配されかけた気持ちを見透かされたように
ぎくりと動きを止めた青井。羞恥心と罪悪感にさいなまれる青
井の耳に、絵美華の小さな声は続く。

「戦闘員も、怪人も、そ、それに……剛力軍曹パワキルも、私
の事をイヤらしい目で見るの。こんな不格好な胸を揺らしてい
るのを見て、動物のメスでも見るような粘り着くような視線で
私の事を見てるの……」

「っ!」

その言葉はデスイービルを批判するものだったが、腰の奥の
むずがゆさがたまらないほどに欲情してしまっている青井には
自分に対するものとしてしか聞こえない。見透かされたような
恥ずかしさで、全身の血が流れ出すような絶望感と寒気に襲わ
れる。

「あ、あいつらはだから悪なんだッ!」

それをごまかすために普段より一層の熱を込めて言い切る
青井。敵を討つに当たって怒りをもったことはあったが、憎し
みをもったことはなかった。しかしいま、青井の心の中には憎
しみの炎が油彩火災のように消しようもなく燃え上がっている。
それが羞恥心と自己嫌悪をごまかすための無意識のすり替えだ
と言うことに青井自身気がついては居ない。

「きっとあいつらの頭の中では、私は肉奴隷として淫らでイヤ
らしい扱いを受けているの。この胸も……」

白魚のような指先が豊かな胸に潜り込む。指先が見えなくな
るほどのくぼみにイヤでも淫乳の柔らかさを確認させられて、
青井は目が離せなくなる。ぬるぬると撫で回すような動き、
キラキラと輝く汗のライン。先端の乳首突起は自己主張をする
ようにひくんひくんと蠢いている。

「この太ももも……」

抱きかかえた脚をわずかに開く。真っ白い広がりが鼻先に
近づけられて、発情した甘く焦げたような毒の香りが渦巻く。
まるで青井の脳内をかき混ぜるような魅惑のうごめきで、足先
の小さな指が一本ずつおいでおいでを繰り返す。

「あいつらの持ち物として、汚し尽くされて、どろどろにされて」
「そんなことさせないッ」

(あんっ)

顔を真っ赤に紅潮させて必死に叫ぶ青井。涙をこぼした絵美
華は内心でにんまりと笑いながらブルーを見上げる。

「お、俺が奴らを倒してやるから。――桃井が気にすること、
無いから」

(ふふふ。ステキねぇ、テクノブルー。
そうよね、大事な仲間を守るため、正義のために
デスイービルを許すわけにはいかないわよね。
でも……それは正義なのかしらねぇ。うふふふふ)

「本当……?」

夢見るように潤んだ瞳でブルーを見上げる絵美華。その瞳は
どこか焦点がぼやけていて、淫らで美しい。半ば開いた口から
は喘ぐような息と共に、白くて可愛らしい歯の内側、たっぷり
と粘液をたたえた口腔と舌が覗いている。

「本当だから。……あ、安心……して……」

絵美華はまるで見せつけるようにレオタードに包まれた双乳
をもみ上げる。絞られ手こね回された胸は、互いに身を絡め合
う二つのスライムのように粘りあい、粘着質は音まで立てて、
あの甘い匂いを放つ。

青井の脳内はもう爛れきって混沌としていた。

デスイービル軍団に対する憎しみ。
正義に対する執着心。
桃山にたいする恋心。
同情して慰めたいという気持ち。
どす黒い独占欲。

――そう言った気持ち全てに、まるでねっとりと絡みつくよ
うに、血液が泡立ちそうなほどの欲情が絡みついている。心が
メチャクチャに揺さぶられて一つのことを深く考えられもしな
いのに、何を考えても目の前の絵美華の白くて淫らな身体がぬ
らぬらと蠢き、甘ぁい匂いを放ちながら、かすれ気味の声で青
井の欲情を煽り立ててくるのだ。

憎んでも、正義の怒りを燃やしても、桃山に対する恋心に縛
られても、恥ずかしいほど股間が疼いてしまうのを止められな
い。

「ありがとう……許して、ブルー」

泣き出す寸前のような震える声で謝罪する絵美華。青井は
その声で淫らな妄想から一気に現実に引き戻される。いった
い何を考えていたんだという自己嫌悪と罪の意識が酷くなる。

「わたし、ブルーに守ってもらえるためならどんな謝罪でも
する」

涙のせいかわずかに紅く染まった目元と、わななくように
震える唇が別人のように艶っぽい絵美華。再び燃え上がる自
己嫌悪と恋心のせいで、ブルーの精神は大きく揺さぶられる。
それなのに、下半身に流れ込んだ血液は一過に収まる様子が
ない。

何が狂ってしまったのか。
泣いている絵美華を見て、この娘を大事にしたい、守りた
いとも思うし、恋心もどんどん強くなるのに、それと表裏一
体の独占欲が燃えさかり、ぬちぬちと音を立てるレオタード
に包まれた身体が欲しくて仕方がないのだ。

「ごめんね、ブルー。どうしたらいいの?」

怯えきった犬のような哀れみを誘う表情で尋ねる絵美華。

(ふふふ。揺れちゃう?揺れてるでしょう?
天国と地獄を往復して居るみたいでしょう?
ココロが乱れるのが良いのよね。揺れれば揺れるほど気持
ち良くなっちゃうんでしょう?ブルーは変態なの。
ううん、変態にしてあげる。うふふふっ)

絵美華の顔は心からの感謝と信頼を込めて青井を見上げて
いるのに、その指先は、まるで油の膜のようにひかる汗を太
ももの上に塗り広げようとでもするかのようにぬめぬめと蠢
いている。

たわめられた太ももをまるで愛撫するようになで上げて、
指の一本一本を触手になったかのように絡めて、何度も何度
も辿る。
小さな桜貝のような爪をつけた華奢な足の指先が青井の視
界の隅で、震えながら何度もひくひくと動くのはぞっとする
ほど淫らで、そんな気持ちで見てはダメだと思えば思うほど
股間はうずき狂う。

泣きながら謝罪する絵美華。
何度も何度もしつこいほど哀れな声で自分を責める言葉。
目の前で揺れるレオタードに包まれた汗まみれの淫らな身
体。白い太ももが空中の男の腰を挟みつけるようにゆるゆる
と開閉をしては、双つの胸を餅のようにこね上げる。

(うふふふ。さぁ、まだ我慢できるのかしら。
もう無理でしょう?
疼くでしょう?甘くてずきずきするでしょう?
私の身体の中に入らないと気が狂いそうでしょう?
それを満足させてあげられるのは私だけ。
自分で出したって収まるわけがないわ。
あなたの身体を堕としたわけじゃない、
ココロを溺れさせたんですもの。ほぉら、欲しいでしょ?
ニセモノの絵美華が……
このぉ、えっちで、いやらしくてぇ
その上あなたの胸の中でめそめそ泣き甘える極上のメスが
欲しくておかしくなってるんでしょう?うふふふふっ)

「わたし、ブルーに何をしてあげればいいの?」

絵美華は鼻にかかった涙声で訴えかける。苦痛をこらえる
ための涙声だと言われればそうだが、かすれたような哀願の
声は男なら誰でも身体の内側の深いところにある獣をぞろり
となで上げられるような媚びを含んでいた。

「ブルーに何でもしてあげたいの。いつも私を助けてくれる
ブルーに」

囁くように告げながら、絵美華はゆるゆると唇を開閉する。
途切れ途切れの喘ぎ声のような告白。

「ね、おねがい。どんなことでもするから、教えて……」

ゼリーのように濡れ光った柔らかそうな唇を、たっぷりと
粘液を乗せた舌がくちゅりくちゅりと湿らす。

「ねぇ、お願い……」

空中をひらひらと踊る舌。ちょんちょんとつつくような動
き、たっぷりとたまった唾液のプールをぬるぬるとかき回す
濃いピンクに染まった淫らな粘膜。

「お礼を……させてぇ」

気がついたとき青井はすでに絵美華の唇をむさぼっていた。
最初から甘くとろけただれた感覚。キスをしているだけだ
というのに脳の心がぐつぐつと発酵して全身に甘くて病みつ
きになるような毒が広がっていく感触。
抱きしめた絵美華の身体が時節抵抗するようにもだえるの
が心地よくて、力を込めてしまう。絵美華は蠱惑的な動きで
太ももを青井の脚に絡め、いきり立った肉棒を柔らかい下腹
部でくにくにと圧迫する。その柔らかい魔性の感覚に青井の
思考は蒸発して獣になる。

どろり。

甘い、シロップを煮詰めたように濃くてどこか動物性の味
を感じさせる魔性の粘液が口に注がれる。絵美華そのものの
ような淫らさを感じた青井は夢中でそれを嚥下する、もっと
味わいたい。その願いに応えるようね、ねっとりと絡みつい
た唇の奥から、同じように甘い唾液が次々と口移しにされる。
言葉がどんどんとろけて蒸発していくような魔淫の唾液。
青井の表情が一瞬の間、虚ろになる。

「ふふふっ」

絵美華はその虚ろになった青井から唇を離す。その顔に浮
かんでいるのは、本当の絵美華が決して浮かべないような淫
らに勝ち誇った表情。

「ねぇ、ブルー?」

伸ばした指先をブルーの唇に触れさせて、そこからこぼれ
た自分の甘い毒唾液を指先ですくい上げるように、青井の口
の中に戻して、そのままかき混ぜる。
青井は幼児のように白くて細い絵美華の指を憑かれたよう
にしゃぶり舐める。

「もっともっと飲みたい?」
「うん……欲しい」

どこか薄ぼんやりと答える青井の言葉に絵美を深くする絵
美華。

「だぁめ。それは、おあずけなの……。ブルーのこと、もっと
もっと気持ちよくさせてあげる。天国のぬるぬるで身体中とろ
けちゃうくらい。私がブルーのこと大好きで、どんなご奉仕で
もしたい泣き虫なのは、知っているでしょう?」

聞いただけで股間がこわばり射精寸前になるような甘く色っ
ぽい声で言い聞かせる絵美華。

「でも……」
「ふふふふ。ブルー、いいこだから、今晩まで我慢してね」
「こ……ん……ばん?」

何か疑問を持とうとする青井の頭を両手で挟み込み、そのまま
レオタードの双つの豊かな膨らみに埋める絵美華。そこに蓄えら
れた甘い匂いを十分に染みこませるように、青井の髪の間に通し
た指先でぐらぐらと頭部を揺すってやる。

「ええ。今晩、カフェで会いましょう?もちろん二人きりで。
――そうしたら、ブルーにいつも助けてもらっている絵美華は
ブルーのためにどんなお礼でもしてあげる。もちろんさっきの
キスだって……その続きだって……」
「続き……」

甘い匂いと自分の言葉が十分に青井の妄想を煽り立てたのを
確認してから絵美華は青井の耳元に囁く。

「だから、わたしのことは内緒に、ネ」

力が抜けて放心したような青井を後に、絵美華はすっと身体
を離す。青井の股間がトレーニングウェアの中でこわばりきっ
て、透明の手でしごかれているかのようにびくんびくんと脈打
ちながらも萎える気配もないことを確認して、本物の絵美華の
浮かべるような清潔感のある微笑を浮かべて告げるのだ。

「また今晩ね。ブルー。……ひとりでしちゃ、めっだからね」






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