バレンタイン×パープルローズ
シチュエーション


「あ、会長、ちょっと……」 そう黒須 惨太に声をかけられ、白百合 有希は立ち止まった。 「……何か?」 「……いえね、『紫のバラ』の事でお話が……」 「!?……わ、分かりました。今……?」 「いえいえ、放課後で結構ですよ」 「……では、いつもの所で」 そう言って立ち去って行く有希。 その後姿を見送りながら、惨太は溜息を吐いた。 「ったく、あいつじゃなかったらいただくんだけどな……」 ……そして、放課後。 「ああ、来たか、『パープルローズ』。いや……、白百合有希会長?」 「まず最初に教えなさい。……何故気付いたの?」 そう言ったパープルローズ、いや、有希に、惨太は溜息を吐く。 それに代わって口を開いたのは、惨太の相棒である東名戒。 「そりゃ気付くって……、倉庫の中で仮面外した事あるだろ? あそこには監視カメラ仕掛けてあんだよ」 「!?」 戒が言う倉庫とは、盗んだ物を一時的に保管しておくための物で。 「怪盗が泥棒に遭うなんて笑い話にもならねーから仕掛けといたんだが……、 まさか、、パープルローズの正体が拝めるとは、さすがに思わなかったぜ!」 「くぅ……」 ぎりっ、と歯を食い縛る有希。 しかし、しばらくすると有希は決然と顔を上げ、口を開いた。 「……何が、望みなの?」 「とりあえずは、待遇の改善だな。タダ働きはこれ以上願い下げだ」 「……分かりました。他には?」 「いや、それだけだが?」 「……え?」 そう惨太に言われ、有希はきょとん、とする。 それを見て、戒は溜息を吐いた。 「……こう言う時のセオリーは身体を要求するんだろうが……、白百合有希じゃ無理だしな」 そう戒に言われ、有希はますます首を傾げる。 自分の容姿が充分美少女の部類に入る事を知っていたから。 そんな有希を見て、惨太と戒はにやり、と笑ってタイミングを取るように顔を見合わせ……、 「「……印場蓮太」」 「―――っ!?」 そう口を揃えて言うと、有希は飛び上がった。 そのままみるみるうちに全身を真っ赤に染め上げて行く有希を見て、惨太と戒は吹き出した。 「ダチに惚れてる女に手出す程俺達は飢えてないし、外道でもないしな」 「ほ、惚れ……っ!?ど、どうしてそれを……!」 その惨太の言葉に、有希は真っ赤になってそう言う。 それを聞いて、戒は心底呆れたような表情になり、口を開いた。 「どうしてって……、多分、蓮太以外の全校生徒がそれ知ってるぜ?」 「!?!?!?」 そう言われ、有希はただでさえ真っ赤な顔をさらに赤くして……、 「……きゅ〜……」 オーバーヒートして、その場にぶっ倒れた。 「あ、おい!?」 「放っとけ。今からやる事は気絶してた方がやりやすいしな。 ……一応、嗅がせとくか……」 慌てて有希を抱き起こそうとする戒を止めると、惨太は屈み込み、湿らせたハンカチを有希の鼻に当てる。 「……さて、じゃあ始めるか」 そう言って、惨太は有希の服を脱がせにかかった。 その日の夜。 「……ん?」 インターホンが鳴らされ、印場蓮太は顔を上げる。 「……誰だー?」 そう言って、蓮太がドアを開けると、そこには、 「……黒須?東名?」 「ああ、蓮太。ちょうど良かった」 何やら馬鹿でかい箱を抱えた、惨太と戒が立っていた。 「会長からお前の家にこれ届けてくれって頼まれてな。 ……お前の部屋まで運んでもいいか?これ、結構重いし」 「……会長って、白百合から?別に部屋入るくらいならいくらでも構わねーぞ?」 そう言って蓮太が身を引くと、惨太と戒はその箱を抱えて蓮太の部屋に入る。 そして、部屋の中央にその箱を置くと、惨太と戒はふう、と息を吐いた。 「……で、これ、何だ?」 「さぁ、チョコレートじゃねぇの?今日バレンタインだし」 そう惨太に言われて、蓮太は呆れ果てたような表情になる。 「……いや、どう見てもでかすぎるだろ、チョコレート入ってるにしては……」 「俺だって中見た訳じゃねーんだよ。……じゃ、俺達帰るわ。今日はこれ届けに来ただけだし」 「あ、ああ」 そう言ってさっさと帰って行く惨太と戒を見て、蓮太は首を傾げる。 そして、そのまま視線を箱の方にやり、もう一度首を傾げた。 「……結局、何だ?これ」 そう言って、蓮太は箱を包むリボンを解くと、箱を開け……、 「……はい?」 ……完全に凍り付いた。 その箱の中に入っていたのは、惨太が言った通り、チョコレート。 しかし、その形が完全にぶっ飛んでいて。 「白、百合……?」 ……等身大の、白百合有希の姿をしていた。 「……何だか……、凄え良く出来てるな……、これ」 そう呟いて、蓮太はそのチョコレート像の頬に手を伸ばし、 「!?」 ……ふにゅん、と指がチョコレート像の頬に沈み込んで、蓮太は飛び上がった。 「え!?……え、え!?」 良く見てみると、その胸は緩やかに上下していて。 「(ほ……本、物!?)」 ……そう考えた瞬間、蓮太の理性の糸は切れた。 「……ん……んんっ!?んっ、んっ、んんー!?」 そのまま蓮太が有希に思い切り深く口付けると、有希は目を覚まし、じたばた暴れる。 それを無視して蓮太は有希の口の中を充分に堪能し、唇を離した。 「はっ、〜っ!れ、蓮太さん!?な、ななななな、何を……!」 「……白百合が悪い!」 混乱しながら真っ赤になる有希に、蓮太は頬を膨らませてそう叫ぶと、有希の首筋に顔を埋める。 そのままちろちろと首筋を舐められて、有希は身体を震わせた。 「……んっ!蓮太、さん、やめ……〜っ!」 ふるふると身体を震わせる有希を見て、蓮太は一度顔を離す。 そして、自己主張を始めていた有希の胸の先端に吸い付いた。 「あはあああっ!」 その瞬間、急に密度を増した快感に、有希の身体が跳ねた。 「……んちゅっ……。おいしいよ、白百合……」 「ひああっ!だめ、強すぎ、ひんっ!」 胸の先端に付いたチョコレートを吸い取るように舐め取り、蓮太は唇を離す。 そして逆側も吸おうと蓮太が顔を動かすと、有希は真っ青になった。 「あ、だめ、やめて、ね?片方だけであんなに凄かったのに、両方されたら……!」 「そんな言われたら、どうなるか気になるっての……」 首をふるふると横に振りながら、有希はそう言うが、蓮太は楽しそうににこにこ笑うだけで。 そして、そのまま蓮太がもう片方の胸の先端に吸い付くと、有希の身体が跳ね上がった。 「きゃひいいいんっ!!」 そのまま蓮太が歯を立てて胸の先端を甘噛みすると、有希の声が変わった。 「あひゃっ、歯、立てひゃ、らめぇっ!きちゃう!きちゃうよぉっ!」 みるみるうちに切羽詰まって来る有希の声を聞いて、蓮太は笑みを深めると、かり、と強く歯を立て、 「い、あ、あー!!!」 ……その瞬間、有希は絶頂に達した。 「……あ……、はふっ……」 「……大丈夫か?白百合」 脱力して はあはあと荒い息を吐く有希の頬を撫でながら蓮太が言うと、有希は我に返る。 ……そして、いきなり有希は涙を零し始めて、蓮太は慌てた。 「し、白百合さん!?」 「……私……こんなにいやらしい女の子じゃないのにぃ……」 そう言って泣きじゃくる有希。そんな有希に、蓮太はチョコで服が汚れるのも構わず、抱き締めた。 「れ、蓮太、くん……!?」 驚いたように目をぱちくりとさせる有希。 そんな有希を見て、蓮太は微笑むと、言った。 「……いいんじゃない?いやらしくても。 少なくとも俺は、そんな白百合の方が好きだけどな」 「え、あ……」 そのまま有希は一瞬きょとん、とするが、蓮太が何を言っているかに気付くと、真っ赤になった。 それを見て、蓮太も少し赤くなると、口を開いた。 「明らかに言う順番逆だと思うんだけどさ……。 俺は、印場蓮太は、白百合有希の事が、大好きだよ」 そう言われ、有希は涙ぐむと、口を開く。 「わ、私も、蓮太君の事が好き!大好き!」 ……そして、2つの影は重なった……。





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