想いの強さをエネルギーに変えるスーツ
シチュエーション


想いの強さをそのままエネルギーに変えるシステムを搭載したスーツに身を纏うヒロイン。
平和を願う想いならば、生み出されたエネルギーは平和を守る事を第一としてスーツを制御し、使用される。
例えソレが漠然とした想いであっても、想いが強く本物ならば、スーツはソレを叶える為に万能の力を発揮する。
まさに最強の存在とも言える存在の彼女は、人々から、政府から、多くの賞賛を受けていたが、彼女はあくまでもストイックに正義に殉じていた。

彼女にとっては、過去に自身の家族をテロリストの凶弾によって失っていた事を切欠とし、悪の撲滅に執着していただけに過ぎないから。


ある日彼女は、救いを求める強烈な想いを秘めた少年とであった。
スーツの力で想いを解析し、それが悪に対する復讐からくるものであると知った彼女は、少年の想いに応えることにする。

「貴方は復讐したいのね?自分の家族を殺しておきながら、誰にも責められず、誰に追われるでもなくのうのうと日々を送っている悪に」

少年は頷く。

「僕の願いを叶えてくれる?」

彼女は微笑んだ。彼女自身もまた、他人の身勝手さによって家族を失った人間だ。
ちらと服の胸元をはだけ、その下に着ているスーツを少年に見せる。

「まかせて!貴方の想いをエネルギーに変えれば、このスーツはその瞬間から貴方の想いを叶える為に、全力で私をサポートしてくれるわ」
「本当に?」
「本当よ。想いが強ければ強いほど、スーツは万能の力を発揮するんだから」

彼女の言葉に、少年は表情を柔らかくした。

「それじゃあ、お願い……」

緩んだ少年の口元が歪に歪む。

「この想いを、悪に復讐する力に変えて」

トーンの変わった少年の言葉に気付かず、彼女はシステムを起動した。
スーツに想いが変換したエネルギーが加わってゆく。
違和感はすぐにハッキリしたものとなった。

「え?」

スーツが鉛の様に重く、硬くなってゆく。
その様子を見て、少年は嬉しそうに微笑んだ。

「復讐を手助けしてくれるって言うのは、本当だったんだ」
「コレは、どういうこと?」
「僕が復讐したい相手って言うのはね……アンタの事なんだよ」
「どう……して。貴方の思いは確かに間違いなく、悪への復讐だった筈」
「自分が悪の筈が無いって?じゃあ、どうしてアンタは僕の唯一の肉親である父を殺した。テロリストでも何でもない、只の科学者だった男を」
「何を、言って――」
「アンタは殺したんだよ。僕の目の前で、テロリストが悪用した薬品を生み出したというだけの存在である父を」
「――!君は、あの事件の……?でも、あの男はテロリストに加担して……」
「アレは研究の副産物で出来上がった薬品だ、父の作ろうとしていたものは別にあった。ただ、その副産物に目をつけた奴らは僕を人質に、父に薬品を要求した。父は
最後まで抵抗したけど、僕の為に頷くしかなかった。
アンタが研究所に乗り込んできて、父と、僕を拘束するテロリストを一瞬の内に殺してしまうその寸前まで、父は薬品を渡してしまった事を後悔して居たんだ」

彼女は目を見開いた。システムは順調に彼女の自由を奪い、身を縛り上げている。少年の言葉に、想いに、嘘は無い。

「アンタはその後、僕の縄を解きながらこう言ったね。――無事でよかった。安心して、悪い人達はみんなやっつけたから――ってさ」

少年はシステムの起動が完了し、戦闘用の姿への変身を終えたヒロインを踏みつける。普段ならばその程度の衝撃はスーツに緩衝され、一切のダメージにならない。
しかし、スーツは少年の復讐をサポートしており、その衝撃は倍増して彼女にダメージを与える。
くぐもった悲鳴を上げる彼女を見下ろしながら、少年は歪な笑みを浮かべた。

「アンタに何をするにも、そのスーツがサポートしてくれるんだよね。さて、どうしようか。とりあえず、一通り肉体を痛めつけた後に陵辱でもしてみようか?
スーツが万能ならば、快楽も苦痛も僕の思うがままに操作してくれるだろうしね」
「そ、そんな……」

正義の使者として戦ってきた自身のアイデンティティーを打ち砕かれた彼女は、コレから自身に向けられるであろう行為を否定するように、力無く首を振る事しか出来なかった。






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