改造人間ナナ
シチュエーション


深夜二時ともなると、流石に町の明かりも消えていく。
場末のスナックで働いていた女が一人、街灯もない夜道を一人歩いていた。

「やっばーい。もうまっくら」

やばい、などと言いながら語調はいたって軽い物。
人間誰しも自分だけは安全だと思っているものだ。だが、それは油断である。
突如、暗がりの植え込みがガサリと揺れた。
女は猫か何かかと思って、止せばいいのに植え込みに近づき、中を覗いた。
すると――

「きゃっ!?」

突然、植え込みから真っ黒な人影が飛び出してきた。全身を黒いタイツで包んでいるが、顔面に大きな目玉がある。
模様か何かかと思ったが、それがぎょろりと蠢いた。
人間ではない。

「んんーっ!」

まさに青天の霹靂。化け物に組み伏せられると、女の服は一思いに破り捨てられた。
紫色のブラジャーが一気に露わになる。
叫んで助けを呼びたいが、口を押さえられていてそれも叶わない。
目玉の化け物は、女性をうつ伏せに押さえつける。
そして、股間から人間の物とは思えない形の男性器が飛び出した。

「?!」

青黒い色をしたそれは、通常とは長さも太さもレベルが違う。笠もまるで巨大なキノコのようにしっかりと張っている。
あんな物をもし入れられたら――いや、そもそもあんな物が入るのか?
そんな疑問を持つ間もなく、ショーツが破り捨てられ、先端が女性器に当てられる。
このまま抵抗も出来ずに、化け物にレイプされるのか、と彼女が心の中で諦めた次の瞬間だった。

「待ちなさい!」

ビルの谷間から一つの幼い声が聞こえる。
暗がりから現れたのは一人の少女。まだ胸よりも下腹の方が前へ出ていそうな幼さである。
しかし、そのきりっとした顔つきは子供のそれではない。
それでも、彼女の顔よりも目を引くのはその衣服の方だろう。子供らしい服装ではない。
それどころか大人でも着そうにない大胆な服装なのだ。

ボディラインをくっきりと映し出すほどに薄い生地。ともすればセロファンのようにも見える。
そのため、彼女のささやかな乳首やヘソの起伏も見て取れる。
赤を基調としたレオタードのような服装はまるで特撮ヒーローのようだ。

「ギュギュッ!」

目玉の化け物――モノアイは少女の姿を認識すると肉棒を女に突き込もうとするのをやめ、くるりと向き直った。
その隙を突いて恐怖に身を震わしていた女性は一目散に駆け出した。
獲物に逃げられたというのに、モノアイはそれを追い駆けようとはしない。
それほどまでに、突如現れたその少女を警戒しているのだろうか。
少女の衣装の中で、唯一無骨なブレスレットが輝く。

「んんっ……」

頬を赤らめ、くぐもった声を漏らす。何かに耐えるように歯噛みしながらも少女は腰を低く落として拳を強く握り締める。

「ギュー!」

モノアイが跳んだ。その動きは人間のものではなく、獣のそれですらなく。
ただ不規則に手足をくねらせながら、バネ仕掛けで弾け飛んだような跳躍だった。
常識の内では全く予測不可能な動き。だが――

「ええいっ!」

少女の拳はモノアイの体をしっかりと捉えていた。
大きく振りかぶった一撃は、空中を跳ぶモノアイの体幹を貫き、閃光が夜の街を一瞬照らした。

「ギュアアアッ!?」

モノアイはそのまま壁に叩きつけられる。
地面にうつ伏せになるように落ち、なんとか体を立て直そうとするが、そこに少女の追い打ちが入る。

「もう、立たないで!」
「ッギュブ!?」

モノアイの巨大な瞳孔が揺れ、ぐりんと裏返る。
それきり震える事すらなく、モノアイはその活動を停止した。
体から溢れる、奇妙な色をした血が、まるで自身の体組織を溶かすようにして
モノアイは泡と化し、じきに地面へと吸い込まれていった。
この街に潜む化け物の、当然の末路であった。

「ンンッ、はぁ……」

モノアイを倒した少女、穂積ナナ。彼女は自身を改造人間、だと把握していた。
何故そんな曖昧かと問われれば、彼女自身自分が何者なのかよく分かっていないからだ。

覚えている事は彼女がどこかの組織に誘拐され、そこで体に著しい改造を受けた事。
そして、脳を改造される前になんとか組織を脱した事ばかりである。
まだ年端もいかない年齢である事は自分でもわかっている。
だが、何の縁か手に入れてしまったこの呪われた力。
彼女は自分を改造した組織が生み出した、モノアイと呼ばれる奇妙な化け物達と戦う道を選んだのだ。

変身すると茶色がかった髪が鮮やかなピンク色に変わり、なおかつ服が消失し、今纏っている扇情的な衣装に変わる事だけが、とりあえず彼女の理解している所である。

「はぁ……」

正直、モノアイ達を倒していて組織に辿り着けるのか。
辿り着いたとして一体自分は何をしたいのか。
それすらも彼女にはわかっていないが、それでも目の前で誰か傷つけられそうになっているのを黙ってはいられない。
だが、それよりも目下、彼女には闘いよりも辛い悩みがあった。

「んぁ……だ、ダメ……家に帰らないと……」

彼女は変身を解きもせず、よろよろと夜の街を歩いていた。
街灯もほとんどついていない公園に差し掛かり、キョロキョロと辺りを見回すと、ベンチに一人腰掛けた。
そっと足を開き、自分の股間を見つめる。確かに感じる湿り気は、瞳が潤んでいるからではないのがわかる。
そう、彼女は変身に伴い、激しい性的欲望に駆られるのだ。
まだ子を宿すには早い体のはずなのに、改造された自分の体は何故か性を求めている。
しかもしばらくすれば収まるような生易しい衝動ではなく、むしろ腹の底から突き上げてくるような渇きに似ていた。
オナニーでもしなければ、収まるはずもない。

「だ、誰もいないよね」

もう一度辺りを見回す。誰もいない。
彼女の中にある生体探知能力を使っても、周囲に人影は確認出来なかった。

「もういいよね。――すっごい我慢したもん」

まるで言い訳のように独り言を言うと、彼女はレオタードのクロッチ部分をゆっくりとずらした。
薄い生地なので、簡単に捲れる。
性器が外気に触れ、少しだけひんやりとするが、むしろそれすらも快感に感じる。
右手を前に、左手を後ろに添えた。
これから来る快感に、少しだけ口角を持ち上げながら、ナナは一気に指を突きいれた。

じゅぷっ

「ンひぃっ!」

思わず上擦った声が漏れる。それほどの快感だったのだ。
言わば待ち望んでいた甘美なる一時の到来。性器と肛門に突きいれる指の速度も自然と速まる。

「ぅあっ、んっ、んっ、ダメッ、お、オマ○コもオシリも気持ちいいよぉっ」

初めは密かに、腰を引きながら行為に及んでいたが、
誰にも見られていないという確信が持てると、自然と大胆に変化していく。
鮮やかな水音を立てながら、いつの間にか見せつけるように腰を前に出し、ただひたすらに没頭していく。

「気持ちいっ、気持ちいいよぉっ」
ただだらしなく口を開き、快感を貪る。
最初は一本だった指も、二本、三本と増え、合計六本を咥えこんでいた。
激しく呼吸をしながら、真夜中のオナニーに耽る。
クリトリスも激しく勃起し、時折指と擦れ痺れるような快感を脳髄に齎す。
女で良かった。改造された体でありながら、彼女がそう実感する瞬間だ。

「イグッ、イッちゃう!イッちゃうよぉぉお!」

もう誰かに聞こえてもいい。
それほどの大声で彼女は嬌声をあげると、激しく背を反らせながら快感に身を打ち震えさせた。

じょろろろろ……

イッた後、だらしなく膀胱から小水が漏れ出る。

(あ、ベンチにしちゃった……)

蕩けた瞳でぼんやりとそんな事を思う。掃除しなくちゃ、などと思うが気だるさで体が動かない。
強い快感に身を任せた後はいつもこうだ。

(それよりも、早く帰らなきゃ――)

ナナが立ちあがろうとした瞬間だった。

「ギュギュッ!!」
「!?」

背後から手が伸びてきて、彼女の体を抱えあげる。両膝の内側に腕を入れられ、
まるで大人が子供に小便をさせるような格好だ。
そしてナナを抱えあげた相手とは。

「モノアイ!まだいたの!?」
「ギュルギュギュッ!」

ナナの問いを肯定するようにモノアイは声を上げる。そして、より一層ナナの体を高く持ち上げた。
その動きの意味する所は一つしかあり得ない。

とっさに、ナナは自分の下を見る。そこにあるのはあの青黒いモノアイのペニスだ。

「だ、ダメッ!今、そんなの入れられたら――」

そんな言葉にモノアイが耳を貸すはずもない。

「ギュギュルッ!」

ずぶぅっ!!

「ぐヒィッ!?」

まるで蛙の鳴き声のような声が漏れた。
自分の指なんかより長大なそれは、情け容赦なく彼女の幼い肛門に突き刺さったのだ。
しかし、彼女の肛門も単純な人間のそれではない。
入れる時こそ窮屈だが、一度受け入れてしまえば切れる事もなくモノアイのペニスを受け入れた。
そして、モノアイは立ったまま、腰の動きを開始する。

「やっ、止めっ、止めっ、んっ、あっ、ああっ」

声で制止しようとしても、肛門から伝わってくる快楽がその声を留める。
ただひたすらに、本能のまま叩きつける行為なのに、力強さがそのまま快感に変わっていくようだった。

「うひぅっ、もぅっ、ゆるさなぁあっ」

肛門にペニスを突き込まれても、倒してしまえば造作もない。このまま腸内射精されるよりはマシだ。
ブレスレッドにエネルギーを溜める。足は開脚状態で持たれているが腕は自由。

(集中……集中……!)

目を瞑って深呼吸。なんとか精神を集中させようとするが……

ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!

(だ、ダメだよぉ。オシリの穴が気持ち良すぎて集中できないぃ)

たとえ外見だけ冷静そうにしても、彼女の心はすでに自分の肛門をほじくる雄臭いペニスの事でいっぱいだった。
カリが腸壁を削るだけで何も考えられない。

「あっ、あっ、あうっ、だ、らめぇっ」

体をくの字に折り曲げられながらも、なんとか拒絶の言葉だけを口にする。
しかし、すでに彼女の大腸はモノアイの精液を搾り取ろうと律動していた。

「うああっ、もっ、もうイッちゃう!イッちゃうぅう!!」

ぷしゃあああっ

体を大きく揺さぶられながら、彼女は果てた。しかも盛大に小水を撒き散らしながら。
それでもモノアイの動きは止まらず、まるでスプリンクラーのように小水が跳ねる。

「いやぁあっ、もうっ、いやあああっ!!」

情けなくて涙が出てくる。痛いほど勃起した乳首も、ダダ漏れ状態の小便も何もかも。
そんな彼女の鳴き声に呼応したわけではないだろうが、ゆっくりとモノアイの動きが遅くなった。

「え……」

まさか射精するのか。そう思ったが違った。
いつの間にか彼女の目の前に、もう一匹モノアイが現れたのだ。

「きゃああああっ!」

思わず叫び声が上がる。
そして、当然のように目の前のモノアイの股間にも、激しく屹立したペニスがあった。

「ギョルル」
「え、まさか……」

ナナは最悪のケースを予想し、一瞬後にそれは現実となった。


ずぶううっ!!

「ひぎゃあっ!?」

まだ、肛門に極太のペニスが刺さっているというのに。
今度は前にも同じ太さのペニスが突き刺されたのだ。

「あがあっ!!」

訳もわからず、ただその衝撃が横隔膜を通じ、口から洩れでる。
痛みなのか、快感なのか、それすらもわからない。ただ脳髄を走り駆け登るものがあった。
そのままモノアイが動きを止めるはずがない。

ずぱんっ!ずぱんっ!

前から、後ろから、さっきまでのとは桁違いの衝撃がナナの下半身に与えられる。
肛門からペニスが抜け、排泄感にも似た悦楽があったかと思えば、膣道を抉ってペニスが侵入してくる。

そのペニスが大陰唇から出て行ったら今度は括約筋を押し広げて後ろからペニスが来る。

「うぐっ、うあっ、もあっ」

最早言葉にはならなかった。
まだ小さな彼女が、成人男性よりも大きな化け物に挟まれて揺さぶられ続けているのだ。
脳の神経も焼き切れそうになっている。
しかし、それでも彼女が思っている事はただ一つ。

(気持ちいいよぉっ!!)

いまやだらしなく舌を出して、肺から漏れ出る空気が声帯を揺らすのみ。
ギョルギョルと呻き声をあげる二匹のモノアイは、ただひたすらに腰を押し上げる。
その動きも十分もした頃だろうか。モノアイ達の動きが次第にゆっくりと、ストロークが長く変化していく。

「うえ……もしかして」

ナナの言葉が最後まで出る事は無かった。

びゅうっぶびゅっびゅぶびゅう!!

「しゃせ熱ぅっ!?熱いよぉっ」

大腸と子宮に、突然ぶちまけられる精液が二発。
人間のものとは段違いの量のそれは、一気に彼女の胎内を満たした。
サンドイッチされる格好のナナに逃げ場はなく、ただひたすらに腹を膨らませる事しか出来ない。
それどころか、精液の熱と圧迫は彼女をもう一度高みへと連れて行った。

「いぐぅっ、いっぢゃうぅぅ」

昇天すると同時に、また小水が迸る。だが、モノアイはそれを全く気にする素振りはない。
その体制が永遠に続くかとも思われたが、ナナからペニスが引き抜かれ、彼女は地面に打ち捨てられた。

「んひっ」

ペニスを抜かれるのにもまた感じてしまい、口から声が漏れる。
地面にうつ伏せになったナナは、お尻だけを高く上げ、意識は虚空を泳いでいた。
しかし、それはショックからではない。いまだ快感の余韻が下半身から抜けきらないのだ。

しかし、彼女の地獄はこれで終わりではなかった。
先ほどまでナナの女性器にペニスを突っ込んでいたモノアイが、
彼女の高く掲げられたお尻を後ろから掴んだのである。

「っえ」
「ギュウ」

じゅぷうっ

あっけに取られる暇すら与えられなかった。

「はううぅぅっ!!」

精液を逆流させながら、肛門はもう一度モノアイのペニスを受け入れた。今度はいともあっさり。

「ひぎっ、な、何をっ!」

非難の言葉にモノアイが耳を貸すはずもない。
もう一匹のモノアイも、地面に押しつけられているナナの下に無理やり侵入し、
今度は女性器に狙いを定め、挿入する。

「うぐぅっ!?」

またもモノアイ二匹に挟まれる状況。交互に突き込まれる男性器は、精液という潤滑液を得てより速く動いている。

ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!

「あうっ、ああっ、いいっ、いいよぉっ」

最早正常な思考など不可能。
ただただ乱雑に叩き込まれるペニスを、まるで全身が膣に変わったかのような感覚でナナは受け入れる。
悪の撃退、など既に忘れ去り、五感全てでペニスを味わう。
電撃のように体を走り回る快感に、ナナは酔いしれていた。

「もっと、もっとちょうだい!」

テクニックも何も無い、モノアイの攻め。
ただ粗暴で、己の欲求だけを追い求めるような腰振りだが、
ナナはそれに合わせてまるで娼婦のように腰をくねらせている。
夜の暗がりにまぎれ、野獣のようなセックスが繰り広げられていた。
しかし、それもいつしか終わりを迎える。

モノアイの腰の動きが、先ほどと同じように激しくなり始めた。
また射精される。あの熱い奔流を体で感じられる――

「……んんっ!」

それは潜在意識だったのか健在意識だったのか、快楽に酔いしれるナナにはもうわからなかったが、
次の瞬間彼女の女性器と肛門が射精を望むかのようにキツくモノアイのペニスを絞りあげた。

どくどくどくどくどぴゅうううう

「んぎぃっ!!」

子宮が、直腸がモノアイの大量の精液を受け入れる。
だが、今回は予期できた衝撃。むしろ待ち望んだ瞬間に彼女の下半身は歓喜に震えた。
圧力に見開いた瞳は、すぐに甘美な熱さに蕩け、ナナは二度目の絶頂を迎えた。

「はっはっ、はうぅ。あはぁ……」

快楽は急激な体力の消耗を伴う。
ナナはモノアイにサンドイッチされながらも、肩を戦慄かせながらも息を吐いた。
いまだその硬さを保っているモノアイのペニスだが、すでに精液を出しつくしたのか、
ゆっくりとナナの中からそれを引き抜いた。

ぬぶ、ぬぷぷぷぷ……

「んあっ、それダメ……」

広がった傘で膣を抉られるだけでも、残響する快感がナナを惑わす。
ちゅるん、と最後まで引き抜かれるとまたも彼女の胎内から白い精液が噴出した。

「オマ○コとオシリから漏れちゃう……」

それすらもまた、排泄感に似た快楽だった。
モノアイは満足したのか、のそりと立ちあがるとそのまま夜の闇に消えていった。
本来ならば、後を追って殲滅すべき標的だが今のナナにはそれが出来ない。
余りにも激しく腰を動かされたため、腰が一切動かないのだ。

「ううっ、んあぁ」

なんとか匍匐前進で前へ進もうとする……が、じきに力尽きる。
公園の土が、冷たく気持ちいい。今はただこの火照った体を大地に委ねたい。
彼女はそう思い、草むらの中で一人静かに目を閉じる。

暗闇の中、またいくつかの瞳が輝いた。<終>






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