新造人間キャシャーンレディー
シチュエーション


「暗黒団、いたずらはそこまでね」
「なにやつ?」

魔人将軍ひきいる暗黒団が見上げる。ビルの階上に誰かがいる。人だ。
その美しい体のラインから遠くからでも何だか分かった。女!

「あいつは」

満月を背にし、全身を窮屈な白いタイツで包む女。月の光りが女の体の曲線をさらに際立たせている。

「ふふふ、天が呼ぶ。地が呼ぶ。早く私に裁いてと悪が呼ぶ」

口の部分がシールドで覆われているわりには声がよく透った。

「咲かせてみましょう、正義の拳…」

片脚をビルの縁にかけ、自身の行う正義の制裁に酔いしれて女の饒舌が止まらない。

「天に変わって悪を撃とう!…」

円を描くように腕を大きく回しだす。

「キャシャーンがやらなきゃ誰がやるの!」

「とぉーっ」

女が空に飛び出す。

「やっちまえ!ものどもぉ」

暗黒団の機械兵は一斉に落下点に群がりにかかった。
その数、有に五十機。一回転をした女が着地すると機械兵たちが上から一気に包み込んだ。

「やった!」

…がそれはつかの間、閃光が走り、機械兵たちが次々に縦に裂け散った。
将軍の真っ正面に向けて大きな道が生まれた。

「電光パンチーッ」

機械兵たちが次々と宙に飛ぶ。

積み重なった山が火を噴き、炎が女を染めていく。
スクラッブを掻き分けながらゆっくりと歩み寄った。

「お、おまえは…」

シールドが開き女の薄い唇が顔を出した。
艶のある淡い唇。

「正義の味方…、キャシャーンレディーと人は呼ぶ!」






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