復讐
シチュエーション


その日は朝から関西方面に出張で、女性社員のYと同行した。

私が経営する会社には女性社員は10名ほどいるが、その中でも
Yは一番目立たない地味で無口な女で、年は20代後半で中肉
中背。肩までの長さの髪は今どき珍しいくらい黒く、色白で肌は
きれいだが化粧気もない。仕事はできるが大人しすぎて私の好み
とはかけ離れた、どうでもいい存在の女だった。

私は日頃から社員には冷たく対応するし、仕事面についての指示や
指導についてはかなり厳しく当たる人間だからかYは移動中も緊張
して私から極力遠ざかって歩いていた。

夕方頃、3件目の訪問先を出たあたりから私は悪寒がし始めた。
その時期はインフルエンザが流行っていて、急激に襲ってくる寒気
と関節の痛みから間違いなくインフルエンザに感染したとわかった。
私はYを次の訪問先へ独りで行かせ、早めに宿泊先に入って部屋で
休むことにした。

後で気づいたことだが、Yも同じホテルに宿泊することにしていた
ようだ。通常、出張の時は自分で宿泊先を取らせるのだが、私と
同じところを選択したのは何か意図があったのかはわからない。
とにかく、夕食も取らずに部屋に転がり、徐々に上がってくる熱に
うなされ朦朧とし始めたころ、部屋がノックされたので重い脚を
引きずって出たらYがそこに立っていたのだ。

「何だ」

私はつっけんどんに言うとYを睨んだ。
その夜のYはいつもと違っていた。いつも伏し目勝ちでおどおどと
しているはずのYが、この日は何故か堂々としていて心なしか瞳が
光っているように見えた。

「タミフルを持ってきました。インフルエンザでしょう?風邪薬は
効きませんよ。」

張りのある強い声でYは続けた。

「体調管理も仕事のうちですよね。」

たしかにそうだ。私は日頃厳しく社員に体調管理を徹底させている。
それなのに私が出張先で体調を崩したことを非難しているのだ。

生意気な…私はそう思ったが、高熱のためにふらついて、何も
言うことができなかった。

私はYからタミフルを受け取ろうと手を伸ばした。
すると、Yは私の胸を小突いて強引に部屋の中に入ってきた。
「何する」

私は咳き込みながら呻いた。 Yは私を強く睨むと、もう一度、
今度はかなり強い力で胸を小突いてふらつく私を転倒させた。
普段はこんなことで倒れたりしない。その時の私は多分9度近い
高熱があったのだ。ビジネスホテルのタバコ臭い床に転がって、
私は下からYを見上げた。

「社長、タミフル飲みます?飲ませてあげましょうか」

Yは笑顔だった。
幻覚なのではないかと思うほど、その時のYは綺麗に見えた。

グレーのスーツを着たままで、細身のタイトスカートから伸びる
白い脚…両方の太腿の間からパンストの継ぎ目が現れ、暗い色の
ショーツが浮き出て見えた。

私は不覚にも一瞬で勃起した。

この女を「女」と感じたことはなかったはずなのに、釣り上がった
目を光らせ堂々と私を見下ろす初めて見る姿に気弱になっていた
私の何かが反応したのかもしれない。

インフルエンザに罹った経験があれば判ると思うが、普通の高熱と
違って「このまま死ぬかもしれない」という恐怖感を抱く。
それくらい身体の節々が悲鳴をあげ、耳鳴りがして筋肉痛になる
ほど全身が震えていたのに、私のペニスはここしばらく無いほどに
硬くいきり立って開放を求めて蠢いていた。

私は必死で上体を起こし、両腕だけの力で後ずさりすると近くに
あるベッドに凭れて息をついた。寒くて仕方がないのに、額からは
汗が流れてくるのを感じた。
Yはそんな私を介抱するはおろか、腕を組んで私を冷たく見下ろした
姿勢のままだった。

「タミフルは…処方箋がいるだろ 何でお前が持ってる」

私は勃起したペニスの位置を変えながら意味の無いことをYに聞いた。

「去年の今頃インフルエンザになったんですよ。その時の残り
です。」
そう言うと、Yは冷蔵庫からエビアンを取り出して来た。

「社長、去年私がインフルエンザで3日休んだときのこと、覚えて
いないの?」
Yは敬語をやめた。

私は記憶を手繰り寄せた。そうだ…2月…この女は風邪で3日
休んだ。体調管理を徹底しろと後から怒鳴った覚えがある。

「私、あれから気をつけてるんです。特に出張前は…。あの時は、
凄く傷ついたから」

そう言うと、一瞬だけいつものYの表情になった。いつもの地味で
下向き気味で緊張しやすい女の表情に…

Yはエビアンを口に含むと、タミフルを私の口に押し込んだ。
乾いたカプセルが唇にくっついて、ピリっと痛んだ。

Yはタイトスカートを自分で捲りあげて足を開くと、私を跨いで
膝上にどさっと腰を下ろした。
カラカラに乾いた唇に張り付いたカプセルをそのままにしていた
私を上に向かせて、Yは水を含んだ自らの口を近づける。
「やめろ、やめろ」私は唸ったが容赦なく彼女は口づけをしてきた。
私の唇から剥がれたカプセル薬は、Yの口から流れ込んでくる水で
押し流され、喉を通って身体の中に入っていった。Yの唇は柔らかく、舌はそれ以上に滑っていて、力なく弛緩してされるがままになって
いる私の唇を押し広げて強引に中まで押し入り、巧みに舌の裏を
舐め唾液と粘膜を絡めとるように執拗に口内を蹂躙し、クチュ…と
音をたてた。

「あ…」

私は頭をベッドに凭せ掛けたまま、Yに口内を犯されて堪らず声を
漏らした。その喘ぎに触発されてか、Yの呼吸も荒くなり私の上唇を
軽く噛み、舌を尖らせて歯茎や頬の裏の粘膜を吸う。私の反り
立ったペニスをズボンの上から弄りながら、唇での濃厚な愛撫を
続けるY…。思いもよらない女の変貌に、私は翻弄され夢中になって
いた。

Yは私のズボンのファスナを下ろすと、コットンのトランクスの上
から左手でペニスをぐいっと握り、上下に擦り始めた。その間
ずっと、私の震える舌をまるでフェラチオをするかのように艶めか
しく吸引しつづけ、時には優しく自らの唇で輪をつくって啄ばむ
ように頬の方まで侵略していった。

「ああ、何でだ?」

私は喘ぎながら問いかけた。
実は「何故Yが私にこんなことをするか」といった理由などは
どうでもよかった。情けない女のような喘ぎを殺すためにとりあえず
発しただけだったのだ…。Yはそれを察知したのか、無言でことを
進めていく。
真っ暗なホテル…シングルベッドの脇にある小さな窓からは都会の
街灯りがチラチラと見え隠れしていた。

一旦唇を離してから、Yは乱れた漆黒の髪を頬に絡ませて私を
見下ろした。薄いカーテンから差し込む小さな明かりに照らされて、
Yの唇は淫猥に光っていた。めくれ上がった赤い上唇の下に見え隠れ
する歯が妙に動物的で、この歯でどこかを思い切り痛めつけられて
みたいと一瞬考えた。

「あんただって結局同じよね、偉そうにしててもさ」

Yはベルトを乱暴に解くと、私のズボンとトランクスを同時にずり
下ろす。その瞬間、汗と精液の混じったような臭いが立ちのぼり、
私は羞恥で思わず仰け反った。

これだけの高熱があって身体が重く、少しの移動ですら精一杯の
状態なのに、私のペニスは赤銅色に照り輝き、先端部分ははちきれ
そうなほど膨らんで次の愛撫を待ち望んでいた。私は本当に死ぬの
ではないかと思った。私の身体は死に向かっていて、最後の種を
放出するための本能活動なのかと。そんな馬鹿げた発想と、Yと
いう女との意味不明な出来事に不意に笑えてきた。

はあっ はあっ と荒い息のまま、頭をベッドに乗せ両手両足を
弛緩させている私の両膝に乗ったYは、これ以上無理なほど
膨らんだ雁首を左手の人差し指で優しく、ゆっくりとなぞった。

私は思い切りビクついた。
身体中のすべての神経がここだけに集まっているかのように敏感に
なっていたのか、たった一度指で触れられただけでこれだけ強い
快感を得たことは今までにはなかったのだ。

身もだえする私を余所目に、Yは口からとろりと唾液の塊を落とした。
ちょうど亀頭の上にのった生暖かいはずの唾液が、高熱で揺れる
肉棒の上ではひんやりと冷たい液体としか感じられなかったのだが、
それでもYの暖かい右手の掌が唾液で濡れた亀頭をこね回し始めた
ときには、一瞬で私の火のような塊からの伝道熱とYの掌での
摩擦で熱くなっていた。

「−−! ―― はぁっ ―!!」

私は、女のように喘いだ。

ヌチャッ ヌチャ… と私の亀頭と滑った液体が擦れる音が聞こえ
ると、私は異常に興奮してもう一度大きく仰け反りさっきと同じ
ように喘いでしまった。
膝の上に乗るYの尻は柔らかく、私の亀頭を擦りながら細かく揺れ
ていた。
力を入れずに擦るように亀頭を摩擦されると、触れられているのか
判らないのにピリピリとした快感だけが伝わってきて、ただでさえ
朦朧とした意識が完全にどこかへ切り離され、私は目を瞑って
ペニスから伝わる快楽の波だけに集中した。

小刻みに震えて喘ぐ私を冷たい目で見つめ続けるY。
いつもの私ではない私は、恐る恐るYに視線を送ると、また羞恥で
身体中が粟立って居たたまれない気持ちになった。

「社長、情けない声だして… 金子さんに聞かせてあげたい」

高速で亀頭を擦りながら、Yは冷淡に言った。

金子は私より年上の役員で、何かにつけて私を若造呼ばわりする
目障りな男だが、親父の代から会社を支える経理社員ゆえに
中々首が切れない。そんな男の名前を不意に出されたのに、私は
意外にも一層興奮して、喉を震わせて呻いていた。

膝の上から尻を持ち上げ少しずつ下にずれていくと、Yは身を
かがめて私のペニスの先端を口に含んだ。Yの頬の裏の粘膜が
ぬるぬると雁首の間を移動して、そのまま唇をすぼめて亀頭を
吸う。

「あ… ああぁ…」

廃人のようにうな垂れて呻く私は、もうプライドも何も無くなって
Yの次の攻撃を心待ちにするようになってしまっていた。
亀頭だけを執拗に撫で回し、舌で舐め上げられ興奮させられるだけ
させられても、茎の部分を擦ってくれないと達することができない。
私は自分で擦ろうと右手を上げたのだが、Yに遮られてしまい、
仕方なく懇願した。

「奥まで…銜えてくれないか」

勝ち誇ったように微笑んでYは私のペニスを根元からつかみ直すと、
再び亀頭だけを掌でマッサージし始めた。
これを長時間続けられると、切ない気分になって堪らなくなると
いうことに初めて気付いた。私の懇願も空しく、Yは唾液が必要な
ときだけ先端のみを銜え、十分に湿らせたら容赦なく掌と指で
雁首から上のみを攻め続けた。
私は、何度も竿を擦ってくれるように懇願した。口で銜えて欲しいと
言っても冷笑し見下ろすだけでYは淡々と亀頭だけを懲りずに摩擦
し続ける。

私は高熱と快感で女のように喘いでいた。

自分がこんな声を出すとは思わなかった。

羞恥心も自尊心も無くし半身の快楽に集中して、視線を漂わせて
変質者のように…。


Yは私を蔑むように見つめていて、それがより一層私を刺激した。

「あ―― あぁぁ…」

気持ちが良くてこのまま本当に死んでもいいと思ったとき、Yは
根元を握っていた左手を動かしてついにしごき始めた。
2、3回上下に擦ったところで、私のペニスは大きく痙攣して射精
した。脈動にあわせて私は情けなく細い声をあげた。

精液は私のペニスの上に吹き上がり、そのままボトボトと落ちてきた。
経験したことが無いほど大量の精液にまみれて、私の熱い茎はしおれ
そうになったのだが…

まだYの攻撃は終わってはいなかったのだ。

自らの精液で滑った私のペニスをもう一度つかみなおして、Yは
右手の中指を尿道口に擦りつけた。

「 ぁ ―ぁ―! !」

私は重く汗だくの身体を仰け反らせて叫んだ。敏感になっている
射精後の亀頭は、突然襲われた刺激にヒクッヒクッと反応する。
Yは瞳を光らせて私を睨んだ。

尿道口を中指で擦りながら、左手の中指と親指で輪をつくり、
恐ろしく敏感になり液体にまみれた雁首をまわすように摩擦した。

頭を支点にして腰を上下に振り、私は何とか逃れようと暴れた。
膝下にどっしりと乗りかかっているYは微動だにせず、笑いながら
同じことを続けた。

私の声は暗く閉ざされたビジネスホテルの一室で異様に響いていた。
こんな声を知人に聞かれたら、私は生きてはいけない。誰とも顔を
合わせられない。そんなことを考えながら、私は嗚咽に近い喘ぎ声を
発しながらビクンビクンと身体を揺らしていた。

しばらくしてまた亀頭が乾いてくると、Yは唾液を溜めて口を寄せ
ペニスを湿らせてから射精前と同じように掌で先端のみをこね
回してくる。

「ああ… 勘弁してくれ… 」

私は泣き声でそう言ったのだが…本当は今までにない感覚に溺れて
いて、やめて欲しくはなかった。やめて欲しくないのに、この
終わりのなさそうな快感地獄に体力的にも精神的にも耐えられる
自信が無かったのだ。

「社長… いつも威張ってるのに… 女の子みたい…女の子みたいに
アンアン言ってるわ…恥ずかしい?」

この時、Yが私を強く恨んでいるということに、ようやく気付いた。

「恥ずかしくないの?」

Yは一瞬だけ攻めを中断して私を見つめた。
もともと釣り目気味のきつい顔つきのYだったが、この夜のYの
目を私は一生忘れられない…乱れた黒髪で半分隠されている瞳は
キラキラと輝き、私のすべてを射抜いているような視線だった。

「は…恥ずかしい… Y… 謝るよ」

「何を謝るんです?」

「君を… 君にだけじゃないけれど…私は仕事のことになると厳しく
言い過ぎるし…」

「…し?」

「傷つけてしまう… 他人の気持ちに…鈍感なんだよ」

「ここは敏感なのにねぇ」

Yはそう言うと、再び私のヒクつく部分をいたぶり始めた。先端
からはトロトロと透明な液があふれ出ていて、それを利用するかの
ように指ですくうとYは一番感じる尿道口と丸い丘を重点的に…
それでもゆっくりと優しく摩ってくる。


私はまた襲ってくる刺激に身悶えした。もう、大声を出してこみ
上げるものを逃さないと狂ってしまいそうになり、私は恥も
外聞も関係なく全身を痙攣させながら喘いだ。

そんな私に満足したのか、哀れに思ったのかYは一度ゆっくりと
亀頭にまとわりつく粘液を根元まで伸ばしてからゆっくりと茎を
しごき始めた。

「やめないでくれ… いかせてくれ…」
私はぐったりとベッドにもたれて哀願した。
クチュ…グチュ…液体と粘膜の掠れる音、Yの手によってぐにゅぐにゅと
高速に動く私のペニスの皮…私は波打って現れる吐射感で一瞬息を
止めて目を瞑った。

「あ… ああ… −−イクッ−−! イクッ −−−!」

私の叫びを聞いて、Yは手をとめた。

「あああ−− あああっ −−−」

無念の叫びをあげて私はぐったりとした。いきり立ったペニスが
私をあざ笑うように揺れていた。

はあっはあっ
はあっ

「あ――!―」

私が叫び始めると、Yはもう一度私のペニスをしごく。そしてまた
射精感が襲ってきたところで寸止めした。
こんなことを何回もされて、私にはもう叫ぶ体力も無くなり廃人の
ようになっていた。

それでも…私の今までの性体験の中でこれ程までに快楽を感じた
ことはなかった。焦らされて、悶えて、女のように喘いで、
懇願して…私の精神はYのものになっていた。

その本心を知ってか知らずかYは私を見つめ、今度は優しく、腿を
さすりはじめた。

「社長… 社長… 私はあなたにどれだけ傷つけられたか…」

私は本心からYに謝罪したい気分になった。何をそれほど拘って
怒っているかはわからなかったが、たとえどんなことであっても
私が悪いのだと感じるようになっていたのだ。

「悪かった… 悪かった… 頼むよ… 何でもする…」
私は頭をベッドに置いたまま、腰を振って次を求めた。
Yの許しを…求めた。

「何もしていらないわ わかってほしかっただけ」

Yは私の汗でぬれた両ひざを立てさせてその間に割って入ると、両手
でいきり立つ硬い欲望の根元を支えて先端をゆっくりと銜えた。

ジュプ… グチュ…と卑猥な音をたてながら、生暖かい彼女の唇と頬の
裏の粘膜が亀頭を滑って根元まで届いた。Yの口内におさまった私の
瀕死のペニスは待ち望んでいた心地よさにうち震えてから、最後の
瞬間を迎えるべく限界まで膨らんだ。

ジュッ クチュッ ヌプッ
Yの唇と舌は私を飲み込んで、強く吸引しながら上下に動いた。

私は高速の愛撫に我を忘れて叫び、一気に絶頂の痙攣を起こした。 

ドクッ ドクッ とあからさまに動いているペニスから熱い欲液が
再び絞り出されてYの口中に広がっていった。

その後のことはほとんど覚えていない。気がつくと狭いシングル
ベッドの上でうつ伏せていて、ビジネスホテルの小さな窓から
差し込む朝日で目が覚めたのだ。

身体中が筋肉痛でしばらく動けなかった。その間、昨夜の記憶が
徐々に蘇ってきて、羞恥と興奮が襲ってくる。どんな顔をして
Yに会えばいい…?何を話せばいい?
タミフルのおかげか、熱は8度前後のようでなんとか起き上がる
ことができるまでになっていた。Yはすでにチェックアウトを
済ませているようだった。私はこの日の訪問をすべてキャンセルし、
地元へ戻った。

その日を境に、Yは出社して来なくなった。

===


何故、あの真面目なYは突然連絡もなく退職したか…社員の間では
謎だったようだ。私はYの今までの様子を他の社員に聞いて回った。
Yはやはり、私の横暴なやり方や気持に配慮しない叱責に悩んで
いたようだった。Yなりに努力して成し遂げた仕事であっても、
私はねぎらいもしなかった。逆に些細な失敗を徹底的に指摘して
いたように思う。そんなYは数か月前からメンタルクリニックに
通い、抗不安剤を処方してもらっていたといった噂も出てきた。

そして…Yはキレた。
辞める覚悟で私に復讐したのだ。

はたしてあの出張の夜のやり方が復讐になり得るのか?

結果的にYの復讐は成功したことになる。私は、もう普通の
性交渉では満足できない身体になってしまったのだから。
私は何とかYと連絡を取ろうとした。彼女の顔を見たかった。
彼女の手に…私を悶絶させた掌に触れたかった。そして、今で
はっきり思い出せない唇の形、頬の形状、瞳の色…全てを
確かめたかったのだ。

自宅マンションはすでに引き払っていて、携帯も自宅電話も解約
済みだった。静岡の実家にも連絡したが、私には居場所を教え
られないと言われてしまった。興信所にでも頼もうかと思ったが、
さすがにそこまでするのも気が引けて結局Yの居場所は未だに
つかめていない。

あれから、私は妻や他の女とのセックスで快感を得ることが
できなくなった。射精はするが、それはただの排泄であり性の
営みとは思えなくなった。焦った私はあらゆる方法であの日を
再現しようとした。「そういう趣」の風俗店にも行ったし、
出会い系サイトで知り合った元風俗嬢に私の体験を話して再現して
もらったこともある。

しかし、何をしても駄目だった。

精神的に蹂躙していた女から突然反撃され、精神的にも肉体的にも
犯されるといった特異なシチュエーションでしか感じなくなって
しまった私の肉体… 

いつかどこかでYに会えるなら…私がしてきた数々の失敗をYに
罰してもらいたい。

とことん焦らされ、痛めつけられ、そして最後は…もう一度許して
もらいたい。


もし叶うのなら…






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