まぞが島物語 邂逅
シチュエーション


数日後。
アヤは松吉の言いつけで雑貨屋に来ていた。

肉体の関係を持ってから、二人は一緒に暮らすようになっていた。
松吉はアヤの家に居座り、文字どおりに主人としてアヤを支配していた。
アヤはその時以来、昼夜を問わず絶え間なく調教されており、爛れた性行為の魔力に狂わされていた。
アヤは松吉の責め苦を受けて悦び、いたぶりに悶え狂う、巨根に服従するだけの女となっていた。
異常な性欲に取り憑かれて、アヤの肉体からは妖しい色気が漂うようになっている。

雑貨屋にいた者達は、その変貌ぶりに目を見張った。
これまで網元に陵辱され続けていたとはいえ、アヤは気だての良い娘だった。
清楚で明るく愛くるしい娘だったのだ。
それが今、アヤの男達を見つめる瞳は、媚びを売り、誘惑しているようにさえ見える。
一つ一つの物腰が淫靡でいやらしく、見る者全てをを誘惑している。

男達の視線は白いブラウスとスカートというありふれた姿のアヤをを捕らえる。
彼らは衣服に隠されたこの女の肉体を隅から隅まで熟知している。
いくら気取った服を着ようが、俺たちはお前の全てをわかっているんだ。
乳房の大きさも尻の形も知ってるんだよ。
妄想の中で男達はアヤを裸に剥き、痴態を晒させ、卑猥な喘ぎ声でよがらせた。

もちろん、アヤ自身はそのことに気づいていない。
いつもと変わりない振る舞いのつもりだ。
周囲から卑猥な眼差しで見られているとは、夢にも思っていない。

アヤが買い物を済ませ、紙袋を両手に持ち家路を急いでいると、背後から声を掛けられた。

「アヤ!」
「将晃君!」

振り返るとそこにいたのは将晃だった。

アヤは反射的に将晃から逃げて走る。

(かまわないでっ!わたしになんか!)

アヤの心には将晃の声を聞いたとたん、焼けるような恋心がよみがえる。
しかし後ろめたさと恥ずかしさが、将晃を遠ざける。

「アヤ!待つんだっ!アヤっ!」

将晃は追いかける。

二人は南の浜辺を走った。
夢中で逃げるアヤだったが、なぜかその走りはぎこちなく足がふらついている。
耐えきれず両手に持った紙袋を落とす。
中からいくつもの紙の小箱がこぼれ落ちる。

将晃はアヤの肩を押さえ立ち止まらせる。

「な・・なぜ 逃げるんだ!アヤ」

将晃は息を切らせてたずねた。

「将晃君 あの日から ずっと・・待ってたの。将晃君が帰ってくるのを!」

アヤは振り返ると、喉から声を絞り出し、思いの丈をぶつけた。

「この2年の間、いつも あなたのことを想っていたわ 会いたかった・・」

うつむいて、将晃の胸に額を押し当て話し続ける。

「好きなの・・好きだったの。将晃君のこと」

叶わぬ想いに耐えきれず、両手で将晃の胸を何度も叩く。

「ア  ヤ・・!」

将晃はアヤの体を思い切り強く抱きしめる。

「でも・・だめっ!もう、遅いのよ。  そう  ・・終わったのよ」

アヤは将晃の手を振り払い、後ずさりする。

「アヤ!違うよ!終わってなんかいない!」

「わからないの?  見たんでしょ? 松吉さんと   ・・してる とこ 」

アヤは哀しみをこらえ、冷酷な眼差しで将晃を見つめる。

「松吉さんと私が裸で いやらしく重なって 大きなアレが私の中に突き刺さって 繋がってるとこを」

少し間をおき、腹部に両手を当てて、さらに続ける。

「松吉さんが私のおなかに精子を入れて 私が い いっちゃったとこも!」
「・・ああ 全部見たさ」
「それなら なぜ?」
「好きだから アヤのことが 好きだから」

「将晃君 これを見て!」

アヤは両手で白いスカートを大胆に捲り、その内部を見せた。
そこに下着はなく、替わりに麻縄がきつく巻かれ、無毛の柔肌に食い込んでいる。
縄に割られた性器から、陰唇が無惨にはみ出している。

「どう?可笑しいでしょ・・軽蔑するでしょ!? これ、松吉さんに縛られたの・・命令なの」

「私、もう自由に下着も着れないし オナニーも監視されているわ 排泄だって許しをいただかないとさせてもらえないの・・」

アヤは魔女の微笑みで本心を被う。

「私の体も心も全部・・もう松吉さんの思いのままなの。そう! 私 奴隷にされたのよ!」

アヤは砂浜に落ちて散らばった小箱に目を落とし、それを一つ一つ拾い始める。
そして箱に付いた砂の粒を丁寧に払い、紙袋に戻していく。

ふと、箱を拾うアヤの手が止まり、おもむろにその一つを開け、中身を取り出して将晃に見せた。
それは浣腸液の入った容器だ。

「今、 お尻で性交できるように訓練を受けてるわ。まだ・・きついけど。でも・・」

アヤはその内容物を確認するように、その容器を日にかざす。

「わたし・・へんたいだから・・」

「ばかっ!」

将晃は思わず、アヤの頬を平手で叩いた。
瞬間、アヤの手から容器が振り落とされる。

突然、叩かれたことにアヤは放心して、容器が落ちた地面に目をやる。

「アヤ  ごめん つい 腹が立って」

将晃は足下の容器を拾うと、砂を払う。
少しの沈黙のあと、将晃はその容器を紙袋に戻し、アヤの手を強く握る。

「アヤ 自分に負けるなよ 俺・・いつまでも待ってるから 好きだから」

「なぜ?・・なぜもっと早く帰って来てくれなかったの?」

アヤは将晃の手を、更に強く握り返す。
今にも涙が零れそうだが、アヤはそれを堪える。
もし、涙を流してしまえば、きっと全ての戒めから解かれて楽になれるだろう。
しかし、堕落した自分は、将晃に愛される資格がない存在なのだという自覚が、涙を止めさせる。

「帰って来てたんだ。いたんだよ。この島に。もうずいぶん前から・・」

将晃はアヤをもう一度強く抱きしめた。
そして、青い海原と白い砂が広がる浜辺を眺めて呟く。

「誰も信じないだろうけど・・」

「えっ・・?」

アヤは力強い腕に抱かれ、将晃の顔を見上げる。
その顔は、逞しさとともに凄まじい苦悩がにじみ出ている。

アヤは将晃の体温を肌に感じて安らぎを覚え始める。
源三にも松吉にも感じたことがない、不思議な癒しの感覚だ。
将晃の心臓の鼓動に耳を澄ませ、アヤは遠い安息の日々を思い出していた。

ようやく平静を取り戻したアヤは、強がっていた力を抜いて訊いた。

「なぜ?この島に帰ってたのに・・会ってくれなかったの・・将晃君」

「信じてもらえない話さ・・とても・・・」
「将晃君・・」
「まるで地獄のようだった いや地獄そのものだったんだ。そこは。 みさのいた世界は・・」
「みさ・・?」

日が陰り、強い突風が二人を包んだ。






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