まぞが島物語 夏の夜の悪夢
シチュエーション


その日の夕刻。
アヤは灯りも点けずに、薄暗い部屋の中で膝を抱えている。

アヤは昼間の淫らな行為を後悔し、自分を責めていた。

(いくら 寂しいからって なんて恥ずかしいことをしちゃったんだろ!)

アヤは母の言葉を思い出した。

(アヤちゃん・・負けちゃだめ・・強く生きるのよ)

(お母さん。ごめんなさい。もう二度としないわ。あんなこと)

「そうよ!私は一人で生きていかなくちゃ いけないんだから!」

アヤは自分の心の弱さに負けまいと、呟いた。

その時、戸口を敲く音が響き、声がした。

「アヤちゃん。いるのか?」

それは松吉の声だった。

「あ・・松吉さん。何 か ご用ですか?」

アヤはドキリとして声をうわずらせながら返事をした。

(昼間、私のこと見てたのは、松吉さんかな)

そう思うとアヤは、とても顔を会わせる気持ちになれなかった。

(もしそうだったら やだな。変な娘だと思われてるかも・・)

「アヤちゃん。港から活きの良い魚を持ってきたんじゃ。うまいぞ、これは!」
「ごめんなさい。今日は食欲がないんです」
「それはいかんな。どこか悪いのか?」
「いえ・・とくに ないんですけど」
「そうか。ま、とにかくここを開けとくれ。せっかく持ってきたんじゃから」

アヤは根負けして、戸をあけた。

「ほう、お似合いの服じゃ」

松吉はジロジロとアヤを眺めた。

「えっ?いつも着てる普段着ですけど・・」

アヤの言うとおり、それは普段着の白いシャツと膝までの長さのスカートだ。

「そうか。そうか。アヤちゃんは何を着ていてもよく似合うのう」
「え・・?そんなこと ない で す」

アヤは松吉の言葉を意味深げにとらえ、語尾を濁した。

松吉は大きな鯛と酒瓶を両手にぶら下げてる。

「ほうら。見事な鯛じゃろう。これから台所で料理するでな」

そしてアヤの返事を待つこともなく、ズケズケと上がり込んだ。

「あっ!こまります!」

アヤは女一人暮らしの生活に、突然足を踏み込まれ困惑する。

「遠慮するこたないで。これだけの大物、ワシだけではとても食いきれんのじゃ」

松吉はアヤの制止を意に止めず、ニヤリと笑いながら鯛をさばき始めた。

「魚も女も鮮度が一番じゃよ」
「え・・・?」

アヤは、何気ない松吉の言葉に返答が出来ない。
鱗を鋭利な刃で刮げ落とされていく鯛の姿に、自分の運命を重ねた。

松吉は、料理の支度が済んでも帰る気配は見えない。
アヤは、祖母の葬儀でお世話になった手前、ありがた迷惑だとは強く言えない。
それを見透かしたように松吉は、居間のちゃぶ台の前にどっかとあぐらをかいた。

「アヤちゃん。まずは酒じゃ!」


数時間後、松吉は酔い潰れ、大鼾をかいて眠っていた。

(もうっ!これじゃ帰ってくれそうもないわ)

アヤは食器を洗って後片付けを終え、松吉の寝顔を見た。
松吉は大口を開けて眠りこけている。
当分起きそうにもない。

(この間に、お風呂に入ろうかしら)

アヤは昼間にかいた汗が、不快になっていた。

(とにかくこのままじゃとても眠れないわ)

アヤは静かに居間を出て、風呂を沸かした。
しばらく経って湯が沸いても、松吉はあいかわらず眠りこけている。

(これならお風呂に入っても大丈夫ね)

松吉を起こさないように気を遣い、着替えの浴衣を用意して、風呂へ向かう。

同じ屋根の下に、老人とはいえ赤の他人の男性がいる。
アヤは湯浴みの音がもれないよう、気を配る。
長い黒髪を洗い、汗で汚れた身体の垢を丹念に石鹸でおとしていく。

アヤは湯船に浸かりながら、将晃のことを思った。
将晃のことはこの2年間、片時も忘れていなかった。
浜辺で将晃の肩に頬を寄せた、幸福の一瞬。
儚い初恋の終幕。

(まさあきくん どうしてるかな こんな身になっちゃったけど あいたい お話しだけでもいいから)

想いが届かない遠く離れた存在だからこそ、思慕の情はなおさら強くなっていた。

しばらくお湯につかると、湯船をでる。
湯上がりの肌はピンク色に上気し、心地よい石鹸の香りが漂っている。

(あっ!しまった! 替えの下着を持ってくるの 忘れちゃった)

松吉を起こさないことに気を取られすぎていたため、うっかりしていたのだ。

(汚れてる下着穿くの、やだな。とにかく浴衣だけでも着て、部屋に戻ってから着よう)

アヤは直接素肌に黄色い浴衣と紅い帯を纏って、風呂場を出た。


「あっ!目が覚められたんですね?」

居間へ戻ると松吉はすでに起きていた。
ちゃぶ台に酒瓶を置いて湯飲み茶碗で酒を飲んでいる。

(よかった。これで帰ってもらえる)

アヤは内心ほっとした。

「もう夜更けですよ。松吉さん、お帰りになって寝られた方がいいですよ。深酒は身体に悪いし」

松吉はアヤを見ると、待っていたかのように、空になった湯飲みを差しだした。

「そうじゃな もう一杯だけにしておくか。アヤちゃん。じゃ最後に隣へ座って酌をしてくれんか」
「えっ?」

(やだ まだ飲むの? でも最後の一杯を飲まないと帰らないみたいだわ) 

「じゃ、これを飲んだら帰ってくださいね」

アヤは仕方なく、隣へ座り酒を注いだ。

「ああ、美人の酌で飲む酒はうまいのう。ワシにもこんな日がくるとは考えもせんだったわい」

松吉は感慨深げに独り言を言うと、湯飲みをチビリと舐めた。

「良い匂いじゃ。風呂に入ったのか?」

アヤの身体からは石鹸の香りがして、松吉の鼻をくすぐる。

「はい。昼間、汗をかいちゃったし」

「そうじゃな。たっぷりかいておったのう 身体の隅々まで。  じゃがあれは、 汗だけではなかったろう?」

松吉は、その光景を思い出すように、舌なめずりをしてニヤリと笑った。

「 ・・えっ?」

アヤは松吉の表情の変化に戸惑った。

(やだ やっぱり みてたんだ このひと)

どうやって、この場をやり過ごしたらいいか思いつかない。

「アヤは、ああやって、いつも一人で自分を慰めておるのか?」

松吉は酒を一気に飲み干すと、追加を催促するように、また湯飲みを差し出した。

「そ そんな・・」

アヤの頬はこわばり、言われるまま酌をする。
酒を注ぐ手が微かに震えている。

「嫌らしい姿を見られて興奮する女なんじゃな。アヤは」
「そ ん なこと な い で す」
「変態め!まったく とんだ変態娘じゃ! お前は!」

松吉はアヤを叱責するように大声で怒鳴る。
アヤの震えが大きくなる。

「寒いのか?アヤ」

松吉は震えるアヤの肩に手を乗せ、そして背中をさすり始める。

「いえ・・ちが」

松吉が自分を「アヤ」と呼び捨てていることに不吉な予感が走る。

「おお、ブラジャーは着けておらんのか」

松吉は浴衣を撫でながら下着の感触がないのを確かめ、意地悪く聞く。

「え?  あの・・さ さっき わすれちゃって」

アヤは顔を赤らめてうつむいた。

「まあ、いつもみんなに裸を見せびらかして喜んでおる娘じゃからのう。要らんわな」

松吉は、からかうように笑う。

「ち ちがいます」
「どう違うんじゃ?」

松吉の手は下に降りて、今度は尻をなで回し始める。
薄い衣を通してアヤの肌の温もりが伝わる。

「パンティも穿いとらんのか?こりゃ 驚いたわい! 想像以上の へ ん た い じゃ!」

松吉は「へんたい」と言う言葉をことさら強調した。

「や めて やめてください」

「やめろだと?ワシはお前が昼間、素っ裸で悶えるのを見せつけられたんじゃぞ」

松吉はアヤの腰に手を回して強引に抱き寄せる。

「や だ! かんにんして わすれて おねがい」

松吉はアヤの黄色い浴衣の袂に手を差し込み、乳房をまさぐる。

「そうはいかんわい。ワシを誘うように見せつけて、気持ちよさげに逝きおったくせに」
「たすけ て・・    あやま ち なんです」
「みんなに言いふらしてやろうかの。アヤは手淫三昧の色狂いじゃと」
「ゆるし て」

松吉は湯飲みを置くと、両手でアヤの浴衣の上半身をはがした。

「だ め・・! 」

(やだあ  こんなひと にっ!)

アヤは抵抗を試みるものの、痴態を見られた弱みを握られているため強く拒否できない。
松吉は抵抗が弱いことに自信を得て、アヤを抱え上げ、自分の膝の上に座らせた。

アヤは上半身を裸にされ、松吉の膝の上で赤ん坊のように抱かれている。
薄い布を隔てて、アヤの尻と松吉の一物が密着している。

(かたくなってる!)

「アヤ、どうじゃ。ここでもう一度見せてくれんか」
「え・・ なに を?」

アヤには松吉の発した言葉の意味がよくわからない。

「昼間と同じものを見たいんじゃ。ちょうど、つまみがなかったからのう。余興に見てみたいと思うてな」
「よきょう?」
「そうじゃ アヤが悶えるのを見ながら酒を飲むんじゃ。こりゃ最高だで」
「そ そ そんな みせものじゃ ない です!」
「違うぞ。本当は見せたいんじゃろ?お前はそういう女じゃ」
「どうなんじゃ。見せるのか。それともお前の本性を皆にばらしてもらいたいのか。どっちじゃ」

「どっちも いやぁ」
「アヤ。知っておるんじゃぞ。お前が昼間、ワシの子種を舐めたのを。うまそうに貪ったのを」

そう言うと松吉はアヤの右手を取り、浴衣の衽の間へ持っていく。

「そこ まで みて たんですね」

アヤは松吉を恨めしそうに見つめた。
黒い瞳が動揺して焦点が定まっていない。

「アヤ。お前は変態じゃ」

松吉は宣告するように言い放った。

松吉がもどかしそうにアヤの浴衣の衽をはだける。
紅い帯だけがきつく裸身に巻き付き、浴衣はすでに身を包む役目を果たしていない。
アヤの左腕を取って、松吉の首に廻させる。

アヤは松吉の顔を見つめながら、股間においた右手の指をおずおずと動かし始める。

(みられてるのにっ わたしったら なんて こと してるの)

自分がこの貧相な老人の膝でオナニーをしていることが信じられない。

(わるいゆめ  そう あくむ なのよ)

松吉は湯飲みを片手に、膝の上で自慰を始めたアヤを、満足そうに見つめ返した。

アヤの指の動きがだんだんと速くなっていく。
松吉の首に廻した腕に力がはいる。
ぴちょぴちょぴちょぴちょ・・指に反応する淫肉の悲鳴が聞こえる。

「あっ あっ あっ あっ・・・」

眉間に屈辱と快楽の間でたたかう皺が現れる。
それでも必死になって、松吉の目を見つめる。
だが間もなく、松吉を見るアヤの目が虚ろになって、唇の端から涎がしたたる。

「 あ あ あああああっ!  い っ くぅぅ!」

首筋に廻した左手が力尽きて、だらんと落ちる。
ぴくんぴくん・・余韻を感じて膝の上で肉体が跳ねる。

「アヤ。お前は へ ん た い じゃ」

松吉は己の腕の中で堕ちていくアヤに向かって、冷酷に告げた。






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ