まぞが島物語 闇の底で蠢いて
シチュエーション


源三の屋敷は漆黒の林の中で、怪しい光を放っていた。
アヤが着くと、正門の両脇には篝火がたかれ、招き入れるように重い扉が開かれている。

(クミ・・もうすぐだから、どうか無事でいて・・)

アヤは躊躇することなく屋敷の中に駆け込んだ。
広い庭内のあちこちでも篝火がたかれているため、屋敷全体を紅く浮かび上がらせている。
それはまるで闇に潜む魔城のようだ。
背筋が凍る異様な気配に、アヤは異界に迷い込む恐怖を覚えた。

炎に照らされた庭の明るさに反して、屋敷の灯りは消され、どの部屋も暗く静まりかえっている。
人の気配は感じられない。

(どこ・・どこにいるの?・・クミ)

アヤは玉砂利を踏みしめ、広い庭の奥へと歩を進める。
すると、一番奥の建物の一部屋に灯りがともっているのを見つけた。
座敷の障子が部屋の灯りを受けて、白く照らし出されている。

(あそこだわ・・クミ・・今、助けるからね)

アヤは奥座敷の縁側にそっと上がり込むと、障子に聞き耳を立て、中の気配を窺った。
座敷の中から人の声が聞こえる。

「ワシをたぶらかそうとは大した娘じゃて」
「いやぁ・・やめて!」
「わかっておるぞ。クミ。お前はワシに抱かれたくてたまらんのじゃろう?」
「ち・・ちがうぅ」
「何を言うとる。ワシに抱かれるためアヤを押しのけて来たくせに・・どうじゃ・・」
「いやああぁぁ・・やめてぇ・・勘違いしないで!」
「そうかな・・嘘はつけんぞ。肉体は正直じゃからな・・ほおれ・・」
「あぁぁあ・・や・やだあぁぁ!」

「やめてっ!」

アヤはたまらず障子を開け放った。

そこは30畳ほどもある座敷だった。
部屋の隅の数カ所には行燈が置かれており、それが部屋全体をぼんやりと浮かび上がらせている。
天井は高く、部屋の中央を横切るように、古めかしい欄間が取り付けてある。

「クミ・・!」
「アヤ・・・?いやぁぁあっ・・みないでっ!」
「!・・・」

アヤはクミの姿を見て、思わず絶句し目を背けた。

座敷の中央、欄間の下には、白く真新しい布団が敷かれていた。
その布団の上で、クミは全裸のまま両手首を縄で縛られ、立たされている。
縄は頭上の頑丈な鴨居に繋がれており、両手はまっすぐに上げたまま固定されている。
そして右足も、膝上の部分を縛られて足を大きく開かされた状態で、鴨居に吊されている。
左足のつま先だけが、辛うじて足下の布団に着いている。

そしてクミの背後には源三が立っていて、その白い柔肌を無骨な手でいたぶっていた。
源三は毛むくじゃらの弛んだ肉体に、白い褌だけをしめている。
その白い褌は体中に溜まった欲望を吐きだそうとするかのように、今にもはち切れそうだ。

「おお。アヤか・・意外に早かったのぉ」

源三は酒に酔った赤ら顔で、アヤを見つめる。

「あ・網元さん・・止めてください。クミを放して。お願いです」
「変なことを言うのう。アヤ。クミはワシに抱かれたくて来たんじゃぞ」

源三はニヤリと笑うと左手でクミの乳房を揉みし抱き、右の脇をぺろりと舐めた。

「いや・・いや・・」

クミは呟きながら大きくかぶりを横に振った。

「ほら、いやと言ってるじゃないですか!」
「アヤ、お前達はまだ子供じゃのう。これはまだ知らぬ快楽に溺れるのを理性が拒んでおるだけじゃ。」

そう言いながら、源三の舌先はだんだんと下へ降りていき、脇腹を舐めている。

「じゃが、その得体の知れぬ快楽を知ったとき、お前達はワシに感謝をするじゃろうて」
「ひっ・・ひぃぃ!おねがいっ!止めてぇっ!」

源三の舌は柔らかな尻を這おうとしてた。

「クミ。何をいつまでも拒んでおるのじゃ。じゃが、お前もどうせ母ちゃんのようになるんじゃ」
「えっ?お母さんが・」
「良い機会じゃ。寝物語に聞かせてやるわい」
「・・?」
「お前の母ちゃんはな、ワシの最初の女じゃ。」

源三は酒に酔ったのか饒舌に話し始めた。


代々まぞが島の網元の家に生まれた跡取りは、13才になった年に成人の儀式を迎える。
それは女性と初めて性行為が許される儀式である。
跡取りはかねてより、その相手となる少女を選んでおくことになるが、その相手は17才の処女でなければならない。
そして対象となる少女の中から好みの少女を指名し、父親である網元に伝えることになる。

白羽の矢が立った少女に拒否は許されない。
跡取りの誕生日、少女は自分の貞操を差し出すことになる。
だがこの儀式は、島の他の少女達が受ける性の儀式とは多少異なる。
その少女にとっては、いっそう苦しく辛い儀式だ。
なぜならその儀式に限り、網元が跡取りに性の作法を教えるため、同衾することになるからだ。

少女は、自分の肉体を生きた教材として、跡取りに提供される。
女性の体の仕組み、性器、性感帯、自分の秘所全てが二人の男の前にさらけだされる。
そして、好奇心旺盛で残忍な少年の性器によって、少女は女になる。
そのあと儀式の締めとして、網元が少女と交わり、跡取りに性技の奥義を伝授して終了する。


「クミ、お前の母ちゃんはよかったぞ。何と言ってもワシが最初に手を着けた女じゃからな」
「ひどい・・お母さん・・かわいそうに」
「何を言うとるんじゃ。儀式の最後の方じゃ自分から親父に跨って腰を使うのを覚えたんじゃぞ」
「そんなこと・・ない」
「どんなに言葉で言うてもわからんようじゃな。よし・・そろそろ教えてやろうかの」

源三は自分の褌に手をかけた。

「網元さん!クミはまだ16なのよ!」

アヤは叫んだ。

「なんじゃ・・?」
「だって・・島の掟なんでしょ?17才にならないと儀式はしちゃいけないんでしょ?」
「それはな・・」
「網元さん自身が破って良いんですか?」
「ワシは網元じゃぞ。ワシの権利じゃ」
「じゃ明日、みんなに言うわよ。網元さんは掟を破っちゃったって!」
「・・・」
「もう誰も言うこと聞かなくなりますよ。網元さん、困るんじゃないですか?」
「小賢しいことを・・」

源三は苦虫を噛み潰したような表情でうなった。

「よかろう・・クミは放してやる・・しかし!これを見ろ!」

源三は褌を脱ぎ去った。
弛んだ下半身と体毛の中に、黒々とした陰茎が勃起している。

「いやっ・・汚い」

アヤは醜い物を拒むように目を伏せた。

「ワシのこの猛り狂ったモノはどうしてくれる?どう鎮めてくれるんじゃ。アヤ」

源三は己の陰茎をしごきながら、クミの乳房を舌全体でベットリと舐める。

「いやっ・いいやっっ!!やだああ!」

嫌悪感が絶頂に達したのか、クミは叫ぶと気を失って頭を垂れた。

「さあ、アヤどうするんじゃ。クミの代わりにワシの御神体を身体の中に入れるのか?」
「それは・・」
「どうしたんじゃ・・アヤ。早うその無粋な服を脱いで素っ裸になるんじゃ」
「・・・」
「クミがどうなってもいいんか?・・アヤ」

アヤは、ゆっくりとシャツに手をかけた。






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