私を甲子園に連れてって
シチュエーション


「えーっと…以前はハマ高でピッチャーやってました、2年の本田剛です。よろしくっす」

剛ができるだけ丁寧に挨拶をすると、汗臭い部室の中には歓声と拍手が響いた。

『あの強豪、縦浜高校だってよ!?』『投手か〜ありがたいよな』

一気に歓迎ムードが高まった部員達を見渡して、剛は少しおどけてみせる。

「いや、すんませんね。甲子園も終わった9月に入ってきたところで遅いっつーの!って感じっすよね」

クスクスと笑い声が起こるのを制して顧問の男性教師が手を叩いた。

「ほらほら、紹介は終わったんだからお前らはグランドに行く!とりあえず10周!」

は〜い…と間の抜けた返事をしてぞろぞろと出て行く部員達を見るに、この顧問はそれほど厳しくはなさそうだ。
剛がそんなことを考えていると、その顧問から声がかけられた。

「本田、練習の前にうちのマネージャーを紹介しておこう。1年の坂井陽織さんだ」

見ると、この汗臭い部屋には不似合いなほど清潔感のある少女が立っていた。
整った顔だが派手さはなく、ショートボブの髪型がとても似合っている。
ぱりっとした白いブラウスも紺の膝丈スカートも、校則を1ミリも破ってはいない優等生スタイルだ。

「よろしくお願いします」

深々と頭を下げられ、慌てて剛も会釈した。

「あ、よろしく、坂井…しおりちゃん?」
「ひおりです。太陽の陽に織る、で」

名前を間違えた上に馴れ馴れしく『ちゃん付け』したのに、気にせずにっこりと説明する笑顔は優しげだ。
剛はこの感じのいいマネージャーを一目で気に入ったのだった。

剛が途中入部してから2週間が経った。
元々この野球部が抱える3人のピッチャーは投球内容にムラがあったこともあり、
コントロールの安定した剛はエース候補として一目置かれる存在になっていた。

持ち前の明るさで部内に溶け込み始めた剛は、マネージャーの陽織が気になる存在になっていた。

優等生的な制服姿もいいが、ジャージでグランドに立つ姿はなかなか凛々しい。
いつも優しい笑顔と的確な気配りで部員達を癒し、ひかえめなのに確かな存在感を感じさせる子なのだ。
そして今時めずらしいくらい礼儀正しい性格で、年上・同級に関係なく常に敬語で話している。
そのせいか部員は皆『陽織さん』と呼び、とても好意的に接していた。
もちろん、紅一点のマネージャーでしかも美少女であれば、どんな部であれチヤホヤされるに決まっている。
しかしこの部内のそれは、好意的を通り越して『全員が陽織に惚れている』かのようだ。

けれど誰も、陽織に告白しただの恋人になりたいだのと言わない。
それは陽織がまだ男性に興味もなさそうな、清純なイメージだからなのか?
それとも、この野球部全体に家族のような親密さがあるからなのか?
どちらにしろ新入りの剛があまり深入りするとマズイような気がして、突っ込んで聞いてみる事はなかった。

剛にとっても、陽織は見ているだけの清楚可憐な癒し系マネージャーであれば、それでよかったのだ。

その日も順調に投げ込んでいた剛だが、どうも球が微妙に浮いてしまう。

「…っかしいな〜…」
「本田、どうかしたのか?」

肩をぐるぐる回していると、顧問の教師が近付いてきた。

「あー…、なんか寝違えたんすかね、肩のうしろが痛くて…」

そう言うと、顧問は不安そうに表情を曇らせた。

「それはいかん。坂井さんに見てもらえ」
「へっ?マネージャーにですか?」
「ああ。彼女は坂井整体院の娘さんだからな。マネージャー兼トレーナーを務めてもらってる」
「へぇぇ〜〜〜!そりゃすげぇ!」

人は見かけによらないものだ。あの小柄で優しげな子が、でかい高校球児の整体をしているとは。
女の子にマッサージをしてもらうなんて初めてだ…!
やましいことでもないのに剛は妙に興奮しながら部室に行き、記録整理をしていた陽織にいきさつを話した。

剛のヨコシマな心も露知らず、陽織は笑顔で快諾したのだった。

「わかりました。じゃあ、練習が終わって皆さんが帰られたら始めますね」
「今じゃダメなの?」
「それが…いつもあのベッドでマッサージするんですけど、部活中は荷物置き場になっていて…」

陽織が指差すそこには、部員達のバッグや脱ぎ散らかした制服の山。

「あ、あの台ってベッドだったわけ?」
「あはは……はい…」

陽織も苦笑いだ。
ほどなくして練習は終わり、部員が全て引き上げると、陽織は顧問から部室の鍵を預かった。

「それじゃ始めましょうか、本田先輩」

西日が差し込む部室の壁際に、ボロのシングルベッドが一台。
剛は上半身は裸、下は体育用のハーフパンツという格好になり、うつ伏せに寝そべった。

「力を抜いて、楽にして下さいね」

陽織は穏やかな声で言うと、横に立って剛の背中に手のひらをあてる。

「どのあたりが痛みますか?」
「あ、その、肩甲骨らへん…かな〜」

柔らかな手の感触にドギマギしながら剛が答えると、ゆっくりと筋肉をほぐすように手のひらが動き出した。

まだ少し緊張している剛を和ませるかのように、陽織が話しかけてくる。

「本田先輩は、どうしてあの縦浜高校からうちの高校に来られたんですか?」
「ん…、親の転勤だよ」

この質問は2週間のうちに幾度となくされた。もしかしたらクラスメートや部員の全員から聞かれたかもしれない。
しかし、面倒くさくて皆には言っていない事もある。その事も、この子になら話してみたい…。

「ハマ高の野球部はスゲー良かったしさ、あっちに下宿して残ろうかとも考えてたんだよね」
「どうして残らなかったんですか?」
「…この高校の野球部、なんか今年違うじゃん。春から夏にかけてメキメキ強くなってきてる」
「うふふ、有名になってましたか」
「そ。だからオレも、こっちでもっと強くなろうと思ったわけ!ハマ高じゃNO.1にゃなれねーし」
「そうでしたか…。じゃあ、ぜひ我が校のエースになって下さいね」

にこやかに話す陽織をちらりと見て、剛は探るように話しかけた。

「あのさー……今年急に強くなった秘訣、なんかあるんだろ?」
「…知りたいですか?」

陽織の手が、止まった。

「知りたい。この2週間ここのやつら見てて、メンタル面が半端じゃないと思った」
「メンタル、ですか?」

小首をかしげた陽織の可愛さにドキッとしつつ、剛は続けた。

「ああ。なんでだかここのやつらはヘコまないよな。
 先週、腕を怪我した安藤はその日は落ち込んでたけど、次の日には前向きに基礎トレ頑張ってたし。
 投手の堀田だってスランプの上にオレが入ってきてヤバイはずなのに、逆にスゲー伸びた」

話に熱中して、剛はいつの間にかベッドの上に起き上がっていた。
傍らに膝をつく陽織を見つめていると、おもむろに陽織は立ち上がった。

「本田先輩は…、きっとこの野球部をもっと強くしてくれますよね」

そう言うと微かなチャックの音が聞こえ、紺のスカートがぱさりと床に落ちた。
白いブラウスの裾から水色のショーツが見える。
柔らかそうな太ももが突然目の高さに現れて、剛は固まった。

「え、ちょっ……あの、陽織ちゃん?」
「先輩も脱いで下さい」

陽織は少し微笑むと、ブラウスのボタンも外していく。
躊躇なくブラウスを脱ぎ捨てたそこには、ショーツとおそろいの水色のブラジャー。
媚びも色気もない下着は、清楚なイメージの陽織によく似合うものだった。
そのままベッドで固まっている剛の上にのしかかってくる。

「な、な、な、なにすんの…?」

剛はあまりの展開に茫然自失だ。とはいえ股間の分身はしっかり反応しているが。
そんな情けない剛に、陽織はいつも通りの優しい笑顔を向けて、こう言った。

「メンタル面の強化特訓ですw」

ちゅぱ…ちゅっ…ちゅぱ…

薄暗くなってきた部室に、濡れた音が響く。
あっけなくハーフパンツとトランクスを脱がされた剛は、今だに状況が飲み込めず混乱していた。
そそり立った自分のモノに、下着姿の陽織が音を立ててしゃぶりついているなんて…。

「あ、うくっ…陽織ちゃん、なんで…?」

快感のせいで途切れ途切れの質問に、陽織はしゃぶるのをやめずに答える。

「んぅ…先輩が知りたがったんじゃ…ないですか……はむ」

知りたがった、というのはこの野球部が春から急に強くなった秘訣だ。
春から1年の陽織がマネージャーになって、部員はみんな陽織を好いていて、落ち込んだ奴もすぐ元気を出す…。
そこまで考えた剛は、嫌な仮説にぶち当たった。

「まさか……部員みんなと、ヤッてんの?」

否定してくれ、という剛の願いもむなしく、陽織はご名答とばかりに微笑んだ。

「はい。元気づけるにはコレが一番なんですよ。…あむ」

剛はショックで頭が真っ白になった。まさか、まさかひかえめで清楚な陽織が野球部全員に抱かれていたなんて!
『部内全体が家族のように親密』なはずだよ!みんな穴兄弟だもんな!!

現実逃避しようと、ぎゅっと目を瞑った剛だったが、かえって快感が強まるのを感じてしまう。

じゅぽ、じゅぽ……陽織は先端をすっぽり咥えると下側を握りこんで上下に動き始めた。
同時に陰嚢を優しくもみしだいて剛に射精感を与える。

「うぅっ!もう出る!」

その瞬間、陽織はいっそう強く吸い上げ、勢いよく発射された精液をあっという間に飲みほしてしまった。
出終わってもまだビクンビクン震えるそれにキスして、陽織は舌なめずりをする。恐ろしいほどエロチックだ。

「本田先輩…、入れて下さい…」

上気した顔でおねだりされて、誰がこの子に抗えようか。剛は本能のままに頷いていた。

陽織の下着を脱がせ、ボロのベッドに押し倒す。
その肢体は想像以上にきれいだった。
大き過ぎず小さくもない乳房はふるんと揺れて、先端の尖りはピンク色のつぼみのよう。
きゅっと締まった腰に似合わないような肉感的な太もも。間にある茂みは少なめだ。

陽織の体じゅうを舐め回したい欲求に駆られたが、もう下半身にはそんな余裕もない。

「入れるよ」

少々強引に脚を開かせると、ぬらぬらと光る真っ赤な唇のような入り口が見えた。
何も考えることができずにただ自身を押し当てる。

ぐちゅ……湿った音を立てながら、一気に奥まで押し入った。

「ああぁっ、すごく…いいです」

陽織は恍惚とした表情で、押し込まれたモノの硬さを味わっている。
その膣内はぎゅうぎゅうと締まり、動かなくとも剛はそれだけでイッてしまいそうになる。

「先輩ぃ…動いて下さい…」
「…うん」

頼まれるままに腰を動かし始める。
ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ……規則的なリズムで、淫らな音が暗い部室内に響く。

「やぁっ、あん!もっとぉ!もっと奥までお願いしますっ…」

律動に合わせて腰を使いながら、陽織がせがむ。
剛は陽織の両脚を肩に抱え上げると、膝立ちになって激しく突き入れた。

「きゃぁっ…あぁん!きもち、いいです…!」

ぐちゅぐちゅと絶え間なく聞こえる水音。陽織の愛液は尻を伝って垂れるほど溢れていた。
内壁の上側を擦られ、陽織に絶頂が近付く。

「そ、そこ!いいです……あっあっ、やああぁぁぁっ!」

陽織はシーツを掴んで背筋を反らし、同時に膣がぎゅうっと締まる。

「あぅっ…」

あまりに強く締められて、剛も耐えられずに射精してしまった。

「ん……いっぱい、出てますね…」

うっとりと呟く陽織を見ながら、えらい事をしてしまった…と剛は再び固まった。

ずるりと抜くと、真っ赤な入り口は白い液体にまみれてキラキラ光っていた。

「ごめん、中で…イッっちゃって」

誘惑された被害者のはずの剛が謝ると、陽織は事も無げに言う。

「大丈夫です。毎日ピルを飲んでいますから」
「え……それって、妊娠しないってこと?」
「はい」

にっこりと、またいつもの優しい笑顔だ。
剛はもう陽織のことがサッパリわからなくなってしまった。
欲望のままに男子部員を喰う淫乱娘なのか?
野球部を強くするために、部員の心身ともにサポートしている健気な娘なのか?

ただ一つ、わかる事は……剛は陽織のことで頭がいっぱいになってしまった。

「陽織ちゃん…、オレ、もっと陽織ちゃんを知りたい」

真剣な顔で剛が言うと陽織は嬉しそうに微笑んだ。

「私も、本田先輩をもっと知りたいです。先輩が入ってから、部活がすごく楽しくなったんですよ」
「オレ…野球頑張るよ。陽織ちゃんを惚れさせる位、スゲー投手になってみせる」
「惚れさせて…くださいね」

そう言うと陽織はそっと口付けてきた。小さな、柔らかな感触。
細い体を強く抱きしめながら、剛は今までにないほどの『野球への情熱』が燃え上がるのを自覚した。


それから1年後、本田剛が率いる野球部は甲子園優勝を収める事になる。
その影でまことしやかに囁かれる『究極のマネージャー』の噂。それが真実か否かは誰にもわからない…






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