〜不器用な淫魔のお話5〜
シチュエーション


えーっと…交代? 何を?

…と、わたしが言葉の意図をいまいち把握できなかったのに構わず、陛下の身体が近づいてくる。
え、なになに?

「…んに?」

で、そのままよくわからない流れで、わたしの頭は陛下の胸に抱かれていた。
ちなみに陛下は膝立ちして高さを合わせている。

わたしがよく陛下にやる「後ろに両腕を回して胸に押し付けるように抱きしめる」という形を、
今は陛下がわたしにやっている、という具合になる。

「陛下?」

どうしたんだろう。
なんか状況が読めないんだけど…でも、これはこれで。
陛下が細い腕と薄い胸でわたしを優しく抱きしめてくれてる。あったかい。
すべすべぷにぷにした肌の感触がきもちいい。柔らかい。

陛下の優しい匂いがする。
ちんちんの方はむしゃぶりつきたくなるような美味しそうな匂いが、むわっと漂ってきたけど、
陛下の胸は心を落ち着かせてくれる感じの、ふんわりした匂い。

こっちから抱きしめるのも楽しいけど、向こうから抱きしめてもらうのもすごくきもちいい。
こうして肌を重ねてると、嬉しい気持ちで心がいっぱいになってくる。

陛下の手がわたしの髪を撫でてくれる。柔らかくて優しい手。
指で軽く巻くようにいじくったりもされてるけど、わたしの髪を触るのが楽しいのかな?

あと、頭のてっぺんに陛下の鼻先がひっついたりもしてるみたい。
距離が近いから、陛下の吐息…いや、鼻息?…両方かな?…まぁ、呼吸の音まで聴こえてくる。

「…匂いでも嗅いでるの?」

わたしも嗅いでるけどね。

…それにしても陛下に抱きしめられるのはいいんだけど、なんかその間、手持ち無沙汰気味だなぁ。
んー…とりあえず丁度いい位置にあるから、陛下のお腹でも触っとこう。

「いい匂いがするんだ。」

陛下が言う。
…わたしの髪の匂いかな?

「どんな匂い?」

質問しつつお腹ぷにぷに。やっぱり癖になる素敵な柔らかさ。これ大好き。

「そうだな…すごく甘い、花みたいな。ちょっと強めの匂い。」

お腹触ってても陛下は特に無反応なんだけど。

…それはさておき、強めの匂いがするの?…それって。

「…もしかしてわたしってくさいの?」

「いい匂いって言ってるんだが。」

「どれぐらい?」

「男が嗅いだら確実にお前に惚れてどうしようもなくなるぐらい。」

…むぅ、また遠回しな言い方。

「わたしの髪なんて陛下にしか触らせないよぉ?」

「…それもそうか。」

「そうだよぉ。」

さっきのツッコミ忘れは、丁度良くここで取り返せた。
…わたしは陛下にしか興味無いのに、わざわざ他の男がどうこうとか言うなんてどういうつもりなんだか。
お腹つねってやろうかな。

「じゃあ訂正。」

「んぇ?」

…訂正?

「嗅いでるだけでオレが幸せになるぐらいいい匂い、ってことで。」

…へ?

「…陛下はこうしてると、しあわせ?」

「お前とこうしていられる時が生きてて一番幸せな時だよ。」

…そんなに?

「わたしと、一緒にいて…しあわせ?」

「オレだけがこの幸せを味わえるとしたら、オレは間違い無く世界一の幸せ者だな。」

…世界一、幸せ?

…そっか、そうなんだ。
わたしは陛下と一緒にいると幸せだけど、陛下もわたしと一緒にいると幸せだ、って思ってくれてるんだ。
陛下はいつも表情が殆ど崩れなくて、思ってることがよくわからない時が多いけど。
…そんなにはっきり幸せ、って、ちゃんと思ってくれてるんだ。

「…陛下ぁ。」

陛下のお腹を触っていた両手が、自然と背中側まで回っていって。
わたしも陛下の身体を、ぎゅぅっと抱き返した。
…お互いの肌がもっと密着して、もっときもちいい。

「何だ。」

ちんちんいじめで熱くなるのもいいけど、こんな風に柔らかく抱き合って、心を安らげてもらうのも大好き。
陛下大好き。

「わたしだって…陛下とこうしてる時が、生きてて一番幸せだよぉ。」

「そうか。」

陛下を触るのも大好きだけど、陛下に触られるのも大好き。

「世界一幸せなのはわたしの方だよぉ。」

「…そうか。」

うー…きもちいいー…。
もっとなでなでして、陛下。大好き。

「…じゃあもっと幸せにしてやるよ。」

「ぷぇ?」

え…もっと幸せにしてくれ、る、

の…っ…!?

「ひゃッ!?」

うわ何!?
背筋がすっごいゾクっときたよ!?

「へいか…?」

気付いたら陛下の顔が、わたしの顔のすぐ右側に来ていた。
それと陛下の手が、わたしの右耳に覆いかぶさっている部分の髪をめくっていた。

一瞬「ふっ」と息を吹き出す音がしたのと、右耳からビリッときたのとで…
今のはわたしの耳に息を吹きかけた、ってこと?

「言ったろ。」

「え…?」

「『交代』って。」

あ…うん、確かに言ってた、けど。
そういえば、さっきからずっとその言葉の意味がよくわかってなかったんだけど。

結局どういう…

「んぁっ…!?」

ちょっ!? 耳がっ!? 耳たぶがなんかされてっ…!?

「ふゃ…待っ…!」

ちょっと待ってっ、耳たぶ吸わないでっ!
って、そんなとこ舐めてんの陛下!?

「みゃぁ!?」

左側まで!?

「ぁ…。」

…あ、左耳は指先でいじくってるだけ?
でもなんか、それだけでもすっごいくすぐったいよ…背筋にまでビンビン響いてくるよぅ。
わたしの耳ってこんなに刺激に弱かったの…?

「ぅうー…。」

両耳がこしょこしょされてきもちわる…ん?

「…ぅ…?」

きもちわるい…の?
あれ…きもちいい? きもちわるくない?
…きもちよくなってきた…ような。

「…ゃ…。」

なんだか背中の震えがだんだん癖になってきたよ…?

「…ふ…?」

…あ、右耳から離れていっちゃった。
一瞬陛下の顔が前に来た、けど。
すぐ左側に移った。

移って…

…っ!

「ぷぁっ…!」

正直予想はしてたけど今度は左耳を吸い込まれた。
大分刺激には慣れてきたけど、なんか、やっぱり…変な感じがする。

…いや、変な感じとも言うべきなのかどうか。
きもち…いい?…わるくは…ないね、うん。

そしてやっぱり右耳は指でちろちろ触られてる。

「…ねぇ…へぇ、か…。」

「ん?」

殆ど力を入れることもなく、耳たぶをゆるーくちゅぷちゅぷしながら応じる陛下。
…やっぱり、きもちいい、かも。なんかこういうのもきもちいい。
これはこれで、いい…の、かな。好きかも。

「交代、って…なに…?」

「…ああ。」

ここで口と手が離れて、耳たぶいじりが止まった。
変な感覚が収まって…ほっとしたような、名残惜しいような。

そして頬を掴むように両手を滑らせつつ、わたしの真正面に戻ってきた陛下が、言う。

「一回出させてもらったから、次はオレが攻めようかと。」

…えっ、と。
つまり。

「じゃあ…。」

「攻守交代ってこった。」


攻守…攻めと守り、ね。

…ああ。
さっきまでわたしがのしかかったり、ちんちんいじめたりで陛下を攻めてたから、
今度は陛下がわたしを攻める、と。

うん、ようやくわかった。
頭悪くてごめんなさい。



って、え?

「っ…!」

額に口づけされる。有無を言わさず。
…これは一瞬だけで軽く済んだ、けど。

「ん…っ。」

頬を掴んでいた陛下の手が、両肩あたりに滑って。
そして陛下の顔が、今度はわたしの首元に潜り込んでくる。
首筋に、口がくる。

「ぅあっ…。」

開いた唇で甘く噛まれて、更に舌が襲ってきた。
ぺろぺろ舐められたり、唾液を塗られたり。
じゅるじゅると音を立てるぐらい吸われたりもする。

「あっ…あっ…。」

変な声がいっぱい漏れる。

なにこれ。すごい。くすぐったい。むずむずする。
でも、すんごくきもちいい。

「ぁ、ひ…。」

…そういえば。
振り返ってみると、さっきわたしも陛下の首筋舐めたりとかしてたけど。
あんまり何も考えず、やってみたら楽しいかな、ぐらいの感覚で適当にやってたけどさ。
陛下って…こんな刺激に対しても、無言で耐えてたの?
それとも耐えてたんじゃなくて、わたしのやり方が下手だから陛下がきもちよくならなかっただけ?

どういうこと?

「…ぇあ…へぇかっ…。」

…聞かなきゃ。
同じことをされてたはずの陛下が、あの時ちゃんときもちよかったか。

…早くしないと背骨がぐにゃぐにゃに歪みそう。

「へいかっ!」

…。

……駄目だ。

呼びかけてもじゅぷじゅぷ吸い込むのをやめてくれない。

本気で背骨どうにかなっちゃうよこれ。

「へいか、ってばぁっ。」

仕方ないから陛下の顔を掴んで、無理矢理引き剥がすという強硬手段に出た。
攻められてた時と同じく、攻める時も無表情が張り付いた陛下の顔を、正面に置く。

…それにしても危なかった。きもちよすぎて危なかった。

「なんだよ。」

「…あの、ね…。」

…呼吸が落ち着かない。
ほんと…何なの? あの首舐め。
耳ちゅぱの時と言い、陛下の舌はわたしを快楽の海に沈める凶器なの?

「わたしが、へいかの首、舐めてた時って…きもちよかったぁ…?」

「…気持ち良かったけど?」

綺麗な無表情を、口以外1センチとして歪めることもなく、しれっと陛下が言う。

「ほんとに?」

「お前にしょうもない嘘なんかついたことも無いはずだし、つくつもりも無い。」

「ほんとのほんとにぃ?」

「お前に嘘をつく意味や必要性が無い。」

「…あったら、嘘もつくのぉ?」

「まずあり得ないから、もしあったらとか考えること自体が無駄だ。」

断言された。
…陛下がそこまで言うなら、きもちよくなってもらえてた、と信じるしかない。
けど…。

「…なんで陛下は、きもちよくても何も言わないの?」

問題はそこだよ。

「まぁ…確かに。」

「わたしはきもちよくなったら、変な声がいっぱい出ちゃうけど…陛下は、なんで平気なのぉ?」

「…個人差かな。」

…個人差、って。
そんな簡単な一言で済ませちゃう?

「安心しろ。オレだってちゃんと気持ちいいから。」

「うー…。」

陛下もちゃんときもちいい。それはわかった、けど。
なんか…不公平を感じるよ。

わたしは声漏らしまくって顔歪めまくりなのに、陛下は無言で涼しい顔のまま、って。

「…そもそもここ見たら一目瞭然じゃないか?」

陛下が自分の下の方を指差す。
…あ。

「あー…。」

そこにはいつの間にか、すっかり「元気を取り戻した」陛下のちんちんが。
…と言うかさっきはあんまり意識してなかったけど、陛下に頭を抱きしめられてた時点で
これがわたしの胸あたりに当たってたような気も。

「納得してもらえたか。」

「…うん。」

うん、ものすごく納得した。
これは確かに「きもちよくなってもらってたかどうか」は一目瞭然だわ。

わたしって一つのことに囚われると、他のことを全部忘れちゃうことが多いね。
…これはどうにかしないといけないかな。いけないよなぁ…。

「まぁ、納得もしてもらったところで。」

「…ん。」

「続きに戻らせてくれ。」

「ん。」

ああ、戻るのね。
…何に?

…いやいや「わたし攻め」に戻るんでしょうが。
ほらまた早速忘れちゃって。
わたしってほんとばかぁ。






「んゃあッ!?」

胸の右側のお肉を掴まれた。

「や…ぁ…っ!?」

力いっぱい、ぎゅむぅーっと握りしめられた。

「ぁ…あっ…!」

…全く痛くはない。
明らかに陛下は相当な力を込めてるのが見て取れる。それぐらいお肉が歪んでる。
でも一応わたしの身体の一部のはずなのに、そこまでされても「痛い」という不快感が、本当に一切無い。

「…片手じゃ無理だな。」

「ひ…っ!」

両手がきた。
左側放ったらかしで右側だけを両手がかりで。

「いっ……!」

下から持ち上げて上から押し潰されたり、手の平でこすられたり、ただひたすらに指を食い込まされたり、
左右に引っ張られたり…どう見ても陛下は手加減していない。
柔らか過ぎるから、力が入る度にぐにゃんぐにゃん形が歪む。
でも陛下が一瞬でも力を抜くと、すぐ元通りの形に。
そして下からの支えを失ったらただ重力に従って、真下にだぽっと垂れるだけ。

それで、また持ち上げられて。

「んっ…ぅあぁッ…!!」

吸いつかれた。
陛下の唇…陛下の舌が、わたしの胸の「先っぽ」を。「わたしを快楽の海に沈める凶器」が。

「案外ちっさいよなぁ…不釣り合いに。」

「ぁああ……はー…はぁぁぁ…っ!」

ぺろぺろぴちゃぴちゃ。
舌の感触がわたしの胸からぶら下がったものを突き抜けて、わたしの心をかき乱していく。
いっそ破り裂かれていくような感覚すらある。

「やっ…ぁっ…!」

…わたしはなんて言おうとしてるんだろう。
陛下は一心に脂肪の塊をじゅるじゅるじゅぽじゅぽやっている。

「めぇっ……んぁっ…!!」

…もしかして、やめて、って言いたいんだろうか。

どうして?
どうしてやめて、なんて言うの?
何でやめさせるの?

こんなにきもちいいのに。

頭おかしくなっちゃいそう。
…もう十分なってる?
…なってるか。

「はー…はー…ぅん…ぁっ…!!」

塊そのものをぐっちゃぐちゃに揉みしだく陛下の両手が止まらない。
先っぽをべろんべろんにむしゃぶる陛下の口も止まらない。
止まってくれない。

「あぁ…ぇ……ぁ……へぇ……ぁっ……!」

ただひたすら無言で、一心不乱に。
わたしの胸をいじめている。

「へぇ、ぁっ…へぇ、かっ…へぇかっ…ぇーかっ……!!」

それに対して、わたしはただ。

陛下の身体を抱き寄せるだけだった。
…胸をより強く押し付けるかのように。

「んは…っ!」

唐突に陛下の口が離れる。

「…はー…はー…はー…。」

手も離れる。

「……はふ……。」

ああ、これで一息つける。
…わけもなく。

「みゃぁあッ!?」

今度は余ってた左側に吸いつかれた。



そこから右側とほぼ同じ流れを繰り返すことに。

「んぅああぁっ………。」

陛下の舌…本気で対わたし専用兵器か何かじゃないの?

…え、背骨?
それがねぇ、ぐっちゃぐちゃに溶けそうなのに、いつまで経っても溶けてくれなかったの。
ヒビ一つ入ってくれないの。
溶けかけの状態が永遠に続くの。

なんでこんな中途半端に頑丈なんだろうね、脊椎って。
いっそ粉々にでもなってくれた方が楽だったのにねぇ。



「…なぁ。」

陛下が呼びかけてきた。

「…ぁにぃ、へぇあ…?」

返事はするけど呂律が回らない。

「挟んでくれ。」



再び陛下が仰向けになった。

「…ん、しょ。」

陛下のお尻をベッドから浮かせて、その下にわたしの腿を潜り込ませる。

「…ん。」

丁度わたしの胸のど真ん中手前に、陛下のちんちんが置かれる形に。

「ん。」

ちんちんに唾を垂らす。
一回じゃ量が少ないから三回ぐらい出して、それを先から根元まで塗りたくる。

「…んふふ。」

表面の滑りを良くした陛下のちんちんを。

左右から胸のお肉で挟み込んだ。

「んふ。」

全部隠れて見えなくなった。
その辺は顔を抱いた時と一緒。



「強めにやってくれ。」

「ぁーい…。」



…えへへ。
陛下のちんちん咥えちゃった。
お口の次は胸で食べちゃった。

…ここから「噛み砕く」んだね。
しかも、強めに、だってさ。

……えへへへ。



あははははははははははははははははははははははははははははははっ。






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