SQF調教日誌二回目
シチュエーション


※百合・レズ・ふたなり


【二日目・夜(調教二回目)】

次の日――日が傾きかけたころ、フレイはブランカの部屋を訪れた。
昨日とは違う、淡いグリーンのワンピースを着ている。
小洒落たワゴンに様々な料理を載せ、みずから突いてきた。
ブランカのほうはクローゼットの中から適当に選んだ、袖の無いシャツとミニスカート――当然、ブラは着けていない。

「遅くなってごめんなさい。領主としての仕事も色々あるの。食事をもってきたのだけど……食べる?」

サキュバスの食事とは精気――すべての生物が宿し、吐き出し、大気に漂っている生命力だ――だから生命を維持するために、人間の食すような食べ物は要らないのだが、味覚で愉しむため、あるいは「食べる」という行為そのものを楽しむため、食物を咀嚼することがある。
ブランカはめずらしく、そんな気分になっていた。

『いただくわ。美味しそうね』

銀の器に盛られた料理の数々――鴨のローストに豆スープ、魚のフライに彩り豊かな野菜サラダ、パンは数種類用意されており、何か豆のようなものが入った四角いパンに、白くてふわふわの食感が楽しい丸いパン。ガラスの瓶に入った赤く美しい液体はワインだろう。
フレイの好みなのだろうか、少し塩けが足りない気がしたが、どれも美味しかった。

『美味しいわ……フレイが作ったの?』
「まさか!メイドのマリーカが作ったの。仕事が出来て、よく気がつく良い子よ。この部屋の支度も、マリーカが整えたの。そのうち掃除に来ると思うけど、襲ったらだめよ?」

今のところその余裕は無い。フレイの「調教」で満腹だ。
食事を終え、フレイを見やる。
早々にブランカの何倍もの量を食べ終えたフレイは、愉しそうな表情でブランカの顔をみつめていた。
途端に胸が高鳴ってしまう。

『……今日も……するの?』

ブランカが頬を紅潮させながら問う。胸の鼓動が、フレイに聴こえているかもしれない。
フレイは艶然と微笑みながら、優しくブランカの頬を撫でた。
あどけない少女の美貌に、調教師の凄味が加わる。

「……もちろん。……さあ、ベッドに行きましょう」

二人でベッドにあがり、軽く抱きあう。
唇が重ねられ、ぴちゃぴちゃと音をたてながら舌を絡める。
細い指が身体の線をなぞり、ブランカの情感を高めてゆく。
一度肌をあわせただけなのに、フレイはブランカの弱い場所をすべておぼえてしまったようだった。
怜悧な美貌が、たちまち薔薇色に染まってゆく。

『んぅ……あッ…フレイ……なんで……っ!』

快楽の使徒であるサキュバスが、何故これほどたやすく屈してしまうのだろう。
〈しるし〉が刻まれるとは、こういうことなのだろうか。
だとすれば、調教を重ねるごとにブランカはフレイへの恭順を強めてゆく――ということになる。
その予感にブランカはおののくと同時に、胸を高鳴らせた。
身も心もフレイのものになる――なんて恐ろしい未来だろう。なんて甘美な未来だろう。
ブランカはみずから上衣を脱ぎ捨て、下着だけの姿になった。
フレイが覆いかぶさってくる。
乳房を吸われ、唇をむさぼられる。
すべすべした肩を甘噛みしながら、白い指が下着のなかにすべり込む。

『――っあぁ……ッ』

そこは、すでに熱く潤っていた。
技巧に富んだ指先はたやすく到達点を極め――ブランカの唇から、すすり泣きが漏れる。
細い指が柔襞をこすり、ブランカの好きな部分をまさぐる。
ブランカは軽いアクメに達しながらフレイの名を呼び、細い腕を宙にさまよわせた。
フレイがブランカの手を取り、自らの肩におく。
ブランカは少女の細い肩を抱きながら、消え入るような声で囁いた。

『ね……わたし……も……』

フレイがほほ笑み――ワンピースを脱ぎ捨てる。
ブラを外し、豊かな果実がこぼれ落ちる。
純白のショーツがパンパンに張りつめ、内側の勃起を隠している。
ブランカは美貌を白い乳房によせ、先端の果実に軽く歯をたてた。

「は……っ」

フレイがかすかなため息を漏らす。感じている。
ブランカは嬉しくなって、音をたてて乳首をしゃぶった。
黒い下着が剥ぎ取られ、ブランカが裸に剥かれる。

フレイが身体の位置を変え、大きく開いた脚のあいだへ屈みこむ。
濡れそぼる性器に縮れた毛がまとわりつき、ピンクの粘膜が息づいている。
見られている。恥ずかしい場所を。発情し、興奮しきった牝の性器を、利発そうな瞳で観察されている。
股間に熱い視線を感じながら――ブランカは、フレイの顔に逆さまに跨った。すぐ目の前に、内側から強い力で突っ張り上げられている、白い下着があった。
ブランカは下着を三角形のかたちに押し上げているものへ愛しそうに頬ずりしながら――慎重に、少女の股間を護っている布をずらした。
サキュバスの目の前で、少女の身体には本来ついているはずのない器官――たくましく脈打つ男性器がそり返る。
ブランカはフレイの口元へ股間を押しつけながら、ゆっくりと透明な液にまみれた先端を口に含んだ。

「ふぁ……っ」

フレイの唇から、明らかな官能の声が漏れる。
ピンク色の先端を口中でねぶり、先端の小穴から滲む先走りをすする。
喉奥まで深々と呑み込み、口腔全体を使ってしごく。
フレイは眼を閉じ、サキュバスの淫らで熱のこもった奉仕を愉しんだ。

『ん……ぅ……♪』

愛らしい唇に、発情した夢魔の秘唇が口づけられる。
ブランカがフレイのペニスを咥えながら、かすかに不満げな声を漏らした。

「ふふ……ごめんなさいね……♪」

フレイが眼を開け――目の前に拡がる、とてつもなく淫靡な光景を観察する。
ぐしょぐしょに濡れた女性器が、大きく開いて内側の粘膜を晒している。
ピンク色の突起が秘裂の頂きで尖り、愛撫を待って息づいている。
愛液が黒々とした繁みを浸し、後ろのすぼまりまでしたたっている。
フレイは皺深いすぼまりを指でいじりながら、濡れ光る秘唇をむさぼり始めた。

『ふんぅ……んむ……ッふぅ♪』

脈打つものを咥えたまま、ブランカがのけぞる。
よく動く舌が秘裂を割り、内側の粘膜を激しくなぶる。
勃起したクリトリスを吸われ、舌先で転がされる。
細い指が肛門を犯し、豊かな尻が背徳の悦びにわななく。
ブランカは連続して襲い来る小絶頂を味わいながら、少女が身体の下から抜け出て、背後に回るのを感じた。

(こう……?)

忘我の心地で膝をつき、尻を高くかかげる。
フレイが身体をかぶせてくる。熱く濡れそぼる性器を、いきり勃つペニスが貫く。

『――ッ……はぁ……っ♪』

ブランカの尻は、再びフレイのものになった。
潤った狭い縊路を、たくましい剛直がしぶきをあげて蹂躙する。
繋がった部分から、尻へ――全身へ、火花のような快感がひろがってゆく。
激しい抽挿に泣き叫び、打ち震えながら、ブランカは美しい裸身をくねらせた。
心の奥に真っ白な光が輝き、発情しきった身体に染みわたってゆく。
何度も尻と腰を打ちつけあいながら、ブランカはフレイの絶頂が近いことを悟った。
全身が総毛立つ。
また注ぎこまれる。あの熱い精を。温かい想いを。長く尾を引く絶頂感で夢魔の精神を蕩かせる、調教師の精液を。

『だめ……ッ!あぁ……ダメよぉ………嫌ぁッ!!』

ブランカは何度も首を振って拒絶の言葉を叫びながら、自らを征服する少女の腰へ尻をすりよせた。勃起したペニスから最後の一滴まで搾り取ろうと、膣をきつく締めあげる。

「ッはぁ……くぅっ!!」

ブランカの背に身体をあびせ、フレイが何ごとか呻いた。
打ち震える尻を掴み、強く抱き寄せながら果てる。
愛液のしぶく女性器のなかで、白濁のかたまりが爆発する。

『ひはぁ……ッ♪』

ブランカは絶望的な、それでいて甘美な呻きを漏らしながら、恍惚と歓喜の波に身をゆだねた――。

激しい情交のあと、二人は抱き合ったまましばらくじっとしていた。

「なにが……嫌だったの……?」

サキュバスの肩にそっと口づけながら、少女が問う。

『え……?』

ブランカはぼんやりと視線をさまよわせ、絶頂の寸前に発した言葉のことを問うていることに気づく。
未だ絶頂の余韻が残る頭脳で思考するが、はっきりした答えは出てこない。――いや、明晰な状態でも出てこないだろう。

『……わかんない……なんだか、怖かったの……』

ブランカの呼吸が落ち着くのを待ってから、フレイはもう一度訊ねた。

「私が一緒でも、怖い……?」

ブランカが目を閉じ、黙考する。

『一緒だから、怖い……』

フレイはしばらく考え込み、やがて納得したように頷いた。

「怖くなくなるまで、続けるから……」

手早く身繕いを済ませ、ブランカの部屋を後にする。
ブランカはまた一人になった。
そしてまた、わけも分からないまま、涙を流した――。


【三日目・昼(イベント)】

ベッドの上でごろりと寝返りをうったブランカは、ふと、サイドボードの隅に光るものがあるのを見つけた。

(なんだろ、コレ……)

仔細に観察する。
小さな黒い箱の端に丸い小さな穴が開いており、その中に何か丸いガラスのようなものが仕込まれている。箱からは細いコードが伸びており、部屋の隅のコンセントに繋がっていた。
驚いたことに、コンセントから同じようなコードが何本も伸びており、部屋のあちこちに仕掛けられた黒い箱、帆船模型、ガラス瓶などに繋がっていた。

『………なにこれ?』
「それは隠しカメラですね。けっこうお高いですから、誤って壊さないよう」
『うわぁッ!?』

驚いて振り返ると、黒いエプロンドレスを着た少女が、掃除道具を片手にブランカを見下ろしていた。長い銀髪のおさげに猫のような瞳が印象的な、すらりとした身体つきの美少女だ。
フレイが言っていた、マリーカというメイドだろうか。

「そうです。お嬢さまの身の回りのお世話と、この屋敷の管理、庭掃除に料理番、御領地の代官などもやっております。ちなみに、ベッドの中では愛人です」
『ずいぶん高性能なメイドさんね』
「今後とも御高配を賜りますよう、お願いもうしあげます。恐れ入りますが、ベッドのシーツを交換いたしますので、少しどいて頂けますか」

あくまでも丁重に、ブランカを追いたてる。
ブランカは釈然としない表情で部屋の隅に立ち、ベッドを明け渡した。
マリーカが手際よくベッドのシーツを取り替え、部屋の隅に散らばっている下着やシャツなどを片付ける。

「むっ……」

汚れたパンティを手に、眉根を寄せる。明らかに不機嫌そうだ。

「脱いだものは、きちんとこの駕籠に入れて廊下に出しておいてください。愛液の汚れは、早めに洗濯しないと染みになってしまいますので。洗濯が済んだら、クローゼットに仕舞っておきます。不都合な時間はありませんか?毎日この時間は自慰に耽っているとか」

てきぱきと仕事をこなすメイドが、事務的な口調で伝える。

『そうねぇ、オナニーするのは朝方が多いから、できればお昼頃に……って違ぁ――う!!』

うっかりオナニータイムを告白するところだったのを寸前で止め、ブランカは威嚇するように肩をそびやかした。

『何なのよ、隠しカメラって!?』
「あなたの姿を撮影するためのものです。24時間」

『なんで、こんなことを……』
「なんで?」

マリーカが、不思議そうな表情で首をかしげる。

「あなたがお嬢さまに調教され、無様で淫らな牝犬の醜態をさらす姿を記録するためです」
『それ……フレイがやれって言ったの?』
「お嬢さまではありません。御存知ではありますが」
『……それじゃあ、あなたの考え?それとも、他の誰かの命令?』
「皇帝陛下です。この国の最高権力者です。あなたの淫らな姿を記録し、報告することは、陛下より賜りました勅命なのです。拒否すれば、お嬢さまの領地が召しあげられます」
『なんでそんな大げさなことになってんのよ!?』
「海よりも深く鬱屈し、空よりも高くぶっ飛んだ陛下の御心は、私などには想像もつきません。アレは君臨する迷惑です」
『……人間世界も大変なのね……』
「御推察、有難うございます」

そんなことがあった。
その後、ブランカは別段カメラの存在を気に留めることもなく、フレイの訪問を待ちわびる日々を過ごした。
愛欲の使徒であるサキュバスにとって、秘め事を見られるのが恥ずかしいとか、記録に残されるのが恐ろしいとか、そんな心配は無用なのだ。
できれば、綺麗に撮って欲しいとは思うけれど。
そうそう、汚れた下着を散らかして、マリーカに叱られるのは何とかしたいと思っている。
だが、それは難しいだろう。ブランカが下着を汚すのは、決まってフレイに調教されている時なのだ。愛液でびしょ濡れになった下着をきちんと駕籠に入れる――そんな余裕なんて、あるはずがない。





【七日目・夜(調教十回目)】

ブランカがフレイのもとで調教されるようになってから、一週間め。
今夜も、ブランカはフレイの腕の中で快楽の声をはなっていた。

『んッ……ふぅッ……♪んぅ♪はぁあッ……んっ♪』

ブランカの秘所にもぐりこんだ細い指が精緻な動きをみせ、サキュバスの体奥にめくるめく快感を送り込んでくる。

『ん……フレイ……ッ……』

潤んだ瞳がフレイの姿を映し、ベッドに腰かけた美少女の前でひざまずく。
ほほ笑みながら、フレイの下着を下ろす。
先端を透明なしずくにまみれさせた男根がそりかえり、サキュバスの鼻孔に、かぐわしい芳香が満ちる。

『あんッ……美味しそう……♪』

裸の乳房をすりよせ、脈打つものをはさむ。

『……んっ……ふぅンッ……♪』

乳房ではさみながら、ブランカは少女のペニスをしゃぶり始めた。
奉仕するブランカの姿を眺めながら、フレイが微笑を浮かべる。さくらんぼのような唇から、かすかな快感の声が漏れる。
フレイが気持ちよくなっている。
ブランカは嬉しくなって、ますます熱心に胸をすりよせていった……。

フレイがブランカを組み敷く。
ブランカは躊躇なく身体をひらき――滑らかに性器が結合する。

『…っはぁ……あぁ……ッ』

ブランの唇から、感極まった声が漏れる。
繋がった部分からさざ波のように快楽が押し寄せ、夢魔の全身に温かな熱が染みわたる。
絡み合う二つの身体が妖しくくねり、高く、低く喘ぎながら快楽の声をはなつ。

『フレイ……あぁ…フレイ……好き…好きよォ……ッ』

ブランカは夢中でフレイの名を呼びながら、弾ける感情に身体を震わせた。
フレイがブランカの中に深々とペニスを埋めたまま腰を揺すり、サキュバスの体奥を突きあげる。
尻と腰の打ちあう音がしだいに間隔をはやめ、二人の唇から、切ないため息交じりの喘ぎが漏れ出る。
フレイがサキュバスの耳に唇をよせ、小さく、何ごとか囁いた。
それとともに、ブランカの身体の一番奥へ、こみあげてきたものをはなつ。

『―――ッぁあ―――っ!!』

ブランカがビクリと裸体を震わせ、体奥で弾ける快楽にのたうつ。
すらりと伸びた脚が突っ張り、爪先が丸まる。
絶頂に達している。
フレイはブランカの中に思うさま欲望を吐き出しながら、震える身体を強く抱きしめた。
ブランカは温かい幸福感に包まれながら、同時に、やがて訪れるであろう、恐ろしい未来におののいた。
フレイが離れる。
ひとつに繋がっていた身体が、再び二つに別れる。
身繕いを整えるフレイの背中を、ブランカはただぼんやりと眺めていた――。

フレイの寝室――調教から戻った屋敷の主を、猫のような瞳が出迎えた。

「今夜も遅いお帰りで。お愉しみになられましたか?」

薄い夜着をまとったマリーカが、冷たく光る眼でフレイを見つめる。

「ただいま…。編集してたの?」
「同時進行で行っておりました。先ほど終わった所です。『ブランカ調教日誌』第十巻――さっそく御鑑賞になられますか?」

調教を撮影していた録画データのことだ。フレイは、録画データの編集を、全部この有能なメイドに任せている。

「あふう。後にする……おいで」

フレイがマリーカの細い腰に手を回し、天蓋付きのベッドにいざなう。

「……シャワーを浴びてきてください」
「ん〜ん――♪」

フレイが甘えるような仕草でメイドを押し倒し、ベッドの中にもぐりこむ。
マリーカは冷えた目でフレイを見上げ――

「サキュバスの匂いのついた御身体で、私を抱くつもりですか?」

と訊ねた。
このメイドは、ベッドの中ではフレイの愛人なのだ。

「そうよ。…あら、焼きもち?」

フレイが悪戯っぽく笑う。主人とメイド、愛人である前に、この二人は幼馴染で、学業を共にした友人なのだ。

「私が、嫉妬の感情を持っていないとでも?」

あくまでも冷静に、裸に剥かれながら、マリーカが問いかける。

「…ふふ、マリーカったら怖い顔しちゃって……そんなだから、ついからかいたくなるの♪ね、焼きもち焼いてるの?」
「…私の身体で確認してください」

最後の一枚を剥ぎ取ったフレイが、小さな布の固まりを手にニヤリと笑う。

「……ビショビショじゃない。映像を確認しながら、あなた、興奮してたわね?」
「当たり前です。お嬢さまったら、私に見せつけるように体位を変えて……あんな、恥ずかしいところまで。この変態」
「マリーカに見せてあげたかったの♪」

声は冷静だが、身体はすっかり準備が整っていたマリーカと、フレイの身体が一つになる。

「それはそうと……言いましたね」

フレイの抽挿に息を弾ませながら、マリーカが問う。

「……うん」
「勝算はおありですか?」
「無いけど……今がその時だって思ったの」
「お嬢さまはいつもそうですね……直感に従ってばかり。それで、いつも泣くのですわ」
「慰めてくれるのは、いつもマリーカ」
「せいぜい、泣きを見ないよう祈っておきます。そろそろ……お願いします」
「うん、私も……ッ!!」

淡々と会話を続けながら、すごくいやらしいことをしていた二人は固く抱き合い、同時に絶頂を迎えた。
ほっそりしたメイドの膣内を、白濁が満たす。

「マリーカのなか……気持ちいい……♪――ねえ、うまく行ったら……3Pしない?」

マリーカは答えず、第2ラウンドの開催を要求した――。

フレイとマリーカが同じベッドで乳繰り合っていたころ――
ブランカは、バスルームで一人、身を清めていた。
まずは熱い湯の中に身を沈め、一日の疲れを取る。

『……ふぁあ……ッ♪』

つい色っぽい声が出てしまうのはサキュバスの性か。
お湯をちゃぷちゃぶさせながら、今夜の調教を反芻する――。

(どうして……フレイはあんなことを言ったのかしら……?)

調教のさい、フレイが耳元で発した言葉――あの意味を、うつらうつらと考える。
抱かれている時、感じていた恐怖……それは、調教がすすむにつれて、薄まるどころか日ごとに強くなっていった。
涙こそ流さなくなったが、今でも、目を閉じればまざまざと心を苛む恐怖――あの正体が何なのか、ブランカにもようやく分かってきた。
ブランカは怖かった。フレイと離れるのが。
サキュバスの間で、ひところ調教師というものの存在について話題になったことがある。
その中で最もサキュバスたちの関心を引き付けたのが――調教された夢魔はどうなるのか、という話題だった。

――調教された子って、劇場に売られて見世物にされてるらしいよ。
――いやいや、エッチなお風呂屋さんに売られて、働いてる子を見たことある。
――甘いわね。お金持ちに売られた子は、身体をあちこち改造されて、専用の肉奴隷にされるんだって。

それらの噂に共通していたのが、「売られる」というキーワードだった。
細かい区分はさておき、調教師は、売るために夢魔を調教しているらしい……それだけは確実な情報として、サキュバスたちの間で広まっていた。
ということは、フレイも……
ブランカを売るために、調教している、ということだ。
調教という行為には、最初から別離が予定されているのだ。
ブランカの調教がすすむごとに、ブランカとフレイの別離は近づいてくる。
二人の距離が縮まるごとに、別れも近づいてくる。
それが恐い。たまらなく寂しい。胸が締め付けられるように苦しい。
そしてどうやら、その時は刻一刻と近づいてきているようであった。
ブランカの調教は、完成に近づいている。
サキュバスの頬を、熱い涙がつたう。

(だったらなぜ……あんなことを言ったの……)

フレイは言った。ブランカの耳元で。調教で熱くなって、つい口を滑らせてしまったのかもしれない。ブランカの興奮を高めるために言っただけなのかもしれない。だが、確かに言ったのだ。

「好きよ」

と……。
湯の中に顔を沈め、ぷくぷくと泡を吹く。

(こんなに苦しい気持ちになるなんて……)

ざばぁ、と湯からあがり、身体を洗う。
女神さえ嫉妬するような裸身に水がしたたり、はじける。
豊かな黒髪を櫛ですき、水滴をしぼる。
唯一身につけている銀の首輪――彼女の能力を封じている拘束の戒めの裏側に指を入れ、汚れを落とす。
と――。

カランカランカラン……

ふいに首が楽になって、光るものがタイルに転がり落ちた。
何だろうと思って見ると、銀色の首輪である。

(あれ―――?)

ブランカは信じられないものを見る思いで、浴室に据え付けられた鏡を覗き込んだ。
たしかに、彼女の首元をガッチリと拘束していた首輪が、外れている。
何かの悪い冗談だろうか、おそるおそる、浴室から這い出る。
窓べりに手をつき、空を見上げる。
白い月が泣いているように見えた。
四肢を踏ん張る。思い描く、翼のイメージ。

ぶぁ……っ

風が渦を巻き、サキュバスの背に、禍々しくも美しい翼が現れる。
ぶるっと身体を震わせ、羽ばたく。
動く。思い通りに、翼を羽ばたかせることができる。
飛べる。この窓から。あの月に向かって、どこまでも飛んでゆくことができる。
私は、自由だ―――!


【八日目・夜(調教十一回目)】

フレイは、若干の緊張を携えて、ブランカの部屋を訪れた。

「ファイトです。当たって砕けたら私が慰めてさしあげます。抜かずの10ラウンド…お嬢さまに耐えられるでしょうか?」

マリーカの激励とも脅迫とも取れる応援を背に執務室を出て来たが……果たして、どうだろうか。
普段なら何とも思わぬ鉄の扉が、いつもより重く感じられる。
おそるおそる室内を覗きこむと……昨日と変わらず、ブランカはそこにいた。
昨夜、部屋を辞去するさいに機能を停止させておいた銀の首輪は、予想通り外れている。

『あ、フレイ……ごきげんよう』

ブランカがドレスの裾を翻し、ぺこりと一礼する。マリーカがクローゼットの中に一枚だけ入れておいた、フォーマルなロングドレスだ。
純白の光沢が彼女の黒髪に実によく似合い――まさしく、「白」という名前通りの、清楚な美しさをはなっている。
なんとなく気恥ずかしさをおぼえながら、フレイはブランカのもとに歩み寄った。

『ねぇフレイ、見て見て♪』

ブランカが脚を踏ん張り、黒い翼があらわれる。白いドレスをまとった、夢から出て来た美女――サキュバスのイメージ、そのままに。

「いつでも逃げられた――のに、どうして、私を待っていたの?」

その問いを口にする。頭の中で考えていたセリフはぶっ飛んでいた。
ブランカは小首をかしげ、

『逃げる?なんで?』

と逆に訊き返した。
フレイが答えに詰まっているのを見て、ブランカはにんまりと笑い…

『……ふふ、逆に訊くわ。……どうして、私に、「好き」って言ったの……?』

フレイが、笑顔を消した、真剣な表情で述べる。

「……あなたが好きだからよ」

ブランカは不思議そうな顔をして――

『フレイは、私を誰かに売るために、今まで調教していたんでしょう?……「商品」に、そんなことを言うのは変だと思うんだけど……?』
「私が、ブランカを売る?なんで?」

今度はフレイが訊き返した。

『え……売らないの……?』
「言ったでしょ?……あなたは、私のものだって」

そう――初めての調教の時、フレイは確かに言った。
あなたは私のものよ、と。
ブランカの頬が、たちまち紅潮してゆく。

「ブランカは、私のもの。誰にも、渡さないわ」
『な、なんで、そんな……調教師って、夢魔を売るために調教するんじゃ……』
「話せば長くなるけど、いい?私は、あなたを私のものにするために調教師になったの」

フレイは一気にまくしたてた。
幼いころ、月を見上げたときに尖塔の頂きにたたずんでいた美しい女性に心を奪われたこと。長じて学問を収め、進路を決める時に胸を占めていた想い――「あの女性にもう一度逢いたい」それを果たすため選んだ調教師の道。
そして、初めて捕確した夢魔の顔が、間違いない、あの夜に見た女性のものだったということ。

「あなたは、私の初恋の女性なの!」
『え――――ッ!?』

あまりと言えばあまりに恥ずかしい告白に、ブランカの頬が真っ赤に染まる。

『あ、あの、その、私とフレイは、えっと』
「答えなさい!あなたはすぐにでも逃げだせた、でも逃げなかった!何故!?」
『フレイが好きだから!!』

――沈黙。
恐ろしいほど気まずく、恥ずかしい沈黙――。

沈黙を破ったのは、フレイだった。

「結婚よ!!」
『ちょっと!?』

いきなりガバッと抱きつき、ベッドに押し倒す。抵抗する手を払いのけ、ドレスを引き裂く。
絹の裂ける音がして、ボリュームあるかたまりが弾む。

(う、嘘!?こんなことって、あッ、大胆♪)

激情のままに、フレイはブランカをもとめた。
華奢な身体からは想像もつかないような力でサキュバスを組み伏せ、赤い唇をむさぼるように奪う。たわわに実った乳房を揉みしだき、先端の乳首をこね、吸い、しゃぶる。
これまでの調教ではついに見せることの無かった傍若無人ぶりに、技巧も何も無い欲望のままの行為に――ブランカは、凄まじく興奮した。
フレイが私をもとめている。
その想いが、かつてないほどに伝わってくる。
そして、確信に近い予感が、二人の間で閃く。
これからする調教は、たぶん今までで一番気持ちいいものになる――。
ブランカの目が青く光る。
全身に満ちる夢魔の力を感じつつ――フレイを見つめる。ブラウスの襟を掴み、一気に引き裂く。ボタンがはじけ飛ぶのも構わずそのまま腕を伸ばし、豊かな胸を覆うブラジャーを、力任せに引きちぎる。
ブラの金具が壊れ、白い豊かな乳房がまろび出る。
そのまま押し倒し、唇を塞ぎながら手のひらにあまる乳房を揉みしだく。首筋に舌を這わせながら、細い肩に噛みつく。
二匹の牝獣はうなるように喘ぎながら互いに身体を絡ませ、上気した肌に愛撫の手を伸ばした。
ブランカが息を弾ませ、下着を脱がせやすいよう、みずから腰を浮かせる。
フレイは紐のような下着の腰の部分を両手で掴むと、一気に引き下ろした。
黒い布切れがあっけなく足首まで抜ける。股布の部分に、べっとりと愛液がしみ込んでいる。
フレイも下着をずりおろし――勃起したペニスが、ビクンと跳ね上がる。

「さあ……」

真剣な表情でブランカの前に腰を下ろし、奉仕するよう目配せする。
ブランカは素直に跪くと、透明な汁に先端をまみれさせたものにうっとりと視線をそそぎ――嬉しそうにしゃぶり始めた。
先端の敏感な部分を口に含み、尖らせた舌先で鈴口をくすぐる。
横笛を吹くように唇を這わせ、太い幹に浮き出た血管を舌でなぞる。
唾液をたっぷりまぶせて喉奥までのみこみ、口腔をすぼめ、吸う。

『ふふっ……♪』

脈打つものを指先でしごきながら股下へもぐりこみ、蜜に濡れそぼる秘裂も、可愛がる。

「んっ……くぅ……んッ♪」

熱のこもった奉仕に、フレイが呻く。ブランカの口戯を褒めるように、長い黒髪を撫でる。

『ふふ……ッ♪』

ブランカは両の乳房でペニスをはさみながら、フレイの顔に跨った。
フレイの目の前で、発情した牝の性器が花のように咲きみだれる。
シックスナインの姿勢だ。

『フレイも……ね……♪』

美少女の唇が、しずかにサキュバスの秘裂を舐めはじめた。
縮れた陰毛をかき分け、濡れそぼる秘肉をむさぼる。
蜜を生み出す女の秘孔へ口づけ、尖らせた舌でえぐる。
快美な感覚をはなつ淫芽の皮が剥かれ、むき出しになったクリトリスを、可憐な唇がついばむ。

『あぁ……――ッ』

長く尾を引く、悦びの声。
ピチャピチャと水を舐めるような音が響き、女たちの唇から、とめどなく喘ぎが漏れる。
二人は上下の位置を変えながら互いに奉仕し、湧き上がる情欲に身を任せた。
どちらからともなく眼を合わせ、確認する。
華奢な身体が優美な肢体に覆いかぶさり――
夢魔と少女は、ひとつに繋がった。

(――ふむ……。どうやら、こういうことのようですね)

こっそり忍び込んだ室内でハンディカメラを回しながら、マリーカが黙考する。サキュバスにさえ気付かれない完璧な隠行スキルで二人の結合部を大写しにしながら、二人のあいだに生じた交歓の経緯を解き明かしてゆく。

(お嬢さまはもともと、このサキュバスのことが好きだった。サキュバスのほうはそうでもなかったけど、お嬢さまの調教を受けるうち、しだいに心惹かれていった)

巧みなピストンで膣奥を小突かれ、よがるブランカの美貌をズームアップ、続いてフレイの横顔にパン。
したたる汗をレンズに写し、繋がった部分を拡大。怒張がリズミカルに秘裂の中に没入を繰り返し、サキュバスの中心に快美感をおくりこんでいる光景をあます所なく撮影する。

(普通なら、ただの調教で夢魔が心を揺り動かされるなんてことは起こらないのですが、何せお嬢さまはこのサキュバスにぞっこん一目ぼれ…その行為には、お嬢さまの想いがこもっている。
人間より精神的な属性の強いサキュバスはそれを敏感に感じ取り、お嬢さまの想いをぶつけられ続けた。射精は、言うなれば激しい愛の告白のようなもの。そんなものを何度も浴びせられれば、そりゃぁ心も動かされますね……)

あくまでも冷静に、美しい画を残そうと計算しながら位置を変える。視線はレンズ越しに絡み合う女体を見据えたまま、巧みに足元の障害物をよけてゆく。爪先でフレイの下着を引っかけ、エプロンのポケットに仕舞う。

(洗濯ものは洗濯駕籠へ……。ま、この推測をお嬢さまたちに聞かせてやる義理はございませんがね)

長い黒髪が宙に舞い、獣のような咆哮がサキュバスの唇からはなたれる。汗にまみれた身体が震え、輝く美貌が歓喜に染まる。

(……そろそろでしょうか)

チラと視線をはしらせ、バッテリー残量とハードディスク容量を確認する。うん、大丈夫だ。この調教は、お嬢さまの一番大切な想い出になるに違いない。隠しカメラだけでは不十分。この身、この腕をもって疎漏無く残さねば。

『あッ、あッ、あッ、あッ♪フレイ♪んッ♪フレイッ♪』

ブランカが肩を震わせ、バックから責めるフレイの名を呼ぶ。
フレイはわななく女体を抱きしめ、胡坐の上に抱えた。二人の身体が密着して、熱い吐息が混じりあう。
くねる。ブランカが腰をくねらせ、中におさめたものを締めあげる。
濡れそぼった秘肉が突き入れられたものを激しくしごき、先端の小穴から先走りの汁が漏れ出る。

「ブランカ……いくよ……」

舌音高くキスをむさぼりながら、フレイが囁く。
ブランカは夢中で頷き、フレイの肩にしがみついた。
すっかり慣れたはずなのに、何度も肌を合わせているのに、まるで全てが初めて行う行為であるかのように、二人に新鮮な歓びと感動をもたらしてくれる。この先に待ちうける悦びへの期待に、胸が震える。
フレイがブランカの尻を掴み、何ごとか呻いた。
わななく女体の一番奥へ、想いをこめてぶち撒ける。

『ひッ………!!』

ブランカがビクリと肩を震わせ、はじけるほとばしりを受ける。

射精している。
絶頂している。

絡み合う身体がビクビクと震え、結ばれた二人の唇から、長い、長い悦びの声が漏れた。
繋がった部分から、混じりあう二人の体液がこぼれ落ちる。
そのとろりとしたたる様子をしっかりとレンズに収め――マリーカはそっと部屋を後にした。
薄暗い室内には、愛し合う二人が残された。
二人は呼吸が落ち着くまでずっと抱き合い――
そのまま、穏やかな眠りに落ちていった――。


フレイが、心地よい快美感に目を覚ますと――
ブランカはそれがごく当然の行為であるかのように、朝の生理現象で勃起しているペニスを膣におさめ、腰をくねらせていた。

「う………」

爆発したような髪の乱れを押さえつけながら、フレイが呻く。

『アハ……ッ♪おはよう♪元気な、フレイの朝チンチン♪さっそく頂いてるわ♪』

フレイは、朝っぱらから激しく展開される光景に目を回しながら――目の前で揺れる、豊かな乳房に手を伸ばした。
重く、熱い肉のかたまりが手のひらに吸い付いてくる。
そう…サキュバスをパートナーにするということは、こういうことなのだ。
フレイは胸の底を冷たいものが落ちていくのを感じながら、この上なく淫らなダンスを踊る美神に口づけた――。


【九日目・昼(イベント)】

人気のない屋敷内を散策していたブランカは、ある時、掃除道具を手に階段をのぼってくるマリーカとすれ違った。
目礼するメイドを呼びとめ、訊ねる。

『ねえ、私の調教って――ぜんぶ、記録されてるのよね?』
「そうですが」
『その…昨日の夜も?』
「もちろんです」

フレイとブランカが心から結ばれた、記念すべき一夜のことだ。

『それ……わたしが観ても、いいものなの?』
「かまいませんよ。あなた用のディスクはAVルームに保管してありますので、鍵をお渡ししておきます」
『わたし用のディスクって…何枚も、つくってるの?』
「はい。ブルーレイは献上用、お嬢さま用、私用、あなた用、保存用と、各巻五枚ずつ作製しております」
『……なんであなた用が?』
「もちろん、鑑賞して愉しむためです。あなたを調教するお嬢さまの姿は、自慰のおかずに最適です」

このメイドが、調教ビデオを観てオナニーしている…とても信じられない話だが、ともかくブランカはメイドに連れられて、フレイの寝室の隣にしつらえられたAVルームにやってきた。……AVって、オーディオ・ビジュアルのことで良いのよね?

「こちらが、あなた用に作製したディスクです。各巻48分ですが、第十一巻は上下二枚組となっております。なお、こちらに置かれている編集用の機材には手を触れられませんよう」
『うん、分かった。ビデオの操作方法が分からないから、ちょっと教えてくれる?』
「かしこまりました。では、このディスクを観ながら御説明いたしましょう」

マリーカの説明を聞きながら昨夜の調教をチラチラと観ていたブランカだったが……すぐに、その映像がありえない角度、ありえない位置から撮影されているものだということに気付いた。

『なんで、こんなものまで映ってるの!?』

画面の中では、フレイにしがみついてよがり声をあげるブランカの汗にまみれた美貌が、仰ぎ見るような角度で映されていた。どう考えても、フレイの背中越しに撮影されたとしか思えない。

「それは、私が撮影したものです。ハンディカメラで」
『なんで!?』
「昨夜の調教はお嬢さまにとって記念の一本になると予想されましたので、扼腕して参上つかまつりました」
『まったく気付かなかった……』
「ずいぶん、お愉しみのようでしたからね。お嬢さまはお気づきになられていましたが」

画面には、フレイのペニスを根元まで埋め込まれ、愛液を飛び散らせるブランカの性器がアップで映されている。こんな恥ずかしい部分まで撮られていたのか。
ブランカは顔を赤くして画面を見つめながら、平然とした表情で横に突っ立っているマリーカの様子を窺った。画面の中のブランカは、いままさに絶頂に果てんとしている。

『ちょっと……』
「――あ。これは失礼、気づきませんでした」

マリーカは一礼すると、かすかに口元をゆがめた。悪魔が笑うとしたら、こんな表情になるだろう。

「どうぞごゆっくり……」

意味ありげな表情で、そっと退出する。
画面の中のブランカが絶頂に達し、大映しになった結合部から生白い体液が漏れ出る。
ブランカはヘッドホンを耳にあてがうと巻き戻しボタンを押し、みずからの痴態を鑑賞しはじめた。両手は、すでに乳房と股間にあてがわれている。
すぐに、艶やかな唇から官能の喘ぎが漏れ始め、くちゅくちゅといやらしい音がひびく。
その姿を、マリーカが物陰からこっそりと撮影していた。






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