年の離れた従妹
シチュエーション


嵐の到来を告げる電話がかかってきたのは、ある日曜日の昼さがりのことだ
った。

とぅるるる、とぅるるる

ベッドに寝そべってマンガを読んでいた亮太は、手を伸ばして受話器を取っ
た。
「はい、もしもし」
「亮太くん?」

声は、彼の叔母だった。

「はい。お久しぶりです」
「絵里子が亮太君の部屋に遊びに行きたいって」
「な、なんですって……」

亮太は思わず嫌そうな声を出した。正直、彼は従妹である絵里子が苦手だっ
た。

「悪いけど、ウチの娘の相手してやって」
「わかりました。いつですか?」

ぴんぽーんっ

「……あ、そろそろ着いたみたいね。じゃ、よろしく〜!」
「え!?ちょっと待ってくださいよ……」

がちゃがちゃっ、ばたんっ

チャイムを鳴らしておきながら、返事を待たずに入ってくる無作法者を亮太
はひとりだけ知っていた。
黒い弾丸が走ってくる。

どすっ!!

「おわっぷ!!」
腰に重たいものを受け止め、亮太は受話器を持ったまま後ろへ倒れこんだ。
後頭部をしたたかに打って呻き、彼は顔を起こす。仰向けになった彼の腹の
上には小さな女の子が馬乗りになっていた。
輝くような笑顔で、少女は明るい声を上げた。
「亮兄っ!!絵里子が来てあげたよ〜っ!!」
亮太は再び受話器を耳にあてた。

ツーッ、ツーッ、ツーッ、ツーッ

彼は受話器を床に叩き付けた。

亮太の従妹にあたる高林絵里子は、小学六年生。大学三年生になる亮太とは
大きく年齢が離れている。
あどけないファニーフェイスに、大きくつぶらな瞳をキラキラさせたなかな
かの美少女である。
物怖じしない明るさの持ち主であり、どうしたわけか亮太によくなついてい
た。
しかし、彼自身はどうにも絵里子のことが苦手だった。


「絵里子、急に一体どうしたんだよ?」

亮太が起き上がりながら訊くと、

「あら。絵里子、亮兄の世話をしてあげるために、わざわざ来てあげたのよ。
だって亮兄、彼女もいないんでしょ」

絵里子はけろっとして言った。

ぐさっ

無邪気な幼女の言葉に亮太は胸を抉られる。

「それに、亮兄ったら顔はブサイクだし、頭は悪いし、スポーツは何もでき
ないし、今後も彼女ができそうもないから、ひとりで放っておけない感じなん
だもの」
「余計なお世話だっ!!」

何が悲しくて齢12歳のガキンチョにそこまで言われねばならんのだ。

「あーあ、こんなに部屋を汚して。片付けるわよ、亮兄っ」
「聞けっ、こらっ。そもそもおまえ、掃除なんかできるのかよ」
「絵里子にまかせて!いつもお母さんの掃除手伝ってるんだから!」

張り切りだした世話焼き少女は腕まくりして居間に向かった。

ガシャーンッ

「おい、いきなりグラス割ってんじゃねえか!」

慌てる亮太を絵里子は手で制す。

「大丈夫だって……」

どん、がたーんっ

「──あら?何か倒したかしら?」
「わーっ!俺のパソコン!!」

絵里子が蹴り倒したパソコンを亮太が救出していると、後ろでまた、

ガシャーンッ

と音がする。

「あ、お皿割っちゃった」

声を出した少女を、亮太は白い目で見た。

「…………………」

ぽりぽりと頭をかく絵里子。

「…………………てへっ」
「笑ってごまかすなっ!!」

舌をぺろっと出して見せた絵里子に亮太は容赦ない突っ込みを入れる。

「まかせといて!今から本気出してがんばるからっ!!」

実力の伴わない世話焼き少女は、掃除機を手にして再び腕まくりをし直した。

程なく、世話焼き少女は掃除機を放り出してマンガを読みながらケタケタと
笑っていた。

「……もう飽きたのかよっ!!」

亮太が再び突っ込むと、少女は視線を彼に向けた。

「掃除はもういいと思うよ。十分やった」
「……おい、掃除をする前より部屋が汚れているのはどういうわけだ?」
「いいじゃん。遊んで遊んでっっっっ」

絵里子が首を横にぶんぶん振って暴れる。わがまま女王様が遂に本領を発揮
しはじめた。

「てめえ、だだをこねれば俺が何でも言うことを聴くと思ってんだろ……」



「きゃはははっ」

四つ這いになった亮太はわがまま王女様を背中に乗せ、床を走る。

「──くそお、結局言うことを聴いちまうんだよな……」

亮太は自らの弱さを自責するが、結局はいつも絵里子のわがままを聞いてし
まうのだった。

「だから、おまえの相手をするのは嫌なんだ……」
「そんな亮兄が大好きっ」

屈託のない笑顔の絵里子。この従妹の邪気のなさにはいつも亮太は敵わない
のだった。


「ほら、もっともっと早く走って」

無邪気な女王様は嬌声を上げる。

「精一杯走ってるよっ」
「もっと行けるっ!!」

ピシッ

「いでえっ!!」
プラスチック定規で尻を打たれ、亮太は悲鳴を上げた。
子供というのはまったくもって情け容赦というものがない。哀れな亮太はひ
いひい言いながらまた走らねばならないのだった。


「──もう、限界だっ!!」

亮太は疲れ果て、ばったりと潰れた。

「ちょっとちょっと、しっかりしてよおっ!!」

絵里子はゆさゆさと背中を揺するが、乗り潰された馬は床に突っ伏したまま。

「動けん……」
「いやーっ、もっと遊ぶの!!」

わがまま女王様は首を振ってだだをこねる。

「今度にしよう、今度に」
「今度って言っても、亮兄とはあんまり会えないもん。だから、今日っ!」

絵里子はぷうっと頬をふくらませて亮太のシャツの裾を引っ張る。

「わかった。わかったから少し休憩しよう。絵里子も疲れただろ?」
「絵里子はまだまだ元気だもん。まだまだ、いつまででも遊べるよ」

ガキの体力は無尽蔵なのか。一体どれだけ元気なのか。
亮太が呆れると、絵里子は小首を傾げた。
少しだけ見つめ合う。

「だって絵里子、亮兄と遊ぶの大好きだもん」

と無邪気な女王様は言った。

「………………」

こういう所を見せるから、亮太は絵里子に敵わないのだ。

「……ちぇっ、わかったよ。こうなったら自棄だ。俺の体力が尽きるまで遊
んでやるよ!」

再び絵里子を乗せて四つ這いのまま走り出す亮太に、彼女は嬌声を上げた。


すう、すう……

と、安らかな寝息を立てて眠っていたのは絵里子だった。
まったくのマイペースぶりだ。
台風のように亮太の部屋を直撃し、気まぐれに彼の日曜日を引っ掻き回すだ
け引っ掻き回す。
ひとまわりも年齢の離れた従妹なのに、彼女の勢いの前には天災のごとくな
すすべがない。

──だが。

わがままで気まぐれで、はた迷惑極まりない少女には違いないが、どうして
も憎むことができない。
亮太の裾をしっかりと握ったままの眠り姫を見て、彼は思った。
亮太のことを心配し、彼に対し純粋な好意を持っているには違いないのだ。
基本的には、とても良い子なのだと思っている。
将来はひとかどの美少女に育ちそうな逸材に好意を持たれ、悪い気がするわ
けでもない。
勝気そうな瞳やテンションの高い明るいキャラクター、お節介なまでの世話
焼きぶりを見ていると、五年後の大器ぶりを垣間見るようだ。
それに、その。
さっき絵里子を乗せて走らされた時、少女のふくらみ始めたお尻や胸が何度
も背中にあたり、思わずドキリとしてしまった。
いつまでもガキンチョだと思っていたのだが、なかなかどうして、一丁前に
成長している様子だ。
従兄の前で見せる子供そのものの素顔と、女の目覚め始めたカラダとのアン
バランスぶりが、妙に亮太の胸をざわめかせた。

「う……ん」

と、絵里子が寝返りを打った。短いスカートがめくれ、白いパンツと眩しい
太ももが目に触れた。さらに、シャツがめくれ上がり、ヘソの切れ目が見える。

「おーい、絵里子。風邪ひくぞ〜」

亮太は、小さな声で言った。
返事はない。

「………………………」

彼は、物音を立てないようにしてそっと小学生の従妹に手を伸ばした。

──これは、服の裾を直してやるだけだ。うん、そうだ。まったく悪いこと
ではない。

亮太は自らに言い聞かせ、そっと少女のシャツの裾をつまむ。
そして、ぺろりとめくり上げていく。
ヘソから上に向かって女らしいカーブが流れ、小さく隆起したいじらしいふ
くらみへと続いていく。
小学生らしい飾り気のない白いブラジャーが覗いた。

「亮兄……」

亮太は飛び上がり、瞬速で部屋の隅へ跳びすさった。

「違うっ!違うぞっ!これはっ、服を直そうとしただけだ。決して後ろ
暗いことをしていたわけでは──」

すう、すう……

「ね、寝言かよ……」

彼は破裂しそうな胸を撫でおろした。

いずれにしても、あまり余計なことはしない方が良さそうだ。
亮太は、再び小学生美少女に近づくと、シャツを下ろそうとした。その刹那、
手が偶然にブラジャー越しの少女の青い乳房に触れた。
極上のゼリーのような感触がした。

──いや、さすがにこれはまずいだろ……。

成人式を迎えた男子としての当然の自制心が発揮される。

「むにゃむにゃ……」

悩ましい小学生が身じろぎした時、

ぷるん

と、その胸が揺れた。

「…………………………」

──いや、これは従兄として、胸の成長を確認してあげる作業だ。愛情だよ、
うん。愛情。決してやましい気持ちなどない。
息を殺して距離を詰めていきながら、亮太は心の中で唱えていた。
少女が目を覚まさないよう細心の注意を払いながら、ブラジャーを上へずら
す。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン

その音で絵里子が目を覚ますのではないかと思うほど、心臓は激しい鼓動を
刻んでいる。

つんと先端の尖った、裾野の広い乳房が広がっていた。
大人になりきらない、いたいけな乳房だった。
手のひらでそっと両乳房を覆うと、まだ硬く熟れきっていない感触がした。
少しひんやりとして、肌の表面は肌理が細かい。
これはきっと、まだ誰も触れてはならない禁猟区だ、と亮太は思った。

──でもきっと、禁猟区こそが全身の血を沸騰させるような興奮の地なのだ。

彼は全身で鼓動しているかのような錯覚を覚えながら、少女の青い乳房を揉
み始めた。


もみもみもみもみ

まだ未熟な乳房を自らの手で熟成させていくように、丹念に揉みほぐしてい
く。
冷たく硬かった乳房が次第に熱を持ってとろけてきたような感じがする。
亮太は、乳房の先端に目を奪われたまま、口を開いた。
憑かれたような目をして、そっと唇を桃色の乳首に近づけていく。

ぺろっ

甘酸っぱい。
新鮮でいて、どこか懐かしい味がする。
脳髄が痺れる。
亮太は夢中になって小学生少女の乳首を吸い、舐めまわした。
倒錯した圧倒的な甘美さに、気が狂いそうな感じがする。

「う、うん……」

小学生少女が甘い寝言を洩らし、手を動かした。

「──まったく、小学生の女の子にいたずらするなんて、最低の変質者です
ね」

突然、背後から男の声で言われ、亮太は仰天した。
勢いよく振り返ると、テレビの電源が入り、ワイドショーのコメンテーター
が性犯罪事件に対し発言している所だった。
見ると、絵里子が手を動かした弾みでリモコンのスイッチが入ったようであ
る。
亮太は全身から冷や汗を流しながらテレビの電源を切る。

しかし、彼はもう後戻りする気はまるでなかった。

次に彼の目が止まったのは、デニムのタイトスカートと、そこから覗く白い
パンツだった
亮太はスカートを少しだけめくると、顔を近づけていった。
タイトなスカートはめくりきれず、翳った奥にパンツの布が見えている。ス
カートに囲まれた空間には、表現のできない種類の熱気と、むっとするような
女の匂いがこもっている。

彼はそこに顔を突っ込ませていった。

タイトスカートの中に顔を押し込んでいくと、すぐに鼻先にパンツの股間部
がぶつかった。
女の匂いの源泉から強烈な香りが立ち、亮太をくらくらさせた。
12歳にして、そこには女の息吹きが確かに存在した。
その事実が亮太を興奮させ、いよいよ匂いを嗅ぐ行為に夢中になる。

小学生のスカートに頭を入れてパンツの匂いを嗅いでいる大学生の姿は、ワ
イドショーのトップを飾るのに十分だった。

だが、それがいい。

絵里子の目が覚めた瞬間に亮太の人生が破綻しかねない強力なリスクと、代
わりに得る最高に甘美な背徳の果実のギャップが比類のない高揚感を煽る。
もっと、もっと危ない快感を求めたい。
危険な中毒患者のように亮太は熱に浮かされている。

彼は、ふと思った。
この少女の清楚な女の部分には、女の印が生えてきているのだろうか?
そう思ったら、もうその気持ちを止めることはできない。
亮太は、繊細な動きで小学生のパンツの両サイドに手をかけ、音も立てずに
足元へとずり下げていく。

腹部からなだらかな坂をくだって危ない三角地帯が姿を現していく。
そこには……

──薄い恥毛がそっと芽を出していた。

息を吐きかけると、そよそよと頼りなげに揺れる。
それは、まだ目覚め始めたばかりの女を健気に主張しているようでいて、そ
のいじらしさに亮太は不思議な感動を覚えた。

気がつくと、亮太は小学生美少女の幼い秘肉を舐めしゃぶっていた。
先ほどまでの絵里子のあどけない仕草や屈託のない明るい笑顔と、今の卑猥
な行為が脳裏でオーバーラップしていく。
あまりの淫らさにめまいがした。
ひとり暮らしの大学生を心配して、世話焼きにやってきたお節介小学生にこ
んな猥褻行為をしていると思うと、そのあまりの鬼畜外道ぶりに、

──最高に興奮した。

「う、うん……」

絵里子がむにゃむにゃと口を開いた。

「きゃはは。くすぐったいよぅ。だめだよ、ニャン吉」

従兄にこんな悪戯をされているとは夢にも思わない絵里子は、無邪気な笑顔
で寝言を呟いた。


亮太の視線が絵里子の薄い恥毛に注がれた。
なぜそんな風に思ったのか説明することはできない。自分でもわからないが、
とにかく思ったのだ。

この少女の恥毛を、眠っている間に剃り取ってしまいたい、と。

亮太は少女の股を開き、そこに髭剃りクリームを塗りたくった。
何も知らない絵里子は安らかな寝顔で規則正しく呼吸している。もし今彼女
が目を覚ましたら、どんな騒ぎになるのか想像もつかない。

トゥルルル、トゥルルル

亮太は電光石火の勢いで受話器を取った。

「はい……」

絵里子が目を覚まさないのを確認しながら、押し殺した声で電話に出る。

「あ、もしもし、亮太くん?」

目の前で股間を開いて毛を剃られそうになっている少女の母親だった。

「絵里子がお邪魔してごめんなさいね。30分後くらいに迎えに行くから」
「わかりました……」

がちゃっ

すでに亮太の頭のネジは二、三本飛んでしまっていたのかも知れない。
30分後に母親が迎えに来るから、悪戯を中止しようとは彼は思わなかった。
あと30分もあれば、十分に毛を剃り終えることができる、と彼は思った。



電話を切ってから、絵里子の母親は時計をちらりと見た。

「あら、もうこんな時間だったのね。やっぱり早めに絵里子を迎えに行くこ
とにしよう」

彼女はコートを羽織ると、すぐに家の外へと踏み出した。



剃刀を握り、亮太はそれを少女の股間に近づけていく。
緊張のあまり、手が小刻みに震える。

しょりっ、しょり……っ

切れの良い音がして、少女の翳りは刈り取られていく。
窓の外はすっかりと陽が落ちて真っ暗になっている。
遠くで、自動車のアクセルの音が聞こえる。自転車のベルの音もする。
対照的に亮太の部屋は静まり返り、剃刀の微かな音だけが静寂の底で這って
いる。
神経が研ぎ澄まされ、ただ剃毛行為だけに集中していく。
それは、まるで芽生え始めた女を奪い去り、再び少女に戻そうとする試みの
ようにも思えた。
わずかな剃り残しも許さないように、丁寧に丁寧に剃刀を滑らせていく。
白くすべすべとした恥丘になっていくと、なんだかそれがひどく美しいよう
に亮太は感じた。
指でその肌をなぞると、ゆで卵のようなつるんとした心地よい感触がした。
亮太はクリームを拭き取ると、すっきりした女肉へと口をつけ、丹念な舌奉
仕を再開した。
外見が幼女に逆戻りした襞肉は、しかし依然として女に目覚め始めた襞肉に
違いなかった。
亮太の愛撫に対して敏感に反応し、膣奥へと快感を伝え、蠕動運動を促して
いく。
もしもこの少女が自慰を覚えていなければきっと、これが初めての蠕動運動
に違いなかった。
彼は女の肉芽を舐めた。

「あ……っ」

と、眠っている小学生少女は声を洩らした。
それは、今までに亮太が聞いたことのない甘い声だった。

亮太が肉芽を舐めるたびに、勢いよく膣道から粘液が滴り落ちてくる。
彼の舌の進入を望むように潤滑し、膣は吸い込むように何度も収縮を繰り返
す。
みるみるうちに少女の下着はべったりと汚れていった。
亮太には、先のことを考える余裕などなくなっていた。ただ、無心に少女の
股間を舐めしゃぶっていた。
恍惚の極地にあった。
彼の責めに呼応して絵里子の身体は熱くなり、甘い声が漏れてくる。
亮太の舌が膣道の奥まで突き刺さった瞬間だった。


「あ……っ」

と、言うと、絵里子がぱっちりと目を開けた。


亮太は反射的に顔を離す。
ふたりの目が合った。

「い……」

と、絵里子は言った。

「いやああああああああああああああああああああっっっっっっっっ
っ!!!!!!!」

隣の部屋にまで響き渡るような絶叫があがった。

その時、

ぴんぽーん

「亮太君?絵里子を迎えに来たわよ〜」

間の悪いことに、予定よりも早く叔母が到着する。
絵里子はパンツを上げ、ドアに向かって全力疾走する。

「お母さあああああああああああああんんっ!!!!!」
「ま、待てっ、絵里子っ!!」

亮太は慌てて止めようとするが、つむじ風のような絵里子を押さえることは
できない。

ばたんっ

玄関のドアが開くと、絵里子は大泣きしながら母親に飛びついた。

「あらあら、絵里子。どうしたの?」
「うわあああああんっっっ!!絵里子、もうお嫁に行けないっ!!」

泣きじゃくる絵里子。

──ああ、終わった、俺の人生。

「あたし、あたし……」

少女は大声で泣き叫ぶ。

「──おねしょしたパンツを亮兄に替えてもらっちゃったみたいな
の!!!!!」

「あらら、本当?ごめんなさいね、亮太くん」

亮太は腰が砕けた。

「小学六年生にもなっておねしょして、それをよりによって亮兄に替えても
らうなんて、もう絵里子生きていけないっっっっっ!!!!!」

絵里子はびいびいと泣く。

「大丈夫よ、絵里子。亮太くんはおねしょしたってお嫁にもらってくれるわ
よ」

母親が頭を撫でると、おませな小学生はみるみる顔を真っ赤にしていった。

「ああああああああああっっっっ!!!!お母さん、絵里子が亮兄のお嫁
さんになるのは内緒って言ったでしょっっっ!!!!」

団地中に響き渡るような大声で叫ぶ絵里子。

「もう、お母さんなんか、大っ嫌いっ!!!!!」

そろそろ第二次反抗期の始まった少女は、プンプン怒ると、亮太に挨拶もせ
ずに外へと走っていってしまった。

「ごめんなさいね、亮太くん」

叔母は亮太に謝った。

「い、いえ。こちらこそ」

本当にごめんなさい、と心の中で付け加える。

「絵里子、ちゃんと亮太くんにお礼を言いなさいよ!」

母親が大声で言うと、夕闇の向こうで少女が手をぶんぶんと振った。

「亮兄、また面倒見に来てあげるからねーっ!!」
「こら、絵里子っ!」

母親が叱っても、少女はどこ吹く風。

「ばいばーいっ!」

と、早くも立ち直ったのか、明るい声で亮太に手を振ってきた。

亮太は手を振り返して、安堵のため息をついた。

ああ、またおいで。
今度はもっと……。

次の絵里子の訪問を思うと、亮太の股間は自然と熱くなってくるのだった。






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