エッチなすごろく(5ターン目)
シチュエーション


すごろくも五巡目に入ろうかという所で……
あたしはもうニーソックスだけ身につけて後はパンツまで脱がされたすっぱだかに剥かれたわけだけど、もう他もマトモな格好をしてる娘は一人もいない。
若葉はあの後、あたしの二つ後ろのマスに止まって【紐水着に着替える】という内容を受けた。
渡された水着は本当に何本かの紐そのものにしか見えないもの。
若葉は自分も弥生が着替えた時みたいに奥で着替えさせて欲しいと要求した。
減るもんじゃないんだから見せなさいよ……あんたもうすうすわかってるでしょ。
このゲームを続ける限りあたしみたいに全裸なんかそのうち見られる……それどころかもっと恥ずかしい目に逢うって。

……でも、着替える所を見られるのって裸より恥ずかしいって気持ちはわかるけどね……

しばらくして襖の向こうから出てきた若葉を見て……あたしは自分はすっぱだかなのも忘れて、なんちゅーカッコだ、と思ってしまった。
トップは胸の頂点に当たる部分でも幅が2センチくらいしかなくて、かなり小さめな若葉の乳輪がはみだしていた。
面積が狭いだけじゃなく生地も相当薄いらしく、辛うじて隠れている乳首の形もくっきり浮き出てしまっている。
下はもっと凄い。もはやハイレグや切り込みっていうのすら適切じゃないほどちょっと動けば大事なトコはみ出しちゃうんじゃないか
ってくらい限界ギリギリの幅で股間に食い込んでいる水着。
さらに、それほどの食い込みにも関らず、1センチ下げたらもうアウトってほどの限界ギリギリのローライズ。
若葉は……元々生えていないのか処理しているのか、それほどの極限の水着を着ていながら毛がはみ出たりはしていなかった。
あたしも生えるの遅かったし、かなり薄い方だと思うけど……あんなの着たら毛が出てしまうだろう。

……そんなのは今の全裸より恥ずかしい。

後ろはもうTバックとかいう表現も不適切な細い紐が数本背中やお尻を通ってるだけの裸同然だった。
若葉は無表情だけどそんなカッコをさせられて平気なはずはなくて、歩き方がぎこちなかった。
恥ずかしいのもあるし、大きく動くと水着がズレてしまいそうで不安なんだろう。

あたしが何時しか他人事のようにその様子を眺めていると隣にいる小春姉さんがトントンと足踏みでもしそうな勢いで質問をしてきた。

「ねぇねぇ 飛鳥ちゃん今どんな気持ち?ニーソ一枚の裸にされて親戚おじさん達に全部見られちゃってるけどどんな気持ち?」
「〜〜〜〜っっ!!」

あたしは自分自身の状況を思い出す。そう、あたしは裸同然じゃなくて裸なんだ。

「……すっごい恥ずい」

……ぶん殴りたい気分だったけどそんな過剰反応してもむしろ喜びそうだからあたしは正直に答えた。

「そう……まぁ、そはっきりそう答えられるなら飛鳥ちゃんは弥生ちゃんよりは余裕がありそうね」
「…………」

弥生は今、お祭りで締めるようなふんどし一丁にされている。

……正直これはいくらなんでもあんまりじゃないかと思った。

弥生はそもそも最初からあたし達みたいに少しでも乗り気なわけじゃなかっただろう。
いつだってあの子は周りに合わせてる。みんなが行くから一曲も歌わないのにカラオケについてくような子。
そんな妹にあたしは少しイラつくことがあったけど……流石にあんなカッコは可哀相。
いや、可哀相なんて思ったら余計可哀相か……っていうか全裸のあたしには同情されたくないだろうね。
でも、今のあの子は……ただ恥ずかしいだけじゃなくて……なんかやり場のない理不尽さを抱えてるような顔をしてる。
普段からいっつも自分を抑えてるあの子が……いつかその鬱憤でどうにかなるんじゃないかってあたしは少し心配していた。
今の弥生の視線は……なぜか歳の近い従姉妹の皐月ちゃんの方に注がれている。

皐月ちゃん……あの子にだけは唯一なんの悲愴感も漂ってない。
お金とか、他の子が参加するからとか関係なく、ただゲームを楽しんでいる。
そんな彼女はお尻にスクール水着を食い込ませて、その突き出したお尻を10歳近く年上の男に嬉しそうに触らせている。
唯一の救い……と言っていいのかわからないけど、それが異様であるけどさほど嫌悪感を抱かないで済むのは
触っている男が、水嶋ヒロをさっぱりさせたような超イケメンだから。
中身はいつか犯罪起こすんじゃないかっていう変態なんだけど……いや、今のこの状況が既に犯罪か。
そして、次に皐月ちゃんが指名したのは自分の祖父にあたる……同時にあたしや弥生や若葉の祖父でもある、菅原文彦(74歳)
皐月ちゃんは凄いおじいちゃんっ子で中学生になっても滅茶苦茶懐いてるからまぁ妥当な選択なのかもしれないけど……
実の孫のお尻を祖父が撫で回すって構図にあたしは本能的な嫌悪を感じた。
文彦のおじいちゃんはギリギリ五十代で通じるくらい若々しくて、お洒落で清潔で、若い頃は既に皐月ちゃんのお尻を触っている
変態イケメンに負けないくらいかっこよかったんだろうっていう風格は漂わせている。
それでもその伸ばされた手は紛れもなく老人のそれで、皺も染みも一つもない真っ白な皐月ちゃんのお尻と比べるとあまりにも対照的に見えた。
その枯れ枝のような指が健康的な白桃のようなお尻に触れ、そしてそれを優しくゆっくりと撫で回す。

「あぁぁ……おじいちゃんの手……気持ち良いよぉ……?」
「ふふ、おじいちゃんのテクニックは若造なんかにゃ到底辿りつけない領域だからな」
「……言ってくれますね、いい年をしてお盛んなことだ」

皐月ちゃんの左右のお尻に手をかけながら慶太兄さんと文彦じいちゃんは軽くにらみ合う。
直接の血縁関係がないからか、二人は微妙に仲が悪そうだ。
五十以上歳の離れた男二人がそれぞれ自分と血の繋がった十三の小娘の尻を巡って対抗意識を燃やしている。

……なんだか気分が悪くなってきた。

男が(女も)みんなスケベなのはもうあたしだってガキじゃないんだから理解してるけど……絶対にこの一族はおかしい。
そして自分の従兄弟と祖父に同時にお尻を弄られ、気持ち良さそうにしている皐月ちゃんの口から三人目が指名された。

「…………ムァキ」
「おお〜」」

親戚一同がサプライズ。

「……じゃなくて、えーと女の子でもいいのかな?……弥生ちゃん」
「おお〜!」

意外な人選に再び親戚一同が驚く。あたしも驚いた。

……でも一番驚いてるのは指名された弥生本人だろう。

実際弥生の方を見ると、胸を手で隠しながらハトが豆鉄砲くらったみたいな顔してたけど……

「……っっ!!」

急に何かを決意したみたいな……あの子にしては妙に強気な表情で、てくてくと皐月ちゃんの方に歩いていく。

「おじいちゃんどいてっ!!」

そして弥生は突如、一年に一度出すかどうかってぐらい大きな声を上げたかと思うと、胸を隠していた手を上に振り上げ……
次の瞬間パァァァァン!と肉が肉を打つ激しい音が鳴った。

「……っっ!!いったぁぁぁ〜〜〜〜い!!」

一瞬遅れて皐月ちゃんの叫び声が響く。

……最初、その場にいる一同、何が起こったか理解できない……いや信じられなかった。

あの大人しい弥生が思い切り腕を振り上げて……突き出された皐月ちゃんのお尻を思いっきり引っぱたいたのだ。

「はぁっ……はぁっ……」

弥生は息を乱しながらしばらくその場に立っていたけど。

「……っっ!!」

踵を返して逃げるように元の自分のマスに戻っていった。
誰かを叩くなんて絶対出来ないはずの弥生のこの行動に、場の空気が凍る。

……小春姉さんだけはニヤニヤしていたけど。

「あうぅぅ〜ヒドイよ弥生ちゃん〜」

しかし当の打たれた本人がお尻を擦りながら軽い調子でそう言ったのでなんとか場は治まる。
皐月ちゃん的には弥生がちょっと悪ノリした程度の認識なんだろう。
白いお尻にくっきり赤い紅葉が浮かんで……多分かなり痛かったと思うのだがそういった悪意には無頓着な子だ。

……あの子だって無邪気にあたしの乳首引っ張ったり結構酷いことしたし。

「弥生ちゃん。男の子みたいにふんどし締めたら勇ましい気持ちになっちゃった?いい張り手だったよ」
「可哀相に皐月ちゃん、おじいちゃんがさすってあげるからな」
「でも皐月ちゃんがよければ……僕もちょっとスパンキングプレイやってみたい」

変態どもは相変わらず絶好調だった。

そしてまた……あたしの番が着た。
これから何が待っている?
このイカれたゲームはどこまでエスカレートする?
あたしは……あたしたちは正気でいられるの……?

もう……やめにするべきかもしれない。あたしはそう思った。

無論ここで降りたら賞金はおろか参加賞もなくなって、ただ単にここまでの恥ずかしい姿の晒し損になるわけだけど……
このままじゃあたし達はもっと大切なものを失ってしまう気がする。
特に、弥生はもう限界だ。さっきの行動もその現われ。
これ以上恥ずかしい目に逢わせたらおかしくなってしまうかもしれない。
そうだ、あたしが一番年上なんだからここは決断しなきゃいけない。
今このゲームに参加してる四人で、こんなの止めようと言えるのはあたしだけだ。

「……っっ!!」

そう思って、あたしが一呼吸ついて、このふざけたゲームの終わりを宣言しようとした。

「……もう終わりにする?飛鳥ちゃん?」

しかしまさにその刹那、一足早く小春姉さんが、あたしの代わりにそう口にする。

「え……?」
「恥ずかしいよね?辛いよね。こんな所で裸にされて……嫌だったら抜けてもいいんだよ?飛鳥ちゃん」
「あ……」

その瞬間、あたしは「やられた……!」と思った。
今ここで終わりを宣言しても……あたしは勇気ある逃げを選んだんじゃなくて、小春姉さんの言葉に甘えたただのヘタレになる。
そして、これではあたし一人が抜けることはできても……ゲームそのものを止めることはできない。
だって、小春姉さんの今の言葉の後であたしがゲームそのものを辞めようって言ったって自分が耐えられなくなったから回りも巻き込もうとしてる卑怯者にしか見えないもの。
あたしが抜けたとしても、おそらく他の三人はそれぞれの性格から考えて抜けられない。
小春姉さんに先手を取られたことで……あたしは完全に撤退のタイミングを奪われ……次の機会を待つしかなかった。

「…………ううん、まだ……やる」
「続けるんだ?はい……サイコロ」

あたしは悔しさを噛み締めながら渡されたサイコロを投げ捨てるように転がした。






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