廃屋
シチュエーション


その廃屋は、もう10年も誰も近づいていないのではないか、というほどに荒れ果てていた。
降り積もる塵芥、散らばったガラス片。もとが何に使われていたかもわからないほどに荒廃しきった建物だった。
2階立てでいくつか部屋があるとはいえ、壁面や天井板は剥がれ、錆びた配管やコードがむき出しになっていた。
立地条件も悪いので、地元の人間はおろかホームレスや暴走族すら近寄らない。誰からも忘れ去られた建物。

そんな廃屋の一室で極上のヤリマン女が格安でサービスしてくれるという噂が、巷ではまことしやかに囁かれていた。
そしてある日の夕方。噂を真に受けた二人の男が、建物の入り口に立っていた。

当然電気が通っているわけもなく、夕闇が差し迫る黄昏時、建物内はかなり薄暗い。
男たちはおっかなびっくり、エントランスから中へと入って行った。
すると、並んでいる扉のひとつに、文字が書いてあるものがあった。
男たちが近づいて確認してみると、そこには赤いペンを使った丸文字で、

「わたしは このさきの へやにいるよ」

と書かれていた。

噂は本当だったのだ! 男たちは意気昂揚し、そのドアを開け先へ進んでいった。

歩いて行くと分かれ道に突き当たっていた。ちょうど男たちの目線の高さの壁に、
先ほどまでと同じ赤い丸文字で、

「わたしは ひだり に いるよ」

と書いてあった。
二人は即座に左へ曲がり、足をさらに早めた。
すると両側に部屋があるところに突き当たった。
どちらに入ったものか、男たちが迷っていると、またしても壁に文字を見つけた。
そこには、

「ブラはひだり、ショーツはみぎ」

と書かれていた。

男のうち片方はおっぱい星人だったため、何も考えることなく左のドアを開け、中に入って行った。
もう片方の男はしばらく考えていたが、やはり乳より尻だろう、と思い直し、右の部屋に行くことにした。

右の部屋に入った男が進んでいくと、何か布のような柔らかい感触をが足に感じた。
男は踏みつけたものを拾い上げ、確かめた。
それは、黒地に白い水玉、前面上部に黄色のリボンがあしらわれた、女性のショーツだった。
ショーツの臭いを嗅ぎまわしたのち、男はポケットにそれを納めると、さらに足を早めた。
突き当たりには扉が一枚だけあった。その扉には、こう書き記されていた。

「わたしは このなかに いるよ」

ドキドキしながら最後の扉を開くと、その部屋は廊下よりもほのかに明るかった。
どうやら、ランプのようなものが用意されているようだ。

「待ってたわ」

そこにいたのは、スーツ姿のOL風の女性だった。
ミニのタイトスカートからは黒いタイツに包まれた足が伸びる。
男はふらふらと、誘われるままに部屋に入って行った。
そんな男の様子に女は妖しい笑みを浮かべると、スカートの端をつまみそろそろと持ち上げていった。
黒のタイツは太ももで途切れ、そこからは白い肌が眩しく男の目に飛び込む。
ショーツはつけておらず、ふさふさとしたヘアがそのまま晒される。
女は空いている片手の人差し指と中指で自分の秘裂をなぞりあげた。
そこは既にびしょびしょに濡れており、女の2本の指からは透明な蜜が糸を引く。
女は指を口元に運ぶと、挑発的な目で男を見つめながら、指をべロリと舐めた――。

――部屋から荒い息遣いが漏れる。男は立ち後背位で、女を攻め立てていた。
女の丸い尻はすべすべと滑らかで、いくら撫でていても飽きない。
服を脱がずに始めたので上半身はスーツを着たままだが、扇情的でとてもよい。
征服心を煽られるこの体勢で、男は心行くまま腰を振った。
男が2回達したとき、一度休憩をはさむことになった。

部屋に備え付けてあったベッドに横になりながら、女は囁いた。

「ひだりのへやから、わたしのなかまがきてるわよ」

するとすぐに扉が開いた。入ってきたのは、おっぱいマニアだった友人。
そして、友人がお姫様のように抱きかかえて、一人の女を連れてきていた。
先ほどまで相手をしていた、上半身がスーツ姿の女とは対照的に、
今入ってきた女は、スーツの前を全開にして胸だけを放り出していた。
すでに何度も楽しんだ後らしく、その豊満な胸には友人のものだろう、赤い指跡が残されていた。

「それじゃ、4にんでしましょ」

男たちはまだまだ帰れそうもない。






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