雪山登山
シチュエーション


それは不思議は出来事でした・・・

あるサークルでの何度目かの雪山登山で吹雪に出会い、私だけが仲間からはぐれてしまったのです。
運が良かったのはもしものための小型無線機で連絡がついたことと、昨夜ビバークした山小屋からそれほど離れていなかったこと。
本隊は吹雪が止むまでテントで待機するらしく、女一人とはいえ山小屋の方が寒さを避けられるのが羨ましいと励ましてくれた。

夕闇が迫る中、私は昨夜の温もりが残る山小屋に入り、囲炉裏で薪を焚き、雪を沸かしたお湯と手持ちの食料を少しだけ食べて静かに吹雪が止むのを待っていました。
時計が深夜を示した頃、囲炉裏のそばで膝を抱えて独り、寝入ってしまわないように揺らめく火を見つめていると、どこからかズルリズルリと何かが動く気配が・・・。
怖くなった私は部屋の隅に逃げ込みガタガタと震えていました。

『・・い・・・さ・・・い・・・さむい・・・』

冷たい這うような声が耳に届いたとき、私は昨夜のことを思い出したのです。
誰かが言っていた恐ろしい話、この小屋で昔遭難した人が亡くなったと言う事を。

4人の男性が遭難し救助を待つ間、寒さと眠気を避けるためにある有名な話を実行していたようなのだと。
小屋の四つの角に一人づつ座り、次の角の人を起こして入れ替わり順番に回っていく「山小屋の四つ角」。
しかし、5人目が居なかった彼らは結局助からずにそれぞれが小屋の隅で・・・。

ぴとっ・・・。
誰かの冷たい手が肩に触れたとき、私はあまりの恐怖に叫び声も出ず、ただ目を閉じてガタガタと震えているだけでした。

『・・・温かい』

耳元で声が聞こえたと思うとまた別の何かが私の腕に触れ『・・・温かい』と。
さらにまた別の何か、3人目が私の足に触れ『・・・温かい』、そして4人目の手が私の・・・

私の胸を触って『・・・無い』って・・・。

「この、変態幽霊!!どこ触っとるんじゃい!!乳が無くて悪かったな、殺すぞ!!」

えぇ、カッとなった私は思わず叫んでしまいました。
その瞬間、山小屋の中に立ち込めていた気配が消え、叫んだおかげで完全に目が覚め、しかも怒りで心身ともに熱くなった私は翌朝無事に救出されました。


でも、あの幽霊・・・そりゃ、私の胸はAカップ・・・うん、AAもないかも知れないですけど、ひどいと思いませんか?






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