白(非エロ)
番外編


「下がりすぎだな。あげておこうか」

「お兄ちゃん、何か言った?」
「いや何でもない」

「お茶入ったから、鯛焼き、熱いうちに食べようよ。これ、評判のお店のなの。
お兄ちゃんの為に並んで買って来たんだから。模型作るのちょっと休んでこっちおいでよ」
「うまそうだな。じゃ、ありがたくいただくとするか。ところで遼子、色は白がいいぞ」
「何のこと?」

「おまえの買った雑誌だろ、これ。特集は『恋愛上手のための愛され下着カタログ』。
きれいな色の下着にチェックしてあるけど、男ってのはな、白が好きだぞ。白。
この白のレースが綺麗なやつなんかどうだ。…遼子も下着に気を使う年になったのか。
お前いくつになった?」

「あ、そ、それは取材の資料よ!年はいいでしょ!
取材の下調べでこの秋の流行をチェックしてただけで、その、30近いのに、
もし何かあって服を脱いだ時に色気がない下着で、相手をがっかりさせたらどうしよう、
なんてそんなこと思ってないからね」

「そうか。もうすぐ30か。遼子が、もうすぐ三十路ねえ。で、相手いるのか?」

「だから、取材の資料なの!三十路三十路、言わないで…。そこまで行くのは、まだまだ遠そうだけど。
白…なんだ」

「白だな。お前の肌には白が…」

「え?」
「この鯛焼き、うまいな」






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