牛丸×遼子
番外編


「健康的に楽しみませう」

そう言って綾小路文香…こと、遼子はワインを新たに1本あけた。
そして1時間後には、牛丸はすっかり酔いつぶれていたが、それは遼子も同じだった。
遼子は、牛丸に促されるまま、ホテルの1室に連れ込まれた。

「綾小路さん、大丈夫かい〜?」
「えぇ、らいじょうぶ…れす」

遼子はベッドに倒れこみながら呂律の回らない口調で答えるが、いつの間にか眠ってしまった。

しばらくして、遼子は突然の息苦しさに目が覚めた。

「ん?」

驚いて目を開けると、シャワーを浴びたらしいバスローブ姿の牛丸が、遼子の上にのしかかり
唇をむさぼっている。
ブラウスもいつの間にか前がはだけられ、ブラジャーの上から牛丸の手が2つの膨らみを
楽しむかのように動いている。

「んー!んー!」

あわてて遼子は抗議の声をあげようとするが、もちろん言葉にはならない。

「ん…はぁ!」

しばらくして口づけからは解放されたものの、牛丸は酒臭い息を吐きながら、遼子の
耳朶た首筋に唇を落としている。

「牛丸さん!やめて…下さい!ん…何…を」
「綾小路さん、大丈夫だよ。何も心配しなくていいんだよ。」

何が大丈夫なのか。
すでにブラジャーもたくし上げられ、外気にさらされた先端のつぼみを、牛丸の舌が這う。

「いやぁ!」

そして牛丸の右手がスカートの中に伸びてきたかと思うと、遼子の秘部に達する。

「きゃあぁ!」

恐怖で遼子が一際高い悲鳴を上げるのと同時に、スルリと遼子の中に牛丸の指が侵入してきた。
まだあまり濡れていない上に、初めて異物を受け入れたソコは、遼子に痛みしか与えない。

「んあぁ!痛い!」
「痛いって…。キミ、もしかして初めてなのかい?」
「いや…あん!痛い!…やめ…痛い!…助け…」

酔いと本能に任せただけの、やさしさの欠片もない乱暴な動きだったが、次第に遼子から
発せられる水音は大きくなり、それにつれて遼子の感覚も、痛みだけでない違う感覚が
湧き上がってきた。

「…あっ…はあ…いやぁ……やめて…」
「どんどん溢れてくるじゃないか。初めてなのに、いやらしいなぁ。」

中の指が2本に増え、遼子は恐怖と未知の感覚にただ涙を流しながら翻弄されるばかりである。

「でも、そんないやらしい子も、おじさんは好きだよ」
「もうやめてください。…お願い…します。」

涙に濡れた瞳で、牛丸を見つめながらの遼子の懇願の言葉は、牛丸にとってはさらに興奮を煽る
ものでしかなかった。

「さぁ、もっといいモノをあげるからね。」

いつの間にか、遼子は一糸纏わぬ姿にされ、牛丸もバスローブと下着を脱ぎ、遼子の足の間に
体をいれ、さらに足を開かせる。

「嬉しいなぁ、おじさんが初めてなんて。」
「!!!ダメです!それだけは!やめてください!」
「怖くないよ。おじさんにまかせていればいいんだよ…」
「いや!いや!助けて!助けて!……お兄ちゃん!!!」

遼子の悲鳴が部屋にこだまし、牛丸が自身を遼子の中に進めようとした、その時

「ぐわぁ」

くぐもった声と共に、牛丸の体が遼子の体の上に倒れこんできた。

「いやぁ!助けて!お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

すでにパニック状態の遼子は何か起きたかわからず、ただ助けを求める声をあげるばかりだ。
すると、その声に答えるように「遼子!」という聞きなれた声が聞こえてきた。

「…!?」

驚いて目を開けると、遼子は自分の顔を覗き込む洸至を目が合った。

「おにい…ちゃん?」
「遼子!大丈夫か?」
「お兄ちゃん!…おにい…ちゃん!」

遼子は小さい子供のように泣きじゃくりながら、洸至に抱きついた。

「もう大丈夫だ。大丈夫だ…遼子」

やさしく遼子を抱きしめながら、ゆっくりと背中をさする。

「…落ち着いたか?」
「うん…」
「そうか…。じゃ、じゃあ、とりあえずコレを羽織れ!」

洸至が急に顔をそむけながら、バスローブを遼子に手渡す。

「え?…うん…………!!…きゃああああ」

そこで遼子は自分が裸であり、その状態で兄に抱きついていたことを初めて自覚した。

「でもお兄ちゃん、どうしてココに?」

あわててバスローブに袖を通しながら、遼子は疑問を口にする。

「あぁ、それは…」

と洸至が口を開きかけた時、その背後から

「あと少しだったのに」

という女性の声が聞こえた。

「未知子さん!」

声のした方に視線を移した遼子は驚きの声をあげた。

「あなたがベロベロに酔っ払って電話してくるからココに来て見れば、部屋の前で
血相変えて『妹をどうした!』なんて言って来るこの人に会ってね。ビックリしたわよ。
そして部屋に入るなり、牛丸さん殴って気絶させちゃうし。」

そう言って未知子はベッドの上でうつ伏せで気絶している男に視線をやる。

そういえば、牛丸がシャワーを浴びているときに、電話をかけた気がする…と遼子は
まだ完全には働いていない頭で、記憶を呼び起こした。

「とりあえず、この部屋を出るぞ、遼子!」
「え…でも」

遼子が牛丸を見ると、未知子がため息まじりに口を開く。

「あとは私が上手くやっておくから。あなたはもういいわ。まったく…まさか初めてだったとはね。
さすがに、女の初めては好きな人にあげたいものね。いるんでしょ?好きな人。」

「はい…まぁ。…えっと…はい」

牛丸に脱がされた服をかき集めながら、遼子は顔を赤くして答える。

「遼子、行くぞ!」
「でも…多分初めてじゃない…だって…史朗ちゃんとは…あの時…きっと…」

ブツブツと遼子がまだ何か呟いているのを無視し、洸至は遼子の腕を強く引っぱり
半ば強引に部屋の外に連れ出した。

「ちょっと!お兄ちゃん!痛いってば!どうしたの?…それにまだ私、バスローブ
なんだけど…」
「別の部屋を取ってある。そこで着替えろ。ついでにシャワーも浴びればいい。」
「あ…うん。そ、そうだね。」

つい今しがたまで自分が牛丸に受けていた行為を思い出し、遼子は恥ずかしくなる。

「ここだ。入れ。」
「う、うん。」

怒りを含んだ含んだ兄の声に戸惑いながら、遼子は促されるまま部屋に入る。

「お兄ちゃん。…あの……えっと…来てくれて…ありがとう。」

恐る恐る声をかけた遼子に、洸至は振り向きざま強い口調で語りかけた。

「何で!」
「えっ?」
「何であんな男と…あんな事した!」
「それは…ゾマニアの緑化事業の真相と、募金振興会との関わりを調べるために…」
「だからって…男と寝る必要があるのか?」
「だって『スクープは寝て取るものだ』って…未知子さんが…」
「それは、あの女のやり方だろう?お前もそれで良かったのか?あのまま、あの男に
抱かれて、それで良かったのか?」
「それは…」

問い詰められ、遼子が答えに窮していると、洸至が「もういい」とバスタオルを投げてきた。

「早くシャワー、浴びて来い」
「うん…」

シャワーを浴びながら、遼子は自身に刻まれた牛丸との情事の跡を見つけ、思わず動きが止まる。

『あのまま、あの男に抱かれて、それで良かったのか?』

先刻の兄の言葉が、頭の中にこだまする。

「やっぱり…そんなの…ダメ…だよね。」

シャワーを浴び、元の服に着替えて遼子がバスルームを出ると、洸至は部屋の明かりもつけず
暗闇の中ベッドに腰をおろしていた。

「お兄ちゃん、ごめんなさい。」

洸至の隣に座り、遼子は謝罪の言葉を口にする。

「やっぱり私は、私のやり方で、真実にたどり着いてみせる。今回は、軽はずみなことして…ごめんなさい」

すると、黙って遼子の言葉を聞いていた洸至が、遼子の方に顔を向けた。
その瞳は、この暗い部屋よりもされに暗く、そして澱んでいた。

「遼子…」
「なに?お兄ちゃん?」

首をかしげて兄を見つめる妹のあごに手をかけて、洸至はゆっくりと顔を近づけていく。

「!?」

思いがけぬ兄の行動に遼子が固まったままでいると、洸至の唇は遼子の唇をかすめ、
そして遼子の耳元で低い声で言葉が紡がれた。

「遼子…俺と寝たら…名無しの権兵衛についてのスクープが取れるぞ…」

「!!な、な、何バカな事言ってるの?お兄ちゃん!」
「お前は…真実を、知りたいんだろう?」

そのまま遼子はベッドに押し倒される。

「おにい…ちゃん?」

再び洸至の顔が迫り、遼子は思わずぎゅっと目を閉じた。しかし、唇には何の感触もない。
それどころか、押し殺すような笑い声が聞こえる。
遼子が片目を開けると、洸至が笑みを浮かべながら、遼子のおでこに軽くデコピンをする。

「いたっ!」
「冗談だよ、遼子。」
「ちょっと!お兄ちゃん!!」

遼子が抗議の声をあげると、洸至は再び真顔になって、遼子を見下ろしながら言い放つ。

「遼子、お前がやろうとした事は、こういう事だ。わかったか。」
「うん…ごめんなさい…ごめんな…さい。」

遼子の頬を、再び涙が伝う。
その涙を、洸至はやさしく指でぬぐうと、ベッドから降りた。

「遼子、お前は疲れただろうから、今日はここに泊まればいい。」
「え?お兄ちゃんは?」
「俺は、片山に張り込みを代わってもらっているからな。すぐに戻らなくちゃいけない。」
「そうなんだ。それなのに来てくれて…本当にありがと、お兄ちゃん。」
「気にするな。俺は、遼子に呼ばれたら、どこにだって行ってやるぞ。」
「うん」
「お前が…どこにいようとも…必ず俺は見つけ出してやる…何があっても…」

洸至はそういい残すと、振り返ることもなく部屋を出て行った。

「ありがとう、お兄ちゃん」

出て行く兄の背中に、遼子は改めて感謝の言葉を呟いた。
兄の好意に甘えて、今日はこのまま此処で眠ろう。
そう思った遼子に、ふと1つの疑問が頭をもたげた。

「そういえば…私、未知子さんには電話したけど、お兄ちゃんに電話したっけ???」

しかし、酔いと疲れに支配された遼子は、その真実を深く追求することなく、眠りに落ちていった。

そして、部屋を出た洸至の瞳には、また再び先刻の深い闇が浮かんでいた。

『遼子、お前は、俺が守ってやる。誰にも触れさせない。この俺だけの光だ…。』






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