ひめはじめ
鷹藤俊一×鳴海遼子


「あ〜!疲れたぁ!」

遼子は部屋に入るなりそう叫んだ。

今日は1月2日。
世間ではまだお正月ムード一色だが、遼子と鷹藤は元日早々から、
芸能人カップルの張り込み取材を命じられ、ついさっき漸く解放され
遼子は鷹藤と共に、鷹藤の部屋に戻ってきたのだ。

「ま、とりあえずお目当ての2ショット写真も撮れたし、新年早々
幸先いいスタートなんじゃねーの?」

鷹藤が遼子にビールを渡しながら、労をねぎらうように言う。

「うーん、まぁ、そうなのかな?」
「そういうことで」

2人はリビングに腰をおろすと、ビールを開ける。

「じゃあ…明けましておめでとう!鷹藤君。今年もよろしくね。」
「その挨拶は年明けたときに一応言ったけど…ま、改めて、こっちこそ
今年もよろしくな。」

そう言ってビールの缶を合わせる。

「そういえば、今日って2日だよね?」
「あぁ、そうだけど?」
「じゃあさ、『ひめはじめ』の日だね!鷹藤君、『ひめはじめ』する?」

途端、鷹藤はビールを噴き出した。

「ちょっと!やだ、どうしたの?大丈夫?」
「げほっげほっ…いや…その…『ひめはじめ』って…」
「そう『ひめはじめ』って、2日にやるものなんでしょ?いつもはね、お兄ちゃんと
お正月にしてたんだけど…」
「へっ??ええええええええ??」

鷹藤は、ただただ遼子の口から発せられる言葉のあまりの衝撃に驚愕の声をあげるしかなかった。

「何よ、さっきから!鷹藤君、ちょっと変よ?」
「…えーっと…ひとつ…聞いてもいいか?」
「??なに??」

とりあえず落ちつこうと自分に言い聞かせ、鷹藤はキョトンとした顔で鷹藤の言葉を待つ
遼子と向きあう。

「アンタの言ってる『ひめはじめ』って…」
「うん、『姫飯初め(ひめいいはじめ)』。新年の2日目に、初めて
『姫飯』…つまりやわらかいご飯を食べる日なんでしょ?」

その言葉を聞いて、鷹藤ががっくりと肩を落とす。

「お兄ちゃんが教えてくれてね。だからそれからはお兄ちゃんとお正月は
2人でご飯食べてたんだけど……?鷹藤君?どうしたの??何か変??」
「いや、うん、えーっと、確かに間違っちゃいないんだけどさ…」

絶対あの人、妹の口から『ひめはじめ』って言わせたかっただけだろう!

と鷹藤は心の中で叫んだ後に、遼子にそっと耳打ちする。

「『姫はじめ』って言ったらな…普通は…………」

鷹藤の言葉を聞き、途端に遼子の顔が真っ赤に染まる。

「え?ウソ!!やだ!!」
「そんなの、高校生だって知ってるぜ?」
「えぇ!どうしよう!」
「何が?」
「さっき美鈴さんに編集部出るとき『鳴海さん、鷹藤君と姫はじめ?』って聞かれたから
『はい』って答えちゃった!!」
「…どおりで…」

別件で同じく正月から編集部に出てきていた美鈴から、帰る間際の鷹藤に向けられた
憐憫の情がこもったような一瞥を思い出しながら、鷹藤が納得する。

「ま、だったらさ」

鷹藤は、まだ顔を赤くしたまま俯く遼子の肩を抱き寄せる。

「せっかくアンタから『姫はじめ』しようって誘ってくれたんだから」
「え?ちょっと!だからそれは違う意味で…やっ!」

耳元に囁いて、遼子に口付ける。

「っふ、ううん」
「『姫はじめ』しようぜ?……イヤか?」
「イヤ……じゃない……」
「思いっきり可愛がってやるからさ。」

鷹藤は深く遼子の唇を貪りながら、遼子の体をベッドに押し倒した。

「んっ!ううん!」

鷹藤の愛撫に遼子の胸の突起が硬く立ち上がるのが、胸を包む布の上からでも分かった。
背中に手をまわして、ブラのホックをはずす。
舌を絡めるキスをしながら、両手で乳房を包むと、遼子の体がピクンと震える。
その反応を楽しむように、鷹藤はゆっくりと遼子の胸を包み、柔らかくもみ始める。
口付けられたままの遼子の唇から、声にならない吐息が漏れた。
遼子の下唇を軽く噛み、舌でそのまま耳まですうっとなめ上げ、胸の愛撫を続けていた両手が
その先端を同時に強く摘みあげる。

「あぁん!」

いきなりの強い刺激に、遼子は思わず身体を仰け反らせて反応する。
鷹藤は、遼子の喉元に唇を滑らせると、愛撫で硬くなった乳首を唇に含む。

「やん!」

遼子が今度は甘く啼く。
鷹藤は唇に咥えた乳首を舌先で舐めながら、もう片方は指に挟み込んで、揉み込み愛撫する。

「んっ!あっ!ああん!」

鷹藤の与える愛撫に、遼子の唇からは甘い声が漏れる。

鷹藤は、唇で遼子の乳房に所有の烙印を刻みつつ、手は遼子の脚に這わせると、ゆっくりを両脚を開かせた。

「ここに、欲しい?」

鷹藤が下着の上から遼子の秘所を撫でながら耳元で囁くと、遼子が小さく頷く。
そんな遼子を鷹藤は愛おしそうに見つめると、ちゅっと音を立ててキスをする。

「いっぱい気持ちよくしてやるから・・・。」

そして、下着の中へ手を入れると、秘所を弄った。
そこはもうすでに濡れていて、指を動かす度に、くちゅくちゅと厭らしい音を立てる。

「…んんんっ!あっ!…いい…」

鷹藤の唇は遼子の首筋を、左手は胸を、右手は秘所を、ゆっくりと弄ぶ。
そんな愛撫に、遼子も甘い啼き声を漏らし、時折キスを強請り、敏感に反応する。

「なあ、そろそろ…いいか…?」
「…あたしも…鷹藤君が欲しい…」

その言葉に、鷹藤は遼子の服を全て脱がせ、自分も全裸になると、遼子を組敷いた。
そして、身体を起こして遼子の膝頭に手をかけると、一気に奥へ叩き付けた。

「あぁぁん!」

まちかねた刺激に、遼子が悲鳴をあげる。
鷹藤はその勢いのまま、何度も何度も腰を叩き付け、遼子は激しい揺さぶりにシーツをきゅっと握りしめた。

抜き差ししたまま、鷹藤は手をかけていた遼子の膝を大きく割ると、二人の結合部が鷹藤の目の前に曝される。

「もうぐちゃぐちゃだな…ココ」
「もっと…」

うっすらと目を開けて遼子が鷹藤にねだる。

「言われなくてもしてやるよ。」

遼子の足を一度閉じると、その足を伸ばして片方の肩に掛け、足を抱きしめる様にして腰を打ち付ける。 

「あっ、あっ、あぁん!!」

腕に抱えている遼子の足が震えだす。

「もうイク…か?」

鷹藤が狭くなった秘裂に自身を押し込むと、遼子の甘美な叫び声と粘液が飛び散る低い音が部屋に滲み渡る。

「…イクっ!イッちゃう!」
「イケよ!何度でもっ!」
「ああぁぁぁっ!」

一際長い尾を引く絶叫を残して遼子は達すると、そのまま意識を手放した。

気を失っている遼子を、鷹藤は目を覚まさせようと何度も口付けながら、まだ繋がったままのモノで
ゆるゆると刺激する。

「う…ぁ…」
「起きた?」

きゅと中が締まって遼子の代わりに返事をする。そんな刺激が、鷹藤に快感の余韻を味わせてくれる。

「せっかくの『姫はじめ』なんだ。今夜は声が枯れるまで啼かせてやるからな?」

鷹藤はニヤリと笑って自身を引き抜くと、今度は遼子の体をうつ伏せにし、腰を引き上げた。
支えを失っている遼子の体は必然的に前のめりにシーツへと沈む。

鷹藤の熱い唇が背骨に沿って這い上がり、花弁のような痕跡を刻んでいく。

「んんっ!…なに?…ひぁん!」

遼子の言葉は嬌声に摩り替わる。

鷹藤が遼子の中に二本の指を埋め込むと、一度達したソコは、すんなりと指を飲み込んだ。

「やあぁ!」

遼子は腰を高く突き上げ、指の抜き差しにあわせて眉を寄せて喘ぐ。
嬌声にかぶる様に、淫猥な水音が部屋に響く。

埋め込んだ二本の指を引き抜き、指に絡んだ蜜を舐めとると、遼子の腰を引き寄せる。
そして再び硬さを取り戻したモノを秘所にあてがう。

「いや…さっき…」

しかし鷹藤は遼子の言葉を無視し、遼子の中に深々と突き立てる。
再び繋がりあった部分から掻き出された蜜が太腿を伝って布団を濡らす。

「思いっきり可愛がってやるって言っただろ?」

耳元でそう囁くと、ゆっくりと動き始める。

「ダメっ!もう!あぁぁぁ!」

頭を振りながら遼子は限界を訴えるが、鷹藤は遼子を責める手を緩めない。

鷹藤は身体を起こし、左手で遼子の左腕を掴んで引き寄せると、遼子の上半身が浮く。
そして右手で遼子の腰を支えたまま、今度は最奥だけをひたすら突いた。

「あぁっ!あぁん!はぁっぁん!やぁぁあぁぁっ!」

遼子から切ない叫び声が再び上がり始め、鷹藤の身体から飛び散る汗が遼子の背中に受け止められる。

「今日はココがいいのか?」
「んあぁっ!いいっ…のお!」

遼子も喘ぎながら何とか右手だけで身体を支えようとしていたが、乱れたベッドに力なく沈んだまま
腰だけを高々と突き出しているしかできなかった。
そんな体勢に恥ずかしさを感じつつ、遼子には逃げ出す体力も気力も無い。
徐々に抜き差しが激しくなり、一際激しく腰を打ち付ける。

「鷹藤くん!また、私…イっちゃ…あぁぁぁぁ!」

鷹藤の腕に掛かる遼子の重みが増し、体内の楔が締め上げられると、鷹藤も熱い濁流を遼子の中に注ぎ込んだ。
そして駆け抜ける快感に遼子も悲鳴をあげてのけぞった。

「このまま、抜かずにもう1回いけるかも」

そんなことを遼子を後ろから抱きしめながら、鷹藤は耳元で囁く。

「もう…ダメ…」

遼子は達した余韻に浸りながら、何とか掠れ声で呻く。

「そういえばさ」
「…なに?」
「『姫はじめ』って『馬の初乗り』の日って意味もあるんだよな?」
「…え?」

鷹藤はそう言って、いたずらを思いついた子供のように不適な笑みを浮かべた。

「そっちの『ひめ(飛馬)始め』もしてみねぇ?」
「…んあっ!」

遼子が鷹藤の言葉に理解を示すよりも早く、鷹藤は繋がった体勢のまま遼子の身体を引き起こして反転させると
遼子に騎乗位の体勢を取らせる。
そして、遼子の腰を拘束して、下から貫くと同時に遼子の身体を落とした。
遼子は自分の重さでより深くを突かれ、一瞬、息が詰まる。

「やぁ!あああああん!」

さらに鷹藤が下から激しく突き上げると、遼子の体がのけぞり、遼子の高い叫び声が部屋に響く。

「やっ、は…あっ、いやぁ」

遼子の身体は与えられる快感に震え上がり、細かい抽送に押し出されるように、短い喘ぎが零れ、切なげに眉が歪む。
鷹藤は円を描くように腰を回しつつ、遼子の内壁により多く自身を擦り付ける為に幾度も角度を変えて突き、
やがて跳ねらせるように遼子の体を持ち上げ揺さぶった。
柔らかく丸みを帯びた尻に、鷹藤の指が食い込んでいく。

「んんっ…はぁ…ぁっ」

遼子はそんな鷹藤の動きに合わせて腰を振り続けた。

「あぁ!」

悲鳴をあげて視線を落とせば、自分の中に鷹藤のモノがが抜き差しされる光景が目に入り、遼子は固く瞳を閉じる。
しかしそうすることで、余計に自分の中の動きを思い知らされる。
崩れ落ちそうになる体を支えるため、鷹藤の首に腕を回してしがみつく。
荒い息と、嬌声が交じり合う。
唇を重ね、息もつけないほどに深く舌を絡めあう。
二人とも吐息が熱い。

口付けながら、鷹藤はまた奥まで楔を差し込む。

「まだこれぐらい大丈夫だよな?」

すでに意識が朦朧としている遼子に繰り返し口付けながら、中に埋めたモノをギリギリまで引き抜き、
一番太い部分を入り口辺りで抜き差しする。

「あぁ…ん…」

遼子の中から溢れる蜜は留まるところを知らない。
胎内をみたした遼子と鷹藤の液体が混ざり合い、淫靡な音とともに蜜壷から溢れ、大腿を伝う。

「ねぇ、お願い、鷹藤…くん…」

快楽に浮かされながら、譫言のように遼子が言う。

「ん?」

遼子の瞳が、しっかりと鷹藤を捕らえる。

「お願い…私を…離さ…ないで…」

喘ぎ疲れて掠れた遼子の声。だが、しっかりと鷹藤の耳に届いた。

「私を…置いて…行かないで…」

誰のことを思いながら言っているのかは鷹藤には痛いほどわかる。

「アンタが離せって言っても離さねーよ。」
「ずっと…?」
「あぁ。ずっと。」

鷹藤のその言葉を聞いて、遼子が微笑む。
それはあまりにも淫らで美しい笑顔。
愛しい女が自分だけに向けた笑顔に、鷹藤は、ただ欲望のまま獣のように激しい突き上げを開始した。

「あっ!あっ!やぁっ!も・・・う・・・あぁん!」
「くっ・・・そんなに締め付けんなって」

鷹藤は遼子の腰を引き寄せると、最後の一滴までも余さず激情を解き放った。

「ひぁ、…あ、熱…ぃ、ぁああぁぁぁっ!」

意識が一気に高く登りつめ、それから静かに堕ちていく。
放出を終えた時には二人共互いに汗塗れで、絡まり合ったまま暫く動けないで居た。

「鷹藤…くん…」

遼子がうっとりとした表情で鷹藤を見つめると、唇を重ねキスを求めた。
快楽の名残に荒い息を吐きながら、二人は口付けを交わす。
先ほどまで淫らな音と熱い空気で覆われていた部屋は、少しずつその温度を下げていく。

「ずっと…一緒だよ?」

そう囁いた遼子の笑顔に、鷹藤は一瞬眩しそうに瞳を細めた後、遼子の身体を抱きしめた。
そして、そっと遼子の耳元に唇を寄せて囁く。

「来年も、再来年も…な…」
「うん」
「だからさ」

鷹藤は遼子の頬に軽くキスをしながら、言葉を続ける。

「来年もまた、二人で『姫始め』しような?」
「…バカ!」

遼子は口ではそう返しながらも、小さくこくんと頷いた。 






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