LOVE注入
上田次郎×山田奈緒子


「ときに山田」
「なんですか」
「…その、何だ。今日が世間で何の日か知ってるか?」

いつものように勝手に人の部屋で茶を啜っていた、いろいろなところがデカい男、上田は帰宅した私の顔を見るなりそう言った。

「バレンタインデーですが、それが何か?」
「分かってんじゃねぇか。ほら」

私の目の前に自分の掌を差し出す。

「何のつもりだ」
「まさか、どういう日なのかは知らないのか?」
「知ってますよ」
「ハッ!こいつめ、照れやがって。素直じゃないなyou」

勝手に一人話を進めて行く上田に内心イラつきながら、ぴしゃりと言い放つ。

「何で私が、上田さんにチョコあげないといけないんですか?」

その私の一言で、あからさまに消沈する。しかししょんぼりとしたところで、やっぱり無駄にデカい男には変わり無いのだが。

「というか、どうせ大学で貰って来るのにいいじゃないですか」
「…フン」

そのまま背中を向けてしまった。まさか、拗ねたのか?たかがチョコで。

ふと、最近商店街のおまけで貰ったチョコがあるのを思い出し、カバンの中からセロファンに包まれた小さなチョコをテーブルに置く。

「貰ったのだし…も、もちろん義理だからな!」
「『L』の字が書いてあるんだが。you、私にLOVEなのか。LOVE注入か」
「ぐ、偶然ですよそんなの!貰ったのだし!もういいだろ!そんな事言うなら返せ!」
「おおぅ!?」

隙を見て上田さんから奪い取ったチョコを素早く口に放り込む。ざまーみろ、と思っていたら、上田さんは私の腕を掴んで引き寄せ、頭をがっちり掴まれキスして来た。

「ん、う…」

次第にそれは舌を絡めた深いものへと変わり、口腔内を蹂躙される。

「…はあっ…」

やっと唇が離れると、抗議の為に少し息を整え

「何するんですか!いきなり…キ、キスだなんて」

上田さんは不敵にも、ベロリと自分の下唇を舐めながら言い放つ。

「せっかくyouから貰ったチョコを、食べない訳にいくまい」
「だから別に、義理以外の意味なんてありませんよ」
「一粒とは言え、youから貰えるとは思わなかったから、こういうものも用意していたんだが」

上田さんはおもむろに自分のカバンから何かを探し出す。
自分で買ったとは言え、どんな高級チョコがと期待に胸膨らませて待っていたら、出て来たのはただの砂糖で色とりどりにコーティングされたチョコだった。

「こんなの、どこにでもあるチョコじゃないですか」
「フッ。素人はこれだから困る」

そう言った上田さんの眼鏡が光った気がすると、ガバッとその場に押し倒される。

いきなりスカートをまくり上げられ、下着までも下ろされた。

「いいか、youのここに、このチョコをだな…」
「ひんっ!」

あろう事か、上田さんは私の秘所に一粒ずつチョコを入れ始める。あまりの事にただ驚き、咄嗟に抵抗する事も出来ず、されるがままに次々とチョコを入れられ続けて、ついには一袋全て入れられてしまった。

「…こっ、これ…どうするんですか」
「決まってるだろう?」

ぐるりと中で大きく指を掻き回す。と、中のチョコが私の敏感な部分を擦っていく。

「あん!」
「すぐには溶けないだろうから、結構楽しめるぞ」
「バッ…んっ!馬鹿なこっ…んぅ、言って、ないで…ふああっ…!」

『この変態』と、力いっぱい罵りたいのに、その度に指で掻き回されて力が入らない。

「なかなかいい感じになってきたな…」

今度は両膝をガバッと大きく開かれ、さっきまで指で弄られ続けたそこに口をつけられる。

「ど、どうす…んんっ」

舌先を使って、奥のチョコを一粒ずつ掻き出す。さっきと違って、ぬめった舌の熱さが、私を更にたかぶらせていく。

「…ん、ひ、あっ…あ?や、はああ…っ!?」

がっしりと腰を掴むと、ずず、ずずっとチョコを吸い込んでいく。吸われる度、また私の中のチョコが動いて、私の中を蕩けさせる。

「や、だっ…上田、さ…」
「ふ。もういいだろう。you、少し待ってろ」

上田さんはチョコとか私の愛液でてらてらと光る口元を拭うと、私を一人放っておいたままで、自分の巨根に避妊具を被せていく。

「あとはまだここに残ったこれを…こら、動くな」
「だ…って…くぅんっ、また、指っ…!」

再び中に指を入れてチョコを取り出し、何故か避妊具と巨根の間に埋めていく。

「…な、に…?」
「今すぐyouに天国を見せてやる」
「〜〜〜〜〜!!」

慣れたとは言え、さすがにいきなり巨根の上田さん自身を勢い良く突き入れられては、金魚のようにただぱくぱくと口を動かす事した出来ない。
「…はあっ…はあっ…どうだ、you?」
「くあああっ!」

上田さんが腰を使って奥まで突き動かす度、チョコが中で擦れて私を責め立てる。

「…や…あ…こんな…こんなの…っ!」
「そう、言う割に、締め付けが、すごい、ぞ…」

体中が熱くて、訳も無く涙が零れる。霞んだ視界の先のバカ上田の口を黙らそうと、手を伸ばし首をかき抱くと、そのまま噛み付くようなキスをした。

どちらともなく舌を絡め合うと、上田さんの舌はひどく甘いように感じた。

「…おい。そろそろいくぞ、いいか…?」

応える言葉が出ずにただ頷くと、更に高みへ追い立てるように動きが激しくなった。

「うあああっ!上田さん、上、田、さ…!」
「く、うぅっ…奈緒子っ!出る、ぞっ…!」
「あ、あ…は、あああああぁあぁっ……!」




甘い余韻も終え、身綺麗にした後の微妙な沈黙。それを敢えて私から破る。

「前から考えてたのか」
「何の事だ」
「あ、あんなっ…変態じみた事っ…!」

真っ赤な顔で抗議する私とは逆に、上田さんは『なんだそんな事か』という表情で答える。

「ああ、なかなか良かっただろう?セックスにも時々変化をつけた方がマンネリズムに陥らずに…おぶぁっ!」

怒りに震える私の右ストレートが上田の顔面に決まり、後に大きくのけ反る。

「な、何がマンネリズムだ!…バカ上田!お前なんか一人で巨根を慰めてろ!帰れ帰れ!」

二階の窓から無理矢理帰すと、窓越しに「ホワイトデーは期待しておけ」という声がした後、車の音が遠ざかる。

「何が期待だ、ばーか」

上田の事だからどうせロクな事ではないだろうが、言葉とは裏腹に、頬のゆるみは抑えられなかった。






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