魔法のくすり
田村勝弘×住吉美寿々


送信
― 住吉先生、今度の日曜日
どこかへ行きませんか?
いい雰囲気のお店見つけました
いっしょにディナーしましょう!

・・・・

着信あり
― なんで、私が
田村とどこか行かなきゃならないの
ふざけないでよ
田村、
あんな子供みたいなキスで
私がときめいたと思った?

・・・・

いい香りがする。
カウンター前の鉄板で、広島風お好み焼きがふっくらと焼けている。
ここは大野事務所なじみのBAR「女郎蜘蛛」。
ふだんは先輩たちや会社員の客でにぎわっているこの店も、今夜は珍しく田村一人だ。

「ふうん、たむたん、住吉先生にキスしたの」

いつの間にか、女郎蜘蛛ママが、田村が持つ携帯に顔をよせている。

「ちょっと!ママ!他人の携帯を勝手に見ないでください」
「なに言ってるの。メール画面開きっぱなしにして、そんな格好してたら、いやでも気になるわよ」

「女郎蜘蛛」のママは、チャイナ風ファッションのゴージャスな雰囲気の美女。
硬派の上司・大野大先生も鼻の下をのばす妖艶なママだが、見かけによらず、案外、気のいい相談相手だ。

「住吉先生とうまくいってないの?」
「最近、避けている雰囲気が・・・おれ、そんな嫌われることやったかな?」

「パーカーの重ね着がいけなかったんじゃないの?」

とホステスの まゆが口をはさむ。

「住吉先生、『あれ、私服?』って眉をひそめたし」
「酔ったとき、先生に すずみたん!って抱きつこうとして、パンチくらってたし」

美寿々の前での田村の失態を、指折り数えている。

「まゆちゃん、たむたん追いつめてどうするのよ。ほおら、また落ちこんじゃった」
「だって、たむたん、かわいいんですもの」

ファッションも中身も、小悪魔な美少女だ。

田村は、カウンターに横顔を密着させたまま、携帯を片手にぼやく。

「住吉先生と おれの関係って、どうなんでしょうね〜」

「・・・はたからみると、じゃれあう相思相愛のカップルにしか見えないんだけど」

ため息まじりにママが言う。

「素直になれないのね、住吉先生」

支払をおえると

「たむたん、いつもごひいきにありがと」

田村は、まゆから白い粉が入った小さな四角い紙袋を手わたされた。

「何?まゆちゃん、これ・・・風邪薬?」
「つまらないものよ、ただの、び・や・く」
「ああ、び・やく。・・・び薬って?・・・・・・・び!媚薬!?」
「そうよ、女をその気にさせる魔法のくすり」
「冗談!・・・なんで、そんなもの、持っているの!」
「支払の悪い客に、一服もって うっとりさせてご清算、男にも効くのよ〜」

とまゆ

「ネット通販って、なんでも売っているのね」

と女郎蜘蛛ママ

「・・・・・」

手の中の小袋をまじまじと見つめる。

「そ、そんな!薬の力で思いをとげろって、住吉先生にそんな卑劣なこと」
「そうよ、今、たむたん の頭に浮かんだ その使い方でOK」

意味ありげにまゆが、にっこりと微笑む。

「い、いやいや、ボクはそんなこと・・・」

「今のあなたたちには、一歩ふみ出す きっかけが必要なのよ」とママ
「はい、『きっかけ』」

田村はママから、薬をのせた手のひらをグーの形にされた。

「がんばってね」

・・・・・

数日後の夜、田村勝弘と住吉美寿々の二人は大野事務所に残業で居残っていた。
美寿々は、相変わらず田村を避けている雰囲気だ。
仕事先で、狭い事務所の中で、ずっと一緒だが、業務連絡以外はなんだか声もかけづらい。

田村は思いをめぐらす。
キスの件、そして先日のメール。
おれがいけなかったのかな。
二人の間によどんだ空気を作り出したことで、田村は自責の念にかられている。
でも、あのとき告白したこと、キスしたことは後悔していません。

・・・すぐでなくてもいいんです、住吉先生、おれの気持を受け止めてください。

心の中で強く念じ、仕事に没頭する。
田村は今の忙しさをありがたく思った。

不意に、背中合わせに座っていた美寿々がつぶやいた。

「田村、つきあってあげてもいいわよ」

えっ・・・・今なんて?

「めどがついたし、喉、乾いてない?」
「え、うれしいです。どうしたんですか急に?それに、さっき・・・」

問いかけには答えず、美寿々は白い缶チューハイを二つ、事務所の冷蔵庫から取り出してきた。

「おつかれさま」

艶めくショートカットの黒髪、ふとみせる、ふんわりとした年相応の可愛い笑顔。

・・・きれいだ。

今日、一緒に依頼者のもとへ出向いた時も、男たちが何人も彼女を振り返っていたな。
一人は、「女優の堀北真希さんじゃないですか?」って声をかけてきたっけ。
よく似ている。
住吉先生のほうが可愛くて、きれいだけど。

思わず見とれていたら。

「・・・なによ、ジロジロ見て」

上目づかいでにらまれた。

「セクハラよっ、田村、あんた、ヤらしいこと考えてるでしょ?」

にらむしぐさも、小動物を思わせるような愛らしさだ。
どれだけ可愛いのだろう、この人は。

「かっ、考えすぎですよ!急にやさしくして、先生こそ、なにか 企んでいませんか?」
「ふん、私があんたなんかに、なにを企むっていうのよ」

美寿々は突然立ち上がった。

「どうしたんですか?」
「お手洗い」

一口飲んだところで、美寿々は用足しに席をはずした。



よかった、いつもの調子がもどってきた。田村は少し胸をなでおろす。
つめたく冷えた缶を口にかたむけた。
乳酸入りの缶チューハイは、ほろあまく、疲れた頭と心を癒してくれる。

・・・・・

田村の目は、目の前にある、開いたままの美寿々の缶の飲み口に釘付けになった。
脳裏にママの声がよみがえる

「一歩ふみ出す きっかけが必要なのよ」

はからずも・・・チャンスが到来した。
媚薬をとりだし、震える手で薬を美寿々の缶チューハイの中に入れる。
飲み口に白い粉がすべてのみこまれるのを見届け、冷たい缶をゆらし、袋をゴミ箱に捨てる。

とたんに動悸が早くなり、わきあがる後悔と罪悪感が田村の胸を刺した。
せっかくいい雰囲気になっているのに、大切な人にこんなことしていいのか?
媚薬に効き目があるとして、ここで彼女を押し倒すつもりか?
そんなこと、自分に出来るのか?

・・・はやく距離を縮めたいとはいえ、われながら、なにをあせっているんだ。

美寿々はまだ戻ってこない。
来客用のソファーに深々と腰掛け、そのまま天井を見上げる。
すると、よほど疲れていたのか、知らないうちに睡魔が襲ってきた。
暖かな泥の中に、体がゆっくりと沈みこんでいく気がする。

・・・だめだ。
やっぱり、怪しげなものを、みすずに、のませちゃ、・・・いけない・・・・・

・・・・・

「いやっ、やめてっ!」

美寿々の悲鳴だ。
壁際に追いつめられ、おびえ、身をよじる。
悲痛な表情で、目に涙を浮かべている。
彼女は裸にされていた。

必死で迫りくるものから逃れようとしている。
けだもの!?いや、・・・・現れたのは、たくましい黒人男だ。
荒縄をたばねた様な黒い筋肉が身体を覆い、陵辱への期待に目をぎらつかせている。

男の声が聞こえてくる。
キレイナ、シロイ、メス。ウマソウ。

厚いくちびるを舌なめずりして、黒く太い腕をのばす。
白く か細い身体が引きよせられる。
彼女は、さらに悲鳴をあげる。

「先生っ!住吉先生っ!」

田村は自分の声で目が覚めた。

驚いた顔でこちらを見つめる美寿々は、今、まさに薬入りを飲もうとするところだった。

「あっ!それ、飲んじゃだめだ!」

田村はソファーから飛び起き、あわてて、缶を取り上げようとする。

「きゃっ!何するのよ、田村!」

驚いて、美寿々の手は缶を離した。

テーブルに落ちたはずみで、チューハイは美寿々の服を濡らしてしまった。

「あッ、すみません!」
「もうっ、お気に入りなのに!なに寝ぼけてるの、クリーニング代だしてよっ」

あわてて、給湯室からおしぼりを取ってくると・・・。

美寿々が白いのどをのぞかせて、缶の残りを飲み干していた。

「あっ!先生・・・・」
「田村がそそうするから、これだけになってるじゃないか」

そのころ、BAR「女郎蜘蛛」では、まゆとママのおしゃべりに花が咲いていた。

「あの若さで、22才でバツイチですよね、住吉先生って」

とまゆ。

「気の毒に、ご主人は亡くなったって」

とママ。

「たむたんに素直になれないのは、前の旦那さんへの気持が整理できないからかな・・・」

まゆの話は、ママの小さな悲鳴でさえぎられた。

「変な声出して、どうしたのママ!?」
「・・・たむたん に説明するのを忘れていたわ」

とママ。

「あの薬、全部飲んじゃうと、強い副作用があるのよ」

美寿々の様子が変わったのは、田村が自分の缶を飲みほしたあとだった。

「はぁ・・・っ」
「住吉先生、どうしたんです?顔が赤いですよ、熱でもあるんじゃ?」
「・・・・・やっ・・!」

美寿々はビクッと体を震わせ、田村の手を払いのけた。
顔を真っ赤にし、目を潤ませている。

田村は、はじめて見せる美寿々の表情に驚いた。
・・・はじめて見た、住吉先生のこんな顔。

「か、風邪でもひいたのかな・・・体が火照ってるの・・仕事は、ここまでにしましょ」
「本当に、大丈夫ですか?」

まさか、あの媚薬の効果が?

ふらつきながら美寿々は、田村が耳を疑う言葉を口にした。

「田村、・・・私を部屋に送ってくれる?」

・・・・・・・

キーを預かり、ドアを開ける。

「おじゃまします」

靴を脱ぎ、脱がせ、明かりをつけて、部屋のソファーに美寿々をおろして一息ついた。

「あれ・・・意外とキレイ?」

美寿々の部屋の様子を見て、田村は思わず口にした。

「どうした・・・のよ」
「いえ・・・偶然、お友達の岡本さん、いや、おケイさんに会ったとき、言われたんです。
先生の部屋に遊びに行くことがあっても、部屋の惨状は大目に見てあげてね、って」
「あ、あいつぅ・・・・余計なことを」
「先生もおちついたみたいだし、じゃあ、僕はこれで」
「待ちなさいよ!せっかく私んちに上げてやったんだから、お茶ぐらい飲んでいきなさいよ」
「え・・・うれしいけど、先生、ほんとに大丈夫ですか?」
「イエス?それともハイ?」

お酒がこぼれたブレザーの下に当て布をし、タオルでたたいて応急処置。
しみになりませんように。
キッチンで陶器のふれあう音がするのを聞きながら、田村は安どのため息をもらした。

よかった・・・心配ないようだ。

それにしても・・・事務所で住吉先生がみせたあの顔が忘れられない。
けっこう腹黒な法律家だけど、見かけは かなり清楚で可愛い顔立ちの住吉美寿々。
その人が、顔を真っ赤にし、おびえたように目をうるませていた。

・・・・すごく色っぽかったな。

あれが、媚薬の効果だろうか?

思い出したとたん田村の股間に急激に血液が集中し、みるみる欲望を形作ろうとする。
よりによって先生の部屋でっ?
これ・・は・・・ちょっとマズイぞ、あそこがいつもに増して元気だ。
さらに追い討ちをかけるように、この部屋に送り届けるまでのことが頭に蘇ってきた。
これ以上に無いほど身体を密着させて感じた、軽い体重、身体のやわらかさ。
胸をくすぐる、十代を抜け出したばかりの女性のほのかな甘い香り。
田村のものはますます硬く、大きくなり、それは今や痛いほど勃起している。

「一歩踏み出す」ために媚薬をもった事はどこへやら、行動は日頃の悲しい習性そのままだ。
急激に形状が変化した自分の一部を、着衣の上から、安定した方向に整えようと股間をもぞもぞ いじくっていたら、いきなり、背後から声がした。

「やっぱり・・・・ヤらしいこと考えてる。エロ田村・・・・」

・・・甘い、優しげな声がこれほど恐ろしく聞こえるとは、・・・神様!

「ちっ、ちがいます、これは・・・あ」

おそるおそる後ろをふりかえり、田村は思わず息をのんだ。

香ばしいココアの香り。
湯気の立つカップを乗せたトレイを持ち、住吉美寿々がそこに立っていた。

一糸まとわぬ姿で。
全裸で・・・。

「せっ、先生!・・・」

そこにいるのは、田村が知る人とは別の女性だ。

それは自信に満ち、隙のないスーツ姿でさっそうと世間をかっ歩する住吉美寿々ではない。
性夢の中から現れた美寿々。
かよわげで淫猥な、一人の裸の美少女だ。

彼女は自分が裸なのに気づいていないのだろうか。
小首をかしげ、顔をほてらせ、大きな瞳をうるませている。

「・・・・・」

美寿々はトレイを置き、さらに息づかいを荒くして、田村を見つめる。

が、急にわれにかえり、不安げな表情でおびえたように後ずさりした。

「た・・田村・・・私を、そんな、・・・いやらしい目で見ないで・・・」

艶めくショートカットの黒髪が、細く長い首すじの白さを きわ立たせている。

かぼそい四肢と、ぬけるように白いその肌は、見るからにやわらかそうだ。

美寿々の体は、まだ生まれおちて間のない新しい肉体のようにつややかでみずみずしい。

ああ・・・綺麗だ・・・とても。

胸のやさしげで愛らしいふくらみが、その小さなピンクのいただきが、田村を招き、
もうしわけ程度の、まるで女学生のような陰毛が、彼をさそっている。

「なに・・いっ・・・てるんですか」

ああ・・・あの、やわらかそうな体を抱きしめたい、あの首筋にキスしたい。
あ然として見つめる田村の心の中で、今まで気が付かなかった何かがうごめきはじめた。

それは、心の闇の森の奥で、獣の言葉をつぶやいている。

溶けるほど、あの女の裸を舐めまわしたい、味わいたい・・・。
・・・・美寿々のあそこに突っ込みたい、女の腰がぬけるほど激しくやりたい。

キレイナ、シロイ メス。ウマソウ。

欲望が頂点に達した。

「住吉先生!」

腕をつかみ、体をひきよせる。

「子供みたいなキスじゃ満足できないんですよね」

強く抱きしめる。

「田村!だめっ!」きゃしゃで小柄な体だ。
「え・・・・んっ!・・・・あ・・・ぁ・・・・・」

くちびるをうばった。

右手で、もがく美寿々を抱きしめ、左手は顔をはなそうとする細い首筋を押さえる。
舌でくちびる をこじあけ、彼女の中に侵入した。

「!ん!ッ!」

ほのかな甘い女性のかおりが鼻孔をくすぐる。
おし出そうとする舌とからみあい、そのまま小さな歯の裏側を愛撫した。

「ん・・・う・・・んぅ」

抵抗する力が弱まる。

抱きしめると、折れそうなほど 華奢な体が愛おしく、性欲をさらにかき立てる。
背中のエプロンの結び目をほどく。


・・・えっ?彼女は裸じゃなかったのか?

「たっ、田村っ!エロ田村!なにするのよっ」

赤いソファーに彼女を押し倒し、無駄のない動きでエプロンを引きはがし、
スカートを脱がしにかかる。

「田村!やめっ!やめっ!やめて!」

美寿々は激しく抵抗する。

「・・・先生、部屋に入れたってことは・・・OKですよね?」

低く、有無をいわさぬ凄みのある声。
その言葉に、行動に、おどろいたのは美寿々より田村自身だ。


・・・何を言ってるんだ、何をやってるんだ!俺!?


しかし、肉体の動きにはよどみがない。
スカートを引きおろし、下着に手をかける。

「お願い、やめッ!やめてっ!」

思いがけない力で抵抗されるが、 いましめを解くには脆弱だ。

もう一度ソファーに押しつけ、平手で二度、三度と、美寿々のほおを打つ。

「きゃっ!っ!痛!」

突然の暴力に、抵抗がうせた。

カットソーを乱暴に脱がせたときの、なめらかな肌の感触がさらに欲望をかきたてる。
美寿々はブラジャーとパンティだけの姿になった。

眉間にしわをよせ、目をとじてふるえる彼女のほおを、涙がひとすじ流れおちた。

「おねがい・・い・・たむら・・・やめ・・・」

美寿々は両手で顔をおおう。

よわよわしい哀願には耳も貸さず、ブラのフックに手をかけ、むしりとる。

「あっ!」

白く形のいい やさしげなふくらみが、幼いピンクの乳首があらわになった。

「ああ・・・きれいだ、住吉先生。忘れられないくらいいい気持にしてあげますよ」

彼女をうつ伏せにし、逃げられぬよう、その背中に腰をおろし体重をかける。

ネクタイをはずし、美寿々を後ろ手にしばり上げ、自由を奪う。

「やめて!いやっ!田村ぁあ!」

あおむけにし、細い素足からパンティを引き下ろす。

「いやあああああああっ!」

白い素肌に映える、あわい三角の茂みが目に焼きついた。


頭の中でもう一人の田村がわめいている。
やめてくれ!おれは、そんなふうに彼女を愛したいんじゃない!


スラックスを脱ごうと身体をはなしたすきに、美寿々はソファーから逃げ出した。
しかし、背中に激痛を感じ、美寿々は悲鳴を上げて転倒する。

美寿々に歩みよる田村は、はずしたベルトを手にしていた。
それをムチにして、彼女を打ちすえのだ。

「少し、お仕置きが必要ですか?住吉先生」

さらに二回、三回と音を立て、ベルトが風を切り、肉を打つ。

「あっ!!!ャあぁっ!・・・いッ!あッ!・・・・ひっ!・・・・!!!」

彼女は床の上で、身をよじり、ころがり、さらに悲鳴を上げる。

両手を後ろ手にいましめられたまま、ベルトのあとが赤く残った白い背中を、
尻を、むきだしに美寿々は丸くなってふるえている。

「たむら・・・おねがい・・・やめ・・・てぇ」

田村は自分も服を脱いだ。
細身でなで肩、筋肉質のたくましい体つきだ。

股間に、太く長い男性器を弓なりに怒張させている。
そのたくましく屹立した自分のものをつかみ、誇示する。

「はやく、こいつを味わいたいでしょう?先生」

ひきしまった筋肉の裸身が、ほっそりとした美寿々の裸体におおいかぶさる。

「もうすぐですよ」

耳もとに熱い息でそっとささやく。

「もう、あなたは僕のものだ、誰にもわたさない」

身動きのできない美寿々をあおむけにし、両手で乳房を愛撫する。

「や・・・やめて・・っ・・ヤメテ・・ぇ・・田村・・・」

柔らかく、なめらかで きめの細かい肌の感触を楽しむ。

指の腹で乳首をなぶる。
あらがう本人の意思に反して、それはすでに硬くなっている。

田村は、やわらかな乳房をつかむとソフトクリームの最初の一山をほおばるように味わう。
マシュマロのような先端の乳首を吸う、舌でなぶる、甘噛みする。

「あっ!・・・・ん・・・・はぁっ・・・・・あ」

それを何度も何度も、ゆっくりとくりかえす。

「ああ・・・あ・・・・・ん・・・・はあぁああッ」

さらに乳房の下から乳首まで舐め上げ、舌先で音をたててしつように乳首をなぶる。

「いあっ・あ・・はぁ・・・あぁあああぁ・・・はぁ・・い・・やあぁ・・・・・い・・」

「ここを舐められただけでもう、いっちまうのか?」

美寿々は真っ赤になった顔をそむける。
田村はまた、乳首を嬲る。

「いやあ!・・・はぁ・・・ああ・・・・あ・・・ああん!」

美寿々はもれ出るあえぎ声を抑えきれない自分にうろたえ、今、まさに忘我の淵に裸で立たされている自分にめまいを感じている。

口で乳房を責めながら、手はもがく美寿々の下半身に移動する。

わきの下から、腰のくびれへ、尻へのなめらかな曲線を楽しむ。

「おねがい・・・・おね・・・が・・い」

さらに、たいらな、すべすべした下腹部をまさぐり、指で柔らかな陰毛の感触を楽しむ。

「可愛い茂みだ、やり手の法律家・住吉センセのここは中学生みたいだな」
「やめ・・・てっ・・・はずか・・・しいっ・・・・ぁ・・・・っ!」

両足をあわせかたく閉じた美寿々の股間に、手を差しこんだ。

「ああぁ!」

美寿々は、はげしく身をよじる。

そして、さらにその奥、進入をこばむ そこに手をねじこむ。

「あ!やあぁ!やっ!」

熱をおびたその肌の奥に、美寿々のあたたかい秘密の泉がかくされていた。

すでに愛液があふれ出しているその入り口に指をはわせる。

「あ・・・・・・っ」

指の腹で入口の濡れた感触を楽しみながら、ゆっくりと、ゆっくりと、何回もなでて開く。

「あ・・・・あぁ・・・・んッ・・・・・い・・・・やぁ・・・あ」

いきなりずぶりと、中へ侵入する!

「!!!っ!あ!アぁ!」

美寿々は体をそらし、さらに身をよじり、声をあげる。

「あああああぁ!はあぁ!あ!ァあ!」

田村は、意にかいさず美寿々の耳元で言う。

「すごいぜ、もうこんなに濡らしてやがる」

聞こえるように、わざと愛液の音を立て、指をねじりながら出し入れする。

「あっ!ああっ!ひ・・・やあぁあああぁ・・いやぁあ・・・ああぁ!あ・・・・っ」

バタークリームのようにあたたかく、やわらかなそこにつつまれる感触が心地いい。

「びちょびちょだ」

媚薬の効果だろうか

「あふれ出してらぁ」
「あんな事されてこんなに濡らしちまうなんて、恥ずかしくないのか、センセ?」

美寿々は羞恥のあまりに、そむけた顔をまっ赤にし、無言で身をよじらせた。

「驚いたな。お前は、いじめられて悦ぶ女なんだ。聞けよ、このイヤラシイ音」

ふたたび水音を立てて指を出し入れすると、指先が小さな突起に触れた。

「あぁ!・・!!!・・・っ!」

美寿々は声をあげ、身をのけぞらせた。

「ふ、ここかあ。もっと、お前の可愛い声を聞きたくなったぜ」

「はぁ・・あ・・・・たむら、あんた・・ひ・・・ひど・・い」

田村はふたたびディープキスでその口をふさぎ、存分にその感触を楽しむ。
耳元でささやいた。

「下の口にもキスしてやるよ・・・こんなふうに、大人のキスをな」

「ああぁ・・・だめぇ、・・・・だ!・・・め・・・っ」

いやいやをし、美寿々は両足をかたく閉じた。

「わかったよ、わがままな女だ、うんと時間をかけて念入りにしてやる」

田村は美寿々をうつ伏せにすると、手のいましめはそのままに、尻を高く持ち上げた。

そして、横むきになった頭と肩、両ひざで体をささえさせた。
白い尻も、性器も丸見えだ。

「はあ、はあ、この・・・・・エロ・・たむらぁ・・・なんてこと・・する・の・・・よっ」

美寿々は精一杯、いつもの口調で抵抗するが・・・。

「ふうん、大人のキスの前に、おしおきが必要か」

田村は乾いた声で答え、ベルトを取り出した。

「ダ!だめ!ダメっ!いやっ!」

返事の代わりに、二度三度、ベルトがうなりを立てた。

「い!あっ!ああっ!ひっ!」

肉を打つ音!悲鳴。体がくずれ落ちる。

「ごめんなさい、御免なさい・・・お願い・・ひっ・・・ひどいこと・・しないで・・・」

ふたたび、屈辱的な姿勢をとらせ

「いい子にしてろよ」

無防備な股のあいだに顔をよせ、丸見えになった性器を下から上へぺろりと舐め上げた。

「アあぁ!アああああっ!!」
「じゃあ、ときめくキスをしてやるぜ」


何を言ってるんだ!何をやってるんだ!?
おれはこんな風に、彼女を愛したいんじゃない!
もうひとりの田村が、頭の中で必死でわめき、抗議している。


「うるさいぞ」

美寿々の股間に顔をよせていた田村が顔を上げ、凄みのある声で自分(・・)に(・)答えた(・・・)。

「だまっていろ。それが出来ないのなら」

田村の突然の口調の変化、相手のいない会話に、美寿々はただ呆然とし驚いている。

「た、田村・・・?」

立ち上がり、あざけりの表情で宙を見つめ、ひと声、田村はつぶやく。

「アッチヘ、イケ」

そして、おびえ、目をさらに大きくして見つめる美寿々を見下ろした。

田村は、別人のような表情で言った。

「キレイナ、シロイメス。ウマソウ」

・・・・・・・

振動で目が覚める。

あたりを見まわすと、ゆれるバスの中だった。

室内灯に照らされた車内に、乗客は田村一人。
つり革の列が同じリズムで左右にゆれ、バスは夜の街を帰路についている。

激しく動悸のする胸をおさえ、記憶をたどる。
おれは、さっきまで、先生の部屋にいた。

住吉先生を部屋まで送り、抱きしめ、キスをし、そして・・・。

夢だったのか?

夢の出来事だったのか!?すべて!
田村は安堵のため息をもらし、座席にしずみこんだ。

ふと、夜景を背景に窓ガラスに映る自分を見る。

胸元にネクタイが無いことに気がついた。

住吉先生の白い裸の背中。
いやがる彼女の手を、ネクタイで後ろ手にしばりあげる自分の動きを思い出す。
田村は自分の手をじっと見つめた。

そのとき、ポケットから着信音が聞こえてきた。

電話の音をメロディーにした女性シンガーの着メロ。
ケイタイのディスプレイをのぞき、メールを開く。住吉先生からだ。

窓外を街路灯の灯りがゆっくりと流れてゆく。

田村は顔色を変え、降車のボタンに飛びついた。
メールの文字が網膜に焼き付いている。

「 た す け て 」

・・・・・・・・

静かになった。
わめく田村は消えた。
美寿々の部屋からうるさいやつが消えた。

・・・・ではここにいる「オレ」は、いったい誰だ?

そんなことは、どうでもいい。
つづきだ、シロイメス。


美寿々の白い尻のふくらみをつかみ、割れ目を開く。

「あ!・・・ッ、いやっ!」

きれいな幼い性器が、サーモンピンク色に濡れて光っている。

いきなり、ヴァギナにくちづけを熱く刻印した。

「あッ!ああァ・・・いぁ・・ッ!」

太い舌を硬くしてそこに差し入れ、暖かい秘肉をえぐるようにかき回す。

「アーッ!あッ、あッ・・・おね・・・が・・い・・・あッ・・・イヤあぁ!」

小さな肉ひだに舌が触った。

「は!あっ!!」

美寿々は弾かれたように激しく身をよじり、倒れた。

おいおい、大人のキスをして欲しいのだろう?美寿々。

部屋を見回し、寝室を見つけると、女の体をだきあげ運んだ。
きゃしゃで小柄な体は、おどろくほど軽い。

寝室には、左に化粧台、中央にシングルベッド、奥にカーテンが引かれた窓がある。

オレはベッドに腰かけ、後ろ手にしばり上げた裸の美寿々を、自分の前にひざまずかせた。

生意気なこの女が、裸にむかれ、なすがままにオレのはずかしめを受けようとしている。

あごを指でもちあげ、オレのほうをむかせた。

つくづく、クールできれいな女だ、住吉美寿々。
その美寿々が今は、裸で手を戒められ、髪を乱し、奴隷のような姿だ。

目を涙でうるませて哀願するようにオレを見ている。
あの、なんとかいう女優も裸にむかれたら、こんな顔をするのか。

オレは女の目の前に、固く怒張した 赤黒いペニスをつきだした。
なにをしなければいけないか、わかっているだろうな。

「シャブレ。クチデ カワイガレ」

美寿々は赤くなった顔をそむける。

オレは女の鼻をつまみ、こちらをむかせた。
右手で下あごをつかみ、柔らかなほおを圧迫して口をひらかせる。

「い・・・いやッ」

そして、天使のもののように愛らしいその口に、無理やりオレの男根を押し込んだ。

鼻からの息づかいが下腹部にかかる。

太ももをさらりとなでる、短い黒髪の感触が心地いい。

ペニスが暖かく湿ったものにつつまれている。

美寿々の頭を、前後にゆっくりと、そしてだんだん速く、オレの腰のほうへと動かした。

「ぐ!ぐぅ・・うぐ・・ぅ!!」

住吉美寿々は必死で陵辱に耐えている。
ほおを涙で濡らし、太い肉棒をほおばって。

美寿々!罵倒し、はずかしめていた男の持ち物を、むりやり咥えさせられる気分はどうだ?

白くほっそりとした首筋が、鎖骨が、腰のくびれが、劣情をそそる。
両手の戒めの向こうに見える白い尻のふくらみが、なまめかしい。

今、オレは美寿々を征服している。この女はオレのものだ。

もっと美寿々の狂態が見たい。

もっと、もっと、この女に恥ずかしい思いをさせたい。

オレの体の下で、上で、乱れさせ、あの可愛い声であえがせたい。

その思いが、美寿々の頭をつかむ手の動きに拍車をかける。

耐え切れぬほどの欲望の波に押され、しびれるような強烈な快感が走った。
オレは、美寿々の口の中に思いっきり精をはなった。

大量だ。

「!!」

しばらく、そのままで快感を味わう。ああ・・・・・・気持が・・・・いい。

美寿々の髪をなで、口からまだ硬さを保ったペニスをゆっくりひきぬく。

柔らかな赤く色づいたくちびるとペニスの間に糸が引かれ、あふれた白濁液がくちびるから一筋、こぼれおちた。

「ノメ」

美寿々は、口の中にオレのものをほおばったまま、涙で目をうるませている。
泣き出しそうな、恨みがましそうな上目遣いで、オレを見る。
そして命じられるまま、ごくりとオレのものを飲み干した。

世界を支配したような気分だ。

オレはふたたび、固く、ぬれたままのペニスをつきだす。

「キレイニシロ」

美寿々は、目をとじ、涙でぬれた顔を近づけ、舌でぎこちなく男根への愛撫を始めた。
ペニスの背筋を、カリを、亀頭を、丁寧に舐めるように指示する。

抵抗や口答えはゆるさない、後悔することになるだろう。

ふたたび、硬さがよみがえり、欲望がはちきれそうに大きく膨らんでくる。

ベッドの傍には化粧台があった。

その大きな鏡の前に、後ろ手にしばりあげた美寿々を引きすえ、立たせる。
映し出された奴隷のような自分の姿、汚された口元を恥じらい、顔をそむける。

オレはいきなり背後から美寿々を抱きかかえるようにベッドに腰掛けた。

「あっ!い・・・やあっ!」

ベッドに腰掛けたオレは、美寿々の両足を後ろから足でM字に押し広げ、大切なところを鏡に映るようにした。

そして背後から、身悶える美寿々の、小柄でやわらかな裸体を愛撫した。
美寿々の乳房をもみしだき、陰部をまさぐり、ヴァギナを なぶり始める。

「あ・あ・・はあ・・・・っ・・ああ・・・・ぁあ・・・」

指を動かすたびに愛液の音が、くちゅくちゅとひわいに響く。
性器はうるおったままだ

「カガミ ヲ ミロヨ」

男に もてあそばれている、お前の姿を。
左手で美寿々のあごをつかみ、鏡のほうをむかせる。

「い・・・やっ・・・・」

裸にされ、自由をうばわれ、辱められる自分の姿。
美寿々は、さらに顔を真っ赤にし、身をよじらせ、はげしく悶える。

ふいに、鏡に映る自分の姿を見て、オレは衝撃を受けた。

彼女を黒い筋肉で拘束し、陰部を指でもてあそんでいるたくましい男。
そこに映し出されているのは、見なれた自分、お人よしの田村ではなかった。

それは・・・・・あの、うたた寝の夢で見た黒人の姿だった!

なぜだ!

オレは身悶える美寿々の体をいましめたまま、ただあぜんとして鏡の黒人の姿を・・・・
・・・・オレの姿を見つめていた。

オレの耳に、ドアの開く音、そして、誰かが部屋にかけこむ音が聞こえてくる。

「住吉先生!」

息を切らせ、おれが!?

田村が部屋に飛びこんできた!

田村は部屋の入口に立ち止まり、美寿々の、そしてオレの姿に驚愕し、こおりついている。

・・・・・その瞬間。オレは自分が何者なのか、何の目的でここにいるのか、わかった。

・・・・・・・

おれが必死で舞い戻った住吉先生の部屋は、今や「異界」だった。

ドアを開けた瞬間、おれはただならぬ異様な雰囲気に圧倒された。
ハーブのイランイランを思わせるような、濃密で妖しい香りが鼻孔におしよせてくる。

そして不安に駆られ、住吉先生の姿を求め、駆け込んだ奥の寝室には・・・。

非現実的に美しい美寿々の白い裸身があった。

こちらに向かって、大きくM字に足を開かされて・・・。
彼女の自由を奪っているのは・・・・あの、夢で見た黒人だ!

黒そして白色のコントラストが、どこかで見た浮世絵の情景を連想させた。

・・・現実が夢に乗っ取られている。

美寿々は、ベッドに座る裸の黒人の腰の上に、座らされている。
巨木のような黒い足で、白く細い足を、これ以上開けないほど左右に広げさせられて。

自由を奪う黒光りした太い左腕が、美寿々の優しげにふくらんだ白い乳房をもみしだき、指先がピンクの乳首をもてあそんでいる。

「あ・・・っ・・・・は・・・・あぁ・・・・・・っ」

右腕の黒いペニスほどもある指は、美寿々のむき出しになった性器にあてがわれ、
無防備な幼いピンクのヴァギナの中を、無慈悲にまさぐり愛液の淫びな音を響かせる。

「いやあぁ・・・・・っ・・・ああぁ・・・・んっ」

黒人の太い唇は、もがく美寿々の白く細い首筋に刻印を押した。

その赤い舌はそれ自体が生き物であるかのように、首筋を下から上へと這い上がり、
すべての耐えられぬ羞恥と快感は、あえぎ声となって美寿々の口から漏れ出していた。

「あ・あ・・はあ・・・・っ・・ああ・・・・ぁあ・・はあっ・・・・ぁ・・・」

まるで悪夢のようなその光景は、しかし非情にも強烈な現実そのものだ。

黒人はおれに目を向けると、ニヤリと白い歯をむきだしに笑った。
そして、おれの心に語りかける。

「見ろよ田村、ぬれぬれだ」

黒人は、ぬれて光る黒く太い指をおれに見せた。

「意外だぜ、この女は、美寿々はマゾの素質があるんだ。こうして欲しいそうだ」

さらに、陰部を乱暴にまさぐり愛液の淫靡な音をさらに響かせる。

「アアッ!ああッ!!・・・あぁ!・・・あ!ああぁあ!!」

おれは、見ていられなかった。

怒りで頭が真っ白になり、後先も考えず、筋肉のかたまりのような黒人のほうへ飛んだ!

「やめろっ!その人を放せ!」

ふいに、美寿々の性器を弄んでいた黒人の右腕が上がり、おれの方にこぶしを突き出す。

指を広げる。

その瞬間、おれは体を動かせなくなった。
文字通り動かせない、まばたきすら出来ない。

「そう熱くなるな、田村」

ひややかな笑いをふくんだ声で黒人が言う。

おれは、目に見えない何かにとらえられてしまった。
どれだけ力をふりしぼっても指一本動かせず、声も出せない。

大切な人を目の前で汚されようとしているのに、叫ぶことすらできない!

「お前もこの女を抱きたいだろう、ゆとりクン」

いつの間にか黒人は流暢な日本語を話し、揶揄するようにおれに語りかける。

なぜ、おれのことを知っている?

「抱かせてやるぜ。さっきみたいにな、お人よしの田村」

黒人は、白い歯をむき出しにして猛禽類のような笑いを作った。

「覚えておけ、この場を支配しているのはオレだ」

「お・・まえ・・は、・・・・いっ・・たい・・・誰・・なん・・だ」

おれは動かない口を開き、必死で言葉をしぼり出す。

黒人はあっさりと答えた。

「オレはお前だ、お前の影・・・反身だよ」
「・・・・・・」
「お前が知らなかった、認めたくない、心の中にいたもうひとりの田村の姿だ」
「・・・・・・」
「お前は、本当は美寿々をこうしたかったんだ」
「・・・・・・」
「心の中の認めたくない自分の姿、抑圧された欲望、それが実体になったのがオレだ」

非現実的な黒人の言葉。

いや、黒人そのものが非現実的なのに、・・・そんな言葉など認めたくはないのに。
おれは、すべてを受け入れることが出来た。

暑くもないのに、汗が流れ落ちる。

「お前をどうこうするつもりはない、オレたちは同じ自分だ」

黒人、いや黒いオレ、・・・・黒・田村は言った。

「空気を読め、相棒!この生意気な女の体をもてあそんで、なぶりものにするんだ!」

そして付け加えた。

「・・・ああ、それからこいつは、美寿々は処女だぜ」

にやりと笑って言った。

黒人は指を広げ、そしてゆっくりと何かをにぎりしめるように、指を曲げ、閉じてゆく。
そのとたん、おれの存在が何かのゆがみの中に入っていく怪しげな感覚に襲われた。

この部屋に駆け戻ってきたときはスーツ姿だったのに、いつの間にか裸になっている。
そして、そのおれの体が・・・。

黒人は口を開き、太古の言葉をつぶやき始めた。
黒人の呪文が、おれの体を、黒く染めてゆく・・・黒く、大きく、淫らに。

心の暗闇の森の奥から、太古のドラムを叩く音が聞こえてくる。

その音にあわせて、おれの筋肉が赤黒く膨れ上がり、体全体が大きくなっていく。
音が欲望をあおり、性欲がこれまで経験したことがないほど異常に昂ぶっている。
ペニスが爆発寸前になるほど激しく勃起している。ああ・・・・。

おれは、・・・ついに、相手と瓜二つの、もう一人の黒人となった。

筋肉のかたまりのような黒い体、猛禽を思わせる面構え、棍棒のように隆起したペニス。
変化してしまったのは体だけではない、心もそうだ。

おれの心が叫んでいる。

女を抱きたい。
そのきれいな女を、美寿々を犯したい・・・からだじゅうをしゃぶりつくしたい。

・・・・

・・・・・・

「さあ、いわれたとおりに言え」

黒人が低い声で命じる。
いつの間にか相棒の黒人は、美寿々にも流暢な日本語を話している。

美寿々は全裸でベッドに横たえられ、おれたち二人の黒人に見下ろされている。
突然出現した黒人になぶられる、白い いけにえの女性、住吉美寿々。
常識ではありえない状況だ。

しかし、あらがいながらも美寿々はこの異変には、おどろいていない。
媚薬のなせるわざか、それとも相棒の黒人が言う「この場」がそうさせるのだろうか。

「・・・・・恐い」

美寿々が受ける恐怖と羞恥と苦痛、そして快感は現実と変わらないようだ。

ほっそりとした無防備な白い裸体がなまめかしい。

彼女は左手を乳房に、右手を股間にあてがっている。

美寿々が震える口を開いた。

「み・・・美寿々の・・・お・・オナ・・ニーを・・・・・見て・・くだ・・・さい」

消え入るような甘い声だ。

おれたちの目の前での、自慰を強制されているのだ。

「ああ、しっかり見てやるぜ。一番恥ずかしいお前を見せてみろ」

美寿々は涙と精液にぬれた顔をそむけ、胸を、股間を、そっと愛撫し始めた。

黒人たちのぎらつく視線を感じ、燃える羞恥に顔やからだ全体を朱に染めている。
美寿々は、震える細い指で、手で、ひそやかな愛撫をつづける。

今、世界に存在するのは、美寿々の息づかいとシーツの布ずれの音だけだ。

やがておれは、美寿々の胸の乳首が、天をむいてやさしく尖っていることに気がついた。

股間からは、指が動くたびに、子猫がミルクをなめる時のようなかすかな水音が聞こえる。

初めはぎこちなかった指の動きが、やがて効果を得るための確かな動きへと変わっていく。

しだいに荒くなる呼吸が、あえぎ声へと変わった。

「は・・・・はあ・・・あ・・・はぁ・・・・はあ・・・ぁ・・・はあっ」

胸を愛撫する手の動きがしだいに早くなってきた。

それは愛撫というより、乳房をもみしだいている。

眉間にしわをよせ、目を閉じ、切なげな表情で首をゆっくり左右にふる。

白く細い首すじがなまめかしい。
薄紅色に染まる肌が汗ばみ始め、髪がいく筋かほおにはりついた。

股間の指の動きが、もどかしく快感をたぐりよせようとするそれに変わる。

「あ!・・・あぁ・・・・あ!・・・あはぁっ・・・あ!」

愛撫する手の動きがはげしさを増した。

「ああ・・・だめ!だめッ!」

身をよじり始める。

「ああっ!ああっ!いやああああ!だめっ!」

わきあがる快感にあらがっている。

「さあ、股を大きく開け!指を出し入れしているところを見せてみろ!」

美寿々は命じられるまま、腰を持ち上げ股を開いて見せた。

細い指で音を立てて愛撫する濡れた性器をあらわにする。

「ああ!いやあ!いやッ!・・・・いっ・・・イクッ!ああッ・・・いくっ!」

あられもなく叫び、びくっと震え、硬直し、そして身体をベッドに落とした。

「はあ、はあ、はあ、はあ・・・」

紅潮した小さな乳房を上下させ、四肢を力なく投げ出し、無防備な裸をさらす。
まるで、幼い、無垢な少女のようだ。

「自分の指でイッちまったのか。恥ずかしい女だ、お前は」

黒人の言葉に、美寿々は恥じらい顔をそむける。


「おまえは毎晩、そんなことをするのか?」

冷ややかな笑いを含んだ声で黒い相棒が言う。

胸と股間を手でかくし、美寿々は、首を何度か横にふった。

「男たちにむりやり輪姦されるところを想像してするのが好きか?」

美寿々は、無言だ。

「床に下りろ。犬のように手足をつけ」

相棒の黒人は、今度は床の上で美寿々を四つんばいになるよう命じた。

「股の間から右手を出せ。今度はオレたちに尻を向けて自慰をつづけろ」
「イヤ・・・・は・・・はずか・・・しい」

消え入るような声で答える。

しかし逆らうことも出来ず、黒人に言われるままだ。

白い尻をおれたちの方へむけ、美寿々は全裸で四つんばいになって自慰を始めた。


股のあいだからほっそりとした指が上向きに性器をまさぐる。

きれいなピンクのヴァギナに白い指がのみこまれた瞬間、美寿々は体をそらせ声を上げた。

「ああっ!」

あそこがかなり敏感になっている。

「ああ・・・もう・・だめ・・・・できません」
「続けろ!」

ようしゃなく相棒の黒人が強制する。

美寿々は命じられるまま、四つんばいで自慰を続けた。

ぬれた性器に、音を立てて形のいい指が出入りする。

「あ・・・はぁ!・・・・・あっ!・・・・あああっ!あっ!」

「あの住吉美寿々先生が、こんな淫らな女だとは知らなかったぜ」

黒人は言葉で美寿々を辱めている。

「そのまま、尻をふってみせろ」
「い・・・いや・・・ッ」

指をいれた白い尻がぎこちなくゆっくり左右に動く。

「は・・・あぁ・・・・・っ・・・・い」

やがて身体全体がみだらにくねり始める。

黒人に強制されているというより、恥ずかしさと快感にもだえている。

「いやっ!・・・あああん!・・・あん!」

「本当に恥知らずな女だ。お前が尻をふってオナニーしている姿を大野事務所の連中に見せてやりたいぜ」
「ああ!・・・やめて!・・・・ああッ・・・・もう・・・・だめッ!」

「おまえはオナニーをする時、・・・・いいや、今、夢想の中で誰とやっている?」
「あ・・・・あ!いや!イヤっ!」

「だれに抱かれているんだ?そいつの名前を呼んでみろ!」

「ああ!だめッ!だめっ!」

美寿々はもだえる。

「相手は誰だ!」

黒人がほえる。

「たっ、田村!だめ!そんなに激しくしないで!」

美寿々は叫んだ。

たむら・・・・どこかで聞いたことがある・・・誰だ?

「おね・・・がい・・・ゆるして・・・・もう、やめて」

あのなんとかいう女優も、男のなぐさみものになったらこんな顔をするのか。

「どうして夢の中まで、私を苦しめるの?」

美寿々は泣いている。

「これ以上、あなたを好きになったら、あの人のことを忘れてしまう!」

あの人?・・・たむら?・・・誰のことだ

「あッ・・・あっ・・・ああ!・・・いっ・・・いく、イクっ!いくうううッ!」

美寿々は叫び、身体をそらせると、床に身体を沈めた。

相棒の黒人はたくましい足を軽く動かし、うつぶせの美寿々の体をころがすように反した。

「なあに、オレがそいつのことも、ゆとりクン田村のことも忘れさせてやる」

黒人は、肉食獣のように白い歯をむき出しにして笑うと、あおむけに動かない美寿々の裸体を見て言った。

相棒の黒人は、裸の少女を軽々と抱き上げ、ほおり投げる。

「あっ!」

白い裸身は、ベッドを軽くバウンドし、あおむけにえびぞり状に横たわった。

黒人はベッドの反対側から、美寿々の両腕を万歳のかっこうで押さえつける。

おれは身もだえしあばれる美寿々の両足を黒い腕でつかみ、下半身の自由を奪った。

「美寿々、お前の夢想を現実のものにしてやる」

二人の黒人の万力のようなその筋力で、美寿々は身動きすら出来ない。

相棒の黒人は美寿々に、顔を逆さに近づけて言った。

「これは夢じゃない」

太いくちびるから美寿々の耳に息をふきかける。

「お前はこれから二人の男になぶられ、犯される」

やわらかな美寿々のほおを、ぺろりと舐める。

「楽しみだろう」

美寿々は恐怖のあまり目に涙をあふれさせ、陵辱と暴行の予感にふるえている。

「けだもののような黒人二人の、おもちゃになるんだ」

「お願い、おねがい!やめてぇっ!いやっ!イヤっ!」

自由を奪われた美寿々は、ただ、むなしく叫び、激しく頭を左右にふった。

相棒の黒人は、左手だけで美寿々の両手を手錠のようにいましめた。

墨のように黒い無骨な右手で、やわらかな白い裸体をなでまわす。もみしだく。

「いやぁ・・・・・あ・・・・・あぁ・・・・・あ・・・・・っ」

そしてさらに彼女の裸を、その軟体動物のような舌でなめまわし始めた。

わきの下を舐め、へそのくぼみに舌を差し入れる。

「あっ!・・・はぁ、はあ、はぁあ・・はあぁ、はあっ!」

乳房をなめまわし、乳首を舌でなぶる。

「あ・・・んっ・・・あぁ・・・・っ」

やわらかな肌をけだものの様な白い歯で甘噛みし、悲鳴をあげさせる。

「アアァ!!!!い!イッ!」

太い舌を首筋に はわせ、鎖骨をたどる。

「ああ、あ・・・・いやああ」

気品のある美しい顔、しかし今それは羞恥と恐怖にゆがみ、涙に濡れている。
そこへ、舌は這い進む。

涙を吸い、やわらかなほほをなめまわす。

「はあっ・・・やめてぇ」

黒人は右手で美寿々のあごをつかみ、自分のほうをむかせる。
太いくちびるが、舌が、美寿々のくちびるをこじあけディープキスを求める。

薄く白い乳房が、ピンクの乳首が左右に上下に揺れる。

自由をうばわれた細くしなやかな肢体が、なまめかしく、みだらに動く。

うごめく美寿々の白い体は、妖しく美しい別世界の生き物のようだ。

おれは、美寿々の白く美しい足を、黒い手でつかみ大きく左右に開いた。

「!!!だめッ!だめえええっ!」

そして、その股間に、黒人となった自分の大きな頭を割って入れる。

「イヤッ!嫌っ!やめてぇ!」

薄い陰毛に隠されたきれいなピンクの割れ目が見える。

おれは太いくちびるで、そこに強くキスをする。

「やあああああああっ!」

音を立てて愛液をすする。
舌を出し、喰らいつくように性器にむしゃぶりつく、音を立てて、股の間をなめまわす。

「いやあああああ!」

おれの赤黒い舌も、それ自体が男性器のように太い。

濡れたそこに舌をぐいと、さしいれる。

「!!!ぁ・・・・ああああっ」

愛液の音を立てながら、美寿々の幼いヴァギナをえぐり、かき回す。

「はっ、ああぁぁ!・・んァ!・・・・・あぁああああ!・・・・っ」

舌で美寿々のクリトリスを探しあてる。
舌を使い、念入りになぶる。

「!!!!!」

美寿々はのけぞった。

クリトリスを口で吸う。それをさらに舌でなぶる。
甘噛みする。

「は!!・・・・あ・・・・あああああ!!!!!!!」

真っ黒なけだものに大事な場所をなぶられ、美寿々は身をよじり、激しくもだえ狂った。

白く細い体の上に、二匹の黒いけだものが取り付き、陵辱をつづけている。

「はあっ!っああ!あァ!!・・・あああ!・・・あん!・・いやあああああああ」

美寿々は叫び、激しく身をよじる。

相棒は、巨木のような腕をふるい平手打ちにした。
一打ちで美寿々を静かにさせる。

そして両腕を押さえると、おれに「やれ!犯せ!」と吼えた。

おれは黒い手で、美寿々の白い素足を、これ以上開けないほど大きく左右に開かせる。

「いやっ!イヤアアアアアッ!」

美寿々はさらに狂ったように身もだえする。

「いやあっ!ああ、イヤああああぁ!お・・・・ね・・・が・・・い」

執拗になめ回していた性器が、陰毛が、だ液と愛液で てらてらと光り、濡れそぼっている。

おれのものは太く、固く、長い。
美寿々のヴァギナはそれを受け入れるにはあまりにも幼く、狭小に思える。

おれは、瞬時ためらった。
美寿々の顔に涙が光っている。

また、あの太古のドラムの音が大きく聞こえてくる。


キレイナ シロイ メス、ウマソウ


煮え立つような欲望が、衝動が、一瞬でためらいとあわれみを消し去った。

そのドラムのビートは激しさを増している。
この女を犯したい、犯りまくりたい。

おれは自分の赤黒く硬いペニスを、美寿々の濡れたやわらかな入口にあてがった。

ペニスの先端を中へぐいと押し込む。

美寿々はとたんに目をむき、のけぞり、声を上げる。

「あっ!・・・・は!・・・・アあッ!」

入口に浅く入れ、亀頭を小きざみに前後させて、美寿々のクリトリスをなぶる。

「いやあああ・・・あああああああ!!!!」

すぐさま美寿々は狂ったように身を反らし、よじり、身もだえした。

「・・・た・・む・・・らああああああぁ!・・・・・あっ!あん!あん!あん!あん!」


また、その言葉だ。
た・む・ら・・・なんだろう?この女は何を言っている?

どこかで聞いたことがあるが、思い出せない。


「お・・・ね・・が・・い、やさしく・・・して!あっ!ああん!お・ね・・が!・い」

奥に、ペニスを少し突き入れる。

「あ!あああっ!いッいたいッ!」

充分、濡れているが、狭い。

「そん・・・な・・・おお・・きいの・・・・・はい・・らない・・・あ!あっ!」

なみだ声でうったえる。

「あ!あっ!あ!あっ!ひ、わた・・・し、あっ!あっ!は・・・じ・・めて・・・なの」

さらに奥に、ゆっくりと挿入した。

そしてだんだん速く、深く、突き入れる!

「あっ!ア・・・・・・いっ!・・・・痛・・・い!ああああああああああああああ!」

美寿々はのけぞり、彼女のものとは思えぬ声をあげた。

おれは、さらに腰を深く突き入れた。

「そんなにっ・・・おくにッ・・いあぁ・・いやぁ・・・もう・・・はいらない・・・・」

黒く太いシャフトを前後に動かす、打ち付ける。

「きゃあああっ!あ!あ!あ!あん!あん!あん!」

ぱん、ぱん、ぱんと、肉を打つ音が、淫猥に、リズミカルに響く

「あ!あ!あっ、あ、あん!あん!アん!ぁあん!」

美寿々はシーツをぎゅっとにぎりしめる。

「はあっ!あっ!!あっ!!あっ!!!あ!ああん!あっ!あん!あん!」

打ち込みのリズムに合わせて白く薄い乳房が上下に揺れる

「あ!あぁ!あ!・・・!い!いく!・・・・イ・・・イクぅ!あああああああ」

美寿々はのけぞる。白い首がなまめかしい。

「ああああああああああ・・・・いくッ!!!!いくうぅ」

しびれるような快感が走る。
おれは美寿々の中に、大量の熱い欲望をおもいっきり放出した。

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

美寿々はのけぞった姿勢で、しばらく硬直し、ベッドにくずれ落ちた。

体をかくす気力をも失った美寿々は、汗ばんだ肌をピンク色に染め、はあはあと息をする。

恥じらいに顔をそむけ、あらわになった白く細長い首が、鎖骨が、なまめかしい。
優しくとがったピンクの乳首が、天をむいて上下する。

「はあ・・・はあ・・・・はあ・・・・はあ・・・」

「交代だ」

おれは黒い相棒と入れ替わった。

「いやっ!いやああ!」

相棒の黒人の股間には、凶器を思わせる、棍棒のような黒い男根がある。
それは相変わらず、ひとつの生き物のように力強く勃起し、怒張している。

「いや!イヤッ!・・もぅ・・・だめっ!・・・・おねがい!!」

狂ったように抵抗する美寿々、しかし、屈強な黒人には赤子の手をひねるようなものだ。

相棒は、ベッドの白い体の上に乗り、足を開かせ、すぐに挿入をはじめた。

「いやああああああああああ!!!!ああん!あっ!あん!あん!」

おれはベッドの反対側から、彼女の顔の上に覆いかぶさった。

美寿々の頭がベッドからはみ出し、のけぞったきれいな顔をさらしている。

ほっそりとした白い首が、鎖骨が、欲望を刺激する。
ふっくらした形のいい唇がゆがんで開き、可愛いあえぎ声がもれだしている。

せつなげに眉間にしわをよせ、かたく閉じた目元にはカールしたまつげに涙が光っている。
その涙が、相棒の行為にゆすられ、はじかれ、流れ星のように飛んだ。

「あ!あ!あっ、あ、あん!あん!アん!ぁあん!」

相棒は激しく腰を動かし、美寿々を犯し続けている。

おれは、のけぞり、行為にゆれる美寿々の両ほほを、大きな、墨のように黒い手でおおう。
強烈な欲望がこみあげ、あえぐくちびるに、また黒い肉棒をおしこんだ。

黒い巨大なペニスを咥えさせ、おれはたくましい腰を容赦なく前後に動かし始める。

眼下で、薄く白い乳房が、ピンクの乳首が左右に上下に揺れている。

おれはシーツを強くにぎりしめている美寿々の手をつかみ、彼女の胸に導いた。
そのたおやかな手で、指で、自分の乳房の愛撫するように無言で命じる。

果てることのない、妖しく淫猥な、熱をおびた宴が、今ここで繰り広げられている。
あの、むせるようなイランイランの香りが、また、ひときわ強くなったようだ。

今、全裸の住吉美寿々は黒人に股間を犯され、自分の胸を繊細な指でもみしだいている。

そして、もう一人の黒人のおれから、オーラルセックスを強いられている。

相棒の黒人の動きが、激しさを増した。
けもののような声でひと吠えする。

黒い腰をぐいと、美寿々の股間に強くおしつけた。

「!!!!!」

美寿々の白い腹がえびぞり状に反り返り、白い指が、強く乳房をわしづかむ。

「!!!!!!!!!!」

おれも獣のようにほえた。
そして、美寿々の口の中に、勢いよく精を放出した。

・・・・・・

「田村・・・・たむら・・・・たすけて・・・」

美寿々の声だ。

変だ、美寿々はベッドの上で横になってあえいでいる。
今の声は、おれの頭の中に直接聞こえてきた。
これは・・・美寿々の・・・心の声ってやつか?

美寿々はその、たむらというやつがよほど気になっているらしい。
どんなやつだ・・・・たむら。

・・・・・・

美寿々への陵辱はつづく。

ふたたび、床の上に手足をつかせ、四つんばいにさせる。
もちろん全裸だ。

美寿々の尻のほうに回る。
今度はおれが、あそこに入れる番だ。

美寿々は、有能な法律家である誇りも、一人の女性としての尊厳もうばわれてしまった。
逃げる気持も、抵抗する気力も、すっかり失っている。

裸で、頭をたれ、黒髪を垂らしている。
白くか細い手足がしなやかな体を支えている。
それはまるで肉食獣に逃げ場をはばまれた草食動物が、惨劇を前にうなだれているさまだ。

抜けるように白いやわらかな尻をつかみ、左右に開く。

「あぁ!」

あそこから、相棒の白濁液が流れ出た。
肌に破瓜の赤い血のあとが残っている。

おれは、美寿々の足の間に自分の黒く太い足を割りいれる。
そして怒張した黒いペニスを入口にあて、前戯なしの挿入をはじめた。

「あっ!!・・・はっ!ああっ!・・・アッ!・・・・・いやあぁあ!」

美寿々の腰は、おれの大きな黒い手が万力のように押さえつけている。

柔らかで、なめらかな白い肌がたまらない。

ぬめぬめと光る、黒く太いシャフトが、あそこでピストン運動を繰り返す。
また、ぱん、ぱん、ぱんと、肉を打つ音が、淫猥に、リズミカルに響く。

「きゃあん!あン!あん!あ!・・・・あ!・・・っ・・・・あ!」

ヒップのふくらみから、きゅっとくびれたウエスト。
薄い肩にとどく滑らかなラインが美しい。

尻の割れ目、背筋のくぼみ、肩甲骨のふくらみ。

ほっそりした白い裸の背中、すべてが淫猥だ。

うつむいた頭の髪が左右に分かれ、見える白いうなじがなまめかしい。

屈辱的な姿勢で、きゃしゃな体は欲望を受け入れる楽器になり、その音楽を奏でつづける。

「あっ!あっ!あ!あっ!アっ!あっ!あっ!あっ!・・・ン!あっ!・・・あ!あっ!」

相棒が、美寿々の頭のほうに歩み寄る。

「たまらないぜ!プライドの高い生意気な女が、後ろからひいひい犯されている姿はな」

黒人は、黒く分厚い胸板の前で巨木のような腕を組み、仁王立ちに女を見下ろした。

肉食獣のような黒い面構えに白く映える目をぎらつかせ、美寿々に好色な眼差しをそそぐ。

股間には相変わらず黒い男性器が、美寿々のやわらかな肉を貫き、味わおうと天を睨んでいる。

相棒の黒人はしゃがみこむと美寿々の髪をつかみ、顔を自分に向かせた。

「あ!・・・!」

太いくちびるで食らい付くようにキスをする。

「んっ!!!」

そのまま軟体動物のような舌で、美寿々の綺麗な顔をなめまわす。

「は・・・あぁ・・・・い・・・・や・・・あ」

相棒は上半身を起こした。
黒い筋肉の大きな山がそこに現れたようだ。

美寿々の可愛いあえぎ声がとだえた。

「ん・・・!んッ!!!」

相棒は、美寿々の頭を自分の腰にあてがっている。

美寿々の口は、こんどは相棒のものでいっぱいになった。

相棒は自分の腰を、女の頭にむけてゆっくりと前後に動かし始める。

「んんッ!・・んッ!・!んッ!!!んッ!」

おれも、同じリズムであそこへの打ち込みを再開した。
ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!

美寿々は、四つんばいになって前と後ろから、同時に太いペニスで攻められている。

かよわげな白い身体が、黒人たちの欲望の音楽を奏でつづける。

次第にリズムが早くなる。

ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!

美寿々の体が激しく揺れる。

パン、パン、パン、パン、パン!パン!パン!パン!パン!!!

いっしょに逝こうぜ、と黒人が叫ぶ。

しびれるような強烈な快感とともに、おれたちは吼えた。

強く身体を押しつけ、同時に美寿々に精を放った。

「!!!!!!」

美寿々の体が床に崩れ落ちる。

おれたちは場所を交代した。

「この生意気な女を、尻から犯りたかったぜ」

舌なめずりをしながら相棒が言う。

おれは女を見下ろした。

美寿々はうつぶせになったまま動かない。
おれは、裸体を足であおむけにころがし、平手でほおを叩く。

起きろ、お楽しみの時間は終わっちゃいない。

お嬢様のように気品があり、可愛く、かつ、クールに整った顔だ。
髪は乱れ、細く白い裸身はおれたち黒人の体液にまみれている。

ドラムの音は続いている。
おれを支配するけだものの心は激しく叫んでいる。
この女をもっと犯りたい、犯したいと。

美寿々の薄く開いた天使のようなくちびるから、欲望の白濁液が流れだす。

眉間にしわをよせ、美寿々は涙に濡れた瞳をうつろにひらいた。

「!!」

その瞬間。
おれは、雷に打たれたような衝撃を受けた。

・・・そして時が止まった。
心臓が、なめらかな、ほっそりとした手にとらえられ、おれはその瞳から目をそらすことが出来なくなった。

きれいな・・・・・どこまでも透明な瞳。

「おい・・・どうした」

相棒が、動かないおれに声をかける。

相棒の言葉も、周りの風景もすべて色を失った。

目の前の哀れな少女の思念が、怒涛のようにおれの心に流れ込んでくる。

おれは、その瞳の中に、めくるめく光彩の中に、すいこまれていった。

帆もオールもない小船が、なす術もなく大きな渦のなかに飲み込まれていくように。


・・・・・

走馬灯のように、美寿々の過去の光景が、たち現れ、消えてゆく。



「最近、ぼおっとしてると思ったら、こんな可愛い高校生のガールフレンドが出来たのね、アルバイト君」

美しい女性弁護士に声をかけられ、それまで楽しげに話をしていた二人がふり返った。

「け、検備沢先生!・・・あ、この子は、住吉美寿々君です」

優しく誠実そうな青年だ。

「彼女、すごく法律に関心があって、センスがいいんですよ」

この男が「たむら」か?
・・・いや、違うようだ。

・・・・・・

青年はパジャマ姿で車椅子に座っている。傍らにはセーラー服の美寿々がいる。

「原因不明の難病だそうだ、もう、体を動かすことも出来ない」

青年は、心の中で何度も練習した言葉をつぶやいた。

「お願いだ、美寿々、・・・・僕のことは忘れてくれ」

美寿々は彼の肩に手を置き、やさしく微笑んだ。

「私、資格を取ったの、家計の助けになると思う。」

美寿々は青年に顔を近づけ、キスをした。

「高校を卒業したら・・・私と結婚してください」

・・・・・・・

夫に先立たれ、今、息子の難病に心を病んだ青年の母親は、新興宗教に救いを求める。

母は、借金に借金を重ねた。
家族は、親類縁者からも見放される。

美寿々は法律の知識を駆使して戦った、しかし・・・



「ご主人とお義母様、お気の毒だったわね、美寿々さん」
「検備沢先生・・・」

参列者もいないさびしい葬儀。
借金のかたに明け渡すことになっているこの家に残っているのは、もう美寿々だけだ。

「ご自分で命を絶たれる前に、彼、内緒で離婚の手続きをなさっていたわ」
「あなたに、地獄のような思いをして欲しくなかったのね」



「どうしょうも無いことなんてない・・・どうしょうも無いことなんてないよ」

美寿々のほほを、とめどなく涙がこぼれおちた。

「自分の人生を簡単にあきらめるな!・・・あきらめたら・・・そこで終わりなんだから!」

・・・・・・・

「大野事務所の田村です」

たむら・・・この男がたむら・・・・
別人のはずだが・・・なぜだろう・・・どこか、さっきの青年とよく似ている。

・・・・・

事務所の扉が勢いよく開いて、美寿々が入ってきた。
先輩たちが目を丸くして見つめる中、彼女は一直線に田村にむかい、有無を言わさず鋭い平手打ちを食らわした。

「田村!あんた・・・バカ!?」

・・・・・

「あなたに・・・そんな思いをして欲しくないの」

真摯な願いをこめた、透きとおったその瞳が、夕日を受けてきらめいた。
なんて・・・綺麗な目をしているんだろう。

・・・・・

ふりかえった美寿々は、指をV字に開いて少し微笑む。ともに苦難の中を戦い、
勝利を得た仲間への笑みだ。


・・・・・

「おれ、住吉先生のこと好きですよ」




春の訪れを待つ桜並木のなかで、美寿々は不意に田村からくちびるを奪われた。

まるで高校生のような幼いキス。

「なに、これ?」

美寿々の問いには答えず、照れたように、そして誇らしげに微笑む田村。

・・・

美寿々は田村に蹴りをいれ、手にしたバッグで彼の頭をはたいた。

「田村のくせに、なまいきよ!」

そしてそんな田村を後にして、美寿々は、ひとあし早い春の陽光に照らされた公園通りへと歩みを進める。

春は、そこまで近づいている。

「ちょっと!田村のくせにって、なんですかぁ」

田村には見えないが、このとき美寿々は微笑んでいた。

この上なく幸せそうに・・・・・。




「田村・・・・、私、あなたのこと・・・」




・・・・・

「住吉先・・・生」

おれの目から涙があふれ出た。

おれの心が、魂が、ぬけがらだった場所に帰ってきた。
そして自分が誰なのか、何をしなければいけないのかを思い出した。

おれは、何より大切なこの人を、美寿々を守らなければ。
たとえ、相手が、自分の黒い分身であろうと、誰であろうと。



好き勝手にはさせない。


「おい・・・どうした」

黒・田村が、そのまま身動きしないおれに声をかける。

美寿々の体を自分の黒い胸にひきよせる。
なんて、軽い体なんだ。

おれは、体液にまみれた美寿々の裸体を抱きしめた。

まるで、泣き疲れて眠ってしまった子供のように幼い顔をしている。

黒・田村の黒人がいぶかしげにおれを見る。

「この人に・・・・さわるな!」

黒・田村は、ぼりぼりと頭をかいて言った。

「どうした、相棒、もっとこいつの体を楽しもうぜ」

「お前は、心の闇の世界に帰れ」

黒人の姿のおれは、裸の美寿々を抱きかかえたまま部屋の出口へにじり寄った。
もし第三者がその姿を見たら、裸の美少女を拉致する野獣のように見えたことだろう。

黒・田村は真顔になった。

「ふん、お遊びの時間は終わりってことか?兄弟」

おれたちの方に近づいてくる。

「美寿々のあそこは、気持ちよくなかったのか?え?」

猛禽のような顔は、真顔でおれを見つめている。

「おれは、美寿々の気持を大切にしたい」

出口へ、早く。

「無理やり自分のものになんて、そんなひどいことは出来ない!」

小さな部屋の出口が、なぜこんなに遠いんだ!

「ただ、好きになってほしいんだ、おれの事を愛してほしいんだ」

ドアノブがあった場所に手を伸ばす。

無い!

ドアノブどころか、ドアそのものが消失している。

・・・そこはつるりとした、ただの壁だ。

動揺からさめると、おれはその壁に、黒人の腕力で渾身の一撃をくらわした!

強い衝撃が腕に返ってくる!

「うっ!」

壁はびくともしない。
無言で逃亡をこばんでいる。

「この部屋はすでにおれの心の一部になっている。出口はない。脱出は不可能だな」

冷ややかな声で黒・田村が言う。

「ここでどんなに騒いでも、暴れても、近隣の住人には届かない。助けは呼べない」

黒・田村の口元がつりあがる。

「ここはオレの檻の中だ、お前も美寿々もすでにオレの虜囚だ、奴隷さ」

黒・田村は白い歯をむき出して哄笑した。

「す、好きになって欲しいだと」

その言葉がふさわしい、あざけるような笑いだ。

「ひ、笑わせるぜ、お前は、さっきまで、ここで美寿々に何をした!」

「無理やり、いやがる美寿々の処女を奪ったのは、誰だ!」

おちつけ・・・言葉はフェイントだ、おれが動揺し、油断するのを待っている。

「おれがお前を操っていた?いいや、お前はそうしたかったんだ」

・・・相手が屈強な黒人とはいえ、今、体格は互角。

「どんなに言葉を並べても、目覚めた美寿々はもうお前を許してはくれまい」

・・・戦うなら今だ。

いざとなったら組み合って、刺しちがえてでも・・・。

おれは、美寿々の体をベッドに投げた。

そのまま勢いをつけて黒・田村に殴りかかる!
が、黒・田村は、おれの心を読んでいた。

動けない!
黒人の右腕が、おれの方にこぶしを突き出している。

おれは腕をふりあげたまま、動きを封じられてしまった。

指を広げ、そしてゆっくりと何かを握り締めるように指を曲げ、閉じてゆく。

「言ったろう、この場はオレが支配しているんだ」

黒・田村は、低い声であの太古の言葉をつぶやきはじめた。

目に見えない力がおれをとらえ、圧迫していく。

ふたたび、おれの存在が何かのゆがみの中に入っていく怪しげな感覚に襲われた。
黒人の呪文が、今度は、おれの肉体を急速に衰えさせてゆく

・・・弱く、小さく、年老いた田村に。

体全体から、急速に生気が失われていくのを感じる。

たくましい黒人の姿から、モンゴロイドの田村勝弘に、そして、やせ衰えた老人の姿に。
まるでSFX映画のCGを観るように、見る見る変貌していく自分を感じる。

髪が抜け落ち、皮膚にみずみずしさが失われ、シワが、老人班が浮き出す。

体全体から筋肉が衰えていく。

やせ細り、節々が痛み、視覚がひどく悪くなる。

鏡を見たおれは、痩せこけた老人になった自分の姿に恐怖した。
まるで・・・アウシュビッツの囚人のようだ!

体が重い、もはや自分の力で立っていることもかなわない。

すべての希望が、夢が、色あせ、むなしく感じられる。

「死」が、いきなり現実のものとして意識される。

おれは、その場にしゃがみこんでしまった。

黒・田村は動けないおれに、いきなり蹴りを入れた。
すさまじい激痛がおれを襲った!

再度の蹴りを受ける。
部屋のはしまで、おれは蹴り飛ばされた。

激痛で息ができない!

黒人はベッドの美寿々に歩み寄り、おおいかぶさるとおれを見ながら耳元で声をかけた。

「残念だな、相棒はもう立たないんだとよ」

美寿々の顔を、太い舌でぺろりとなめる。

「なあに、心配するな。相棒の分は、おれがたっぷりかわいがってやるさ」

黒人、黒・田村は美寿々をベッドから引きずりおろし、平手打ちを食らわす。

「起きろ!」

うめき声を上げて、失神からさめた彼女の身体をもちあげる。

おれのほうに頭を向けて、また四つんばいにさせる。

「こんどはオレが入れる番だったな」

美寿々は力なくあらがう。

「おねがい・・・おねがい・・・もうやめて・・・」

黒・田村は高く持ち上げた尻に、容赦なく挿入をはじめた。

美寿々はのけぞり、悲鳴を上げた。

「アアッ!あッ!いやああ!」

前戯も、愛もない、ただ行為者の快楽のための性行為だ。

「いやああ!・・・もう、やめてぇ・・おねが・・・おかあさん・・・たすけ・・・」

自分の心をとりもどした今、目の前の光景がおれを苦しめる。

今までおれは・・・おれは、あんな風に美寿々をもてあそび、はずかしめていたのか!

おれは大切に思う女性を、自分自身が陵辱し苦しめた記憶に戦慄した。

衰えた耳からかすかに聞こえてくる美寿々の悲鳴が、おれを責めさいなむ。
哀願が、おれの心を拷問にかけている。

黒・田村が後ろから美寿々の髪をつかみ、引き、耳元で何かを言った。

何かを言えと命令したようだ。

「わた・・・し・・は、・・・はず・・・かし・・・い」

美寿々は、その美しい顔を羞恥に染めて、あえぎながら言葉をしぼり出す。

「いん・・・らん・・・・ぶ・・・・た・・・・・・です」

黒人は、美寿々のドレッサーにあった大きな金属のイヤリングを取り出した。

そしてそれを、まるで鼻フックのように彼女の鼻に取り付けた。

「どうだ、立派な淫乱ブタになったぞ」

黒・田村はそんな彼女の姿をみせつけて、おれをさらに苦しめ、弱らせようとしている。

「田村、あのままバスにおとなしく乗っていたほうが利口だったぜ」

黒・田村が、あざけるように声をかける。

「そのまま、オレと入れ替わりに心の闇の世界に運ばれていたら、こんな辛い思いをしなくても良かったのにな」

・・・・あいつの目的は何だ!どこにあるんだ?

黒人は、美寿々の顔をおれによく見えるように、さらに髪を引っぱる。

「ああ!あッ!」

悲鳴を上げ、美寿々の顔が苦痛にゆがむ。

なんとか・・・できないのか!

黒人の顔が変貌をはじめた。

皮膚の色がうすれ、顔の造形が変わっていく。

・・・そこに現れたのは「おれ」だ。

田村勝弘、いつも鏡で見る自分の顔。
寸分違わない。

しかし違う。
そこにあるのは魂を違えた、まがいものの田村だ。

黒・田村は、もう一人の「おれ」は、にやりと笑って言う。

「今日からは、お前に代わってオレが田村だ」


現実世界で、おれと入れかわり田村として生きるというのか!

それがお前のねらいなのか。

「そうだ、お前のようなつまらない人間ではなく、知略に富んだ有能な男に生まれ変わる」

冷ややかな声・・・しかし、確かにおれの声だ。

「情に流されることのない野心家として、そして、この女の性の主人としてな」

黒・田村の言葉を聞きながら、おれの心に、あるイメージが形作られていく。
それは、黒・田村から送り込まれた幻想にちがいない。

これから先、ありうる(・・・・)かも(・・)しれない(・・・・)未来(・・)の(・)「オレ」の姿だ。

「オレ」は若手、気鋭の辣腕弁護士・田村勝弘として、一躍、世間の注目をあつめる。

マスコミ受けするルックスと、機知とユーモアに富んだ弁舌で、今や時代の寵児だ。

バラエティ番組はおろか、ニュース番組のキャスターまでつとめている。

しかしその正体は、あらゆる汚い手段を使って望む結果を手に入れるハイエナだ。


ああ、その「オレ」の姿はまるで・・・おれの親父だ。

人々は、黒・田村の非人間的な酷薄さを知らない。

メディアから軽妙に伝えられる、その考え方の危険性を知らない。

人々は自分の考え方だと思っているものが、実は黒・田村の言葉の受け売りだということに気づいていない。

社会が、この国が、おかしな方向に進んでいこうとしていることに・・・。

「オレ」に縁談が持ちかけられる。

さまざまな思惑がからんだ政略結婚。
それは、「オレ」が政財界に太いパイプをつなぐための、またとない絶好のチャンスだ。

「オレ」はためらうことなく「内縁の妻」美寿々と手を切る。

視線を感じ、「オレ」は後にしようとする家のほうを振り返った。

可愛い子供が、じっと「オレ」を見ている。

美寿々との子供が、静かな怒りに燃える眼で「オレ」を見つめている。

ああ・・・あれは・・・・あの子は、おれだ。

おれもあんな風だったんだ・・・・。

「この女にはいつでも、どこでもオレが望む時に下着を下ろさせ、足を開かせる」

美寿々のあえぎ声が聞こえる。

「誰の目にとまるかもしれぬ、外回り先の公園の中で」

白く、か細いからだがさまざまな体位で犯され、陵辱される。

「誰もいない夜の大野事務所で、床に手をつかせ裸の尻をつきださせ、犯してやる」

「そうだ、この部屋で、全裸で犬の首輪を付けて鎖につないで調教してやろう」

くさりの音、ムチのうなり、美寿々の悲鳴。

「この生意気な女に、自分が男に犯されて泣きわめくただの小娘だと思い知らせてやる」

黒・田村は言葉だけではなく、おれの心に数々のイメージを送り込んできた。

奴隷のように、女として嬲られ辱められる、美寿々の数々の姿を。

「オレがのぞむすべてのことを受け入れさせてやる」

身体を体液にまみれさせ横たわる美寿々。
・・・そのそばには、身動き出来ず、耳をふさぎ涙を流すしかない年老いたおれがいる。

「お前は、あわれな年寄りの姿で、毎晩、美寿々がオレに抱かれ、犯されるのを見ていろ」

黒・田村は黒人の姿にもどった、と、同時に陵辱のイメージもとだえた。

「お願い、おねがい!やめてぇっ!いやっ!イヤっ!」

黒人は、また美寿々をさいなみ始めた。

こんどはこの場の声が、情景が、年老いて身動きできないおれを苦しめる。

不意にある考えが生まれた。
・・・・その方法しかない。


黒人は、腰を激しく動かし続けている。

「いやあっ!ああ、イヤああああぁ!お・・・・ね・・・が・・・い」

美寿々の悲鳴が、あえぎ声がおれの胸を刺し、心をえぐる。


まだだ・・・まだ、悟られてはいけない。

黒・田村は心を読む。

上手くいくかわからない。

たとえ、上手くいったとしても・・・。
そのやり方で、あの、黒・田村の脅威を取りはらうことは出来ないだろう。

しかし、少なくとも、美寿々を逃がす時間はかせげる。

部屋の反対側にある窓。

女の子の部屋らしい可愛いカーテンの向こう側を、やつが壁に変えていないことを祈る。

黒・田村が自分の思念を、イメージをおれに送れるということは・・・。

逆もまた、そうだ。

美寿々を後ろから責め続けている黒・田村の黒人が、急にこちらを向いた。

「なんだ、死に損ない、まだ何かたくらんでいるのか!」

今だ!

おれは、あの「親父」のイメージを、砲弾のように、黒・田村にぶつけた!

最近和解したとはいえ、田村がこの世で最も憎んでいた人物。
父、辣腕弁護士・鷲塚。

子供の頃に父親に感じた「恐怖」のイメージを束ね、まとめて、黒・田村に叩きつけた!

「勝弘ッ!!!!」

雷のような恐ろしい大声が響き、この部屋が地震のように揺れた。

落雷が何本も同時に落ちたかのような衝撃!
まさにカミナリ親父だ。

それは思いがけず、いや、思った以上の効果を黒・田村にもたらした。

黒・田村の巨体は部屋の端に、見えない力で吹き飛ばされ、壁に激突していた。

不思議な「この場」で、強い思念の力が、物理的ショックとなって反映されたのだ。
黒・田村が変幻自在に、おれを黒人や老人に変身させたように・・・。

浅黒いとはいえ、もう、あいつは黒人ではなく、裸の田村の姿をしている。
脳震とうでも起こしたように、うつむいて動かない。

・・・・そして・・・そして!
もとあった場所にドアが生まれ、開いている!

おれは、この時生まれてはじめて、心から父に感謝した。

わずかでも時間がかせげた。
美寿々!

美寿々!逃げるんだ!
思いっきり叫ぶ・・・叫んだつもりだった。

声が出ない!

年老いた喉から漏れるのはしわがれた、うめき声のような音だけだ。

そして、さらにかすむ目で美寿々のいたほうを見て、がく然とした。

美寿々は、繰り返される暴行の果てに失神していた。
力なく、うつぶせに横たわっている。

美寿々!!


・・・声は出ない。

黒・田村は回復を始めた。

ふたたび、あのたくましい黒い筋肉をまとう黒人の姿に変貌していく。

同時に、おれは、黒・田村から 突き刺すような強烈な殺意を感じた。
鋭い刃物のような殺意だ。

手が、指先が震え、胃の中が重くなり、頭がぼおっとする。

怒りにわれを忘れ、黒・田村は本気でおれを亡き者にしようとしている。
黒人のあの力を持ってすれば、老衰したおれをひねり殺すくらい、いとも簡単な事だろう。

しかし、敵対する相手とはいえ、おれは黒・田村のかたわれだ
もしも自分のかたわれを亡き者にしたら、一体どんなことが起こるのか?

田村という存在自体が無くなってしまうかもしれない。

きっと、黒・田村が、すぐにおれを始末しなかったのはそれを恐れてだ。

・・・・それならまだいい、美寿々は助かる。
もう、自分のことなどどうでもいい、美寿々さえ助かってくれれば。


問題は、黒・田村がおれを殺し、それでもあいつが現実世界に生き残れた場合だ。

見かけは田村勝弘以外の何者でもない、その男。

DNA鑑定でも、間違いなく本人だ。

しかし中身は・・・・・・それは、黒・田村だ。

魂を違えた、まがいものの田村。

想像するだけでも恐ろしい。

黒・田村の正体を、その悪意を、知るものは誰もいない。

美寿々は現実世界で、黒・田村の性の奴隷にされてしまう。

いや、もっと不幸な、社会を巻き込むような恐ろしいことが起こるかもしれない。

美寿々!起きてくれ!美寿々!

チャンスは、今しかないんだ!
おれはありったけの思念を美寿々にぶつける。

身体の機能だけを衰えさせ、脳をはっきりさせたのは、黒・田村の底知れぬ悪意だ。
美寿々への辱めをしっかりとおれに見せ付け、絶望させ、弱らせるつもりだ。

おれは心の奥底に、自分自身を否定するような、そんな恐ろしいものが潜んでいたことにりつ然とした。

黒人は身体を起こし、しかし足腰が上手く動かないのか、手でこちらへ這い進んでくる。

憤怒に狂った、悪鬼のような表情だ。

みるみるうちに間が縮まり、手を伸ばし、おれのしわくちゃな首をつかもうとする。

もう少しでつかまる!
死のあぎとが、今にもおれを捕らえようとする!

もう一度だ!

「勝弘ッ!」

雷鳴と衝撃!

ふたたび黒・田村は部屋の端まで吹き飛ばされた。

しかし、最初のようなダメージは与えることが出来ない。

すぐに動き出そうとする。

このままでは・・・。

なにか白いものが、おれの視界をさえぎった。
細く、愛らしい白い影。

美寿々だ!失神から回復したのか。

美寿々は目に涙を浮かべて、おれのしわくちゃなほおに両手をそえる。

天使のような顔は、年老いたおれをただ、まっすぐに見つめている。

長い放浪の旅の果てに変貌した男を迎えいれる、その恋人のように。

・・・おれは生まれてから今まで、こんな慈愛に満ちた表情を見たことがない。


うっとり見とれている場合ではない。

美寿々!逃げるんだ!
早く!時間が無いっ。

おれはうめき声のような声をふりしぼった。

しかし、美寿々は動かなかった。

美寿々は裸のままで、やさしくおれを抱きしめた。
あわれな醜い、年寄りのおれを。

美寿々がやさしく語りかける。

「大丈夫よ・・・・・どうしようもない事なんて無いよ・・・・・」

動けないおれの股間を、なめらかな優しい肌が触れた。

「あなたは勝てるわ・・・・だいじょうぶ・・・・あなたはステキよ」

萎えたおれのものを、細く、たおやかな指が優しく愛撫している。

「彼が・・・あなたのことを助けて欲しいって・・・・」

美寿々は優しく愛撫を続ける。

彼・・・・って?
おれの頭に、美寿々の前夫の、車椅子の青年のことがよぎる。

「私のことを、たのむって・・・」

美寿々の目に涙がうかんだ。

次第に自分の内側から、暖かいものが沸きあがってくる。

欲望ではなく、生気が、蘇えってくるのを感じる。

ミイラのように萎み、ひからびた腕に、足に、筋肉のふくらみがよみがえる。

老人班が消え、しわが伸び、肌がつややかさを取り戻す。

体が軽くなり、目は、美寿々の美しい顔がはっきりと見えるようになった。

耳は美寿々のやさしい声を聞くことができる。

髪は、黒く、ふさふさと伸び、股間の愛撫を受けているものは元気を取り戻してきた。

ああ、美寿々はおれのものを口に含んだ。
優しく愛撫する。

笑ってもいい。
そのとき俺は、美寿々の裸の背中に一対の白く輝く羽が生まれるのを、確かに見たよ。

天使の羽を。

とても、きれいだ・・・・。


おれは、もとの姿を取り戻した、そして、もとの心を。

ペニスを口にしている美寿々を、やさしくひきはなし、しゃがんで顔をよせる。

そして、まだ夢の中を漂っているような、まるで妖精のような顔のそのくちびるにそっとキスをした。

やさしく、しっかりと、愛をこめて。

こちらへにじり寄る黒人の顔が、変貌をはじめた。

田村の顔ではない、父・鷲塚を鬼のようにデフォルメした顔に変貌を遂げていく。

目には、目をということか。

もう、その手は使えないということか。

認めたくない自分の姿とは、よくぞ言ったものだ、グロテスクで見ているのがつらい。

「正義感ヅラして、このわしにたて突いた、その代償は支払ってもらうぞ」

父の顔をした黒・田村は蜘蛛のように床を這い、すぐそこまで迫ってきた。

黒・田村の動きを封じる。
それが出来ることは、もうわかっている。

美寿々を抱きしめたまま、おれは右腕をあげ、黒・田村の方にこぶしを突き出す。

父の顔をした黒・田村の動きが止まる。

指を広げ、そしてゆっくりと何かを握り締めるように指を曲げ閉じてゆく。

黒・田村の存在がゆらぎはじめた。

風向きが変わった、美寿々が変えてくれた。
今度はおれが、この場の主人だ。

見よう見まねで、黒・田村の動きを、つぶやいた太古の言葉をなぞる。

見えない力が黒・田村の存在を変えてゆく。

黒・田村は、父・鷲塚の姿から、黒人へと変貌をとげる。

黒人は見えない力に動きを封じられ、顔をゆがめながら、おれに言う

「・・・どんなに言葉を並べても、目覚めた美寿々はもうお前を許してはくれまい」

おれの呪文は、さらに続く。
そして、もう一人の田村の姿に変貌をとげる。

黒・田村は自由をうばわれた声をふるわせ、おれに言う

「法律は・・・あなたを・・・・許しませんよ」

おれは苦笑した。

「それ、おれの決めゼリフだよ」

こんどは黒・田村の体を、幼くさせてゆく・・・弱く、小さく、無垢に、そして・・・。

しょせん、おれはおれ。
お互いのやり方は手の内にあった。

黒・田村はとうとう赤ん坊の姿になった。

あの黒・田村はもういない。
そこにいるのは、やすらかに寝息を立てている無垢な赤ん坊だけだ。

「たむら・・・わたし、変なの・・・・・」

心地よく涼やかな声が、耳もとで甘く、たよりなげに聞こえた。

おれは美寿々のほうを見て、言葉を失った。

腕の中に天使がいる。

クールで知的、でも幼さが残るその顔。
大きな瞳は眠ったように閉ざされ、ふっくらとした唇はかすかに開いている。

きゃしゃで、みずみずしい裸の体。

白いその肌は、いま、紅潮し薄紅色に染まる。
やわらかな二つの乳房はおれの胸に押しあてられ、優しい陰毛がペニスをくすぐっている。

そして今、彼女の背中には、肌よりも白い、ほのかに輝く天使の羽があった。

美寿々はこれまでに見たことがないほど、神々しく美しく輝いている。


「どうしたのかな・・・・すごく体が・・・暑いの・・・・火照っているの・・・・」

天使の美寿々はうっすらと目を開け、おれの背中に手をまわした。

「抱いて・・・田村・・・・私を愛して」

そっと、羽を傷つけないように彼女を抱きしめる。

おれたちはキスをした。

ああ、この人を気持ちよくしてあげたい。
美寿々を、うんと悦ばせたい。

美寿々のほっそりとした、しなやかな指が、ためらいがちにおれのペニスにふれる。

おれは、美寿々のヴァギナをまさぐり、濡れたそこに指をさしいれる。

「あっ・・・!」

おれたちは、お互いの性器をやさしく愛撫した。

「ああ・・・あ・・・はあ・・・・・あ」

おれの手の動きにあわせて、美寿々は敏感に反応し、体をくねらせ声をあげた。

「は・・・・あ・・・ぁっ・・・あああぁ」

天使の羽が、快感に羽ばたきをする。

くちゅくちゅと愛液の音が聞こえ、甘い、吐息のようなあえぎが美寿々の口からもれる。

しあわせだ。

「おいで」

おれは、あおむけにベッドに横になり、両手を広げて美寿々を招いた。

彼女の両手をとり、腰の上にまたがらせる。
硬く直立したペニスの上にあそこが来るようにひざまずかせる。

そして、ゆっくりとそこへ腰を下ろさせる。

「あっ!あぁっ・・・あ!」

そこに入った瞬間、美寿々の細い体がはじけるようにのけぞった。
天使の羽が、淡く輝きながらはばたきをする。

「ああぁ!・・・あ・・・・・・・っ・・・はああ・・ああッ」

ペニスがやわらかな肉をつらぬき、あえぐ体の中に深くおさまった。

彼女の甘く温かい肉がおれを迎え入れている。

「ああ・・・すご・・・・・く・・・・ああ・・ッ・・・っ・・・かたい・・・」

おれは腰を前後させ、美寿々の体をゆり動かし、快感にさらなるゆさぶりをかける。

「あアアッ!・・いやぁン!アン!ああン!」

かわいい白い乳房が上下にゆれる。

天使の白い羽が動きにつれ、ふくらみ、しぼむ。

美寿々は両手をおれの手につかまれている。

恥じらいのあまり、羽が体をおおって隠そうとする。

おれは、腕を伸ばし、気持のいい感触の羽をかきわけた。
乳房を下からもみしだき、指で乳首をなぶる。

「やあぁん!あん!」

美寿々はまたのけぞり、白く、細い首をあらわにする。

おれは体を起こし、マシュマロのような乳首にむしゃぶりついた。

「は!あぁっ!あ!」

舌で乳首をなぶり、手で乳房をもみしだきながら、さらに、腰の動きを激しくする。

「ああぁ・・あん!・・あん!・・はああぁ」

ベッドがゆれる。
天使の羽が、開いたり閉じたりを、くりかえす。
快感に、美寿々はなまめかしく腰を動かし始めた。

「ああ・・・あ・・・い・・・いく・・イ・・ク・・・たむら・・・いきそう・・」
「まだ、だめだよ」

おれはつながったペニスを中心に、美寿々をぐるりと向こうにむかせる。

「ああ!・・・あぁ」

やわらかな天使の羽が、おれの顔を、身体を、くすぐった。
その羽からも美寿々の甘い香りがする。

身を起こしざま、美寿々の体を前に倒し、両手をつかせて、四つんばいにさせる。

「いや・・・・・っ・・・はずか・・・しい」

白い両足を開かせ、おれはその間に自分の太ももを割り込ませる。

両手で美寿々の腰を押さえる。
後ろからゆっくりと、そしてだんだん速く、腰を動かす。

この不思議な「場」で美寿々を愛していると、彼女の悦びが自分にも伝わってくる。

おれたちは、お互いの快感を共有している。

もっと感じて欲しい。
もっと悦んで欲しい。

美寿々、君を愛している!
同じこの世界に・・・。
今ここに、君がいてくれてうれしい。

幸せな気持につつまれる一方で、心の片隅には不安な気持ちが首をもたげている。

こんなふうに身を委ねているのは媚薬のせいではないのか?
おれに抱かれて、君はしあわせなのだろうか?

あんな恐ろしい仕打ちを受けて、美寿々!君は・・・。

薬がさめても、君はおれのこと好きでいてくれるのか?

その不安を打ち消したくて、さらに腰の動きに拍車をかける。

「はあっ、あっ!あッ!!」

愛液でうるおっているとはいえ、美寿々のそこは狭く幼い。
やわらかな肉が、おれの性器を包み、やさしく締め上げている。

ペニスが前後する時の圧迫感が心地いい。

「あっあっ!あッ!あ!あん!あん!」

おれは、いまだ硬さの衰えぬそれで、天使の尻を犯しつづける。

やわらかな尻のふくらみから、きゅっとすぼまるウエスト。
白い肌のラインがなめらかで美しい。

おれの動きに合わせ、美寿々の肢体が、羽がゆれる。

さらに、腰に力を入れる。

「きゃあん!あ!あっ、あ、あん!あん!アん!ぁあん!」

おれは激しく腰を動かした。
ぱん、ぱん、ぱんとリズミカルに肉を打つ音が響く。

そのたびに、背中の羽から、少しずつ小さな羽が、ふわり、ふわりと抜け落ち始めた。

それはゆっくりと空中をただよっていく。

「あ、あ、い、あっ、あ、いくッ!あん!あん!イクっ!アん!ぁあん!」

ああ、なんて可愛いあえぎ声だろう。

さらに打ち込みを激しくする。

パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!

白く、細いからだが悦びのリズムを受け入れる。

「ああッ!あッ!ああぁん!あん!あん!あンッ!」

白い羽の抜け落ちがますます激しくなる。

部屋の中は、まるで雪が舞うさまだ。

大量の天使の羽はしばらく空中をただよい、やがてあたり一面に降り積もり始めた。
背中の小ぶりな羽からぬけ落ちたとは思えないほどの量だ。

こんなに、羽がたくさん・・・・。

「ああッ・・・い・・・あッ!・・・・いくッ!・・・・いきそう・・ああッ!」

打ち込みを続けながら、おれはあたりのその幻想的な光景に驚嘆した。

パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!

「おねがい、いかせてっ!・・・・もうだめ・・・い・・・いっちゃう!ああアッ!!!」

腕をつっぱり、体を弓なりにそらせて、頭をのけぞらせる。

「いくッ、・・・イクっ!・・・いっちゃう・・・ああッ、あ、あああッ・・・た・・むら」

絶頂をむかえた美寿々は体をそらせ、叫んだ。

「イク!イクっ!いッくう!!・・・ああああっ!!!!!」

硬直し、前のめりに身体を倒した。

その瞬間、美寿々の天使の羽は、風にふかれたタンポポの綿毛のように飛び去った。

あとも残さず、そのなめらかな背中から霧消してしまった。

おれは、動きを止めた。
美寿々をあおむけに、やさしく横たえる。

ペニスは体に深くうがたれたままだ。

美寿々のほっそりとした綺麗な左足をおれの右肩にのせ、右足を左肩にからめる。

大きく足を開かせて、おれの前に美寿々の美しい裸身がある。
降り積もった天使の羽の中に横たわる彼女は、この世のものとは思えないほど美しい。

「はあ・・・・はあ・・・・はあ・・・・はあ・・・」

やさしく上下する、白く薄い乳房がきれいだ。

汗ばみ、ぬれた髪がはりついた、細く長い首がなまめかしい。

美寿々は、恥じらいと耐えられぬ快感に赤くなり、あえぐ顔を横にそむける。

雪のような白い羽があたりを舞う中、おれはゆっくりと腰を動かし、美寿々のそこをかき乱し始める。

「は!もう、だめッ!そんなに・・・あん!・・あああぁ・・こわれちゃぅ・・・あぁ!」

二の腕で彼女の太ももを抱きしめるようにしながら、両手で美寿々の乳房をもみしだく、指で乳首をなぶる。

腰のところでくの字になった身体におおいかぶさるようにおれは彼女の身体を攻めた。

「・・・ああん、あっ、あん!・・・はッ!あん!だめえええぇ・・・」

大きく開かせた性器をむさぼるように、おれのペニスは愛液にまみれながらピストン運動をくりかえす。

「ああぁあ・・・おぉ・・・・っ・きい・・はああ」

美寿々のヴァギナをかきまわす。

「ああ!ああぁ!・・・すごく・・あつ・・い・・・ああっ!」

一気に、深く挿入する。

「ああっ!・・あっ!そんなに・・・おくにぃ・・・あぁあ!・・あっ!ダメ!だめっ!」

抱きしめる。
美寿々の顔中にキスをする。
ディープキス。

また、強く抱きしめる。

「ああああ・・・すごく・・・おくまで・・・はいっ・・・てる・・・ああっ!あっ!」

さらに奥に突き入れた。

快感にたえかねて、美寿々の細い腕が、小さなこぶしが、おれの背中をたたく。

「もうッ・・・だめッ!だめっ!ダメ!おねがいっ!」

おれは、また身体を起こし腰を動かし始める。

「きゃあん!あん!あん!あん!あん!あ!あ!あ!あ!!!!」

始めはゆっくりと、そして、これまでにないほど速く、激しく!
美寿々!愛している!

「いくッ!・・・イクっ!・・・いっちゃう!・・ああッ、あ、あああッ・・・た・・むら」

パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!

「ああん・・・あん!・・・あん!・・・・いくッ!・・・イクっ!たむらっ!いやっ!」

パ!パ!パ!パ!!!!!!!!!!!!

「いやッ!・・・たむらのばかッ!いっちゃうッ!あん!あん!・・・きらい!あああん!」

!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「あんたなんか!・・ああん!・・あんたなんかっ!・・・・だいッ・・・・きら・・・い」

!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「ぁあアっ!!・・・ああああああああああああああああああああああああああああ!!」

はげしくけいれんして、のけぞり、硬直し、美寿々はそのまま失神した。

天使の羽は、雪が舞うように部屋の中を漂って、床に降り積もる。

エンジェル・スノー。
あたりはまるで一面雪でおおわれたかのようだ。

赤ん坊の姿で眠っている黒・田村の上にも、やさしく白い羽の雪が降り積もっている。

やがて、赤ん坊はすっかり白い羽におおわれ、羽でつくられた人型のようになった。

突然、ごおっと、風の音が聞こえた。
白い羽が舞い上がる。

閉ざされた部屋の中を、嵐のような強い風が吹きあれた。
おれは美寿々をかばい、抱きしめる。

白い羽の嵐。
この部屋にあったすべての羽が、空中に巻き上げられ荒れ狂っている。
が、めくるめく白い嵐は、一筋の白い流れにまとまると、部屋の中を何度かカールし・・・。

一瞬で異次元に吸い込まれたかのように消えうせた。

あとには、裸の美寿々と呆然としたおれだけが残される。


部屋の様子は、おれがこの部屋を訪れたときのままだ。

何事も無い、平穏な静かな夜の部屋に、時計がコツコツと時を刻む乾いた音。

・・・・現実の世界にもどれたんだ。


白い羽につつまれた赤ん坊の黒・田村も消えてしまった。

でも、どこへいったのかは知っている。


「さようなら、黒・田村、いつか悪夢のなかで、また会おう」


・・・・・

バスルームで失神したままの体を、髪を、きれいにする。
そして、ベッドに美寿々の裸体を横たえた。

深いため息をつく。
彼女の上を通り過ぎていった暴力と狼藉のあとは、すぐには消えない。

白い肌の上にはベルトの鞭のあと、キスの内出血、歯のあとが赤く残っている。
シーツには破瓜の血のあとも・・・。

ああ、大切な人に、なんてことを。

黒・田村が言ったとおり、許してはもらえないだろう。
この人からも、法律からも。

セクハラどころではない。
婦女暴行で訴えられても、東京湾に沈められても仕方ない。

何よりも、自分は、自分のやったことが許せない!


泣き声が聞こえる。
この部屋のどこかで、誰かが泣いている。

美寿々じゃない、彼女はおれの前で目をつむって横になっている。

涙のしずくが、美寿々の顔に落ちてはじけた。

・・・泣いているのはおれか。

そっと、優しい指がおれの涙をぬぐった。「田村・・・泣いてるの?」

「住吉先生・・・おれ・・・・」

なんと言ったらいいのかわからない。

「さっきの、本当の私なの。」

「えっ?」

「私、媚薬、飲んでないの・・・・すきを見て、とり替えたから、飲んだのは田村のほう」
「女郎蜘蛛でママと話していたのを聞いたの」

・・・・・・・


「・・・そのよう・・・ですね」

今までのことを思い出し、おれは苦笑した。

「媚薬を飲んだのを知っていて、おれを部屋に入れたんですか?」

「強引にきてくれたら、私も素直になれるかなって・・・田村の気持がうれしかったの」

「住吉先生・・・」

「さっきの・・田村・・怖かった・・・・いつもはお人よしの田村なのに・・・・・」

おれは黒・田村のように、ここから消えてしまいたい気持だった。

「私、まるで男の人二人から何度も犯されたみたい・・・」

おれはその場で土下座をした。

「おれ、責任取ります!先生が妊娠したら、おれをその子の父親にしてください」

美寿々は虚をつかれ、哀れむように言った。

「田村・・・あたしが安全日をチェックしないで、あんたをこの部屋に入れたと思う?」

「・・・・」
この人には勝てない。

「田村・・・わたし・・・あなたのこと」

「え?」

「好きよ」

おれは、耳を疑った。
今・・・おれのこと好きって・・・・?

「愛してる。・・・よく解らないけど、あなたは何かから私を守ってくれたのね」

言葉の意味を確かめ、かみしめる。
おれは心の中に暖かいものが、しあわせが、じんわりと広がってくるのを感じた。

「美寿々っ!」

ベッドの美寿々を抱きしめようとするおれを迎えたのは、鋭い平手打ち。
いい音だ。

「痛って〜」

「ゆとりクンが、私を呼び捨てにするのは、十万年はやい」

首を振りながら、さとすようにうそぶく。

いつもの住吉美寿々だ。
美寿々復活!

「でも、ベッドの中だけはゆるしてあげるね」

と、いたずらっぽく微笑む。

「おしおきが必要ですか?住吉先生」

おれは、ほおをさすりながらベッドに上がり、美寿々に添い寝した。

おれの軽口に、美寿々はおれの胸に腕をまわしながら、口元をほころばせた。

「・・・サディストの田村も、素敵よ」

「M女の住吉先生って、最高だ」

おれは彼女にキスをした。

「だって、私、りっぱな淫乱ブタだもん」
そう言って美寿々は、全裸でおれの胸の中に顔をうずめ、腕の中でふわりと微笑む。

どうして、この人はこんなにきれいなんだろう。

「あ!」

さっき、リビングを通った時、自分の携帯にメール着信があることを思い出した。

「ほおっておきなさいよ」

「でも、緊急だったら」

今、あつかっている案件を思い出し、あわててメールを開く。

「女からだったら、殺す」
「そんなわけ、ないでしょ」
「それはそうね」

どういう意味ですかと、にらむおれをよそに、美寿々はディスプレイを覗き込む。
やれやれ、どうしてみんな、おれの携帯を覗きたがるんだ。

「あ、女よ」
「ええっ!?」
「女郎蜘蛛のママからだ」



着信あり
―たむたん、あの媚薬、全部使っちゃだめよ。
一回につき、耳かき一杯程度ね。
 全部使ったら、すごい副作用があるって。
 じゃあ、素敵な夜を。                女郎蜘蛛ママ


おれたちは顔を見合わせ、ふきだした。

しばらく笑いが止まらない。

「・・・たしかに、すっごく強烈でしたね」

おれたちは見つめあった。

おれは優しく美寿々にキスをすると、耳元でささやいた。

「住吉先生・・・・・・おれも、愛してます・・・・・」

あの人を、今も大切に思っていることを含めて、あなたが好きなんです。

「また、大きくなってる・・・・なに考えてるのよ、このエロたむら」

おれは、ほほえむ彼女を抱きしめた。
優しく、強く、激しく。

美寿々とおれは夢の世界へと落ちて行った・・・・



・・・・・

二人が睦み会う部屋の窓が、やがてやさしく白みはじめようとしている。

その窓枠には、なにか小さな白い物があった。

ほのかに輝く一本の白い羽。
二人の幸せを祝福するかのように、それはかすかにゆれている。

やがて、その白い羽はひときわ強く輝くと・・・。

音もなく静かに消えていった。






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