ケルベロス×片桐先生
番外編


「これは…!?」

片桐紫乃は高級ホテルさながらの内装に戸惑いを感じていた。

「なぜ、こんな!?」

冥王星のメンバーとあたりをつけた人物を追跡するうち、廃墟のような建物に入ったはずが、その薄暗い室内は中は豪華な装飾にあふれている。

「!?」

後ろで人の気配を感じて振り返ると端麗な顔立ちでありながら、冷たい目をした男が立っていた。

「ようこそ」

真っ黒のスーツを身に纏い、口角を吊り上げ自分に笑いかける男が冥王星の幹部であるということは、紫乃にはすぐに分かった。
自分が追ってきた人物はまるで別人だが、この男の変装であったことは間違いない、そう確信する。

「あなた、冥王星でしょう。しかも幹部クラスね。」

男は表情を変えず、警戒する紫乃にゆっくりと近づく。

「今は団先生の秘書をやっておられるということですが、さすがはDDCの探偵。私がどういう人物か一目でわかるようですね。」

さらに近づいてくる男に気迫負けしないように見据える紫乃とは逆に、男は余裕を見せるように両手を広げた。

「私の名はケルベロス!はじめまして、片桐紫乃さん」
「いや、初めましてではありませんでしたね。一度お会いしている」

わざとらしく言い直しながら一歩一歩確実に紫乃の元へ歩み寄ってくるケルベロスの目を見ないように気をつつ注意深く彼の動きを目で追いかける。

「!?」

ケルベロスと名乗る男はいつのまにか手を伸ばせば届く距離まで近づいていた。

「一人で私を追ってこられた勇気に敬意を表します。」

ケルベロスの手が差し出される。一体この男は何を考えているのか…紫乃には理解できないでいた。
自分に向けられた手を振り払い、ケルベロスを見据える。

「これはこれは。気の強いお方だ。」

笑いながら振り払われた手を自分の腰へ据え、もう一度紫乃の目をじっと見ると、紫乃は素早く目をそらした。

「催眠術にかかるつもりはないわ。」
「ほう。さすがは簡単には眠っていただけないようだ。」

紫乃の眉がピクリと動く。

「私を眠らせて真木先生と同じように監禁するつもり!?」
「さぁ、それはどうでしょう。」

冥王星は自ら犯罪に手を染めることはしない。レベルの低いメンバーなら掟破りもするだろうが、目の前に立っているケルベロスは間違いなく幹部クラス。掟破りは考えられない。
だが、ケルベロスは催眠術のエキスパートである。何を仕出かすかわからない故に気は抜けない。

「どうする?助けを呼んでみますか?だがここは携帯電話の圏外。しかもここには我々2人だけしかいない。」

言うとケルベロスが紫乃の腕を掴む。その手を振り解こうとするがしっかり掴まれていて振り解くことは不可能。
自分を真木と同じように拉致・監禁し、自分に扮した何者かを団先生の下に、それも世話役として送り込むのだろうか。
だが、最悪そのようなことになったとしても、団先生が偽者の自分を見破れない訳がない、そう信じたい。

「何を…する気?」
「さあ?」

含み笑いを浮かべるとそのまま紫乃の腕を背中に持っていき、自分も背後へ周ると一番近い扉を開けた。
インテリアが取り揃えられていて、ホテルの一室と変わりのない部屋に押し込まれる。

「女性が相手のお楽しみと言えばひとつしかないでしょう」

殺されるより屈辱な辱めを受けるかもしれない、紫乃は初めて背筋が凍るような恐怖を感じた。
力ではかなわない、そう思い、逃げる手立てを考えるが、手はケルベロスに掴まれているし、DDC手帳を出そうとしてもケルベロスは見逃さないだろう。
紫乃も格闘技の心得はあり、男にも遅れをとらない実力だが、この男では相手が悪すぎる。

(冥王星がこんな犯罪を犯すなんて…?)

「あなたも合意の上ならば、犯罪にはならないでしょう?」

心を見透かしたように、意地悪い微笑を浮かべ見下ろしながら紫乃をベッドへ倒した。

「合意なんか、誰がするもんですか!」

両手を絡め、蹴りを入れられないように自らの脚で固定し、唇を奪う。

「いやぁぁぁぁっ!!団先生!!!」

顔を振り払い必死に叫び声を上げるが、非情にも声は外には届かない。

「おや?こんなときでも団先生なのですか?さすがは名探偵・団守彦。絶対の信頼だ。」

泣き叫ぶ紫乃にもう一度顔を近づけ目を合わせる。

「それとも、団先生と何か特別な関係でもあるのですか?紫乃さん」

(なぜ…それを…?)

「怖がる必要はありません。たっぷり楽しませてさしあげますよ。」

ケルベロスは紫乃胸元に手を近づけると、ブラウスに手を掛け、一気に引き裂いた。紫乃の白い肌が露わになる。

「ほう。なかなか素敵な胸をお持ちだ」

胸をすくうように撫で、首筋に舌を這わせていく。

「いやぁっ…やめて…」
「そう言っていられるのも今のうちです。そのうちやめて欲しくなくなる。」

下着を剥ぎ取り、胸を掴み、突起を口で包む。

「やっ…」

必死に抵抗する紫乃をガッチリ押さえつけながら、右手をスカートの中に潜り込ませ、秘所をさぐる。
閉じようとする足の間に体をねじ込み、その間にも滑り込ませた指でクリトリスを刺激する。

「おねがい…やめて…」
「ほう。なかなかしぶといですね。まだその気にはならないようだ。だが、これではどうかな?」

言うと、突起を弄んでいた指をズブズブと埋め、ゆっくり掻き回した。

「いやぁ…っはぁっ…」

紫乃の中を掻き回すスピードはどんどん速くなり、巧みにGスポットを刺激する。

「どうです?よくなってきましたか?」
「やめて…おねがいだから…」
「よく…聞こえませんでしたね。おねがいだから、どうして欲しいのです?」
「やめて…」
「おやおや、もっとして欲しいのですか?いやらしいですね」
「ちがっ…」
「仕方ありませんね」

ケルベロスは秘所に顔を寄せるとクリトリスを舌で刺激した。

「いやぁぁぁっ…!」
「素直じゃありませんね。本当はして欲しいのでしょう?」

そのまま舌を膣内に滑り込ませた。ぴちゃぴちゃといやらしい水音が部屋の中に響き渡る。

「本当に…もうやめて…これ以上は…もう…」

紫乃の哀願もケルベロスには起爆剤としかならない。

「抵抗されればされるほど楽しいものです。すぐに堕ちてしまっては面白味がない」

顔をあげ、紫乃の顔へ近づき唇を押し付けると舌を割り入れいやらしく絡み付ける。
紫乃は顔を振り、ケルベロスの顔を振り払おうとするが、強く押し付けられていて動けない。
次の瞬間、異物が入って来るのを感じた。

「………!!」

口を塞がれていて声も出せない。
十分に濡れていない膣口にケルベロスはゆっくりと身を沈めていく。

「くっ…キツいな…まだ堕ちてないというのか…」

根元までねじ込ませると、次はゆっくり引いていく。
それを繰り返し動きがスムーズになると、今度は徐々に動きを早めていく。

「やっと慣れてきましたね」
「いやぁ!やめて!!」

恐怖の色を浮かべる紫乃の表情を楽しみながらリズミカルに突き上げる。

「どうです?気持ちいいでしょう?」
「い…や…やめて…」
「やめてはないでしょう。私の性器をくわえ込むあなたの性器はとても淫猥だ。」

足首を持ち、高々とあげてみせ、体重を掛けるように突き刺し、腰を振る。

「どうです?いい音でしょう?」
「もういや…!」
「そうですか。でも、これじゃあなたにお見せできませんね」

と言って紫乃を抱き上げ、向かい合うように膝の上に座らせ、ペニスを膣口にあてがった。

「これならあなたにもよく見えるでしょう?」

ズブズブと自分の中にケルベロスのペニスが入ってくる光景に目を逸らすと、頭を掴まれる。

「さあ、しっかりとごらんになってください。私とあなたがいやらしく繋がっているところを」

ケルベロスは紫乃の臀部を掴み、自分の腰を打ちつけた。

「そろそろ…終わりにしましょうか?」

さらにスピードが速め、限界に達したそのとき、強く腰を押しつける。
同時にケルベロスの精液が紫乃の中へと流れ込んでいった。
しばらくそのままの状態でいた後、ケルベロスは唇を重ね、自らを引き抜いた。

「大変楽しませていただきました。とても気持ちのいい体験でした。また機会がありましたらお願いしますよ。」

そう言うと、素早く紫乃に服を着せ、自分も服を着て、消えるように去っていった。

デスクの上で鳴っている携帯電話―発信元は片桐紫乃。何の不信も抱かずに団は電話を取った。

「はい―」
「団先生ですね。片桐紫乃さんは―」

男の言葉に団は声を張り上げた。

「その声…ケルベロスだな!?なぜ貴様が片桐くんの…!?」
「心配は要りません。彼女はお返ししましたよ。学長室のすぐ前に」
「おい!ケルベロス!!片桐くんに何を…!?」
「See You Next Case!」

ケルベロスの声は途切れた。
団がドアを開けるとそこには紫乃が横たわっていた。

「紫乃くん!?」

団の声で紫乃は我に返ったが、彼女の姿を見て何があったか団には瞬時に想像できた。信じたくない出来事を―。
紫乃は団の膝に縋ってただ涙を流し、震えていた。
小刻みに震える肩を抱く腕は、内から湧き出でる怒りでわなわなと震える。

「ケルベロス…」

固く結んだ拳から一筋の鮮血が滴った。

「貴様は絶対に私が葬る!冥王星を壊滅させ、牢獄という名の棺桶に入れて!」






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