大人の女になりたい
カズマ×メグ


シャワーを浴び終わって、着替えながらパソコンをチェックすると珍しいことにメグからメールが来ていた。

『今から家に来て キュウ達には言わないで 大事な話があるの』

何だ?首をひねる。
メグが大事な話なんてまるで想像がつかない。しかもキュウ達に内緒とは…。とりあえず、何か事件が起こったわけではなさそうだ。メールでは言えないことなのか?でも何でメグの家なんだ?
メグの家は場所は知ってはいたが、一度も行ったことはない。

…何だか怪しい。

現在の時刻は20時を少し過ぎたところ。メール受信時間は19:53分。ちょうどシャワーを浴びていた頃だった。
さて、どうするか。
もう夕飯はとっくに食べたし、まだそんなに遅い時間じゃない。
何より行かなければ後々メグがうるさいだろう。
正直行きたくないが、溜め息をついてせっかく着たパジャマを脱いだ。

「やっ」

いつものように、軽く手をあげて挨拶して、玄関からカズマを迎えいれた。

「じゃ、カズマ入って」

そう言って、自分の部屋のドアを開けると、カズマはけげんそうに眉を寄せた。

「ちょっと待って。メグ、お姉さんはいないの?」
「お姉ちゃん、今日は彼氏のとこにお泊まりなの。
だからカズマと私、二人っきりだよ」
「え」
「今、ドキっとした?」
「他の女の子ならドキっとするところだろうけど、メグが相手じゃね…」

そう、何かをあきらめ気味に言うカズマは、口だけじゃなくて、本当に私と二人だけってことにすこしも動揺していないようだった。

…こいつ、本当に私に気がないな。
ちょっとムカつく。
もっと慌てたりとかしてみせろよ。

「もう、いいから早く入ってよ!」
「うわっ」

背中を押して、無理矢理カズマを部屋の中にいれて、自分も入る。
すぐさまドアを閉めて、鍵をかけた。

「……メグ…?」

訝しげな表情でカズマが見てくる。
あんたの言いたいことはわかってるってば。

「カズマ、ヤって」
「は?やって?何を?」
「セックス」

口の中が粘つくのがわかった。

「!?」

感情はこんなにも冷静なのに、どうしてなんだろう。
だって、私はカズマに恋愛感情なんて微塵もない。

「…メグ、何言ってんの?今日なんかおかしいよ。てか大事な話ってそれ?」
「いつも1人で抜いてるんでしょ?本物の女の子の方がいいでしょ?私じゃダメ?」

そこまで一気に言うと、カズマは呆気にとられたようだった。

「………何で、メグが俺のこと好きなわけないよね?」
「ありえないから」
「だよね。…じゃ、何でそんなにしたいの?」
「処女は嫌なの」

カズマがまた黙った。

「……えっと、何で俺?」

処女は嫌なの。
あの人に釣り合う大人の女になりたいの。
今の私じゃ、ダメなの。
相手にしてもらえないの。

「実はリュウにも頼んだんだけど、キッパリ断られてさ。リュウって本当に男?信じられんない。キンタはオヤジすぎだし。キュウには無理でしょ?それで残ったのがカズマだったわけ」
「いい迷惑…」
「何か言った?」

あーもういい加減イライラするなぁ。

「ね、カズマ、して?
カズマしかいないの」

これでどうよ。
甘い声に、上目遣い。
きわめつけにこの殺し文句。

「ちょ、メグやめて。まじ怖い」

プチっ。切れた。
そして、その勢いのまま、カズマに抱き付いた。

「ちょっ…」

さすがにカズマもあわてて私を引き離そうとする。

「メーグ!離れろってっっ…」

しばらくくっついていたけど、最終的に私はカズマから離された。

「……俺、メグとそういうことする気ないから。まったくないから。悪いけど他あたって…って、メグ!?」

カズマにかまわず服を脱いでいく。
私はすぐに下着だけになった。
エロ可愛いピンクのブラとピンクのパンツ。
色っぽいレース付き。

一応カズマのために勝負下着にしておいたんだよ?
カズマが、ごくっと唾を飲みこんだのがわかった。
見つめると、すぐに顏をそらした。

「何でもしていいよ」
「…だから、ヤらないって、」
「もう、いいかげん、素直になりなって」

カズマの左手をつかんで、右胸に押し付けた。

据膳食わぬは男の恥じゃないんですか?
やっちゃえよ。

やわらかい胸の感触に、馬鹿みたいに身体中の熱が上昇した。
メグにじゃなくて、女の子の身体に興奮した。

「…本当に何してもいいの?」
「いいよ。カズマの好きにして。あ、でも物使うのはナシね!」
「……言っとくけど、メグがしつこく言うから仕方なくヤるだけであって、僕がメグとヤりたいわけじゃないから」

自分でも言い訳じみていると思ったけれど、こうでも言わなきゃばつが悪い。
特にその言葉につっこむこともなくわかってるとだけメグは言った。

「それより避妊はちゃんとしてよ。コンドームなら買ってあるから。そこのベッドの脇の袋の中に入ってるから」
「わかった」
「あと、キスはしないで」
「うん」
「よろしい」

にっこりメグが笑う。

「メグ」
「なに?」
「服、着て」

たんたんと僕は言う。普段通りに。
僕は興奮している。
そして、僕は緊張している。
それをメグに悟られないようにあえて平静を装う。
いつも冷静な僕が、よりによってメグにそんな興奮した姿を見られるなんてプライドが許さなかった。

「メグ、服着て。服、脱がしてみたい」

メグのベッドの上。お互いに向き合う形で座る。
僕の言う通りに服を着たメグのTシャツに手をかけたら、止められた。

「なに?」

まさか今更やっぱりやめてとか言うんじゃないだろうな。

「ちょっと待って。はじめる前にこれつけるから」

そう言ってメグがミニスカートのポケットからとりだしたのは、白いハチマキのような布。
それでメグは自分で、自分に目隠しをした。

「初体験でいきなり目隠しプレイ?すごいな…」
「私目あけてると全部記憶しちゃうから、瞬間記憶能力で。カズマがどんな風に私を抱いたとか、カズマのアレの大きさとか」
「電気消せばいいんじゃないの」
「だめ。慣れてきたら見えるでしょ。それにカズマ、はっきり見える方が良いでしょう?私の裸とか」
「…メグ、記憶したくないの?」
「うん。できれば何ひとつ記憶したくない」
「………」

今からヤろうって相手にそういうこと言うかな。
しかも自分からヤろうって言っといて。
まぁ、別にいーけど。
僕も僕で好きにやるし。
…でも、

「目隠しは、ダメ」

素早く目隠しをとる。

「!?」
「表情見えないんじゃつまらない」
「カズマっ…」
「かわりに目つぶってて」
「………わかった」

メグが自分の言うことを素直に聞くのがなんだかおかしくて、すこし笑ってしまった。
するとメグがこちらを睨んだので、今度はメグに見せつけるようにわざと口元だけで微笑んでやった。
それで、すこし、余裕ができた。

「いいよ」

しっかりと目を閉じてからメグはそう言った。
長いまつげがすきまなくあわさって、まぶたを閉じたメグの顏は幼くも大人っぽくも見える。
無防備な身体。
あいた首元、胸元、ミニスカート、そこからのぞく白い足…と順番に視線をおとしていく。
いつも強気なメグが、こんなにも無防備な姿を自分に晒している。
目をつぶったメグの顏を見つめていると、サディスティックな感情がジワリとわいてくるのがわかった。

何も言わずにTシャツを一気に胸元までまくる。メグの上半身がビクッとはねた。見えないから、何をされるかわからなくて過剰に反応してしまうんだろう。そのうえメグは処女だ。

「メグ、初めてなのに、見えないの怖くない?」

メグの耳たぶに唇をくっつけて、そっと息をふきかけるように言うとまたビクッと反応する。

「べ、つに」
「ふーん」

そう言うメグの表情を観察する。目をとじていてもそこには緊張の色が見てとれた。
いつもやかましいメグが今は驚くほど無口だ。
レースのついたピンク色のブラが丸見えになっている胸元をまじまじと眺める。

「………」
「Bカップくらい?」
「……そうだよ」

でもまだ胸にはさわらない。
その前に試してみたいことがある。

「ひゃっ…」

メグの両わきの間を通すようにして、正面から手を伸ばして背中にふれた。無遠慮に両手でブラのホックの位置をさぐる。
ホックのある部分に手がかかるとピクリと肌がはねる。指先でいじってみるが、ブラのホックをはずすのは初めてな上に正面から手元が見えないせいでまったく上手くいかない。
背後にまわってやればいいんだけど、できるだけメグの表情を見ながら進めたかった。
その為に眼鏡もつけたままでいる。
緊張はしているけれど、不思議と焦りはない。これが好きな子なら多分もっともっとものすごく緊張して焦っていただろうけど。
時間がかかったが、なんとかホックがはずれた時は嬉しかった。
パサリと音をたててブラが落ちる。
あらわになった白いふくらみと、淡いピンク色の突起に興奮したし感動した。
でもそれより、恥ずかしいんだろう、羞恥心に耐える様にうつむき上半身をかすかに震わすメグの様子にひどく興奮した。

「…………」

そんな自分にすくなからず動揺する。

…なんだコレ。

何でメグを見ているとこんなサディスティックな気分になるんだろう。
今までこんな感情にはなったことがなかった。
目をきつくつむりさっきよりも緊張を色濃くするメグの表情は僕のサディスティックな感情を確実に満たしてくれる。

「メグ、震えてる」
「ふ、震えてない」

メグの強がりが嬉しい。
背中にふれると大きくビクリとはねる。ゆっくりなではじめる。初めはぎこちなかった手つきも、すぐに慣れてくる。
背骨のあるだろう部分をたんねんにくりかえしなで、メグの表情をうかがう。
メグの背中はすべらかで、異様にさわり心地が良かった。
背中をなでているうちに、それまでとじていたメグの口がわずかにひらいたのに気付いた。声は出さないが、表情からはさっきまでの緊張の色はなくなって、すこしリラックスしたような表情に変化した。
それを確認して、手はそのまま背中をなでつづけながら、メグの背後に体を移動させる。ベッドが揺れて、メグが一瞬緊張したのが空気でわかった。
なでていた手を離し、その背中に舌をはわせる。

「あっ…」






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