深夜の装備室
井上薫×笹本絵里


「――――井上、離せ。」

猫のような眼がキッと自分を睨む。瞳の奥には微かな怒気を孕み、薄暗い部屋の中でひときわきらりと光る。
ああ、綺麗な眼だ。射抜くような視線に井上は思わず見入る。

深夜の人気のない装備室。今日の任務を終えて帰庁し、
予定よりも長引いた警護に2人でぶつくさと文句を垂れながら装備を解いていた。
笹本がジャケットを脱ぎ、カッターシャツの襟に付けられた無線機のクリップを外そうと軽く俯いた時に見えた白い首筋に井上は欲情した。
そして欲の赴くままに笹本をロッカーに押し付け、両腕を片手で一纏めに拘束した。
身を捩って逃げられないように、もう片方の手を腰に回す。
掌で細いウエストを撫でると、シャツ越しに笹本の体温を感じる。その柔らかな肌にまた欲情する。
どんだけ溜まってるんだ自分は、まるで中学生ではないかと思わず自嘲気味に笑う。

井上の笑みに自分の忠告が届いていないと判断した笹本は先ほどより低い声でもう一度忠告をする。

「井上、離せ。ここがどこだかわかってんのか?」
「ここじゃなかったらいいんですか?」

しれっといつもの調子で返され、笹本は舌打ちした。
言葉で駄目なら身体で、と井上の鳩尾目がけて渾身のひざ蹴りを繰りだす。
だが相手にはお見通しだったようで、腰に回されていた方の手で簡単に押さえつけられてしまう。

「・・・・っ!お前・・・・・ふざけん」
「怪我したくなかったら大人しくしてください。」

氷のように冷たい声に思わず身をすくめる。眼の前の後輩がまるで別人のように思えてくる。あの人懐っこくて生意気な後輩がこんなことをするわけがない。

「お前・・・本当に井上なの・・・・」

問いかけられた本人はその怯えたような声にククッと喉の奥で笑う。
笹本の腰に回されていた手が顔を撫でる。

「笹本さんのそんな顔初めて見た。すっごい可愛い。・・・・もう食べちゃいたい。」

指で顎を強引に持ち上げられ、唇が触れそうなほどの距離で呟く。吐息が顔を撫でるその感触に、身体がぞくりと粟立つ。

「・・・放して、お願い・・・いのう・・・んんっ・・・・!」

潤んだ怯えたような笹本の瞳に繋ぎ止めていたわずかな理性が決壊する。言い終わらないうちに口づけで唇を塞ぎ、舌で乱暴に口内を犯す。


それ以上何も聞きたくない。その口から洩れるのはあえぎ声と自分の名を呼ぶ声だけでいい。
薄暗い装備室に卑猥な水音と荒い息遣いがこだまする。






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