危機一髪
佐橋皆人×風花


出雲荘は不純異性交遊禁止である
しかし今、出雲荘の一室で行われているのはまさしくそれである

「んふ…皆人クン、手がお留守になってるわよ」
「え、あ…す、すみません!」

一糸纏わぬ姿で自分に跨がっているのはセキレイNO.03風花
彼女が微かに動いただけで溢れんばかりの胸が重そうに揺れる

(頑張れ俺!何とかこの状況から脱するんだ!!
……でもおっぱい…大きいし柔らかい…)

片手は胸へ、もう片方は股に導かれており逃げることができない
逃げようと思えば出来るかもしれないが、健全な男子の欲求が邪魔をする
自分の動きによって時々崩れる余裕な大人の表情とか、
艶っぽい体つきとか、全身から発される色気が、正直堪らない

「あ、あの、そろそろ朝ご飯に行かないと大家さんが様子見に来るかも…」

そうだ、自分は風花を起こしに来ただけなのだから、早く撤退しなければ、勘の鋭い大家さんに気付かれてしまう
そうなっては命の危機

「…んん…大丈夫よぉん」

これは駄目だ
寝ぼけ眼で自分に襲い掛かってきたところから薄々思っていたことだが、彼女は酔いが覚めてない

「あの、ごめん!」
「…ん?…やぁん!」

勢いよく上体を起こし、のっていた風花を剥がした

「あらぁ…皆人クン押し倒す方が好きなんて積極的なのねぇ」

「…風花、貴女は朝から何故一人で身悶えているのかしら?」
「…へ、あれ?」
「寝ぼけてないで早く着替えて下りてきなさい。
皆さん待っていますよ」

……あっれー?おかしいなぁ夢だったのかなぁ夕べ飲み過ぎたかしらぁ
と独り言を言いながら、身仕度のすんだ風花は居間への廊下を歩いていた


―き、危機一髪!!
荒ぶる自我を抑えて厠へ駆け込んだ青年佐橋皆人
彼の一日は始まったばかりである






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