亜宇他荘物語3
○○○×ミザリィ


ある日の亜宇他荘。

屋上に置かれたボンネットバス−どうやって屋上に上げたのだろう?−改造の事務所で私
立探偵を営む元刑事の火牙明のもとに、フリーライターの的矢悟郎がやって来た。

「南の島へ行かないか?」

的矢の誘いに露骨に顔を顰める火牙。
過去数回的矢が持ち込んだネタ話に付き合わされたが、ロクな目にあったためしがない火
牙だった。

「今度は正真正銘特ダネなんだって」

だが的矢は自重しなかった。
九州から軽飛行機で行ける無人島が拉致した女性に性的な虐待を加え、その映像をインタ
ーネットに配信している違法サイト運営者の撮影拠点として使われているという。
刑事を辞めたとはいえ正義の心を錆び付かせたわけではない火牙は、結局今回も的矢に付
き合うことになった。
そして舞台は南の島。

「たのむぜ相棒」

いつ武装したヤクザ者に遭遇するかわからないとあって、荒事に弱い的矢は火牙の背中を
離れない。
先頭に立って密林を歩く火牙のジャンパーの内懐には、ミリタリー&ポリスの名称で知ら
れる38口径のリヴォルバーのフィリピン製コピーが収まっている。
刑事を辞め、お世辞にも裕福とはいえない火牙が拳銃を調達しようとすれば、このような
ものにならざるを得ない。

「助けて!」

そこにいきなり全裸の女が飛び出してきた。

「あなたは201号室の!?!」

その女性は「恐竜ママ」こと峰岸礼子。
中学生になる息子がいるとはいえ、まだまだイケてる魅惑の人妻である。

「一体どうしてこんな所に?」
「実は――」

大家さん(=ミザリィ)に南の島に珍しい虫を採集に行くので。観光がてら一緒にどうか
と誘われて来てみたらいきなりヤクザ者に捕まって輪姦されていたという。

「私はチンピラ達が酒盛りを始めた隙に逃げてきたの。あいつらまるで警戒してないのよ」
「それでミザリィ…大家さんは?」
「島に着いてすぐ森の奥に行くからって船着場で別れたきりなの、私は浜辺で水浴びして
いたところを捕まって…」
「ヤバイな…」

その頃ミザリィは森の中でヤクザ者に囲まれていた。

「脱げ」

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火牙と的矢がミザリィを見つけたのは、島の南端の岬の頂上に築かれた、旧日本軍のトー
チカの中だった。
銃眼から中を覗きこみ、ヤクザ者達に輪姦されるミザリィの痴態に目を奪われていた二人
は、背後から後頭部を一撃され、あっさりと捕まってしまった。
ロープで簀巻きにされ、トーチカの中に連行された二人に見せつけるように、交替でミザ
リィを嬲り続けるヤクザ者達。
口とナニを同時に貫かれたミザリィが、グラマラスな肢体をくねらせ、悩ましい嬌声をあ
げる姿がビデオカメラに撮影されていく。

「どうしよう?」
「どうもならんからじっと見ていよう」

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そのとき悲しいくらいスーツ姿が似合わないガチムチの白人男の集団が現れて、あっとい
う間にヤクザ者達をノシてしまった。
ヤクザ者達と一緒にトーチカの外に転がされた火牙と的矢の前に、ガチムチ白人を引き連
れたミザリィが現れる。

「最近この島にレアメタルの鉱床があることがわかって、ロシア系の企業が採掘権を買っ
たんですって。この人達はもと空挺部隊やらスペツナズやらの警備スタッフだそうよ」
「どうしよう、俺ら不法侵入だよ」
「東南アジアに進出してるロシア系企業なんて、一皮ムケばみんなマフィアだ。下手すり
ゃ魚のエサだぜ」
「焦る火牙と的矢」
「私が約束を守れば面倒ごとにはならないわ」
「「お約束とは?」」

ミザリィは妖艶に微笑むと、ガチムチ白人と連れ立ってトーチカの中に入っていった。
翌日、四人はガチムチ&スキンヘッドの黒人が操縦する魚雷艇改造の高速輸送船に乗り、
バンコク経由で帰国した。

その後東南アジアの裏社会では、エルフ耳の美女の本番ハメ撮りビデオがベストセラーに
なったという。






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