とある夜の出来事
番外編


「かおり…っ」
「んっ…耕造さん…入ってきた」

深夜のベッド。
そこで、一つの夫婦が身体を重ねていた。
若いカップルとは違った、情熱的で深い。相手をいたわった行為。

「辛ないか?」
「大丈夫…あっ…」

耕造の優しい愛撫に、かおりは震えた吐息を吐き、より強く抱きしめる。

「かおり…苦しいわ」
「だって…こうしてないと耕造さんが消えちゃいそうで…」
「心配するな、オレはちゃんとここにいるで…」
「うん…」

強く握りしめた手は、もうどちらのなのかわからない汗でじっとり湿っていた。

「じゃあ、動くで…」
「うん…」

小さかったベッドの揺れが激しくなり、軋んだ音を出す。

「耕造さんっ…私もうっ…」
「俺も…アカンわっ…かおり…出すでっ!」
「あぁぁっ!」
「っく…」

―――

「耕造さん…」

ベッドの揺れがおさまり、二人は事後の余韻に浸っていた。

「もし、今から子供ができたら、どうする?」
「…!?できたんか!?」
「いやっ違うんだけど…ほらっもしもの話よ!」
「なんや…驚いたわ。
もしもできたら…そのときは、自由に育てるな」
「自由?」
「縛らんで、自分の好きなように生きる子供になってほしい」

「ふーん…」

「千秋とか野田を見ていて、そう感じるようになったんや」
「ふふっ…千秋君に感謝しないとね」
「どう言う意味やそれ…」

窓から見える夜空を見つつ、耕造は呟いた。

「あいつら…今頃フランスでなにやってるんやろか…」

―――

「っくしゅっ」
「風邪デスか?先輩」
「うーん…違うとは思うんだが…」
「どっかで噂されてるんじゃないデスか?先輩恨まれてマスから…」
「おまえには言われたくないな…」
「むー…じゃあ、裸で寝たとか…」
「おまえじゃねえ!変態」
「むきゃ!のだめだって先輩とHしないときは裸でなんて寝ませんヨ!」
「じゃあ今日は裸で寝かせてやろうか…」
「ふぉぉ…先輩がHモードに…」


そうしてお互いの夜は更けていった…






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