鈴木姉妹×千秋
番外編


卒業演奏会、二日目。
全てのプログラムが終わり、学生たちは帰り支度を始めていた。

「ねぇ萌…ほんとに大丈夫かしら」

柱の陰で、口紅を塗りなおしながらつぶやくのは、妹・薫。

「大丈夫、千秋さまのツボはリサーチ済みなんだから。のだめちゃんには悪いけど、
一回くらい借りたところで罰は当たらないわよ」

ゆるやかなウェーブを手櫛で整えているのは、姉の萌だ。
桃ヶ丘音楽大学の叶姉妹と呼ばれるこの二人は、Sオーケストラ内で唯一演奏会に
出られた奏者である(除くオカマ)。
姉妹での出演が決定したとき、二人は密かにある計画を立てていた。

それは――

「あ、来た!」
「千秋さまっ!」
「えっ!?」

突然の襲撃に後退りする千秋の腕を、それぞれががっしりと捕まえる。

「な…何だ!?」

のだめと真澄に見つからないよう、二人は少しずつ建物の陰に移動していく。
千秋の細い腕を、豊満な胸に押し付けることも忘れない。

「お疲れ様でした、千秋さまっ」

萌が言うと、

「わたしたちもすっごく頑張りましたよね!」

薫が満面の笑みで問いかける。

「ああ、う、うん…よかったよ…」

状況が把握できずうろたえる千秋に、二人は口を揃えて言い放った。

「ごほうび、下さい!」

…で。

どうしてこんなことに?

千秋は朦朧とした頭で、眼前の白いゴムまりを見つめた。

「あ、起きたぁ」

最早どちらのものとも区別がつかない声。

「今ね、萌ちゃんお風呂なんです。もうちょっと待っててくださいね」

そう言うと、上に跨っている双子の片割れはゴムまりを近づけ、千秋の
頬をやんわりと挟んだ。

「ちょ…待て、何やってんだ!?何でラブホにいるんだ!?
飲んでたよな俺たち!?」

意識がはっきりしても乳の魔力には逆らえないのか、
そのままの姿勢で千秋は叫んだ。

「あら…千秋さまが酔ってしまって『歩けない』って言うから、わたしたちが
ここまで抱えて来たんですよぉ。それに…」

薫は上半身を起こすと、千秋の右手をとって人差し指を口に含む。
千秋の身体が一瞬、ピクッと動いた。

「千秋さま、ごほうびを下さるって言いました…」
「それは…酒をおごるって…っ」

薫のやわらかな舌は、それ自体がまるで意思を持つ生き物であるかのように、
千秋の指を次々と蹂躙していく。

「らめれす…酒ろおろほはせっろれすから(駄目です、酒と男はセットですから)」
「ぅあ…っ」

泥酔している上に敏感な指先を攻められ、力が入らない。

(やばい…俺ピンチかも…)

両目をぎゅっと瞑りながら、じわじわと迫る快感に耐える千秋。
そこへ、さらなるピンチがやってきた。
ガチャ、とドアが開く音がしたかと思うと、

「ちょっと、何やってるのよ、薫!」

残る片割れがつかつかと近寄ってきたのである。

「もう、フライングはなしって言ったじゃない」
「ごめーん、だって千秋さま目を覚ましたからぁ」

(ゴムまりが、4つ…)

千秋は二人の迫力のボディを眺めながら、ふと思った。

(これも、いわゆる”オイシイ状況”って言うんだろうか)

スレンダーだった元カノ・彩子とは違う、ほどよく脂肪に包まれた、なめらかな身体。
男なら誰もが唾を飲む、たっぷりと実った双丘。そしてクラシック界の叶姉妹と評される、その美貌。
それが目の前に二人もいて、自分を誘惑しているのだから――。

(まいったな…)

千秋は小さく溜息をついた。

(…据え膳見たら食欲が湧いてきたかも)






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