手を出してこない
黒木泰則×ターニャ


「なんでこんな爽やかな朝にそんな質問を受けなきゃならないんだ!!帰れ!」

爽やかな朝、静かな朝食の時間(といってものだめはいるが)をそんな事で乱されてはたまったものではない、と千秋はまくし立てる。
「た、ターニャ・・・何でイキナリその質問なんデスかー?」

一方変態のだめは興味津々で身を乗り出す。

「あーもうそれもこれもヤスのせいヨ!!あんなのもう恋人じゃないわ!」

千秋の抗議など何処吹く風、ターニャは持参したラテを片手に食卓にどっかりと座り込んだ。

「ふおぉ過激デスね!!一体何があったんデス!?」

深い溜息とともにターニャを追い出す事を諦めた千秋も、黒木が関係していると聞いては
俗根性のそれではないが気になるというもので、不機嫌を表しながらもしっかり耳を傾けていた。

「ヤスが手を出してこないのよ。」

ターニャの深刻な表情から出てきた言葉にのだめは「あひゃあ・・・」と頬を染め、千秋はそのあけっぴろげな言葉に絶句する。

「知るかそんな事!!おまえらの性事情なんか興味はない!!」

「だって付き合って1週間も手が出ないってこれまでに経験した事ないのよ!!」

威嚇するような千秋に負けず劣らずターニャも反論する。

「日本人ってそんなにセックスが嫌いなの!?」

と、蚊帳の外だったのだめにはなしが向けられのだめは「むきゅうー・・・」と考え始める。

「そデスネ、千秋先輩の場合はパリに来・・むぐぁ」
「おまえまであけっぴろげになるな!!しかも何言おうとしてんだ!!」

ターニャは傍から見たらじゃれているだけの2人に(実際は死闘だが)溜息をつきながら

「それとも、ヤスはあたしの事好きじゃないのかしらね」

と愚痴をぽろりと零した。

「・・・・まあ、人それぞれ・・・としか言い様が無いな。そういうのは」
「好きじゃないっていうのは無いデスよー。ただ、そ、そういう事が無いダケで・・・」

慌てて二人ともフォローに回るがターニャの疑心は自分で口にして余計深まっていった。

気まずい沈黙にのだめの小さな奇声だけが混じる。
そんな折、千秋が机の上に置いていた携帯電話が着信を知らせた。

発信元は、今現在いろんな意味で気になる男黒木である。
着信を取ると、聞きなれたテノールが聞こえてきた。

「・・・もしもし」
「あ、もしもし千秋くん?朝早くに悪いんだけどそこにターニャいるかな?携帯電話なかなか出ないからそっち行ってるかと思って」
「いるけど機嫌悪いから来ない方がいいかも・・・・」

携帯から聞こえる声に混じって街のざわめきがきこえる。

「あー・・・本当?でももう・・・・」

その声と同時に窓の外を見ていたのだめが「ぎゃぼん!噂の黒木くんデス!!」と小さく叫ぶ。

千秋も携帯に耳を傾けたまま窓に走り寄るとアパルトマンの中庭には、
こちらも携帯片手に苦笑しながら小さく手を振る黒木がいたのである。

雰囲気で黒木の来訪を感じ取ったのか、ターニャはふてくされたような表情になり

「アタシ部屋に帰るわ」

と、一言残すと自分の部屋へと駆けていってしまった。

「あ、ターニャー・・・はうう・・・センパイどうしましょう・・・」

千秋は本日もう何度目か分からない溜息を一つ吐くと

「知るか。」

と携帯電話の通話を終了し、隣室のソファへと移動してしまった。

のだめも追って隣室へ移動するとちょうど来訪のベルが鳴る。
ドアを開けると、そこには見慣れた黒木の顔があり、これから始まる騒動を思わせたのだった。


日曜、昼下がりの午後。本日のパリは快晴で、天気もすこぶる良い。
芸術家たちのアパルトマン、千秋ものだめも本日は完全OFFである。

「ちょっとのだめーチアキーイキナリなんだけどセックス好き?」

の筈が突然のターニャの来襲によって平和な朝食は性の相談室となった。

「なんでこんな爽やかな朝にそんな質問を受けなきゃならないんだ!!帰れ!」

爽やかな朝、静かな朝食の時間(といってものだめはいるが)をそんな事で乱されてはたまったものではない、と千秋はまくし立てる。
「た、ターニャ・・・何でイキナリその質問なんデスかー?」

一方変態のだめは興味津々で身を乗り出す。

「あーもうそれもこれもヤスのせいヨ!!あんなのもう恋人じゃないわ!」

千秋の抗議など何処吹く風、ターニャは持参したラテを片手に食卓にどっかりと座り込んだ。

「ふおぉ過激デスね!!一体何があったんデス!?」

深い溜息とともにターニャを追い出す事を諦めた千秋も、黒木が関係していると聞いては
俗根性のそれではないが気になるというもので、不機嫌を表しながらもしっかり耳を傾けていた。

「ヤスが手を出してこないのよ。」

ターニャの深刻な表情から出てきた言葉にのだめは「あひゃあ・・・」と頬を染め、千秋はそのあけっぴろげな言葉に絶句する。

「知るかそんな事!!おまえらの性事情なんか興味はない!!」

「だって付き合って1週間も手が出ないってこれまでに経験した事ないのよ!!」

威嚇するような千秋に負けず劣らずターニャも反論する。

「日本人ってそんなにセックスが嫌いなの!?」

と、蚊帳の外だったのだめにはなしが向けられのだめは「むきゅうー・・・」と考え始める。

「そデスネ、千秋先輩の場合はパリに来・・むぐぁ」
「おまえまであけっぴろげになるな!!しかも何言おうとしてんだ!!」

ターニャは傍から見たらじゃれているだけの2人に(実際は死闘だが)溜息をつきながら

「それとも、ヤスはあたしの事好きじゃないのかしらね」

と愚痴をぽろりと零した。

「・・・・まあ、人それぞれ・・・としか言い様が無いな。そういうのは」
「好きじゃないっていうのは無いデスよー。ただ、そ、そういう事が無いダケで・・・」

慌てて二人ともフォローに回るがターニャの疑心は自分で口にして余計深まっていった。

気まずい沈黙にのだめの小さな奇声だけが混じる。
そんな折、千秋が机の上に置いていた携帯電話が着信を知らせた。

「黒木くんどうしたデスか〜?」

学校内ではヤキトリオの活動もあって黒木と行動を共にする事の多いのだめだが、
黒木が自宅へ来訪するのは珍しい。

(黒木がのだめと千秋がそういう仲というのを知っていて気を遣っているというのもあるが)

「ターニャの忘れ物。先生に頼まれちゃって」

黒木が鞄の中から取り出したのは楽譜の中の一枚と思われる紙。

「明日ピアノだから無いと困るかと思って」
「ふおあ!!コレ、ターニャ必死で探してたでスよ〜!!」

ふにゃりと顔を綻ばせるのだめとは対極的に千秋の顔のはすこしばかり不機嫌の色が浮かんでいる。
黒木もそれに気づかない程鈍感ではなくこそりと、のだめに耳打ちをした。

「ち・・・千秋くん、なんか怒ってる?」
「う・・・それはデスねえ・・・回りまわって黒木くんのせいではあるんデスが・・・」

耳打ちといっても所詮全員至近距離。
千秋はまたはあ、と大きく溜息を吐いて、立ち上がるとまずのだめを外に放り出し、瞬時にドアを閉めた。

「むぎゃあ!?千秋センパイ何でのだめは外なんですかぁぁ!?のだめも真相見たい聞きたい触りたい!デス〜!!」

哀願とともにダン!ダン!と大きく叩かれるドアに向かって千秋は

「ここから男同士の話し合いだ!!お前はターニャの部屋に楽譜届けてそのまま居ろ!」

と声を投げつけた。
が、なかなか引かないドアの振動と奇声に最終手段を切り出す。

「そうか、今日は缶詰でいいんだな?」

その一言にぴたりと騒音は鳴り止み、パタパタと怪談を上がる足音が聞こえて
やがて消えた。

あの変態と騒音が入り混じっては話をする所ではないし黒木くんの本心も聞くに聞けない。
が、ひと段落ついた千秋の部屋にはすでに気まずい沈黙が流れている。

ほんの数分の事ではあったのだがその光景と、自分の何が千秋の機嫌を損ねたかと混乱し、
入り口で固まっている黒木に「とりあえず、座れよ」と促した。

千秋は手元にある煙草に火をつけ、一口吸うと苦い顔をしながら

「・・・こんな無粋な話は、本当はしたくないんだけど・・・黒木くんって童貞?」

と切り出した。
到底普段の千秋から出てくる筈がない言葉に黒木は動揺を隠せない。

「え、ちょ・・・なんで?僕の経験値と千秋くんの機嫌がどこで繋がったの!?」

黒木の頬に朱が差すのもお構いなしに、千秋は心の底で(なんで俺がこんな修学旅行の夜的な話を)と
情けなさを感じつつも話を進めた。

「俺も知らない。で?実際のところは?」

千秋は、黒木くんが童貞ならばターニャと結ばれるのをテクニックだのなんだのに気を取られて
しり込みしているのでは無いか、という予想である。(自分がそうだったから/笑)

「い、一応経験はあるけど・・・・」

見事に外れた予想にがっくり肩を落とすと同時に、会話のじれったさと恥ずかしさに千秋の中で何かが切れた。

「あーもう、じゃあ何でターニャとセックスしないんだ?この時期だったらサルみたいに盛っててもおかしくないだろ!?」

黒木も、うすうす思う所があったのか納得したように何時もの落ち着きが多少戻った。

「ターニャが機嫌悪い、ってもしかしてソレの事・・・?」

千秋は即座に頷き朝の一件を話すと、黒木は少し考え込んで決意した様に目を合わせた。

「僕と千秋くんってトイレで一緒になった事ある?」

いきなり方向を変えた質問に、少しあっけに取られながらも千秋は記憶をたぐったが、
そんな所で行き会った事はない。

「いや?まだ一度も・・・・って、もしかし、て」

年頃の男子がトイレで居合わせた奴の注目すべき所・・・・・・・・
男子なら一瞬でわかってしまう問題であるが
あえて言うならばそれは、サイズ、の問題である。

「い、言いにくいんだけど僕、人より多少・・・サイズがあって、付き合う子付き合う子最初は流血沙汰になっちゃうんだよね・・・・。」

黒木はやはり多少の恥ずかしさからか目線は外しているが口調は落ち着いていた。

「そういうときに散々女の子に痛い思いさせちゃってるし、ターニャにもそんな思いさせるかと思うと、どうしても・・・ね」

言葉のはしばしから滲むのはターニャを大事に思うやさしさばかりだ。

千秋は疑問の解決で恥ずかしさが飛んだのか

「なにも、挿入するだけがセックスじゃないだろう。痛い思いをさせたくないのは判るけど・・・・
ターニャは寂しい思いするよりそっちを選ぶんじゃないか?俺はそう思う。」

淡々と、そう口にした。

ありがとう、と小さく頷いて黒木はソファから立ち上がり、

「ターニャの所いってくるよ。・・・別れ話になる前にね」

といつもの柔らかい笑みをはにかませる。
千秋も頷いて、もう短くなった煙草を灰皿で揉み消すと、「俺も行く」
と立ち上がり「お互い大変だな」と苦笑しながらドアノブに手をかけた。

「ターニャ、これじゃないデスか?探してた楽譜・・・。」

不機嫌メーターを振り切ったようなターニャに恐る恐る楽譜を渡すと、
ターニャは不安が一つ消えた事で安心したのか驚いたような口調で

「コレ・・・どこに」

と呟いた

「黒木くんが届けてくれたんデス〜むきゃっ!忘れ物〜って。」

ちょっとハート目線ではうはう言うのだめに、

(多分千秋に置き換えてまーた妄想してんのね)

と、すこしばかり呆れながら、苦笑が漏れる。

そんな緩い雰囲気ののだめをいままでずっと馬鹿にばっかりしてきたけれども
今はその緩さに助けられている気がした。
その証拠にさっきまで詰まっていた不機嫌な気分を大分削がれていて。

「とりあえず、入りなさいよ。どうせ追い出されたんでショ」

軽口を叩きながら促す様にドアは開け放してターニャは部屋の奥にある
ピアノスツールに腰掛けた。

「優しいですね、黒木くん」

続いて部屋に入ったのだめは暖かい日差しを吸い込んだフローリングにぺたりと腰を下ろす。

「明日、ガッコ行ってからでも渡せるのに」

のだめたちのアパルトマンと黒木の住むアパルトマンはそんなに離れていないが距離としては結構ある。
それを黒木はだいたい歩いてくるので結構な労力となるのだ。

ターニャは独り言のようなのだめの呟きを聞きながら、黒木の事を想っていた。

初めて手を繋いだ時の手の大きさや硬さや温度、
やわらかな雰囲気の中の確固たる意思。
はにかむような笑顔、
どきりとするような、低めのテノール

すべてが好きだから、あなたが欲しいのに


「うん、優しいのよ。だってわたしの彼氏だもの」

落ちた暗がりから浮上して、照れた様にターニャはのだめに微笑んだ。

「はうん・・・ターニャ〜」
「まさかアタシがヤスなんかに振り回されるなんてね」

ふ、と溜息をついて

「あんたらなんかに負けない位その内いちゃいちゃしてやるわ」

いつもと変わらないくらいの気の強い言葉を零すターニャに

「むっきゃあ!センパイとのだめの愛は未来永劫宇宙一デス!!!二人は燃えさかる太陽デスから!!」

と、のだめが対抗する。

もうすっかり雰囲気はいつものお喋りである。

「じゃあそろそろ燃え尽きろ」

いつの間に部屋に入っていたのか、のだめの後ろに回っていた千秋のお約束な一言が頭の上から降ってきた。
あうう・・・と悲しみにくれるのだめに対してターニャは知っていたようでピアノにもたれてくつくつと笑っている。

すっかり機嫌の直ったターニャに、安堵し

「お前に客だ。」

とターニャに言うと千秋はのだめを立たせるとボソボソと耳打ちをした。
耳打ちをし終わるとのだめは顔面総崩れでまくし立てる。

「むっきゃああああホントですか!!・・・ターニャ、今夜はセンパイとのだめホテルデートでス〜!はううううん!」

「全部要約して喋るな!!オペラ座に行くからこっちまで帰るの面倒だしあっちで泊まるだけだ!
・・・そういう訳だから今日は俺ら留守にするからな。あとは知らん。」

言いたい事だけ言ってさっさと2人は部屋へと戻ってしまい、入れ替わりに黒木が部屋へと入ってきた。

「楽譜、大丈夫だった?」

いつもの、優しい黒木にターニャは、なんだか小さな事でもやもやしていた自分が恥ずかしくなって

「うん、受け取ったわ。・・・ありがと」

すこし、二人ともぎこちない言葉が宙に舞う。

「ヤス、少し、休んでいったら?お茶入れるケド。」
「うん、そうする。」

にこりと、微笑んだ黒木にターニャの心臓は跳ね上がって、まるでお互い初めて両思いになった時のような感覚になってしまう。
それがなんだか堪らなくなって気づけば、ターニャは自分から黒木の胸に飛び込む様に抱きついていた。
ターニャがもたれてバランスが崩れる。そのままソファへと雪崩れ込む格好になって。

「ター、ニャ?」
「ごめん、これだけでいいから・・・・ヤス、ぎゅうって、してよ」

「・・・ん。」

初めて会ったときより薄くなった体に手を回して、少し力を入れて黒木はターニャを抱きしめた。
いままで、一番近い距離である。

ちょうどターニャの耳元に黒木の口元が当たって、お互いの体が熱くなっている事を感じてしまう。

「・・・ターニャ、好きだよ」

ターニャの耳からじんわりと、黒木の気持ちが染み込んでいった。
どちらとも無く、顔を見合わせる。

時間を掛けて、いままでにしたことのないようなキスをした。
唇を合わせ、啄ばむ様に唇で遊ぶ。
咥内に舌を伸ばして、絡める。
言葉よりなにより唇は雄弁に、お互いへの気持ちを物語っていた。

黒木の指が、ターニャの髪に触れ、そのなか程にある耳をなぞる。
耳から首筋へ、そして滑らかな背中へ。
そしてまた抱きしめる。

「ターニャ、・・・・好きだよ・・・」

一等低い、その声が耳元で響く。

くるりと、ゆっくりした動作で体制が反転する。
ターニャはもう、黒木が触れるここそこが熱くて堪らなかった。
恥ずかしくて伏せていた目を上げると、照れた目の黒木がいる。

「・・・ヤス、して、よ。」

もう強気な軽口なんて叩けない、やっとの思いで掠れた声でそう、伝えた。
返事の代わりに、額へのキス、続いて頬に、口に。

前開きのシャツを開くと、日に焼けない白い肌に、黒いレースの下着がよく映えた豊満な胸が現れる。
下着を外して、黒木はコクリと唾を飲み込むとその双丘に指を滑らせた。

「んん・・・」

全体の柔らかさを確かめる様に揉んでは、指を中心の突起に埋める。
やがてすこし硬くなって頭を出したそれを指の腹で捏ねると、ターニャの体がふる、と震えた。
ターニャは目を瞑って顔を逸らし、背筋に走る快感を堪えていた。

「ターニャ、目・・・開けて?」

恐る恐る目を開けたターニャを見つめながらまた指で突起を弾く。

「あッ、やだ、も、う・・・・っ」

いきなり与えられた快感にターニャの顔が歪む。
また目を閉じるターニャに黒木は

「駄目だよ、顔、見たい。」

と逸らされた頬にキスをする。

指はまだ突起の尖端を撫でていて、時折、爪先で弾くように掠めた。
その動きだけでもう尖端はぷっくりと硬くなっていた。
名残惜しげにもう一度胸全体を揉むと、
硬くなったそこに舌が下りて来る。

「あ、ふぁ・・・ん・・・ぅ」

ちゅう、とすこし吸い上げる様な動きをし、舌はそこだけを揺らすようにチロチロと揺らめいた。
もう片方の胸にも指が這い、心地よい愛撫を与えている。

「は、あ・・・あ・・・やあぁ・・・」

ターニャはこんなゆっくりとした愛撫に慣れていなかった。
いつも男達は自分の性欲を満たせばそこでもう終了なのだ。

愛撫は自分の性を満たす片手間のようにいつもその時間は早かった。
時には大して感じていないのに演技で声を上げる時もあった位で。

なのに黒木の愛撫はこんなにもゆっくりと自分を高めている。
まだ経験したことのない強い快感にターニャは唇から漏れる声が抑えられない。
慣れない愛撫に背筋はひりひりと震え、自分の秘部がしとどに濡れているのを自覚してしまう。

(こんなの、はじめて・・・・恥ずかしい・・・)

絶えず刺激を送っていた唇が不意に離れ、ついターニャは黒木を見上げる。

その視線に黒木は満足そうにまた、唇に触れるだけのキスをして、
ターニャの履いていたスカートを下ろしていった。
閉じられた膝にキスで断わりを入れてゆっくりと割り開く。

ブラジャーと同系色のショーツの中心が色を変えているんが見て取れる。

「あんま、見ないで・・・よ・・・」

なけなしの理性で訴えるターニャに、黒木は顔を綻ばせながら
その小さな布をするすると下ろしていった。
もう十分に潤っているそこにつぷり、と指を埋めて、小さな突起を探り当てる。

「やあ、だめ、ソコ・・・っ」

愛液を纏ったその場所に、ゆるゆると指を這わせると円を描くように指の頭で捏ね繰り回した。

「ん!!・・・ゃあ、あ、あああん!やだ、やあ・・・」

くりくりと、上下に嬲ってみたり、包皮を剥いて優しく擦ったり、と
そこを中心にじっくりと攻めていく。

「あ、ああっ、やあ・・・っだめ、だめ、ぇッ・・・・」
「ターニャ、気持ちいい?」
「・・・・や、もう、おかし、くなりそ・・・ぅっ」

ターニャは上気した頬に、涙目でいやいやと頭を振って訴える。
愛おしまれる感覚に、本当におかしくなりそうだ。

自分の手で乱したいやらしい姿と、薄く開いた唇から漏れる喘ぎに、黒木の中心も暴発寸前、ではあるが、
差し入れたターニャの胎内の狭さに、少し不安が走っていた。

指を止め、黒木は決心したようにシャツを脱ぎ、下衣に手を掛ける。
ポケットから避妊具を取り出し、封を開けていると不意にターニャが起き上がり、それを奪った。

「・・・付けたげる」

すこしの不安、が擡げるけれどそんな事にはかまってられなくて

「・・・うん」

ターニャの白くて細長い指がベルトのバックルを外し、下衣の前をくつろげる。
跳ね出るように膨らんだ怒張の盛り上がりに、ターニャは下着の上からそれをなぞった。

「ッ・・・・!!・・は、」

黒木の眉が歪み、息を呑んだのが分かる。
ゆっくりと、ターニャは目の前の下着を降ろして、少し驚いた。
少し浅黒いソレはターニャの指では僅かに一周できない太さに育っていたからである。
黒木のそこは、しっかりと勃ちあがり、鈴口が今にも腹に付きそうなほど反り返っていた。

かなり、日本人にしては大きく、そして太い。
ターニャは手に持った避妊具を少しづつ被せ、くるりと降ろしていくが、どうしても雁首で止まってしまう。
避妊具のサイズと、黒木のそこが違い過ぎるのだ。

「いいよ、ターニャ今日は・・・入れないから」

少し困ったように避妊具を外し、苦笑で告げる黒木を、ターニャは見上げ、ゆっくりと近づいて小さな声で告げた。

「イヤよ。アタシは、ヤスと・・・・したい。」

そして、黒木の腋から手を入れて、自分へ覆いかぶさるような体制へと導いた。

「でも、痛い、よ?」

不安げに、ターニャを見つめる黒い瞳。

「それでも、いいから」

先までの行為で十分に濡れていたターニャのそこに、硬く、熱い感触が当たる。

「・・・・・痛かったら、言うんだよ?」

こくりと、青い瞳が頷いて。

ぐ、と押し入る肉塊は、愛液の滑りを借りてきつい胎内にゆっくりと侵入していく。

「は、あ・・・んん・・・・ッ」

一番太い場所がターニャの胎内に沈み、太腿に腰骨が当たる感触で黒木のものが根元まで挿入されたのが
わかった。

「あ、はあっ・・・っ、」

痛い、苦しい、熱い、でもこれは、黒木なのだ。
大好きなヤスが、入っている。それだけでターニャは嬉しかった。

ぽろぽろと、ターニャが零す涙に、黒木はターニャの額に自分の額を合わせる。
熱っぽい、泣きそうな声が、降ってくる。

「ターニャ、好き、だよ。」

その声が、愛おしくて、ターニャは自分からキスをした。

そのキスを合図に黒木はゆっくりと、腰を引き、また戻す。
痛くて熱いその場所からじわりと、擦れる感覚がターニャの背筋を走った。

「あ、ん・・・ッ、ヤス・・・ぅ・・・っ」

ゆっくりでじれったい様なその動きはターニャの内部を余すところ無くズズ、と擦っていく。
痛みよりも大きな快感が動作するためのぬめりを増やしていった。

「痛い?ターニャ・・・大丈夫?」
「ん、ちが、なんかあッ・・・・変・・・んっ」

黒木は敏感に、ターニャが感じ始めている事に気がつく。
少しきつかった挿入が多少スムーズになり胎内がその大きな質量をきゅう、と柔らかく締め付けてきていて、
黒木は意識しなければ、射精感を止められそうになかったからだ。
ずぐずぐと、疼く場所を少し速度を上げて黒木が擦り上げる。

「きゃ、あ、あっ、あっあっ、んん、〜っ」

ターニャが意識しない所で、体の芯から快感がせり上がり、黒木を締め付ける。

「やだ、ヤス、あ、たし、い・・・・っちゃ、んん、ッ!!!」

ぎゅ、と胎内の黒木を絞り上げるような感覚にターニャが達した事を確認し、
黒木も限界に来ていた射精感を手放した。

「いい、よ、僕も・・・う、っく」

射精の直前、黒木はターニャの胎内から自身を抜き取り、白い腹部へと吐精を散らした。
少し西日の差し込んだ部屋に、甘い沈黙。
荒い息など気にせず、動けないで居るターニャにキスをして、二人で小さく、笑った。


後日談

「なあ、アレ、入ったか?」

ぼそりと黒木と偶然二人になった千秋が声を潜めて聞いてきた。
アレとは、用意の無かった黒木に千秋が渡した避妊具である。

「うん、でも途中で止まっちゃった(苦笑)」

千秋、撃沈。

正直は時に罪である(笑)。

続編:お出かけちあのだ(千秋真一×野田恵)






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