惨敗した夜
峰龍太郎×三木清良


押売コンクール ヴァイオリン部門、不覚にも二位、と惨敗した夜。
荒れて 酒に酔った清良に延々付き合わされたあげく、ホテルに誘われた峰は、
おそるおそる彼女の両肩に手をかけた。

「あの・・・、ほんとに、いいのか・・・!?」

清良はベッドに腰掛け、うつむいたまま、大きく頷いた。

「・・・気持ちわるくないか? 水、飲む?」
「・・うん」

峰は、コップにミネラルウォーターを入れて清良に差し出した。

「ほら」
「龍、飲ませて・・・」
「エ?」
「んー・・」

そう言って彼女は、唇を向けて来た。
これは、本気だ。覚悟、決めなきゃ。ーーいや、ここに来た時点で もう覚悟は固めてんだけど・・。

峰は、左手で自分の唇を一度 ゴシッと拭うと、水を口に含み、そのまま清良にキスをした。
合わさったまま少しずつ、互いの唇を開き、水が、峰から清良へと流れ込んでいく。
清良の白い喉が、美味しそうに ごくりと鳴った。
それを確認して、峰は清良のからだを抱きしめ、ゆっくりとベッドに押したおした。

あ・・・心臓が、早鐘のよーに打ちまくってる・・・・・

告白してからいままで、一緒の時間が増えていっても、軽いキスをするのがやっとだった。
手が出せない、っていうか・・・。ホント、いつもの俺らしくなくて。
清良の方に隙がないとかじゃない。俺に、勇気がなかっただけだ。

彼女が眩しすぎて。ヴァイオリンの音色も、さっぱりとした気質も、バランスいいスタイルも。
ドイツ語話せるし、海外でも生活してる・・・ 俺との共通点てなんだろう?
もしかして、派手好きなトコだけ!?

こんなアングルで、彼女の顔を見るのは初めてだけど、凄くきれいだ。
・・・絶対、大事にするぞ。峰龍太郎、命がけで!!

 ・・・・・

そして、彼女は・・・。
ーーーできるかぎり優しく と努力した俺の愛撫に、かなりくすぐったそうに応じてたのも、
いざ その時になると、身体が堅くなってて なかなかうまく入らなかったりしたのも、
きっと、酔いのせいなンだと思ってた。ーーでも。

ふと見た白いシーツに刻まれていた 小さな、痛々しいしるしを発見して、峰は思わず言った。

「えっ! なんで・・・? もしかして、おまえ・・」

清良は、峰を見ないようにクルンと寝返りを打った。

「/// なによ、うるさい。・・そーよ、初めてなの!! 悪かったわね! 」
「清良・・・!! 」

峰は清良を、背中からぎゅっと抱きしめた。

「ヤだ、なによ」
「・・・一生、おまえを大事にするー!! 」
「えっ」
「うわぁー・・・俺、今、すごい感動・・・あー・・清良ぁ・・・」

抱きしめたまま、ゆらゆら左右に身体を揺らして、峰は心底幸せそうな顔をしている。

「俺の最後の女の、はじめての男が俺、ってことだろ・・・あー 幸せだぁ・・・」
「なに言ってんのよ・・・恥ずかしいでしょ///」
「あっ、じゃぁ・・イタかったろ? ゴメンな、優しくやったつもりだったんだけど」
「ちょっとね。でも大丈夫よ」
「これから、だんだん良くしてあげるから!! 」
「もう、バカ・・・」
「ほんとだぜ、もう俺がずーっといるから、これからおまえはどんどん良くなってくンだから。」

ーーーコンクールで優勝できなくって落ち込んでたから、励ましてくれてるの・・・?

「ありがと・・・」

清良は初めて、自分から峰にくちづけをした。

ーーーそうだ、わたしはこの人にずっとそばにいて欲しい。わたしのことを、ずっと見ていて欲しい。
そしてわたしも、見ていたい。今の、そして これからの、龍を。

「んっ・・・、な、もう1回、してみる?」
「あ・・・。ウン・・・」
「そー、こなくっちゃー!! 」

ーーーまさか、清良が「初めて」だったなんて、思いもよらなかったから、本当に驚いた。
かなり、がまんしたりして、無理してたんだな、きっと。けなげなヤツ・・。
俺って、俺って、世界一の幸せ者だ。


峰は、時間をかけて清良のからだのすみずみまですべてを、やさしく撫でさすって暖め、また、唇で熱を伝えた。
髪から うなじ、華奢な肩から 長い指先、形のいい胸から つま先...。足指にキスをして、口に含んで、舐めて。
清良は だんだんリラックスしてきて、快感に対して からだがとても敏感になってきた。

「あ・・あっ・・ん、龍・・・ダメ・・なんか・・・触わられただけでビリビリして、・・気持ちいいの・・」
「もっと、感じよう? 清良・・。愛してる・・・」

そっと指を差し入れると、そこは、さっきまでとは違って、ゆたかに とめどなく溢れていた。

「きゃぁっ・・」

びくん、として、峰にしっかり抱きつく清良。

「可愛い・・」
「/// ぁんッ・・、龍ぅ・・もっと・・抱いて・・」

しっかりと肩を抱いて抱きしめて、峰は清良に、深いくちづけで答える。

泉の上にある花蕾に触れて、その触れた指を 軽く揺らすと、甘い、高い声が部屋に響いた。

「ああぁん」
「・・すげぇ可愛い、清良・・・。・・・・・挿れさせて・・」

峰は、蕾に指を置いたまま、手をあてがって、清良の泉に自分のモノをゆっくりと入れた。
とたんに、激しい快感と、心の奥まで満ち足りた感覚が、ふたりを包み込む。

さっきとは、全然違う・・。深く、受け入れ合って、ひとつになってる。
ふたりは、お互いの身体をしっかりと抱きしめた。
愛しくて愛しくて、溢れる この気持ちを表現できる言葉が、もう無いから。
何があっても離れないように抱きしめ合って、このひとが必要だ と強く思い、願う。

「龍・・。幸せ・・・。」
「うん。俺も」

峰は すこし身体を持ち上げて、清良の乳房を唇と舌で刺激しつつ、また 指で蕾を触った。

「あ、・・ヤぁ・・・・・」

喘ぐ声とともに、きゅうっ と、泉が窄まる。峰は、たまらなくなって、腰を揺らす。

「う、うーん、イイ・・」
「あ、龍っ、あァっ、あーっ・・・」

清良が初めて迎える絶頂の声を、峰は逃すまいとするかのように、唇のかたちを合わせて。

ふたりは、思いのまま、繰り返し 愛し合った。
全身を覆う けだるさが、やがて 眠りを誘い込む。

ほどなく、暗い部屋の中で 清良は眼を覚ました。

ーーーねむれない・・・。
煙草に手をのばし、ライターで火をつける。
ひととき忘れていた悔しさが、またこみ上げてきた。

ーーわたしの演奏は、あんなんじゃない!
もう一度、舞台に立ちたい。
本当のわたしの演奏を 聴いてもらいたい・・!

となりを見ると、無邪気な顔で 幸せそうによく眠っている、峰。
清良は煙草を消して、唇を近づけ、彼の頬にそっとキスをする。
ーーこの人がいてくれて、良かった・・・。

もし一人だったら、こんなふうに思えるまでに もっと時間がかかっていたかもしれない。
前を向いて。
そう、龍がいるから。前を向いて、わたしは また歩き出そう。
求めつづける、わたしの音楽の路を。

清良は、いまの気持ちを確認するように、自分の胸に手をあてて 瞳を閉じた。
そして笑顔で、峰の隣へと横たわり、頭を彼の肩に擦り付けた。






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