お宅訪問
千秋真一×野田恵


「先輩のうちには、豪華版プリごろ太を置いていきマス」

のだめは楽しそうにシェルフにコミックを、別の棚にはハートマークの食器を置いていく。

「頼むからやめてくれ!」

オレが言っても聞く耳ももたない。まったくこいつは何しに来たんだ?

「おい!いい加減にしろ」
「なんでデスか?会えないときも寂しくないようにと思って…」
「…会えない時に思い出して欲しいのはごろ太なのか…?」
「……」
「どうなんだよ?」

掴んだ手を引き寄せ、抱きすくめる。

「違いマス…」
「じゃあ…何?」
「のだめ…デス…」
「なら、もっといい方法があるだろ?」

のだめのハイネックのセーターをずらし、白い首筋に唇を這わせ、きつく吸い付いた。

「あっ!ダメです…」
「どうして?」
「だって、見えちゃいマスよ…。またターニャにからかわれマス…」
「見えない服をきていればいいだろ?」
「……」

のだめは赤くなって俯き、オレのセーターをにぎりしめている。そして、何を思ったのか、シャツの胸元のボタンを外しだした。

「の、のだめ…?おい…」

シャツの襟元を精一杯開くと、鎖骨の下あたりに吸い付いてくる。

「おいっ、あっ!」
「フフン、お返しデス。これで着替えのたびにのだめを思い出せますね?」
「………なら、もっとちゃんと付けておかないとな」

のだめの首筋の赤いあざをちらりと見て言うと、のだめを抱き上げ、ベッドに下ろした。

「し、しんいちくん……まだ、明るいデスヨ?」
「だから?」
「………」
「イヤ?」
「…イヤじゃ…ない……デス…ヨ」

赤くなって、困った顔をしているのだめの首筋に舌を這わせ、耳たぶを軽く噛んでやると、甘い吐息がもれる。
のだめがみじろぎするて、ふわりとシャンプーの香りがした。

「風呂、ちゃんと入ってるんだ?」
「…真一くんに会うから……」
「今日だけかよ…」
「先輩は、いつもいい匂いがしますね…。ムフフ」

のだめは相変わらずで、それがうれしい。反面、いつもと変わらないのに、新鮮にも感じる。
…久しぶりだからか?それとも、何か変わったのか…?

「確かめてみないとな…」
「何がデスか?あっ…ん」

オレは再び、首筋に唇を這わせながら、ワンピースの上から柔らかな膨らみに手を伸ばす。
掬い上げるようにしながらつかみ、掌にあまる柔らかな感触を確かめる。

「先輩、のだめも…」

のだめが、オレのセーターをまくりあげ、シャツの下から手を伸ばす。
体温が直に触れ、のだめの手が背中をはい回る。

「…明るいから、イヤじゃなかったのか?」
「ムキャ!カズオ…」

そういいながらも、のだめの手は背中にピッタリ張り付いて離れない。

「ちょっと待って…」

身体を起こしてセーターを脱ぎ、袖口のボタンを外そうとすると

「のだめがやりマス!」

そういって、ぎこちなくボタンを外していく。
袖口から胸元へ…ひとつひとつ、ゆっくりと。そして、いつものように頬を寄せてくる。

「ムハー、千秋先輩の匂いデス」
「…匂いはシャツでもいいんだろ?」
「…今日は中身つきデス」

そういって、胸元に吸い付いてくる。

「おい、のだめ…」
「…マーキング デス」

のだめはあきもせずにオレの胸元にキスをしている。一応、シャツで隠れる所は選んでいるようだが…。

「じゃあ、次はここも…ハァハァ」

のだめがベルトに手をかけた。

「ちょ、ちょっと待て!」

さすがにこれ以上されるままもつまらない。オレは再びのだめを抱きしめ、唇を奪う。…この唇も、久しぶりだ。
絡めとった舌を味わいながら、ワンピースのファスナーを下ろし、セーターを捲くり上げる。白地にグリーンの糸で刺繍をしたブラが姿を見せた。

「へえ…」
「…おニューなんデスヨ…」
「全部、見せて…」

まだ明るい部屋の中で肌を染めて、のだめが身をよじる。

「恥ずかしいデス…」

首筋には、オレが付けた赤い花。
その色に誘われるように、再び首筋に吸い付く。

「だ、だめデスヨ…見えちゃいマス」
「…見えなければいいんだ?」
「むきゃ…」

のだめが抗う間もなく、ブラを外して、胸元へ、腕の付け根へ、いくつものキスの雨を降らせていく。
ちゅっ、と吸い付くたびに、のだめがピクリと身体を震わせる。

柔らかな白い素肌を、誰にも見せられないように、しるし を付けていく。いつのまにか、のだめの胸元は花が咲いたようになっていて、オレはそれに満足すると、身体をさげ、内股にキスをする。

「先輩…あっ…んっ」

ショーツに触れるか触れないかの所に赤いあざを残しつつ、そっと薄い布の上をなぞる。

「ひゃうう…ん」

指が往復するだけで、のだめの身体はびくびくと震え、オレは布越しから潤いを感じていた。

すでに、硬く尖っている胸の蕾を口に含み、舌でねぶりながらゆっくり、ゆっくりと指を往復させる。
くちゅ、くちゅっ という水音とのだめの甘い息が重なる。

「のだめ…」
「ハイ…」
「声、我慢しなくていいから」
「で、でも…」
「大丈夫…」
「そん…ひゃ、はぁっ!」

すべりこんだ指が、敏感な突起に触れると、のだめはもう、声を抑える事はできなくて、その場所に掬いとった蜜を撫で付け、揺らす度に甘い悲鳴をもらす。
………いつもより、感じてるのか?
そう思うと、もっと感じさせたくて、すでにぐっしょりと濡れたショーツの紐をほどき、脚の間に身体を割り込ませ、そこに吸い付いた。

「はぁああ…ん…」

のだめの白い身体が大きく反って、震える。
吸い出して、剥き出しになったそこへ舌全体を押し当てるように、何度もなめあげる。

「あっ、ああん!しんいち…くん…だ…め、あっ…はぅん」

のだめは驚くほどに蜜を溢れさせ、オレの指をあっという間に飲み込んでいく。

「あっ、ああん…」

ぐちゅぐちゅと指が出入りするたび、突起をねぶるたびに、のだめの声が甘く、切なくなっていく。

「やっ、しんいちくん…のだめ、もう、だめ…あっ、あん!あああああんっ!」

大きくのけ反った身体は、弛緩し、オレの指をきゅうきゅうとしめつけてくる。

「…いつもより、感じる?」

かすれた声で尋ねると、のだめはぷいと横を向いた。

「そ、そんなコトないデスヨ」
「本当に?」
「………」
「素直に言わないと、おあずけだな」
「………」
「いいの?」
「…真一くんの、カズオ…」
「…じゃあ、ちゃんと言って。どうして欲しい?」
「……しい…デス」
「聞こえない…」

耳もとに息を吹き掛け、耳たぶを軽く噛んでやる。

「はぅぅ…くだ…さい…」
「何を?」
「……しんいちくん…の………」

のだめは真っ赤になって、両手で顔を覆っている。
オレは準備をすると、ゆっくりとのだめの中へ入って行った。

「はあぁ…」

熱くてキツイのだめの中が、うごめくようにオレを包み込む。
奥まで自身を納めてから、顔を覆っているのだめの手を解き、指をからめた。
そして、ゆっくり腰を動かしていく。…中をすりあげるたびに、蜜が溢れ、シーツに染みができる。

泣き声のような吐息と、水音と、身体の重なる音…そして、オレの息遣いが、部屋に響いている。
もっと深く繋がりたくて、指を解き、方脚を肩にかけると、再び抽送を開始する。

「やっ、こんな…恥ずかしい…デス…あっ、ああっ」

のだめのリズムに合わせて動きを加速させ、指で突起を刺激する。

「やっ!だめ…そん…な!」

のだめの中が突起を撫でるたびに、オレを締め付ける。
たまらない熱さとしめつけを感じながら、何度も何度も、中をこすりあげる。

「ひゃっ!あっ、あん!やっ…、もう…ダメ…あっ」

奥まで突き上げる度に、甘い声が耳元をくすぐる。

「しん…いち、くん…」
「何…?」
「キス…して…」
「ん…」

舌を絡ませ、咥内をむさぼるように味わいながら、下から突き上げる。ぴったりと重なった肌も、息も、なにもかもが熱い…。

「んん!ふぅん…ん…んん!」

深く繋がりながら、突き上げていくごとに、のだめが高まっていくのが解る。そしてオレも…。
オレは、のだめの中が震えるのを感じながら、欲情を吐き出していた。

「すごいコトになってマス…」

シーツで身を隠すようにしていたのだめが、自分の胸元を見て、驚いている。

「真一くん、いくら冬だからって…、ああ、脚も…」
「…マーキングだよ」
「ムキャ…」
「もっとつけてやろうか?」

オレは、胸元を覆い隠している、のだめのシーツを引きはがす。

「ムキャ!待ってください…」
「のだめ、今日はとまっていくだろ?」
「……ハイ」
「後で、最新作を食わせてやるよ」
「新、呪文料理ですか!?」
「好きなだけ、食わしてやる。…だから…まずはオレを満足させろ……」





ピンポーン!

玄関のベルが鳴る。…今、何時だ?すでに日がのぼっているから、昼前くらいか?
とりあえず、ズボンをはき、シャツを羽織ってドアを開けた。

「R、Rui!?」
「あっ、昨日はのだめサンと会うって言ってたし、今日ならいいかなって…」

突然の展開に声もでないオレの後ろから、半分ねぼけたのだめの声がする。

「…真一くん?どしたんデスかぁ?
「バ…、まだ、寝てていから!」
「…この声、のだめサン…あっ」

Ruiの視線が、胸元で止まっている。…そうだ、ボタンを止めてなかった…。視線の先には、昨日のだめがつけたマーキングのあと…。

「ワ、ワタシ、お邪魔だったみたいネ!か、かえるよヨ!」

Ruiが、身を翻して走っていく。また、からかわれるネタを作ってしまったと思うと、思わずため息がでる。

ベッドにもどると、のだめは再び、夢の中だ。

「おい、のだめ」

そっと、頬をつついてみる。

「ムニャ…真一くん……愛してマス…」

オレの手に手を重ねるようにして、のだめが言う。

「……めぐみ、オレも…」

そして、すやすやと寝息をたてる、のだめにそっとくちづけた。






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