喪失 ミニコンサート後編12
千秋真一×野田恵


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のだめに部屋の灯りを消して欲しいといわれたオレは、最初はそれをリモコンで消そうと考えた。
部屋を見回すと、後ろのローテーブルの上に目当ての物が置いてある。
それを取って来ようと立ち上がったオレは、急にある事に思い当たり、方向転換してドア付近にあるスイッチまで歩いていく。

ドアの側まで来てからこっそり肩越しに確認すると、後姿ののだめは夜着をお腹の辺りまで捲り上げていた。
その丸みを帯びたヒップラインから太ももにかけての滑らかな曲線に、オレの目は釘付けになる。
それと同時に可愛いヒップを包み込む例のヒモパンが丸見えになり……密かに興奮してしまった。

部屋の照明のスイッチをパチンと落とすと、ベッドとその周りだけが、ぼぉっ…と淡い光の中で浮き上がった。
するとのだめは灯りが消えた事に過剰反応したらしく、再び夜着を太もも辺りまで引下げてしまった。
後姿でも分かる位、未だに服が脱げなくて、もじもじとしているのだめが…めちゃくちゃ可愛い。
そんな初心なもどかしい仕草がかえって、『オレが脱がしたい』という欲望を掻き立てるって事、
こいつは分かっててワザとやっているのだろうか……?

オレはベットの方へ歩みを進める。
途中でローテーブル脇にあった普段使っているブリーフケースを手に取ると、その中から財布を探す。
のだめには気づかれないように財布を取り出すと、一番奥のポケットに指を差し込んだ。

―――……あった。

まさか三善の家でこんな事をするとは思っていなかったし、こっちに帰って来たその日にのだめの事故があったから……。
パリから持ってきていたゴムは一度も取り出すことなく、スーツケースの奥に入れっぱなしだった。
今からスーツケースを開いてそれを取り出すのは、“初めて”ののだめにその行為を具体的に意識させてしまうと思うし……
正直オレだって、そんな間抜けな姿をこいつに見られるのは……嫌だった。

一応用心の為、いつも財布の中に入れておいたコイツが初めて役に立つようだ。
オレはゴムだけをそっと引き抜くと、何事も無かったように財布を元の位置にしまった。

―――2個しかないけど……オレ、耐えられるかな……。

のだめとのセックスはいつも一度や二度じゃ絶対収まらなくて、あいつが気を失うまでオレは何度でも求めてしまうから……。
ゴムが2つしかない今夜は、かなりの自制心が要求される筈だ。

―――ってオレ……“初めて”のこいつ相手に、何一人で暴走してンだ……。

始める前に誓った、”今夜はのだめを大事に、大切に抱こう”という考えは、一体全体どこにいったんだ……?
すぐに男の欲望に支配される自分の思考に、我ながら呆れ果てた。

ベッドサイドに近づくと、オレは隠し持っていたゴムを、そっと左下のベッドとマットレスの間に押し込んだ。

「……のーだめ。」

オレは後ろからのだめを出来るだけ優しく抱きしめる。

「……むきゃ!」
「……なぁ、オレはいつまで待ってればいいンだ?」
「だ…だって……。」

そう言ってのだめが俯くと、バージンボブがさらさらと前に流れ、白いうなじがあらわになった。
その姿が妙に艶めかしくて……すっごく色っぽい。不本意ながらも、オレはグッときてしまった。

「……オレもおまえにお願いがあるんだけど。」
「…な、何ですか?」
「脱がさせて……。オレが脱がしたい……。」

そう言ながら、オレはのだめのうなじを下から上へ舌の先でつつつ…と舐め上げた。

「……あっ。」

こいつの性感帯の一つでもあるうなじを掃くように舌で舐め続けると、身体が緩やかに柔らかく解れていく。
オレは舌での愛撫を続けながら、のだめの夜着の裾をそっと捲り上げた。
そしてさっきこっそり覗き見た、お腹の辺りまで手繰り上げると、それを止める。
下半身はあられもないヒモパン姿ののだめの腰が、僅かだが前後に揺れているのにオレが気がついた。

「なぁ…いい……?」

ダメ押しでのだめの耳元で囁くと、耳の中に舌を入れた。

「いやんっ。」
「『いやんっ』じゃなくて、『いいっ』って言えよ。」
「も…ぉ……。」

その言葉を肯定と取ったオレは、耳たぶを甘咬みしながら最後の言葉を囁いた。

「ほら…両腕…上げて……?」

のだめはようやく、のろのろと両腕を上げた。
オレはのだめの気持ちが変わらないうちにと、一気に夜着を捲り上げ、一瞬でその身体からそれを抜き去った。
バサッという音と共に夜着を取り払う瞬間、のだめの柔らかな髪もそれにつられるようにふわりと持ち上げられる。
そしてそれは重力に抗う事はせず、パサリ、パサリと舞いながら再び元の位置に戻った。

一瞬にして下着だけの姿にされたことに気がついたのだめは、恥ずかしさからか、オレから慌てて身体を離す。
そして胸を隠すように腕を組み、足もキツク閉じて、正座を軽く崩したような座り方をした。
童顔に不釣合いな程豊満なのだめの胸が、腕で寄せられた結果、ますますその大きさを強調して……
オレはしばしそのくっきりとした谷間に、目を奪われていた。
するとそこばかり見ている下心全開なオレの視線に気がついたのか……のだめは顔を真っ赤にして背を向けた。

その瞬間、透き通るように白い肌をしたのだめの、その背中一面に広がる痛々しい内出血の痕が眼前に広がった。
時間が経過して所々どす黒く変化した紫斑が、落木時の衝撃を何よりも雄弁に物語っている。

「うわ…すげーな……。のだめ、コレかなり痛かっただろ……?」
「……もう見た目ほど、そんなに痛くないデスよ……。」

相変わらずオレから少し離れた場所で、後ろ向きの姿勢ままのだめは呟いた。

「本当か?ならいいんだけど……。あ、でもここに、湿布とか貼らなくていいのか?」
「自分一人では貼れないんデス……。いつもは由衣子ちゃんに、お風呂上りに湿布を貼って包帯巻いて貰ってて……。
今日は由衣子ちゃん…いないんで……。」
「おまえ、退院してからずっと…由衣子と一緒に、風呂入ってたのか?」
「ハイ。最初は腕を持ち上げるのも痛くて、頭とか自分で洗えなかったんで、由衣子ちゃんに手伝って貰ってました。」
「……ふーん。」
「お風呂はもう一人でも大丈夫そうですケド、湿布は手が届かないんですよネ……。パリに行ったらどうしよ……。」
「……大丈夫だろ。おまえが治るまで、オレが一緒に風呂に入ってやるし、湿布も貼ってやるから。」
「ムキャーーー!!」

のだめは頬を上気させて、振り向いて叫んだ。

「千秋先輩のスケベーーー!!」
「は?どこがスケベ……。」
「カズオのえっちーーー!」
「何でカズオ……。っていうかオレ、これからもっと…えっちな事をする予定なんだけど?」
「……っ!!」

のだめは言葉にならないようで、顔をゆでだこ状態にさせて口をパクパクさせている。

「さて…と。確認しないと…な。」
「確認?」

のだめを後ろ向きのまま、ぐっと自分の方へ抱き寄せる。

「……むきゃっ!」

腕を組んでいた為、シーツにも掴まる事が出来ずにバランスを崩したのだめは、
体育座りのままで後ろにそっくり返ったような姿で、オレの胸の中に飛び込んできた。
のだめが自分の胸を守るように組んだ腕の上を、オレは更に包み込んで抱っこするようにして、
胸の中にその愛しい存在を閉じ込めた。

「ほら、おまえがどれだけキスが好きなのかって…証拠。教えてやるって言っただろ。」

そう耳元で低く囁き、耳の中に息をふっと吹き込む。
ここが極端に弱いのだめは、身をよじらせるようにして切なく嘆息した。

オレは続けて耳を舐めながら、のだめの秘所へそっと右手を伸ばした。

「……あっ!」

いきなり大切な所をタッチされたので、驚いたのだめは膝を立てたままで慌てて足を閉じた。
しかしオレは手を引かなかったので、右手はちょうど親指を除いた4本の指全体で、
のだめのアソコを包み込むような感じのまま、その太ももに挟まれている。
すぐに、そうする事はかえって自分自身のソコに、オレの手を拘束しているのと同じなのに気がついたのだろう……
再びパッと足を開く。
しかしどうしたらいいか分からないといった様子で、中途半端な開き具合で、もぞもぞと足を動かしていた。

のだめのそんな初々しい様子が可笑しくてコッソリと笑みを浮かべると、オレはヒモパンの上から蜜口に触れる。
やはりそこはもう……熱く湿り気を帯びていた。

「……相変わらずキスだけで感じるんだ。」
「そ、そんな事……。」

ヒモパンの脇から指を侵入させると、すでにそこはとろとろの蜜を溢れんばかりに滴らせ、温かく息づいている。

くちゅ…くちゅ……

オレはワザと音を立てて、蜜口から溢れ出した愛液を、のだめの花びらに擦り付けながらそこを弄ぶ。
のだめは自分の下半身の変化に羞恥心を押さえきれず、真っ赤になって息を止め、震えながら瞳を固く閉じている。

「ほら…な?おまえのココ……もうこんなにいっぱい……期待に潤んでる……。」
「やぁ…んっ……ちがっ……。」
「どこが違う……?こんなに濡れてるのに……?」

一番敏感な花芽を焦らすように時々軽くタッチしながら、同時にオレはこいつの耳の裏を唾液で塗りたくるように舐めあげる。

ちゅく…ぴちゃ…ちゅぷ……

のだめの耳たぶをオレの口内へ迎え入れた時に漏れる水音は、今、こいつの頭にダイレクトに響いている筈だ。
のだめ自身が発する淫らな水音と、オレが耳元に与える粘膜音とが、静かな部屋の中で淫靡なコンチェルトを奏でていた。
オレはいったん、のだめの花びらから指を引き抜いた。

「見ろよ……。」

そしてのだめの透明な蜜でまみれたその指先を、のだめの眼前に見せ付けるようにしめした。

「な?すっげー濡れてるだろ……。」

恥ずかしさに耐え切らないといった様子で、のだめは目をきつく閉じて顔を背けた。

「のだめ…ちゃんと見ろって……。」
「も…ヤだー……。」

のだめはイヤイヤをしながら首を振った。その仕草がかえって、オレの加虐心を煽る。

「ヤじゃないくせに……。んー…甘い……。」

最後に呟いたオレの言葉が気になったのか、のだめは顔だけ後ろに振り返った。
そして、オレがしているその動作を目撃すると、奇声を上げた。

「ムキャーーーー!!」
「……なに。」

白目になって、のだめは固まっていた。

「ち、千秋先輩……何してん…デスかっ……!!」
「何って……。指についたおまえのを舐めてンだけど?」
「ぎゃぼーーーー!へ、変態っっ!!」
「これ位で変態呼ばわりされるのか……。そうなるとオレ、この先更にド変態な事、おまえにしまくるんだぞ?」
「なっ……なっ……!」

これ以上は言葉が続かないのか、のだめは滑稽なほど唇を震わしている。

―――しかしこれしきの事で、何でこいつはこんなに過剰反応してンだ?

どうもさっきからずっと気になってはいたが、のだめの性に関するスペックが……ひどく幼い気がする。
行為自体、何をどうするのか知ってはいても、その具体的なアレコレは、ほとんど知識がない感じだ。
オレが本当に初めてこいつを抱いた時でさえ……処女特有の“イヤイヤ”はあっても、ここまでじゃなかったような……。

―――あ…のだめって今…18歳だったっけ……。

そういえば、のだめの中の時計では、高校を卒業して上京したばかりだった。
と言う事はオレは今、18歳の…この前まで高校生だった、のだめを抱いていると同じという事か……?

―――……わ、悪くない。って言うかむしろ……すっげーそそる……。

ヤバイ。一瞬不埒な事を考えてしまった。オレものだめの言うとおり……少し変態かもしれない…な。
のだめを女にした時、確かあいつは23歳で、今ののだめよりも5年も経ってる訳だから多少知識があるのも頷ける。
そういえばこいつ、人のパソコンで有料エロサイト巡りしてたしな……。

「……なぁ、のだめ。イヤだったら、本当にイヤだって言ってくれていいんだ……。」

指を舐め終えたオレは、そう言いながらのだめの首筋にキスをした。

「でも今夜は頭の中まっさらにして……オレのする事を……ただ素直に感じるままに…受け入れて……。
だからもし気持ちいい…と感じたなら……抑えないで声、聞かせて欲しい。」

のだめは黙ってオレの話を聞いている。

「……分かった?」

頬をピンク色に染め、のだめはこくんと頷いた。少しリラックスした表情を浮かべたのを見て、オレは安堵した。

のだめの気持ちが落ち着く頃合を見計らって、オレは愛撫を再開した。
のだめの胸の上で組んだ両腕を後ろからゆっくりと外すと、腋の下から腕を差込み、
今度はブラの上からその豊かな胸をやんわりと揉みしだく。
時々先端の部分にワザと引っ掛けるように揉みあげると、のだめは切なげな吐息をもらした。
オレはブラの上からきゅっ…と先端を摘み上げ、生地の上から震わせるようにして、しつこく擦った。

「あふ…んぁ……先輩、それ…やぁん…!」
「……直接触って欲しい?」
「…ば…かぁぁ……!」

さっきよりも、明らかにのだめの表情が違う。性感を刺激されたと思ったら素直に反応し、それを表現しだす。
それを見てたら直接に、のだめのたっぷりとした膨らみを……早く堪能したくなった。
のだめを焦らしているつもりだったのにオレの方が先に我慢できなくなり、ブラを少しだけ上にずらす。
そしてまあるい下乳と、ピンク色の乳首だけをぷるん!と露出させた。

「もう立ってる……。こんなに小さいのに、つんと上を向いてて……可愛いな、お前の乳首。」

からかうように耳元で囁くと、人差し指で両方の乳首をピン、と弾いた。

「あんっ!!」
「……すっげーイイ声。」

のだめの乳首は、その胸のボリュームからは考えられない程小さくて、しかも感度は抜群だ。
こいつは色素が薄いタイプだから、乳輪だけでなく乳首までしっかりとピンク色だし……それはまさにオレ好みで……。
下乳に手をさわさわと添えながら、その淡く色づいた桃色の突起をオレは指先だけで愛撫した。

くり…くり…くにゅくにゅ……

「はぁ…んあ!やぁぁー…んふぅ……。」

―――優しく摘んだり、指の腹で押したり……

きゅい…きゅい…きゅん…きゅぅぅーーー…

「んんっ…んーー…あんっ…あんっ!」

―――円を描く様に捏ねたり、引っ張るようにしごいたり……

のだめはその度に、ビクンビクンと前のめりに身を捩じらせ、まるでネコの様な甘ったるい嬌声を漏らす。
もう痛々しい程に固く立ちあがったソコは、オレの与える僅かな刺激にも敏感に反応してしまうようだった。
そんなのだめの痴態にオレも堪らず、少し性急にブラのホックを外すと、両腕から脱ぎ去った。

―――あー…やっぱりこいつの……でけー。

眼下に見えるのだめの双乳は、弾む息の上でたわわに揺れながら、存在感を主張していた。
夜目にも白く、透き通るようなすべらかな肌質が…オレの視覚を十二分に刺激する。
オレは二つの膨らみをやや乱暴に鷲掴みにすると、その弾力感を楽しむように指を食い込ませて揉みしだいた。

ぐにゅぐにゅ…ぐにゅん…ぐにゅっ…

「ひあっ!あぁ…やぁん!センパイ…もっと…優しくぅ……。」

半開きののだめの口唇から、男を煽る“可愛いおねだり”が初めて出てきた。
先程散々オレが乳首を弄ったから、のだめの身体はいつしか熱を帯び、愛撫される悦びを甘受しだしたようだ。








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