A Happening Night
碓氷拓海×鮎沢美咲


「あの…碓氷、これから、時間大丈夫か?」
「別に家に帰るだけ、だけど。何?」
「あ、嫌だったらいいんだ別に。」
「嫌だなんて、言ってないし、まだ用件も聞いてない。」
「すまん、いや実は、あの、その、な、妹が昨日から修学旅行で居ないんだ。それなのにタイミング悪い事に、妹の応募した懸賞の豪華蟹三昧セットが届いてしまって、お母さんと私だけでは食べきれそうに無い量で…よかったら。」
「えー、会長の家にご招待?」
「違う。おすそ分けだ。持って帰れ。」
「でも、家までは、一緒に行っていいんだ。ドッキドキ。」
「へんなこと言うなら来なくていい。」
「てもう着いちゃった。」
「何で私の家を知ってるんだ。まあ、いい、今持ってくるからこで待ってろ。」

某月某日。
メイド・ラテでのバイトを終え、二人で帰って来た。碓氷もキッチンの臨時バイトがすっかり定番になり、二人で帰ることも多くなっていた。
とはいえ、まだ碓氷に対する警戒を解ききれない美咲は、家の近くの大通りで、別れるのが常だった。むろんその後碓氷は、美咲が家に着くまで、しっかり 気づかれないようについていき、玄関のドアが閉まるまで見守っていたのだが。

「うわぁ!!」
バリバリと木の割れる音がして、碓氷の絶叫がそれに続く。
美咲が駆け付けると、玄関の踏み抜かれた床に、碓氷がはまっていた。
家族はすっかりその穴の存在に慣れ、誰もはまらなくなっていたのだが。

「碓氷!待ってろって言っただろ?余計な事をするから、罰が当たったんだ。」
「だって、重いだろうから、持ってあげようと。痛いよー会長、骨折れたかも。」
「バカ!もう!とにかくそこから出ないと。もうじきお母さん帰って来る。うちの母は看護師だから、安心しろ。」
「とりあえず、助けてよ。」
「仕方が無いな、ほら、つかまれ。」

碓氷は美咲の腕につかまり、穴から足を引きずりだした。だが、その拍子に、美咲は勢いよく後ろに倒れ、碓氷がその身体を組み敷くような姿勢に陥った。

「おい、碓氷、さっさとどいてくれ。」
「足が痛くて動けないよぉ」
「バカ言ってないで、どいてくれ、そもそも、こんなところに、母が帰って来たら、言い訳出来ない。」
「へえ?何にもやましいこと無いのに?」
「驚くだろ…。なあ、頼むから。」

間近に有る、碓氷の顔にどぎまぎしながら、美咲は碓氷の身体の下から抜けだそうとした。
そのとき、携帯電話の着信音が響いた。

「出れば。」

碓氷は美咲に携帯電話を手渡す。

「ああ、お母さん、どうしたの?え、私?ちょっとバイトから走って帰って来たから。え?何?」
「ゴメンね、急に夜勤やらなきゃならなくなっちゃって。今晩帰れないけど、戸締まりちゃんとしてね。」
「そんな…お母さん…。」
「蟹、冷蔵庫に入れて、なんなら冷凍すればいいわよ。」

碓氷に組み敷かれたまま、話し終えた美咲は、ぐったりと碓氷から視線をそらした。

「聞こえちゃった。」

碓氷が微笑む。

「邪魔は入らないって訳だね。」
「何言って…あ。」

美咲が全てを言い終える前に、その唇を碓氷の唇がふさいだ。
手足をばたつかせ、美咲は逃れようともがいた。
唇を離し、碓氷は美咲を見つめる。

「いい加減、俺が鮎沢を本気で好きだって解ってくれても、いいんじゃないの?それに、鮎沢だって、俺のこと、好きでしょ?」
「バカバカ、そんな訳無いだろう?」
「じゃ、なんで、こんなにドキドキしてるの?」

碓氷の手が、美咲の胸に伸びる、その感触を確かめながら、美咲の鼓動のはやさをも、確認する。

「そんなとこ、触るな。」
「本当に嫌なら、俺を得意の合気道で吹っ飛ばしていいよ。俺はあのヘンタイお兄さんと違うから、寝技かけたりしないよ。」
「…。」
「どうしたの?」
「イ…ヤ…じゃない。」
「ん?聞こえ無かったな…大きな声で言って。」
「嫌じゃない、って言ったんだ。何度も言わせ…く、あ。」

美咲の唇をふたたび碓氷の唇がふさいだ。
美咲自身、とうに気が付いていた。自分が碓氷の事を好きなのだと。けれども傷つく事を恐れ、碓氷の気持ちに気付かないふりをして、からかわれているのだと、信じこもうとしている事にも。

「信じていいのか、碓氷。」
「美咲。」
「何だ、じろじろ見るなよ。恥ずかしいじゃないか。」
「可愛いな、本当に。」
「バカ。足、大丈夫なのか。」
「平気みたい。美咲背中痛くない?」
「そういえば、少し。」
「美咲の部屋、二階?」
「そうだけど…おい、何を…!」

碓氷は美咲を抱え上げると、そのまま階段を登り、二階へ向かった。
器用にドアを開け、中へ入って、美咲をベッドに下ろし、座らせた。

「良かった。」
「何が。」
「いや、美咲のキャラからして、布団敷かなきゃならないかと思ったから。」
「どういう意味だよ。」
「何となく、布団を朝晩まめに上げ下ろししてそうだなと。」
「中学まではそうだったよ。…って碓氷、一体何考えてる?」
「やだなあ、いまさら。ほら。」

碓氷は美咲の隣に座り、美咲の頭をかかえ、抱きしめる。
美咲の耳が、碓氷の胸に押し付けられる。

「俺、ドキドキしてる。聞こえるでしょ。」
「うん。」
「どうしても嫌なら、今のうちに言って。もうすぐ我慢出来なくなるから。」

碓氷は、抱きしめた腕を解き、美咲の肩に手を置いて、その瞳を見つめる。

「碓氷は、いいのか。私なんて、女の子らしくないし、言葉遣いも乱暴だし、それに」

三度目、美咲の唇は碓氷の唇でふさがれた。
唇が離れ、また碓氷は美咲を抱きしめた。

「可愛いよ。全部まるごと、好きだよ。」
「あ…りがと。」
「もう、嫌って言っても、止められないからね。」

碓氷は美咲の肩を支えて、その身体をベッドに横たえた。

「シャワーとか、いいのか。」
「メイド・ラテで着替える時に浴びたばっかりだろ。」
「…ゴメン碓氷、嫌じゃないんだ、嘘じゃない、けど、少し…凄く…怖い。」
「優しくするよ。それとね、碓氷じゃなくて、拓海って呼ぶこと。」
「う…じゃない、た、拓海は初めてじゃ無いんだな。」
「ゴメンね。」
「いつでも、何でも、私より先を行ってるんだな。」
「別に自慢出来ることじゃ無いよ。」

拓海の口調から、この話題を続けるべきではないことを、普段鈍すぎる美咲さえ感じとって、黙った。

「初めてなんだ。美咲、ちょっと…いや、個人差は有るみたいだけど、痛いらしいね。」
「怖いっつってんのに、さらに脅すのか、う…た、拓海。」
「素直だね。美咲。」
「やっぱりからかってるのか、お前は。」
「ゴメン、ついいつもの癖が抜けなくて。…てれ隠しって奴?」
「自分で言うなよ…。」

拓海は、美咲のシャツのボタンをひとつずつ外していった。

「あ、」
「どうしたの、美咲。」
「下着、可愛くない…。」
「知ってる。気にしない。」
「あのな、少しは女の子の気持ちを…しかもなんで知ってる。」
「そういう台詞が美咲から出るなんて、びっくり。」
「悪いか。」
「嬉しいけどね、美咲は甘くて美味しいキャンディの味は覚えてても、その包み紙のデザインのこと、覚えてる?」
「私はキャンディか。」
「そう、とびきり美味しいね。」
「食べる前から断定出来るのか。」
「もちろん。ほら。」

拓海は、美咲のシャツを脱がせ て、スポーツブラをずらすと、小ぶりだが形の良い美咲の乳房を露出させた。

「美味しそう。」

拓海は美咲の耳元で囁いてから、乳首に舌を這わせた。

「あ、固い。」
「バカ。」
「気持ちいい?」
「くすぐったいよ。」

美咲の乳房へ、舌と唇とで愛撫を続けながら、拓海の手は器用に美咲のジーンズを脱がせた。 ブラも取り、パンティだけの姿になった美咲から離れ、拓海は自分も服を脱ぎ、美咲の横に身体を横たえた。

「寒くない?美咲。」
「す、少し…。」

拓海は美咲の身体を抱き寄せ、唇を重ねた。美咲は自分の心臓の鼓動が、とんでもないことになっていることを自覚していた。拓海の胸は引き締まって無駄なく筋肉がついて、普段から鍛えられていることが容易に想像出来た。

「熱い…。」
「人の身体って、温かいでしょ、美咲。」
「熱いよ。」
「興奮してるからかな…熱出てるかも、俺。」
「大丈夫なのか、た、拓海。」
「もちろん。美咲も熱いよ。」
「本当に、するんだ。」
「もう、この先は、我慢出来ないって言ったよ。」
「なるべく、痛くしないで。」
「努力はしてみるけど…とりあえず美咲も力抜いて、ね。」
「あ、ちょっと、あ、あ。」

拓海の手が、美咲のパンティに伸び、その中へと侵入する。
もう片方の手と、唇は、それぞれ乳房を愛撫していた。
美咲の蜜があふれだしていることを確かめ、拓海はパンティを脱がせた。

「もう少し脚、開いて。」
「え、だって。」
「それと、力抜いてって。」
「ちょっと、ちょっと待って。」
「待てない。」
「拓海っ。」

拓海は美咲の脚を拡げさせ、蜜をあふれさせ続ける場所へ、指を這わせた。

「大丈夫。でも、痛かったら、ゴメン。」
「あの、何か、異物感が。」
「まだ、指しか入ってないよ。」
「ゆ、指?」
「たぶん、もう少しキツイと思うから、力抜いて、ちょっと覚悟して。」
「…わかった。」
「じゃ、いくよ。」

美咲が想像していた、数倍の痛みを伴って、それは美咲の中へ侵入してきた。
思わず悲鳴が出そうになるのを、美咲は耐えた。

「やっぱり、痛い?」
「ん…平気…だよ。」
「凄い我慢してる顔、してる、辛いなら止めようか。」
「ダメ。」
「美咲。」
「せっかく、我慢してるんだから、気をつかうな。」
「可愛いな、本当に。」

拓海は美咲を抱きしめた。

「拓海が私の中で、熱くて、脈打ってて、なんだか変な感じ。」
「申し訳無いけど、このままだと、終われないよ。」
「知ってる、けど、痛いんだもん。」
「じゃ、とりあえず、今回はこの辺で、我慢することにしようかな。」
「いいよ。でも、避妊とか平気なのかな。」
「それ、もうちょっと早く気づくべき。」

拓海が抽送を始めると、美咲の口からは、こらえきれない悲鳴が漏れ始めた。
悲鳴のたび、拓海の唇が美咲の唇をふさぐ。
美咲には、その時間が、ほんの一瞬にも、何時間にも思えた。

「終わった…のか?」
「うん。ほら。」

拓海が美咲の身体から離れ、目の前に差し出したのは、コンドームだった。

「そんなもの、見せるな。いつの間に、そんなの。」
「だってさすがに妊娠はまずいよね、まだ。」
「いつも持ってるのか、それ?」
「うん。」
「バカ!!った、痛い、まだ痛いよ。力入らない。」
「美咲、可愛いよ。」

拓海は美咲を抱きしめ、唇をふさいだ。






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ