巴マミ。いけない家庭訪問
番外編


マミさん×オリ男
マミさんが体を売ってる設定です
以上苦手な方はスルーお願いします


桜も散り、どこか初夏の香りが漂う昼下がり。教務室の自席でくつろいでいた私は、不意
に教頭から声をかけられた。

「少しよろしいですか、先生」
「ええ、まぁ」

パソコンから目をあげる。いつもと変わらない、人好きする笑みを浮かべながら、彼はコ
ーヒーカップを片手に持っていた。淹れたばかりなのだろう。カップからは湯気が立ち上っ
ている。

「では、失礼して」

今は主が不在の隣席に腰掛けた彼は、コーヒーを一口啜る。何か私は不味いことをやった
だろうか。これから叱責を受けるのか?不安になるが、それを悟ったかのように教頭は顔
の前で手の平を左右に振った。

「実は先生のクラスの巴のことで、少しお話があるんです」
「巴が、何か?」
「ええ。彼女は一人暮らしをしていますよね」

私が担任を受け持っている巴マミは、厄介な家庭の事情を背負ってはいるものの、何か問
題を起こすタイプではなかった。友人は多い方ではないが、成績は決して悪くはない。問題
のあるような行動も、この三年間は特別無かった筈だ。

「先日彼女のマンションの管理人の方から、学校に連絡がありましてね。色々な男が、それ
も中年程度の男性が巴の部屋を夜に訪れて、朝方帰っていくらしいんですよ」
「親戚ではないんですか?遠方に住んでいると聞いたことはありますけど」
「どうも、男っていうのは一人ではないらしい」
「日によって違う?」
「ええ。それが、一ヶ月近くも続いているらしいのです。管理人の方も住人のプライベート
には干渉しないらしいのですが、なにせ彼女はまだ未成年だということで、学校の方に連絡
が来た次第です」

そう言って教頭はコーヒーを一口啜る。私も奇妙に喉が乾いていて、飲み物が欲しかった
が机の上にあるのは空のコーヒーカップだけだった。

「それで先生にお願いがありまして。今の話が事実なのか、直接彼女に確かめて欲しいんで
すよ。どうせなら、臨時の家庭訪問などがよろしいかと」
「……そうですね。私も、こんな話を聞いたら、流石に心配ですから」
「彼女に最近変わった様子は?」
「いえ。そういうのは見当たりません。だから驚いています」

容姿とは裏腹に、どちらかと言えば地味な生徒である巴マミが、そういった生活をしてい
るとは、にわかには考えられなかった。
おそらくは管理人の勘違いか何かなのだろう。そう私はタカをくくっていた。

「では宜しくお願いしますよ、先生。それと万が一になにか問題があった場合は、私に直接
報告をお願いします。妙な噂が立つと不味いですので」

人好きする笑みを始終崩さなかった教頭は、そう言って席を立った。妙に猫背の後ろ姿が
、瞼の端に映る。
私はどうも、教頭が苦手だった。始終浮かべている笑みは、自分の考えを悟られないよう
にしているとしか思えない。
今回の件で何か問題があれば、間違いなく彼は巴を処分するはずだ。そういえば一人暮ら
しの巴が編入する際に、彼は強固に反対したと聞いたことがある。

「まったく――――。」

よくよく考えてみると巴はどういった暮らしをしているのか、私は知らないのだ。一年の
頃から彼女の担任を受け持っているが、一度も家に足を踏み入れたことはない。
毎回家には訪れず、学校で面談を行っていた。

(そうだな、一度行ってみるのもいい機会かもしれないな)

背もたれに体を預け、そんなことを考えていると、ギシリと背もたれが軋む音がする。そ
れはまるで、私の安易な考えに警鐘を鳴らしているようだった。

急ぎの仕事を片付けて、私は住所を頼りに巴のマンションを訪れていた。見上げ、溜息を
つく。

(いいとこ、住んでるなぁ)

多少は恵まれた家庭の生徒が多い学校ではあるが、中学生が一人で住むには多少なりとも
違和感はある。安全性という面では万全なのだろうが――――。

(それも本人の心がけ次第だけどな)

妙なことを考えた自分に対し、眉をしかめる。これではまるで、巴がそういうことをやっ
ていると決めつけているみたいではないか。

「こんにちわ」
「はい。なんでしょうか」
「私は、こういう者なのですが」

巴の部屋を訪れる前に、私はマンションの管理人から情報を得ることにしていた。名刺を
差し出し、事情を説明すれば、綺麗な白髪の老人は納得したように頷いた。
彼の話し方からは巴を親身に心配している様子が伝わってきたが、取り立てて目新しい情
報は無かった。教頭から話を聞いた時から感じている嫌な予感は、更に大きくなった気がす
るが。
エレベーターを使い、巴の部屋がある階まで上がると、廊下には制服姿の巴が見えた。彼
女は手すりに体重を預け、じっと街を見下ろしている。
沈みかける太陽が彼女を照らす。金色の野を照らす茜色の陽。彼女の金糸はまるで、実っ
たムギ畑のようだと思った。ムギ畑に夕日が沈む。
吹き抜けたビル風が、麦の穂を揺らす。彼女は風で解れた髪を憂鬱気に押さえながら、私
を振り返った。

「お持ちしていました、先生」

どこか憂いを孕んだ表情。違和感を覚える。こんな表情をする巴を、私は知らなかった。
三年間彼女を見てきて、私は何も知らなかったのだと思い知らされる。

「どうぞ。こっちです」
「ああ」

彼女の後に従い、玄関扉を潜った。瞬間、強烈な後悔が体を駆け抜ける。逃げなくていい
のかと本能が警鐘を鳴らした気がしたが、それを無視した。ただの家庭訪問だ。何を怯えて
いるのか。
リビングへと通される。見渡せば、インテリアと呼ばれるものはおおよそ必要最低限しか
置かれていなかった。十代の少女の部屋。と言うにはあまりにも殺伐としている。

「今、お茶を淹れますね」
「いや。お構い無く。簡単な話をするだけだから」
「そうはいきませんよ。やっぱりお客様には、おもてなしをしないと」

彼女はキッチンへ向かう。食器同士のこすれ合う甲高い音が、室内に響いていた。先程か
ら、正確にはこの部屋に足を踏みれた瞬間から視線を感じている。さりげない仕草を装って
室内に視線を走らせるが、原因を特定することは出来なかった。おそらくは気のせいだろう
と断定する。
同時に男性の痕跡を探るが、流石に見当たらなかった。もし噂が本当だったとしても、痕
跡を残しておくようなバカな真似を彼女はしないだろう。

「お待たせしました」
「ありがとう。家事は得意そうだな」
「得意って程でもありませんけど、一通りは。なにせ一人暮らしが長いですから」
「親戚の方とは、最近会っていないのか」
「そうですね。半年くらい、会ってないと思います」

平然と、紅茶を啜りながら彼女は言った。思わず私は眉をしかめる。

「どうしました?先生」
「いや。何でもない」

平静を装い、紅茶に口をつける。けれど味は全くと言っていいほど感じなかった。それど
ころか、苦味を感じたほどだ。もしかしたら私は、自分が思っている以上に混乱しているの
かもしれない。

「美味しいですか?」
「ああ。美味いよ」
「よかった」

味も感じていないのに、そう反射的に答えていた。巴はテーブルに両肘を突き、嬉しそう
に微笑んでいる。学校では見たこともないような、人懐っこい表情だ。
どこか巴はクラスメートと壁をつくっている印象があった。決して自分の本心を打ち明け
ず、上辺だけの必要最低限度の付き合い。
巴のそんな態度は、両親に先立たれた不幸が原因だと思っていた。いずれ彼女の傷も癒え
るだろうと楽観的な推察をしていたのだ。
しかしそれは、大きな思い違いだったのではないだろうか。

「けれど驚きました。急な家庭訪問だなんて、何かあったんですか?そう。例えば、管理
人のお爺さんが学校に連絡したとか」
「――――。なに?」
「困った人。放っておいてくれてもいいのに」
「巴。お前……あの話は、本当なのか」
「本当ですよ。管理人のお爺さんが、嘘を言うと思いますか」
「思わないが、親戚とかお知り合いの方じゃないのか。その、お前の部屋を訪ねてきてる男
ってのは」

クスッと巴は吹き出した。慌てて口元を手で覆う。目の前の道化が滑稽で仕方ない、そん
な表情だった。

「違いますよ。親戚のオジサン達とは、半年も会ってないって言ったじゃないですか」
「じゃぁ、誰なんだ」
「知らない人ですよ。わたしの体を、お金で買ってくれる人たち」

二の句が次げなかった。巴の言葉を、脳が理解出来ていない。

「もう。先生だって分かってたんでしょう」
「それは、お前が援助交際をしてるって。そういうことか。認めるのか」
「はい」

悪びれもせずに即答する。想定は真実だった。理解した瞬間、沸き上がってきたのは怒り
だった。教育者としての、世の不忠に対する怒り。
道を外した生徒を是正させようとする、教育者としての義務感だった。

「巴!お前は自分が何をやってるか、分かってるのか!?」
「そんなに怒らないでください。そろそろ、効いてくる頃ですよ」
「何を――――ッ」

急に立ち上がったからか、立ち眩みがした。頭痛と耳鳴りが、同時に襲い来る。

「分量がよく分かんなかったので、多めに入れたんですけど、気付かれなくてよかったです
。紅茶、美味しかったですか?」

呆っとして思考のまとまらない頭で考える。どこか苦かった紅茶。あれは“何の味”だっ
たのか。

「まさか。お前」
「大丈夫ですよ、先生」

立っていられず、ガクリとカーペットの上に膝を突く。ゆらゆらと船のように揺れる視界
。自然と呼吸は荒くなり、口をだらしなく開いていた。
突如ルヌリとした感触を舌が意識する。

「ん、ジュルっ。チュク、ふぁ」

舌と舌が絡み合っていた。だらしなく開いた私の口腔には、いつの間にか巴の舌が侵入を
果たしている。生暖かい、唾液の絡まる感触。
舌先を刺激されると、痺れのような感覚が全身に走った。このままではいけないと直感す
る。
力の入らない体を無理やり動かし、巴を押しのけた。何が起こったのか。現実離れした想

定外の出来事に理解が追いつかず、肉体は頭痛を訴える。

「巴、お前は何をやってるんだ!」
「そんなに嫌がらないでください。先生、わたしのこと嫌いですか?」
「そういうわけじゃないが……お前は」
「わたしは先生のこと、好きですよ」

言葉を返すことが出来なかった。教師としてそれなりの経験を積んだつもりだったが、こ
の状況に対処する術を私は思いつかない。
このまま逃げ帰るべきだろうか。それとも巴を正気に戻らせるのが先か。

「落ち着け、巴!落ち着いて、自分が何をしているのかもう一度考えろ」

喋るのにもひどく体力を消費する。薬を盛られたからなのか、体に力が入らず、立ち上が
ることも叶わない。

スラックス越しに、巴の体温を感じる。彼女の手の平が、太ももの部分を撫で上げ、ゆっ
くりと股間へと迫っていく。既に私の下腹部には血が集まっていて、布地を押し上げていた

盛られた薬とは何だったのか。巴は何を考え、このような暴挙に及んでいるのか。

「くッ――――」

存在を誇示している私の息子を、スラックスの上から刺激された。腰が跳ねそうになるの
を抑え、声を飲み込む。

「気持ちいいですか?」

ジッパーを下ろし、彼女は器用に息子を取り出す。直接指先で竿をしごかれ、その感触に
体積と硬度は更に上昇する。腹の底からじわじわと登ってくる射精感を、歯を食いしばって
追い払った。
そんな私の抵抗をあざ笑うかのように、彼女は体を折り曲げ、反り立った息子の裏筋を舐
め上げる。彼女の顔には、私の反応を楽しむような余裕めいたものまで浮かんでいた。
当然、初めてではないのだろう。自分よりはるか年上の男の舌を吸うことも、性器に舌を
這わすことも。

「なんでだ」

分からなかった。金に困っているわけではないだろう。彼女の預金口座には、両親の保険
金が入っているという話だった。

「金なのか?それとも、厄介な奴らに強要されて」
「違いますよ」

否定の言葉だけを口にして、彼女は息子を飲み込んだ。温かな口腔内で圧迫される感覚に
、腰が砕けてしまいそうになる。

「ん。ンフ、ヌポッ、ジュルっ」

繰り返されるピストン運動の度、背筋に電流が走る。顎を引き、決して教え子の口の中を
汚すまいと、せり上がってくる射精感を必死で追い払う。
ギュッと握った拳が、震えていた。彼女の、男のツボを知り尽くしているかのような口淫

に、私の自制心は屈服してしまいそうだった。ねっとりと絡みつく舌の感覚も、先端に擦れ
る喉元の感覚も、全てが桁外れの快感に直結していく。

「くッ……」

けれど耐えた。私のどこにこんな自制心が眠っていたのか分からないが、教師としての私
は、決してこの場で屈服してはいけない。目の前の教え子を、なんとか正気へ戻すためにも
、射精だけはしてはいけない。

「はぁ。先生は強情なんだから」

息子から口を離し、彼女は呆れたように言った。既に生徒としての仮面を、取り払ったか
のようだった。どこか色香を感じさせる、年齢に似つかわしくない女の表情で肩をすくめる


「そんなにわたしが嫌?みんな、褒めてくれるんだけど」
「お前は、俺の教え子だぞ」
「あら……教え子の口の中には、出せないんだ」

出来る限りの剣呑な視線を投げかけるが、巴は意に介していないようだった。彼女は静か
に立ち上がると、スカートのホックに手をかける。
はらり、と床に一輪の花が咲く。彼女は恥じるような様子もなく、私の目の前に下半身を
晒していた。上は制服のままに、下半身はあられもない姿だった。その、一種美術品めいた
美しさに、私は息を飲む。

「口の中に出せないんだったら、こっちはどう?」

彼女はカーペットに腰をおろすと、股を開いて自分の性器を外気へ晒した。二本の指で重
なりあう花弁を押し開く。目を逸らすべきだった。見てはいけなかったのだと思う。
開かれた扉の向こうには、真っ赤な沼が存在していた。男を引きずり込む、底なしの沼だ


「やめろ。いいから、服を着るんだ」

私の言葉など聞かず、巴は自らの指を入り口へとあてがった。マッサージをするように浅
瀬を行き来させながら、もう一本の指は尖って自己主張している肉芽を擦り上げる。

「ふ、あぁ」

部屋に響く女の声。何をされたわけでもないのに、ゾクリと背筋に震えが走る。目の前で
自慰をする少女は、自分の知っている巴マミなどではなかった。

お前は誰だと、叫びだしたかった。まるで早摘みの果実のように、熟れる時期を間違って
しまった罪を嘆くように、彼女の嬌声は室内に響く。
巴マミの孤立は、おそらく自らが望んだものだった筈だ。彼女を取り込もうとするクラス
メートの意志を、自ら拒んでいたから。
何故なのか。既に熟してしまっていたからなのか。何を見てきたのか、どんな経験を積ん
できたのか。私は彼女のことを、あまりにも知らない。
その華奢な肩で背負うにはあまりにも重い荷物を、彼女は背負ってしまったのか。投げ捨
てることもせずに、背負えないはずの物を背負った矛盾。それが、彼女が熟れてしまった原
因。
無理やり荷物を背負うなど、子供のやることではない。14、15の小娘には分不相応だった
から、巴は大人にならざるを得なかった。
大人になるには、どうすればいい?ひどく簡単だ。下らない方法ではあるけれど。

「ん、ぁぁ。くッ」

目をつむった巴が、体を震わせる。ほんのりと上気した頬に、蕩けた瞳。女性経験が決し
て多い方ではない私が判断できることではなかったが、絶頂を迎えたのか。

「先生、これでもわたしとヤルのは嫌?そんなわけ、ないですよね」

擦り寄ってきた彼女は、私の頬に指を這わせた。濡れた指先が、肌の上に尾を引いた。彼
女の表情はひどく官能的で、心臓が高鳴る。
どうするべきなのか、私は分からなくなっていた。ある程度体力は回復しているし、今な
ら巴を押しのけて部屋を出ることも可能だろう。
腕に力が入る。思ったよりも体力は回復しているようだった。巴の肩に手を添え、私は巴

を押し倒した。
驚愕と納得がないまぜになった表情の巴を見下ろす。

「巴、お前がいけないんだぞ」
「ふふ。そうですね、先生は何も悪くありませんよ」

悪くない。そんな理由はなかった。私は教え子に手を出そうとしているのだ。巴の背負っ
ている物を理解しようともしないで、ただ欲望のままに彼女を犯そうとしている。数々の、
彼女を抱いた男と一緒で。

「んっ」

先端を巴の入り口にあてがい、ゆっくりと挿入していく。既に十分な湿り気を帯びていた
彼女の裂け目は抵抗なく男根を飲み込んでいった。

彼女の膣は力強く、男根を絞めつけてきた。逃すまいと、貪欲に竿へ絡まりつく。
今まで堪えていた射精欲が、ここに来て爆発しそうなほどに高まっていた。それを我慢す

ることなく、私は一気に解放しようとする。

「んぁ、あぁ!」

巴のことなど無視し、私は自らの快感の為だけに腰を動かす。肉と肉のぶつかる音が室内
に響き、巴は苦痛に顔を歪めていた。その唇を、私は奪う。
上下の唇をねっとりと舐めまわすだけでは飽きたらなかった。もっと、彼女を味わいたい

と体の奥底が求めていた。

「飲むんだ」
「んッ――――」

口を開かせ、唾液を流し込む。直後に口をキスで塞げば、彼女は唾液を飲み込むしかなか
った。眉間にシワを刻みながら、彼女の喉が上下する。
私の教え子が、私の唾を飲み込んでいる。その破滅的な状況は、快感を高める材料にしか
過ぎなかった。

気がついてしまったのだ。私では巴を救えないと。彼女の背負うものは、私が思うよりも
ずっと大きいのだろう。教師として彼女と向きあうことを、一瞬でも否定してしまったのな
ら。
男として彼女と向きあってしまえば、それまでだった。私は聖人君子などではなく、うだ
つの上がらない男性教諭に他ならない。だからと言って生徒を犯す言い訳になどならないが
、肥大化した肉欲を抑えるには、あまりにも私の理性は脆弱だった。

「は、はっ、はぁぁ」

猿のように息を荒らげながら。教え子を犯しているという背徳感に酔いながら、私は巴に
自分の腰を打ち付ける。射精感が波のように押し寄せてくる。

「出すぞ。いいな?」
「う、ぁ。はい、せんせ、ぃ」

頷く巴を見て、私は笑みをこらえ切れなかった。鏡で見れば、ひどく醜い顔をしているの
だろう。そんな感慨も、背筋を駆け上る快感に押し流されていく。
苦しげに歪んでいる巴の顔を目に焼き付けながら、一心不乱に息子を抽送する。突き入れ
るたびに膣壁の感触が脳を焼き、避妊などしていないことを思い知らされる。
いいのか、このままでいいのか。そんな自問に対する解を出すよりも、今は腰を動かすこ
とが先決だった。全ての意識が一点に集結していく。快感云々よりも、自分の最も深く抗い
ようのない部分がそれを命じていた。

「う、うぉぉぉっ」

深い一突き。強烈な吐精。巴の最奥で精を放つ。男としての充足感にも似たものが、胸の
内に広がっていた。巴の中から息子を引き抜けば、白濁した精液が滴り落ちてくる。

「んぁ」

気だるげに体を起こした彼女は四つん這いになり、息子へと顔を近づける。まとわりつい
た精液と自分の愛液を、舌先で舐め取っていった。

「随分教育が行き届いてるじゃないか。誰が先生だったんだ?」

巴のさわり心地の良い柔らかな髪を撫でる。そうすると恥ずかし気に、彼女は目を細めた
。男心をくすぐる、思わずどきりとするような仕草だった。

「来るんだ」
「……はい」

それが自然であるかのように、巴は従順に私の前に正座した。私が何を求めているか、彼

女は知っているかのように制服を脱いで、たわわな二つの膨らみを晒す。

「おっぱい、ですか」
「よく分かったな」
「男の人は、みんな好きみたいですから」
「そこには夢と希望が詰まってるんだ」
「ふふ。何です、それ」

半勃ちの息子を、彼女のマシュマロが包みこむ。その感覚に、私の意識は埋没していった


白い獣が、埃の降り積もった本棚の上に寝そべっている。ここは見滝ケ原中学でも訪れる
者など年に数人しかいない、場末の資料室。
彼の視線の先では、一人の男性教諭と巴マミが、体を重ねている。この狂態は学び舎とい
う舞台にも関わらず、ほぼ毎日のように演じられていた。

(ここはまるでアリジゴクの巣だな)

マミには聞こえぬよう、心のなかで彼はつぶやく。さりとて声に出したところで、夢中で
腰を振っているマミには聞こえぬだろうけど。
男性教諭は件の淫行を学校へ黙っていることを条件に、マミへ関係を強要している。おそ
らく教諭は、自らが主導権を握っていると確信しているはずだ。
けれど彼には、教諭の首に黄色い糸が見え隠れしてならなかった。果たして飼いならされ
ているのはどちらなのか。

(まぁ、せいぜいマミに飽きられないように頑張ってね)

ネコ科のように伸びをして、彼は資料室を後にする。室内に残された二人は、飽きること
無く互いの愛を確かめ合っていた。






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