サイドストーリー(非エロ)
番外編


まどかとさやかが魔法少女になって、少し経った後の話。

マミさんの遺体をあのままにはしておけないと、あの結界に再侵入する旨を皆に申し出るまどか。
その場でマミさんを供養する為、ほむらに協力を申し出る。
無駄に魔力を使う事を嫌うほむらだったが、それで踏ん切りをつけると懇願するまどかに折れ、
次のグリーフシードは自分が貰うとの約束で同行する事に。

かつてマミさんと約束を交わした通路を、沈痛な面持ちで歩くまどか。
マミさんの変わり果てた姿を見る事への拒絶から、途中何度も足が竦む。
それでもマミさんをあんな場所に置き去りには出来ないと、心に鞭打って前へと進む。
気がつくと、ほむらが手を握ってくれていた。
大丈夫、私は一人じゃない。待っててね、マミさん。

ついにたどり着いた最奥の間。
マミさんの最期の姿を見ているほむらは、それをいきなりまどかに見せる事に抵抗を感じ、まずは自分が行くと申し出る。
しかしまどかは自分が言い出した事だからと、ほむらと共に遺体を確かめる決意を見せる。
そうしてマミさんの遺体の乗っていたテーブルの傍へと跳躍し・・・・。

そこには何も乗っていなかった。

自分がテーブルを間違えたのだと思い、周囲の机も確認するほむら。
しかし、どのテーブルの上にもマミさんの亡骸は乗っておらず、
それどころか、割れたティーカップの上に掛かっていた血痕までも消えうせていた。

ほむらの顔から血の気が引いていくのを見て、マミさんの遺体が無くなっている事を悟るまどか。
だが、ほむらの頭の中では、既にその先に待つ危険への警鐘が鳴り始めていた。
主の居なくなった結界に、マミさんの遺体を持ち去った者がいる――すなわち新たな魔女が近くに潜んでいる可能性。
もしくは、マミさん自身が新たな・・・・。

とっさにまどかを抱き寄せ、防御用の魔力壁を張り巡らせるほむら。
ここにいてはまずい。必ずよくない事が起きる。
ほむらの長い魔女との戦闘経験が、目の前の異常事態に危険信号を発し続けている。
何よりもしマミさん自身が魔女になってしまっていたら、まどかの心は今度こそ砕けてしまうかもしれない。
まどかを戦いに巻き込みたくないほむらにとって、それはある意味好都合ではあるのだが、
まどかが心を磨り減らして行く様をこれ以上見たくない。今ではその気持ちの方が勝るようになっていた。

顔色を変え戦闘態勢に入ったほむらを見て、まどかも周囲に敵がいる可能性に気付く。
まどかは直感的に、周囲に息づく存在へと意識を張り巡らせる。
目の前で周りを警戒するほむら。自分を心から気遣ってくれているのが、彼女の発する魔力の波で分かる。
その気持ちに安堵し、心を落ち着かせるまどか。さらに意識を研ぎ澄まし、結界全体へと意識の波動を拡げて行く。

――いる。この結界の中に、私達以外の誰かが。
まどかの意識の中に、確かに蠢く存在が感じられていた。


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