ごちそうさま
上條恭介×美樹さやか


多分NTR系
触手、グロっぽい表現あり


美樹さやかはじっと目の前の少年を見つめていた。
少年の名は上條恭介。さやかの幼馴染みであり、ヴァイオリニストだ。けれど事故で左腕を損傷し、
今は病床の身となっている。恭介は窓の方を向いたまま、さやかが持ってきたCDに耳を澄ませている。
と、その目から涙が流れた。

「……恭介?」
「さやかは……さやかはどうして僕に音楽なんて聴かせるの?嫌がらせのつもりかい?」

恭介の声はどこか空虚に響く。その声音にさやかは何故か恐くなる。

「だって、恭介は音楽が好きだから――」
「僕はもう聴きたくなんかないんだよ!自分で弾けもしない曲、ただ聴いていたって……!」

指が動かない左手を振り上げ、恭介はCDを叩き割った。割れた破片とともに、赤い血がシーツに飛び散る。

「もうこの手は動かないんだ!痛みさえ、感じない……!」
「恭介!」

再び手を振り上げた恭介にしがみつき、さやかは彼の狂乱を沈めようとする。
さやかにとっては、良かれと思ってしていたことだった。
ただ、もう一度彼のヴァイオリンが聞きたかった、そして彼に笑っていて欲しかっただけなのに。

「さやかには、僕の苦しさなんて分からないだろう?今まで何も、失った事なんてないものね」
「そ、そんな、こと」

確かにさやかは大切なものを失ったことはない。けれどつい先日、よき先輩になるはずだった人が
唐突に死んだ。いや、彼女は無惨に殺されたのだ。その事を思い出すと、さやかは全身が震えて
動けなくなってしまう。
だがそんな事は恭介が知るはずもなかった。

「ねえ、さやかも無くして見るかい……?」

呆然としたままのさやかの体を、恭介がベッドへと引き倒した。自由に動く右手で、制服のリボンを解く。

「きょう、すけ……?」

恭介の体がさやかにのし掛かってくる。細身とはいえ男である恭介の体は、さやかにとっては未知の
ものだ。柔らかさの欠片もない感触に、さやかは身を強張らせる。
ゆらり、と顔を上げた恭介は、死人のように青ざめていた。けれどその目だけはギラギラと異様な
光を湛え、さやかを見下ろしてくる。

「ねえ、さやか……?」

恭介の右手が無造作にさやかの胸をまさぐった。それは少女にとって、ある意味夢見ていた行為だ。
けれどそれはもっと、甘く、あたたかく、優しいものであるはずだった。

「きょ、恭介!」

さやかは思わず恭介の肩を押し退けようとする。けれど、少年の体はびくともしない。
冷たい唇がさやかの首筋に降りてくる。恐怖と、それ以外の何かがぞくりと背筋を駆け抜ける。
さやかはぎゅっと目を瞑り、全身の力を抜いた。自分が恭介を傷つけていたのなら、そして自分の
身を捧げる事で彼の気が晴れるなら、それでいいじゃないか……。
なのにさやかが覚悟を決めた途端、恭介はぴたりと動きを止める。

「……ふ、ははっ、ふははははっ!」

恭介は血に濡れた左手で、自分の顔を覆った。笑っているはずなのに、その表情は泣いているよう
にも見える。

「ほら、見てよさやか。僕の左手はこんなにも役立たずだ。君に触れたいのに、君を感じたいのに何も
分かりやしない」

恭介の左頬に、涙のような血糊が張り付く。

「ねえ、ほら……動かないんだよ」

恭介の左手がさやかの頬へと伸びてくる。それは冷たく、まるで固いゴムのような感触だ。この
手が、元はあの素晴らしい音楽を生み出していたのに……!

「今の医学では治らないってさ。奇跡か、魔法でも無い限り……」
「あるよ!」

さやかは恭介の手をそっと握りしめた。

「奇跡も魔法も、あるんだよ!あたし、知ってるんだ……恭介の手、治してあげるから!」
「さやか、君は何を言ってるの」

恭介はさやかを蔑むような目で見下ろした。当然だろう。魔法の存在なんて普通の人間には信じられない。
けれど、さやかは恭介に絶望してほしくなかった。

「ホントだよ!だから……だから、もし治ったら」

ヴァイオリンを、もう一度弾いて欲しい。あの素敵な音楽をみんなに聴かせて欲しい。
けれど、さやか個人の願いは。
さやかは恭介の手を自分の胸に押し当て、そっと彼にキスをする。彼は驚いたように目を見開いた。

「……さやか」
「お願い、恭介」

見つめ合う二人を、白い魔獣だけが見ていた。

深夜の病室で、恭介はただぼんやりと窓の外を見つめていた。空には白い月が浮かんでいたけれど、
彼の目には映ってはいない。恭介はもはや何も見ず、何も聞かず、ただ絶望の海にたゆたっていた。

(もういっそ死んでしまおうか)

ヴァイオリンが弾けない人生に意味はない。絶望の中で生き続けるぐらいなら、死んでしまった方が
楽になれる。幸いにもここは病院の高層階だし、窓には鉄格子もない。這い転がって窓辺まで行けば、
なんとか立つことはできる。
起き上がろうとしてシーツに腕をついた時、恭介は違和感に気がついた。

「……?」

左手に触れたシーツがひんやりと冷たい。柔らかな布の感触。

「!?」

恭介はおそるおそる自分の左手を眺めた。腕には包帯が巻かれた痛々しい姿。もう動かず、何も
感じない役立たずの腕。そのはずなのに、恭介の意志に従ってそれはゆっくりと握られていく。

「なんで……」

――奇跡も魔法も、あるんだよ!恭介の手、治してあげるから!

まさか、そんなはずはない。奇跡も魔法もあるはずがない。まして、さやかがそれを使えるなんて。
呆然としている恭介の傍らで、何もないはずの中空にぽっかりと黒い穴が空く。そこから青い衣装を
まとった少女が現れ、音もなく絨毯に降りたった。

「恭介……」
「さやか!?」

さやかは肩が剥きだしの青い衣装に、白いマントを羽織っている。頬や肩にはいくつもの切り傷が
あり、うっすらと血が滲んでいた。

「さやか!」

恭介はベッドを飛び降りてさやかへと駆け寄る。そんな恭介の姿を見て、さやかは鼻の下をこすった。

「へへっ、治ったみたいだね、恭介」
「さやか……」

恭介に起きた奇跡、そして音もなく現れたさやか。奇跡も魔法もあるというさやかの言葉が、今
恭介の目の前に現実として横たわっている。

「さやかが僕を治してくれたの?本当に?」
「まぁ〜、一応そうかな。まだちょっと慣れなくて怪我はしちゃったけどさ、こんなのはすぐに治るし、
恭介の怪我に比べたら、ぜんぜん」

さやかは照れたように頭を掻く。視線を合わせようとしないさやかの両手を、恭介はそっと手に取った。

「さやか、ありがとう。約束守ってくれて」
「えっ、あぁ、うん……」

恭介が真っ正面から見つめると、さやかは頬を赤く染めて口ごもる。その瞳にあるのは、期待と
ほんの少しの怯えだ。

「さやか……」

恭介の手がさやかの肩を抱き寄せ、二人の影が近づく。
その瞬間。

病室の光景が、ぐにゃりと歪む。どこからともなく雑誌の切り抜きのような奥行きのない家具が
現れて、壁のあった辺りを埋め尽くしていく。黄色いソファ。ガラスのテーブル。食器棚の中には白い
ティーカップ。床は雨に濡れたアスファルトのように黒い。そしてドアのあったところには、瀟洒な
デザインの、しかし蜘蛛の巣のようにヒビの入ったガラスのドアが現れた。

「な、なんだこれ……なんだよ、これ!?」

非現実的な光景に、恭介は半ばパニックに陥る。さやかはそっと背中で恭介を庇った。間違いない、
これは魔女の結界だ。さっき一仕事したところだというのに、もう次が現れるなんて。
ドアノブがかたりと音を立てたかと思うと、ヒビの入ったガラスが砕け散る。その開口部から、現れた
人影に、さやかは目を疑った。

「願いが叶って良かったわね、美樹さん」

小さなベレー帽の下で黄色の髪を二つに分けてカールさせ、袖の膨らんだブラウスにコルセット。
ふわりと膨らんだスカートに、肘の上まであるロンググローブ。さやかもよく知ったデザインの、
けれど色だけの違う衣装。白かった部分が血のような赤に、オレンジだった部分は闇夜のような黒に
染められている。けれど一番異なっている部分。それは襟から覗く白い首に、ぐるぐると赤黒いリボンが
巻き付けられている事だった。

「マ、マミさん……!?」

マミはかつてよくそうしたように、白いティーカップを口に運びこくりと飲み下す。カップが離れると
マミの唇はどろりとした赤い液体に汚れていた。

「幸せでしょう?魔法少女になった代償に、彼の腕は治った。そして、その先に続くあなたの願いも
今まさに叶おうとしている」

マミは無造作にカップを投げ捨てた。床に落ちたカップは音を立てて砕け、赤黒い液体が広がっていく。

「でもそんなの……あなただけ、ズルいと思わない?」

マミはにっこりと優しげな笑みを浮かべる。その笑みだけは、以前と寸分も違わない。
魔法少女だったマミは死んだ。今魔女の結界の中に唐突に現れた彼女は魔女のはずだ。魔法少女と
なったさやかが倒すべきもの。なのにさやかは一歩も動けなかった。
マミを倒すことはできない、けれど、背後の恭介を危険にさらすわけにもいかない。

「んっ……」

唐突にマミは眉根を寄せ、下腹部に手をあてた。

「あっ、あなたのっ、幸せ、を……んんっ!」

体内でいったい何が蠢いているのか、マミは身をよじりながら時々声を詰まらせる。

「私に……頂戴!!」

マミの両手がスカートの裾をつまみあげた瞬間、赤黒い何かがそこからあふれ出した。床にこぼれた
紅茶のようにあっという間にさやかの足元まで広がったかと思うと、唐突に伸び上がり、さやかの
足首に巻き付く。

「なっ、うわぁ!」

生暖かく脈打つ物が、さやかの足首から膝へと這い上がってくる。振り払おうと脚を
動かしても、がっちりと捕えられていて逃げられない。

「さやかっ!」

恭介は捕らわれたさやかを助けようと手を伸ばす。けれどそれより先に赤黒い触手がさやかの体を
引き倒していた。さやかは恐ろしいスピードでマミの足元まで引きずられていく。

「つぅ……!」

転ばされた時に腰と背中を打ち、痛みにさやかは顔を歪める。涙の滲む目を見開くと、マミが氷の
ように冷たい表情でさやかを見下ろしていた。

「マ、マミさん……」

床に広がり落ちていた赤黒い粘液が、ぞわりと蠢いた。獲物を見つけた軟体動物のようにさやかへと
群がり、いくつもの触手を伸ばす。

「えっ、うわ!いやだぁ!」
「さやか!」

恭介が駆け寄ろうとした瞬間、その鼻先にマミが突然現れて行く手を阻んだ。

「さ、さやかに何をするんだ!」
「大丈夫よ?美樹さんは私の可愛い後輩だし、それにアレは私の可愛い仔なの。悪いようにはしないわ」

よく見れば赤黒い粘液は、マミのスカートの中――脚の間からずっと一繋がりになっている。だが
どくどくと脈打つそれは、さやかの脚や腕や胴体、首にまで巻き付き、不気味に蠢いている。

「や、やめろよっ、やめてマミさん!」

さやかの太股まで這い上がってきた触手が、二つに分かれる。一つはハイソックスの中に潜り込み、
ふくらはぎから足首へとまとわりつく。さらに足の裏や指の間にまで、細かい触手が入り込んでくきた。
もう一つの先端はさらに細かい触手に別れながら、うぞうぞと脚の付け根を目指し始める。

「や、やだよぉ!やだ、助けて恭介ぇ!」

粘ついた触手はさやかの白い肩から胸元へも這い回ってきた。まるで内蔵をぶちまけたような
グロテスクな触手は、ほのかに湯気を立てながらぬめぬめとさやかの服の中へと潜り込む。

「ひぃっ、やだ、気持ち悪いっ!」

腐った血のように生臭いそれは、けれど不思議な事に紅茶のような香りが混じっていた。かつて
マミの家で振る舞われた紅茶の香り。それがこの血生臭い光景の中でさやかの感覚を狂わせていく。
背中をぬるりと覆った触手が脇から胸の膨らみへと絡まりついた。

「ひゃあっ、やだっ、ぃ、やぁっ!」

赤黒いものに半ば覆い尽くされながら、さやかはジタバタと藻掻く。けれど触手は二の腕から手袋の
中にも侵入してきて、さやかの動きを封じ込めた。

「さ、やか……」

まるで肉の壁に捕食されたような姿のさやかを、恭介は呆然とみつめた。気持ち悪さに顔を歪め、
うっすら涙さえ浮かべているさやかの表情は、恭介には何故かとても可愛らしく見えた。ハイソックスが
ずり下げられ、さやかの白い膝小僧が露わになっている。抵抗する過程で膝は軽く曲げられていて、
めくれ上がったスカートの中に水色のショーツが見えた。

「ね、悪いようにはしないって言ったでしょう?」

マミは恭介にしなだれかかるように寄り添い、そっと恭介の頬を撫でる。マミの体からふわりと甘い
香りがたちのぼり、柔らかな胸が腕に押し当てられる。恭介は何かに魅入られたかのように、顔を
マミの方へと向けた。

「あなたは美樹さんが欲しいんでしょう?その願い、私が叶えてあげる。でもね、それを少しだけ
私にも、分けてちょうだい」

マミは恭介の首筋に唇を這わせ、口づけを落とす。

「う、あっ……」

キスとともに恭介の中に何かが流れ込んでくる。甘く、どろどろとした熱いもの。それと同時に
大切な何かが恭介から抜け出していく。
けれど、そんなものはもうどうでもいい。大切なものってなんだろう?ほら、あたたかくて柔らかな
ものなら目の前にあるじゃないか……。
恭介はマミの体にむしゃぶりついた。一緒になって倒かけた体を、赤黒い触手が受け止めてそっ
と床へと横たえる。

「んもう、せっかちな男の子は嫌われるのよ……?ま、でも今はしょうがないか」

恭介は乱暴な手つきで胸元のリボンを解き、ブラウスの前を開く。コルセットに押されてこんもりと
膨らんだ乳房を両手で揉みしだきながら、唇で吸い付いた。

「きょ……すけ……?」

その光景をさやかは呆然と見つめた。小さい頃から憧れていた恭介が、ついこの間には少し歪んでは
いたけれど確かに愛情を向けてくれた恭介が。獣のようにマミの体に覆い被さり、豊満な胸を貪っている。
さやかが見ていることに気づいたマミが、恭介の肩を叩いた。見せつけるように顔を寄せ、唇を重ねる。

「っ……!」

互いに喰らいあうように開いた唇から、舌が伸びてきて絡まりあう。濡れた音が立つような濃厚な
口づけに、さやかはぎゅっと目を閉じた。荒い恭介の吐息と、時々マミが漏らす甘い喘ぎが耳に
飛び込んでくる。

「あらゴメンなさい。私だけ楽しんでちゃダメよね」

恭介の唾液に濡れた唇でマミが微笑んだ。途端に、しばらく動きを止めていた触手達が活動を再開する。

「えっ、うわっ!?やっ……やだぁ、恭介ぇ!」

すっぽりと胸を覆っていたものが、もぞもぞと蠢動を開始する。内側に生えた細かい繊毛のような
触手がさやかの胸を撫で上げ、乳房の割に小さな乳首を刺激する。

「ゃ、あっ、ぁあんっ」

同時にショーツを外から覆っていた触手が一つに縒り合わさり、中にまで入り込んできた。

「や、やだああっ!やめ、いやぁ!」

触手の――マミの意図するところを悟り、さやかは必死に手足をばたつかせようとする。そんな
抵抗をものともせずに赤黒い触手は薄い毛の生えた丘を割り開き、穴の中へと潜り込んだ。

「あっ……!?あ、ぐっ……!!」

男性器を模して象られたそれは、ぬめぬめした外見からは想像できないほどの硬さでさやかの中に
打ち込まれる。成熟にはほど遠い膣を強引に掻き分け、ぐねぐねと頭を巡らせながら奥を目指して
進んでいく。処女を示す膜もあっさりと突破され、さやかは声にならない悲鳴を上げた。

「あっ、は……!う、ぁっ……!」

それでもなお触手の侵攻はとまらない。未開の地を無理にこじ開け、表面の粘液をさやかの膣壁に
塗り込むように蠢きながら、それは一番奥まで辿り着いた。

「うっ、ぁっ……ぅん、くっ……」

痛みと処女を失った衝撃に、さやかはただ涙を流す。中に打ち込まれたものは今は動きを止めて
いるけれど、胸を覆う繊毛はまだやわやわと胸を揉み続けていて、そこから生まれる感覚が不快感なのか
何なのか、もうさやかには分からなくなっていた。

「あらごめんなさい。あなた処女だったのねえ」

声にひかれて顔を向けると、こちらに背を向けて座る恭介の前で、マミが蹲っている。

「うぅ……マミさん、ひどいよ、こんな……」
「そうね。やっぱり初めては好きな人がよかったかしら?」

そう言いながらマミは手の中の赤黒いものに舌を這わせた。てらてらと濡れて光るそれは、マミの
触手のようにグロテスクで、けれどそれは確かに恭介から生えている。その恭介はもはやさやかを
見向きもしない。

「でもごめんなさい。上條君は私がもらってしまうの。あなたは、そっちで我慢して?」

さやかに襲いかかっていた不定形の触手が、唐突に盛り上がり始める。さやかの四肢を押さえ
込んでいた部分から肉色の柱が出現する。4本のそれは徐々にふくらはぎや前腕の形を取り始め、
そこからさらに伸びた肉塊が太股と上腕を成し、ぶよぶよと両側から肉が延びて胴体が形成される。
そして胴体の上に首ができ、ぼこりと盛り上がった頭部の肉が蠢いて顔を作り始める。
粘液に濡れて光る赤黒い肉塊、髪の一本も生えないそれは、確かに恭介の顔をしていた。

「い、いやああああああああああ!」

眼球まで肉に埋め尽くされた恭介がにいっと笑い、さやかの頬に手を伸ばした。さやかは自由に
なった腕を振り上げ、目の前の恭介に叩きつける。殴られた肉塊はぼこりと凹みはするものの、すぐに
新しい肉が付近から寄り集まってきて元の形へと戻る。

「ひどいわ、上條君に犯されたかったんでしょう?」
「えっ?……あっ!?」

さやかの膣にはまだ触手が挿し込まれたままだ。それとは別に、肉塊の腰の辺りには男性器の
ようなものがあった。それをさやかが認めると、入り込んでいた触手が溶けたようになくなる。どろり
と生あたたかなものが膣を満たし、内圧に圧されてどぷりとこぼれ落ちた。

「や、やだよぉ、恭介ぇ……」

最後の救いを求めるようにさやかの目はは恭介を探す。けれど、その先にあった光景は絶望を加速
させるものでしかなかった。

「あらあら、あなたも欲しいのね」

本物の恭介は、肉塊の恭介と同じようにマミに覆い被さっていた。マミも大きく脚を広げ、彼を
受け入れようとしている。
本物の恭介がマミの脚を持ち上げると、さやかの脚も持ち上げられる。マミの胸が恭介に揉まれ、
さやかの胸の上を赤黒い肉塊が這い回る。恭介がマミに口づけるように、生臭い肉塊がさやかの唇を
塞いだ。

「んっ、んぅーー!!」

無理矢理開かされた口の中に、ソレが入り込んでくる。あまりの気持ち悪さにさやかの胸の奥から
胃液がこみ上げてくる。鼻も粘液に塞がれ、息が出来ない。苦しさのあまり意識が遠のきかけた瞬間、
再びさやかを激痛が襲った。

「あっ、ぅあああああああっ!!」
「あぁんっ!気持ち、イイわぁ!」

硬い肉の塊が、さやかの膣へと打ち付けられる。容赦も加減もないそれは、さやかに苦痛と嫌悪しか
催さない。一方でマミは恍惚とした表情で恭介を受け入れている。本来膣があるべきところには赤黒い
液を湛えた穴が空いていて、恭介がペニスを突き入れる度に粘液が蠢いてペニスへと絡みついていた。

「ねえ、感じてるっ?上條君のおちんちんの形、ちゃんと感じてるっ!?」
「えっ、や……あぁ!?」

さやかにのし掛かる恭介の形をしたものは、本物の恭介と同じ動きをしていた。体つきも、顔立ちも
そっくりなそれは、きっと性器の形もそっくりなのだろう。なにせ、マミは今それを間近に確かめて
いるのだから。

「あ、うぁ、恭介ぇ……?」

肉塊はずっと同じ動きを続ける。けれど十分に行き渡った粘液と、行為から濡れ始めたさやかの膣、
そしてさやか自身の心境の変化が彼女に快感を与え始める。

「あっ、恭介、恭介ぇ!」
「あぁん、いいわぁ……最高、んんっ!」

舌をなめずるマミの上で、恭介の顔がどんどんと青ざめていく。皮膚ははりをなくし、目はぎょろりと
飛び出て、けれど下半身だけは逞しく、マミを貫いていく。その目はもう、何の光も宿してはいなかった。

「ぁっ、恭介っ、気持ちイイよぉ!」

さやかもまた、半ばうつろな瞳で目の前の肉塊にしがみついている。
さらにげっそりと窶れ、死人同然な恭介が腰の動きを加速する。

「あぁん、これでもうっ……おしまいね!」

どくり。

恭介の体から全ての精がマミの中へと放たれていく。同時に。

「ティロ・フィナーレ」

赤黒い肉塊から放たれた物が、さやかを脳髄まで貫いた。

「ぁっ……!?」

さやかの体がびくりと震える。ぐるりと回転する視界の先で、干からびたミイラのようなものを振り払い、
マミが立ち上がるのが見えた。

「ごちそうさま」

にっこりと微笑むマミの姿だけが、もはや何も映さないさやかの網膜へと焼きつけられた。






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